2015年05月01日

投稿原稿ー5  男性の人権を守るために 【3】

前回掲載した「自殺対策要望書」の内容を使って、
「投稿原稿ー5」・・・「男性の人権を守るために【3】」を作成した。
内容の重複を考え、当初、ここには掲載しない予定であったが、
私に与えられた字数に収めるために推敲をくりかえしていたら、
また別の表現にも出会い、
このブログに来てくださる人たちに、
また読んでもらいたいと思うようになってしまった。

ところで、過日、差別ネットワークのブログの、
コメント欄でも話題になった静岡市長選の、最終得票数を確認したいと思い、
静岡市の選挙管理委員会に問合せの電話をしたら、
結果は次のようであった。

  1.タナベノブヒロ  184,856
  2.タカタトモコ    68,895
  3.マツウラトシオ   22,066

もちろんこの中の「タカタトモコ」が、
皆さんご存じの、「憲法違反の女」である。
彼女は、「女性市民税ゼロ」をマニフェストに掲げて立候補し、
落選はしたものの、7万票近い票を獲得した。
この、市長選の結果を見て、
全く、愕然とするというか、唖然とするというか、あきれ果てるというか・・・・・。

しかし、このブログで発言してきたように、
本来ならば法に抵触するはずの様々の「女性優遇」が、行われ続けてきた日本。
それを思えば、土壌はすでに醸成されていたと感じる。
同様のことは、これから先も、日本全国でくり返されるように思う。

狡賢い人間は詭弁を弄して、自己本位の利益誘導のために、巧みに法解釈を変更する。
女性優遇是認の大きな流れは、詭弁を正当化し、
日々、女たちの「特権階級化」が進む。

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「投稿原稿ー5」・・・ 男性の人権を守るために【3】                 
                                      
3.内閣府男女共同参画局へ

(1)はじめに                              
  内閣府男女共同参画局(以下「男女局」)へ「自殺対策要望書」を送った。男女局は第三
 次男女共同参画基本計画の第1部「基本的な方針」に、「男女共同参画社会の実現は、女性
 にとっても男性にとっても生きやすい社会を作ることであり、政府一体となって取り組む
 べき最重要課題である」と書きながら、実際には、既述のように、男性の人権を軽視、或い
 は無視した「女性優先・女性優遇・女権拡大」の施策を行ってきた。それは、日本国憲法
 第14条(法の下の平等)そして男女共同参画社会基本法第3条(男女の人権の尊重)との
 乖離である。「男女共同参画」という「美名」で「本質」を隠した、自己本位のフェミニズ
 ム運動の拠点、内閣府男女共同参画局。「かつて女性は差別されてきた」という言葉は、粗
 雑に、乱雑に使われ、全国の男女共同参画部局でも流行語のようになった「男女共同参画
 の視点」は、例えば災害対応に見られる事例(注1)のように、「女性優遇の視点」と同義
 に使われている。男性に対して「我慢」や「女性優遇是認」を強要する「性別観・性別役
 割意識」の男たち或いは女たちは、私のような発言をしない。そして、男女局の施策は、
 このような規範意識への依存、或いはその上に胡坐をかく姿勢によって進められてきたと
 思う。男女局は、「男性の不利益」には配慮しない傾向が強い。その姿勢は、様々の施策に
 現れている。                                   

(2)「自殺対策要望書」の構成                           
  前号で示したように、自殺者数には、長期に渡る明白な「性差」が存在し、それは、国
 策としての自殺対策以後も変化していない。しかし男女局は、この「男性に多い自殺」の
 問題に、非常に消極的なスタンスをとってきた。それは、とりもなおさず、この問題が「男
 性にとっての不利益」だからであると、今の私は考える。もしも「自殺者数の男女差」が
 逆であれば、男女局は大騒ぎをしてきたに違いない。勿論マスコミも、そして、どこかの
 国の首相という人も。では、なぜそうなるのか。それは、要するに、男女局の体質の問題
 は勿論あるが、むしろそれ以前に、私たちの社会に根を張る「性別観・性別役割意識(前
 号参照)」に、根本的な原因があると私は思う。「男性の生きにくさ」は、「被害者が男性
 であるがゆえに」軽んじられるのである。私は、このような男性差別と自殺対策を絡めて、
 男女局への要望書を作成した。「女性にとっても男性にとっても生きやすい社会」を求めて
 この問題を検討するのは、男女局の仕事のはずである。               
  要望書は次の4つの内容で構成されている。(a)自殺の状況と性差の再認識 (b)男性に
 対する性別観・性別役割の呪縛 (c)男女共同参画局としての男性に対する支援のあり方に
 ついて (d) 要望の要約。このうち(a)と(b)は、前号の「男性の人権を守るために【2】」
 と共通の内容が多いため、今号では省略した。ただし前号の【表1・2・4】には、今年3月
 に自殺対策推進室が公開した「自殺の統計(2014年)」の数値を加え、【表3】は 2014
 年のデータと置換した。しかし傾向に変化はない。尚、要望書には、この原稿末尾の【表
 5】【表6】を加えた。                              

(3)「自殺対策要望書(c)(d)の要約」・・・ 要望書は長文となった。この投稿に与えられた字
                  数の範囲で、主に(c)(d)の内容を要約する。    
 ◆【表1〜5】が示す自殺者数の性差をふまえ、内閣府男女共同参画局に、「男性の自殺を
 減らすための積極的な改善措置(注2)」を要望します。「第三次男女共同参画基本計画・
 第2部・第3分野」の「成果目標」には「自殺死亡率の減少」が掲げられていますが、「男
 性の自殺を減らすための改善目標」は設定されていません。これを検討し、「第四次男女共
 同参画基本計画」に加えるよう要望します。「第三次男女共同参画基本計画」の第1部「基
 本的な方針」にあるように、「男女共同参画社会の実現は、女性にとっても男性にとっても
 生きやすい社会を作ることであり、政府一体となって取り組むべき最重要課題である」は
 ずです。                                    
 ◆「男女共同参画白書・平成26年版」によれば、男女局も、ようやく、全国各自治体での
 「男性相談体制確立に向けた取組み」を始めたようで、それは、白書の「本編・2・第1
 部・第4章・第1節・7」そして「第2部・第4章・第1節」に記されています。しかし、
 相談体制の確立は、自殺対策として必須ではあっても、それだけでは、「性差」は変わらな
 いと思います。なぜなら、男性に対する「性別観・性別役割意識」が、今後も、「日常の」
 様々の場面で、男性を追い詰める役割を果たすと考えられるからです。         
 ◆ この問題について、男女局と私の認識に共通性が全くないわけではなく、それは例えば
 「第三次男女共同参画基本計画・第2部・第3分野・具体的施策・キ」や、「男女共同参画の視
 点からの防災・復興の取組指針ーp.3・p.4」等に記されています。しかしそれは、あくまで
 も文章として記された認識の共通性だけであって、男女局は、現実的には、私たちの日常
 から「男性を追い詰める要素」を取り払う役割は果たしていないと思いますし、むしろ逆
 に、後述するように、男性に対して不当なストレスや不利益を強いる差別の施策が多数存
 在します。                                   
 ◆ 関連して、概括的に言えば、女性は、男性によって、或いは社会によって「守られる存
 在・守られて当然の存在」として位置し、この認識によって、男女間に人権上の配慮の不
 均衡を生じます。女性優遇・男性差別の出現です。例えば、今回は要点だけを記しますが、
 今の日本の女性優遇・男性差別是認の象徴的存在として、「女性専用車両だけの存在」があ
 ります。「痴漢対策としての女性専用車両」は存在しても、「痴漢冤罪対策としての男性専
 用車両」は存在しないのです。痴漢被害も・痴漢冤罪被害も、被害者の人生を破壊します。
 例えば、周知のように、原田信助さんは、痴漢冤罪被害のために新宿駅で自らの命を絶っ
 たのです。しかし、このような現実があるにも関わらず、鉄道会社は男性専用車両を設置
 しないのです。                                 
 ◆ 要するに「性別観・性別役割意識」が、女性と男性に、異なる社会的位置を与えている
 のです。「守られる存在としての女性」そして「自分で自分を守らなければならない存在と
 しての男性」、この位置関係が、様々の場面で男性を追い詰め、その結果として、自殺者数
 の性差が、今後も現れ続けると思うのです。                    
 ◆ ですから、自殺対策に関わる男性支援として重要なことは、「男性相談体制の確立」だ
 けではなく、「男性を追い詰める性別観・性別役割意識」を是正し、男性を危機やストレス
 から解放していくこと、或いは、その「性別観・性別役割意識」に対する支援を「日常の
 中に」作り出すこと、そして、男性の人権を軽視・無視する風潮、男性差別を是正し、男
 性の幸福感・安心感を高めることだと思うのです。そしてそれは、全国の男女共同参画関
 連条例を含め、「法」に記された理念、「法の下の平等」「男女の人権の尊重」に立脚すれば
 可能なはずなのです。                              
 ◆ しかし、現実はそうなっていない。いやむしろ日本の社会は、後述する具体例のように、
 男性差別が拡大する方向に進んでいます。「かつて女性は差別されてきた」という言葉を旗
 印に、女性差別撤廃運動を展開するのは大変結構なことです。女性差別はあってはならな
 いのです。しかし現実には、今の日本は、男女平等実現を逸脱して、女性優先・女性優遇
 ・女権拡大の方向へ進んでいます。男性の人権が蔑ろにされ、男性差別が拡大しているの
 です。                                     
 ◆ 男性差別拡大の流れは、大きくは三つあると思います。いや、実際は他にもありますが、
 今の私の認識の範囲で明言できる現象は三つある。その一つは、今回の要望書に詳細は書
 きませんが、「女性をターゲットとした企業の女性優遇戦略」。そしてもう一は、前述の、
 公共交通機関での「女性専用車両だけの存在」。そしてもう一つが、他ならぬ「内閣府と全
 国の男女共同参画部局の施策」であって、これらは相乗作用を伴いながら、「女性の特権階
 級化」を確実に進行させています。                        
 ◆ 男女局の施策につきましては、今回、「災害対応・健康支援・ポジティブ・アクション」
 について発言させていただきます。「災害対応」につきましては、既に、関連部局等に、種
 々の要望書を提出していますが、男性差別は非常に多く。男女共同参画社会基本法第3条
 との乖離を強く感じます。今回はその中から二例を取り上げます。一つは「相談体制」そ
 のものに関わる男性差別、もう一つは、被災者の生活支援に関わって、男性の人権を全く
 無視した施策の一例です。                            
 ◆「相談体制」については、東日本大震災以降、内閣府男女局が同名のままに継続してき
 た施策、「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」の問題があります。この件につきま
 しては、既に昨年、男女局推進課宛に改善の要望書を提出しましたが、要するに、例えば
 「震災関連自殺者の75%が男性である(文末【表5】)」というような事実が示すように、
 男性も苦しんできたのです。にもかかわらず男女局は、男性を相談の対象から外したので
 す。また、DV被害も女性だけに局限された現象ではない(注3)。それは、内閣府男女局で
 あれば十分ご存じのはずでしょう。ならばなぜ、男性を相談の対象から外したのですか。
 それは、男性の困難を顧みない「差別」ではありませんか。                  
 ◆「被災地での生活支援」については、「宮城登米えがおねっと」の「女性のニーズに寄り
 添った物資の支援」(注4)を取り上げます。それは「女性だけへの手厚い支援」であり、
 男性への支援が存在しないのです。そして、それに何のコメントもつけずに、あたかもそ
 れが優れた典型実践であるかの如く掲載した内閣府男女局。女性には、個人のサイズまで
 調べた新しい下着を配るのに、男性にはそういう配慮が全くない。それでは「男性は汚い
 下着のままで暮らせ」と言っているのと同じではありませんか。どうしてそのような差別
 ができるのですか。男性は、人間としての尊厳を全く無視されているではありませんか。
 それはまさに、男性に対する「不当な性別観」そのものではありませんか。      
 ◆ 第三次男女共同参画基本計画の「健康支援」も同じことです。第10分野「生涯を通じ
 た女性の健康支援」の女性への配慮に比して、男性への配慮が弱すぎるのです。現実には、
 男性は、明白な性差としての、「自殺・病に対する弱さ(注5)・短命」の問題を抱えてい
 る。そういう現実を見つめる視座が、あまりにも脆弱すぎるのです。         
 ◆ ポジティブ・アクションも同様です。例えば安部首相は、「国家公務員採用者女性割合を
 必ず30%まで引き上げる」と発言してきましたが、教育の機会均等・受験の機会平等が保
 障されている日本にあって、更に、男女局が行った「学校教育の場における地位の平等感
 調査(平成24年)(注6)」の「20〜29歳」のデータを見れば、そこには有意の男女差は
 ないであろうと推測されます。つまり、システムとしても内実としても「男女平等」が確
 立したと判断される学校教育の一つの到達点としての採用試験の場で、数値目標達成のた
 めの女性優遇採用(注7)が行われれば、それはまさに裁かれるべき不正入試と同じでし
 ょう。                                     
 ◆ 更に、【表4】に示された「就職失敗による20代の自殺者の8割から9割を男性が占め
 る」事実を考えるとき、それとポジティブ・アクションが無関係であると言い切ることがで
 きるでしょうか。例えば、「男性は家庭を支える経済力を持たなければならない」という性
 別観に囚われた男性が、実力主義に離反した女性優遇採用によって就職活動に失敗し、自
 ら命を絶つ可能性は、十分あり得るのではないでしょうか。             
 ◆ 男性に対して「困難や孤独や責任や被差別(女性優遇)の受容」を要求する「性別観・
 性別役割意識」が、男性の「生きにくさ」を増幅させ、その延長線上に、「自殺者数の性差」
 が現れ続けていると思います。日本の社会に広がる女性優遇是認の風潮は、「かつて女性は
 差別されてきた」という言葉と、非常に粗雑に、乱雑に絡み合いながら、内閣府や全国の
 男女共同参画部局の施策を含め、「男女平等の実現」を逸脱して「男性差別」を拡大させ、
 男性のストレスを不当に増幅させています。このような現実に改めて目を向け、日本国憲
 法第14条、そして男女共同参画社会基本法第3条と乖離した施策を是正し、男女両方の人
 権を尊重した施策を展開してください。また、同様の視点で、全国の男女共同参画部局に
 対して、啓発メッセージを発してください。第四次男女共同参画基本計画の策定に向けて、
 強く要望します。人権は女性だけにあるわけではない。男性にも人権はあるのです。  

【注釈】インターネット検索項目等 ・・・ 文中の語句から検索可能と思われる項目については
                  (注)を省略した。               
(注1)非常に多くの事例があるが、関連記事を一つ記す。題は【「あおもり被災地の地域コ
   ミュニティ再生支援事業実行委員会」へー男性差別とたたかう者のブログ】。URLは次
   の通り。http://mzkisaragigid.seesaa.net/article/412358053.html      
(注2)敢て「男女共同参画社会基本法第2条」と同じ表現を使った。         
(注3)「配偶者等からの暴力(DV)に関するアンケート調査及び被害者実態調査」・H21
   (横浜市市民活力推進局・こども青少年局)p.8【配偶者やパートナーから暴力にあた
   る行為を受けた経験】                            
(注4)「男女共同参画の視点からの防災復興の取組指針・解説事例集」p.38・取組み事例13
(注5)国民の死亡原因の第1位「悪性新生物」による年間死亡者数(男女別)を【表6】
   として示した。                               
(注6)「男女共同参画社会に関する世論調査・図4・内閣府」。URLは次の通り。    
   http://survey.gov-online.go.jp/h24/h24-danjo/zh/z04.html        
(注7)女性優遇採用の行われた可能性は、平成25年度大阪府・大阪市職員採用試験、及び
   平成26年度名古屋市職員採用試験でも指摘されている。後者の関連記事を一つ記す。
   題は【名古屋市職員採用試験ー男性差別とたたかう者のブログ】。URLは次の通り。 
   http://mzkisaragigid.seesaa.net/article/410384276.html          

◆ 資料 ・・・ 下表の番号は、前号に続く。なお、前号の表3の訂正を下に記す。     

【表5】東日本大震災に関連する自殺者数の割合 (H23年6月〜24年2月)      
                       (女性) (男性)  (計)     
   震災関連自殺者数(H23年6月〜24年2月) 24.6%  75.4%  100%     
   全国の自殺者数(平成23年)       31.6%  68.4%  100%     

【表6】悪性新生物による年間死亡者数(厚生労働省 人口動態統計)         
              男性     女性     計             
   H17(2005)年  196,603  129,338  325,941           
   H18(2006)年  198,052  131,262  329,314           
   H19(2007)年  202,743  133,725  336,468           
   H20(2008)年  206,354  136,609  342,963           
   H21(2009)年  206,352  137,753  344,105           
   H22(2010)年  211,435  142,064  353,499 第三次計画決定  
   H23(2011)年  213,190  144,115  357,305           
   H24(2012)年  215,110  145,853  360,963           
   H25(2013)年  216,975  147,897  364,872           

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(追記) 【表6】は、内閣府男女局への「自殺対策要望書」には含まれていない。    
    今後、健康支援に関わる要望書で使用する予定。

               
posted by 翠流 at 06:51| Comment(0) | 投稿原稿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月31日

自殺対策要望書

内閣府男女共同参画局へ「自殺対策要望書」を送った。
男女局は、第三次男女共同参画基本計画の第1部「基本的な方針」に、
「男女共同参画社会の実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会を作ることであり、
政府一体となって取り組むべき最重要課題である」などと書きながら、
実際には、男性の人権を軽視、或いは無視した、
「女性優先・女性優遇・女権拡大」の施策を行ってきた。
その特徴は、日本国憲法第14条(法の下の平等)との乖離、
そして、男女共同参画社会基本法第3条(男女の人権の尊重)との乖離である。
「男女共同参画」という「美名」で「本質」を隠した、
自己本位のフェミニズム運動の拠点、裏切りの「内閣府男女共同参画局」。
「かつて女性は差別されてきた」という言葉を、粗雑に、乱雑に使い、
「男性差別の施策」を、平然と行ってきた内閣府男女共同参画局。
全国の男女共同参画部局で流行語のようになった「男女共同参画の視点」という言葉は、
その本質と乖離して、「女性優先・女性優遇の視点」と同義になってしまっている。
「男は我慢すべきだ」、「男は女を優先させるべきだ」
「男は、男であることを理由に差別されても、不満を言ってはならない。それが男らしさの
規範なのだ」、というような性別観、性別役割意識の男たちは、
私のような発言をしない。
そして、その上にアグラをかいた内閣府男女共同参画局は、
恐らくは、女性優先・女性優遇の視点のままに、
もう既に、「第四次男女共同参画基本計画」の策定に入っている。

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今回の要望書は、次の4つの内容に分かれている。
  (1) 自殺の状況と「性差」の再認識   (2) 男性に対する性別観・性別役割の呪縛 
  (3) 男女共同参画局としての「男性に対する支援」のあり方について (4) 要望の要約
このうち、(1)と(2) は、
1月30日の記事「投稿原稿-4:男性の人権を守るために【2】」の内容を使っている。
ただし【表】の数値は、3月19日の記事「男性の自殺(5)」に掲載した2014年のデータを加えて
修正した。【表3】については、2014年のデータと差し替えた。

今回は、長い要望書になってしまった。
「投稿原稿-4」の内容をご存じの方は、
(3)と(4)だけをお読みいただいても、思いは伝わると思う。
なお、同様の趣旨の要望書を、後日、内閣府自殺対策推進室にも送る予定。

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                                 平成27年3月29日
内閣府 男女共同参画局 御中              
                                   翠 流 
                 要 望 書    

        年間自殺者数に見られる「明白な性差」の再認識と、    
      男女共同参画局としての「男性に対する支援」のあり方について。
                   ◆                   
標記の件に関わる事項を次の4項目に分け、状況認識と要望を記させていただきます。
  (1) 自殺の状況と「性差」の再認識   (2) 男性に対する性別観・性別役割の呪縛 
  (3) 男女共同参画局としての「男性に対する支援」のあり方について (4) 要望の要約

(1)自殺の状況と「性差」の再認識                        

  すべての人は等しく尊重されるべき「いのち」を持ち、社会は、苦しみの中で自殺に向
 かう人に、救いの手を差し伸べなければならないと思います。勿論、この視点が日本の社
 会にないわけではなく、1998年に年間自殺数が3万人を越えて以降、国政レベルでは、
 自殺対策基本法の制定、内閣府への自殺対策推進室の設置、そして自殺総合対策大綱の策
 定などが行われてきました。全国各地の取組みは、自治体により差があると聞きますが、
 私の居住県であれば、●●市の、自殺予防フォ−ラムに「結実した」と表現したくなるよ
 うな取組みがありましたし、県としては、自殺対策アクションプランの策定に向けた取組
 みがありました。そういう、全国に広がった自殺対策の成果であるのか、或いは、若干の
 好転とも言われる経済状況の変化の帰結であるのか等、主因は、自殺対策の担当者に聞い
 ても定かにはなりませんが、2012年から、年間自殺者数は3万人を割りました。しかし
 このような変化の中にあっても、変わらない事実があります。それは、自殺者が明らかに
 男性に多いという、「明白な性差」なのです。                    

  ご存じのように、内閣府自殺対策推進室は、警察庁が集計した自殺データを整理し、「自
 殺の状況」としてホームページに掲載していますが、今回、この要望書を作成するにあた
 り、それを、特に性差に着目して整理し直し、下記のような【表1】〜【表4】として、ま
 た、併せて、震災関連自殺データとして、「男女共同参画白書平成24年全体版・第1-特-31
 図:東日本大震災に関連する自殺者数の男女別割合」に示された数値を、【表5】として、
 末尾の「関連資料」に掲載させていただきました。

  【表1】年間自殺者数の推移と男女比(1978〜2014年:37年間)         
  【表2】原因・動機(大分類:7項目)別自殺者数と男女比(2008〜2014年:7年間)
  【表3】原因・動機(小分類:52項目)別自殺者数と男女比(2014年)      
  【表4】就職失敗による若者(20代)の自殺と男性の割合(2008〜2014年:7年間)
  【表5】東日本大震災に関連する自殺者数の男女別割合(H23年6月〜24年2月)   

  「関連資料」の【表1】に示されたような自殺者数の性差は、既に周知のことと思われ
 ますが、1978年から2014年までの37年間、毎年例外なく、男性の自殺が女性を上回っ
 ています。それ以前も、恐らく同様ではないかと推測します。警察庁は、自殺の原因・動
 機を大きく7項目(表2)に分類し、更にそれを52の小項目(表3)に分類していますが、
 大分類では、【表2】の通り、7項目全てで男性の自殺が女性を上回り、特に「経済・生活
 問題」では、男性の自殺が女性の8〜10倍、また「勤務問題」では7〜9倍に達していま
 す。小分類では、【表3】のように、52項目中51項目で男性の自殺が女性を上回り、女性
 が男性を上回るのは1項目となっています。また、一昨年の春、就職活動失敗による若者
 の自殺の増加が報道されましたが、その状況を、この7年間について性別と共に示せば、【表
 4】のように、自殺者の8割から9割を男性が占めているのです。

  このように、日本の社会には、長期に渡って、自殺者数の明らかな性差が存在します。
 男性には、より多くの「生きにくさ」があるのです。ですから私たちは、この事実を見つめ
 直し、男性に対する、更なる「支援の方法」を探し求める必要があるのではないでしょうか。

(2)男性に対する性別観・性別役割の呪縛                     

  前述の「男性の生きにくさ」に関わって、長い間社会に存在し続けてきた「男性に対する
 性別観・性別役割」の問題があると思います。この件について、内閣府男女共同参画局と私
 の認識に共通性が全くないわけではなく、それは例えば「第三次男女共同参画基本計画・第
 2部・第3分野・具体的施策・キ」や、「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針ーp.3
 ・p.4」等に記されていますが、その補強と再確認のために、発言をさせていただきます。

  「男性に対する性別観」、そして「男性が抱えざるを得ない性別役割意識」は、今も、男
 性にストレスを与え、男性を追い詰める要素を孕みながら、私たちの日常に深く根を張っ
 ていると思います。例えば、「男性は強くなければならない。困難に耐えなければならない。
 孤独に耐えなければならない。弱音を吐いてはならない。」「男性は家庭を支える経済力を
 持たなければならない。家庭を守らなければならない。」「男性は女性を守らなければなら
 ない。女性のために自分を犠牲にしなければならない。男性だからという理由で人権を軽
 んじられても、差別されても、不満を言ってはならない。それが男らしさの規範なのだ・・・」
 というように・・・。

  具体的な例を挙げます。例えば、私の知人に、ある相談活動に従事する男性がいますが、
 彼はある時こう言ったのです。「私は女性から相談を受けると、その人の気持ちに寄り添い、
 親切に対応しようとするが、男性から相談を受けると『男なんだから一人でやってみろ』
 と言いたくなってしまう」と・・・。彼は、根はいい人間ですから、今はもう姿勢を変えたと
 思いたいのですが、相談活動はいずれにしても、彼と会話をしていると、同様の性別観、
 性別役割意識の押しつけが随所に現れます。要するに、彼は、何事につけても初めに結論
 ありきで、男性に対して、困難や孤独や我慢や被差別の受容を要求します。そして彼は、
 その要求が男性に与えるストレスを理解しようとしないのです。           

 また、私が時折会話をする20代の女性ですが、彼女の第一子は男の子で、ある日彼女は、
 彼の未来について、「男の子だから強く・・・」と言ったのです。それは、とりもなおさず彼女
 の愛の一つの形でしょうし、社会通念的にも受け入れられやすく、強くなるのは、本人の
 人格に愛の欠落がなければ大変結構なことだと、私は、性別とは無関係に思っていますが、
 彼が、将来、解決不能の危機に直面した時、彼は、「男性」であるが故に、「逃げ場のない
 性別観・性別役割意識」を背負い、追い詰められる可能性が高いと思うのです。    

  時代の変化を見ると、今の日本には、「男のくせに」とか「女のくせに」とか、そういう
 表現をタブ−とする価値観は広がりつつあるようで、私はこの変化を、性的偏見の排除や、
 人間の多様性を認め個人の人権を尊重する視点から、大変好ましく思っていますが、しか
 し現実的には、それはまだ、甚だ表面的な現象なのであって、男性は、今も、従来からの
 男らしさの規範、男性であるが故の呪縛を、陰に陽に押しつけられるし、自分からも背負
 うことが多く、その影響は、例えば若者の自殺、具体的には、「関連資料」【表4】に示さ
 れた「就職活動失敗による自殺者の8割から9割を男性が占める」というような現実とし
 て、現れているのではないでしょうか。                      

  この要望書の初めに記しましたような事実、自殺対策の全国的な高まりの中にあっても、
 自殺が明らかに男性に多いという「性差」が変わらない現実の背後には、恐らくは、上に
 述べような、男性に対する性別観・性別役割の呪縛の問題があると思います。そして、こ
 のような主張は、私だけがしているわけではない。例えば、中央大学の山田昌弘氏は、ワ
 レン・ファレルの著書「男性権力の神話」(久米泰介訳.作品社)の推薦文の冒頭で、次の
 ように述べているのです。

     なぜ女性のつらさは問題にされるのに、                   
              男性の生きづさは問題にされないのだろう。
                           (中央大学教授 山田昌弘)

  そして、このような現実と、男性の自殺との関わりは、例えば、次のような文章で表現
 することができると思うのです。                         

     自殺者の男女比が、もしも逆であったら、                 
     日本中が大騒ぎになっているような気もする。               
     女性団体はたぶん、その現実を放置しないだろう。             
     保護を求める女性たち、保護を受け入れられる女性たち、          
     しかし保護を求めることができずに、                   
     「男性」であることを背負いながら、                   
     孤独のうちに死んでいく男たちがいる。                  

(3)男女共同参画局としての「男性に対する支援」のあり方について。

  「関連資料」【表1】〜【表5】に示された自殺者数の「性差」をふまえ、私は、内閣府
 男女共同参画局(以下、「男女局」と略す)に対して、自殺者数全体を減らす取組みだけで
 はなく、特に「男性の自殺を減らすための積極的な改善措置」を要望します。「第三次男女
 共同参画基本計画」の、「第1部:基本的な方針」にもあるように、「男女共同参画社会の
 実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会を作ることであり、政府一体とな
 って取り組むべき最重要課題である」はずです。                  

  尤も、男性の自殺の問題について、内閣府男女局が対策を全く講じていないわけではな
 く、例えば、「男女共同参画白書・平成26年版・本編・2」の「第1部・第4章・第1節・
 7」そして「第2部・第4章・第1節」には、全国各自治体での「男性相談体制の確立に向
 けた取組み」が記されています。歴史的に見れば、各自治体での相談事業の対象は、殆ど
 「女性」が中心であったという事実があり、それは、男性の自殺の実態を考えれば、男性
 に対する人権軽視の施策であったと思いますし、同時に、(2)で述べたような、男性に対
 する「不当な性別観」が社会に存在し続けてきた証でもあると思いますが、白書に記され
 た取組みが、遅すぎた施策ではあるにしても、今後、困難を背負いながらひたすら一人で
 耐えることが責務であるかの如く苦しむ男性の、心の襞に分け入り、人生に希望を与える
 役割を果たすことを、願うばかりです。                      

  しかし、察するに、「男性相談体制の確立」は、自殺対策として必須の事項であるにして
 も、それだけでは「自殺者数の性差」は変わらないと思います。なぜなら、(2)で述べた
 ような「性別観・性別役割意識」が、様々の場面で男性を追い詰める役割を果たしている
 からです。総じて、或いは概括的に言って、女性は、「男性に守られる存在」「守られて当
 然の存在」として、社会の中に位置しています。つまり、男性は「女性を守らなければな
 らない存在」なのです。この認識によって、男女間に、人権上の配慮の不均衡を生じます。
 女性優遇・男性差別の出現です。例えば、細部に踏み込めば長くなりますから今回は要点
 だけを記しますが、今の日本の社会の、女性優遇・男性差別是認の象徴的存在として、「女
 性専用車両だけの存在」があります。「痴漢対策としての女性専用車両」は存在しても、「痴
 漢冤罪対策としての男性専用車両」は存在しないのです。ある男性駅員が言ったそうです。
 「女性は社会が守らなくちゃ。男は自分で自分を守らなくちゃ」。まさにこの発言ような不
 当な性別観が、男性に対する人権軽視を増幅させているのです。痴漢冤罪の問題について
 言えば、男性は自分の力だけで冤罪被害から身を守ることはできない。実際、周知のよう
 に、原田信助さんは、痴漢冤罪被害のために、新宿駅で自ら命を絶ったのです。    

  要するに、「性別観・性別役割意識」が、女性と男性に、異なる社会的な位置を与えてい
 るのです。「社会によって守られる存在としての女性」、そして「自分で自分を守らなけれ
 ばならない存在としての男性」。この位置関係が、社会の様々の場面で男性を追い詰め、そ
 の結果として、自殺者数の性差が、今後も現れ続けると思うのです。         

  ですから、自殺対策に関わる男性支援として重要なことは、全国各自治体での「男性相
 談体制の確立」だけではなく、前述のような「男性に対する性別観・性別役割意識」を取
 り払い、男性をストレスや危機場面から解放していくこと、或いは、その性別観・性別役
 割意識に対する支援を、「日常の中に」作り出すこと、そして、男性の人権を軽んじる風潮、
 男性差別を是正し、男性の幸福感・安心感を高めることだと思うのです。そしてそれは、
 法的基盤に目を向ければ、実は簡単なことのはずなのです。なぜなら、改めて言うまでも
 なく、日本国憲法第14条が「法の下の平等」を保障し、男女共同参画社会基本法第3条が
 「男女の人権の尊重」を謳い、その精神が、全国各自治体の男女共同参画関連条例に反映
 されているはずだからです。                           

  しかし現実は、その「法的基盤」のようになっていない。いやむしろ日本の社会は、男性
 に対する人権軽視・人権無視・男性差別を拡大させる方向に進んでいます。「かつて女性は
 差別されてきた」という言葉を旗印に、女性差別撤廃運動を展開するのは大変結構なこと
 です。女性差別はあってはならないのです。しかし現実には、今の日本は、男女平等実現を
 逸脱して、女性優先・女性優遇・女権拡大の方向へ進んでいる。男性の人権が蔑ろにされ、
 男性差別が拡大しているのです。それは、次に述べるような事実によって明らかなのです。

  男性差別拡大の流れは、大きくは三つあると思います。いや、実際は他にもありますが、
 今の私の認識の範囲で明言できる現象は三つある。その一つは、今回の要望書に詳細は書
 きませんが、「女性をターゲットとした企業の女性優遇戦略」。そしてもう一つが、前述の、
 公共交通機関での「女性専用車両だけの存在」。どちらも、日本の社会での「女性の特権階
 級化」を確実に進行させています。そしてもう一つが、他ならぬ「内閣府と全国の男女共
 同参画部局の施策」なのです。今まで、私の関心は、主に「災害対応・健康支援・ポジテ
 ィブ・アクション」にありましたが、その全てに、例えば次のような男性差別があるのです。

  「災害対応」につきましては、既に、内閣府や全国の男女共同参画部局・防災担当部局、
 更にその関連機関・団体等に、種々の要望書等を提出してきましたが、男性差別は非常に
 多く。男女共同参画社会基本法第3条との乖離を強く感じます。今回はその中から、二つ
 の例を取り上げます。一つは、被災者の「相談体制」そのものに関わる男性差別、もう一
 つは、被災者の生活支援に関わって、男性の人権を全く無視した施策の一例です。   

  「相談体制」に関わっては、内閣府男女局が、今年度も同名のままに継続してきた施策、
 「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」の問題があります。この件につきましては、
 既に昨年、8月12日付で、男女局推進課宛に改善の要望書を提出しており、主張の詳細は
 そこにありますが、要するに、被災して苦しんできたのは女性だけではない。男性も苦し
 んできたのです。にもかかわらず、「男女の人権を尊重すべき男女局」が、男性を相談の対
 象から外したのです。それが問題なのです。男女局は、被災者の心の状態をよくご存じの
 はずです。男女局はそれを「白書」に書いたではありませんか。そしてその一つが、「関連
 資料」【表5】に記された「震災関連自殺者の75%が男性」という事実であり、加えて「男
 性の飲酒量増加」の問題も白書に記されてているではありませんか。また、DV被害も、
 女性だけに局限された現象ではない。それは例えば、推進課宛要望書に記した「横浜市・
 市民活力推進局・こども青少年局」の調査結果にも示されていますし、そのくらいのこと
 は、内閣府男女局であれば十分ご存じのはずでしょう。ならばなぜ「相談事業」の対象を
 「女性だけ」に限定したのですか。なぜ「男性」を相談の対象にしないのですか。それは、
 自殺の問題を含め、男性が抱えている困難を顧みない、深刻な男性差別ではありませんか。
 それは「男女共同参画社会基本法第3条」と乖離した施策ではありませんか。     

  もう一つ、被災地での生活支援に関わって、放置できない男性差別。それは、2013年
 5月に公開された「男女共同参画の視点からの防災復興の取組指針」の「解説事例集p.38
 ・取組み事例13・女性のニーズに寄り添った物資の支援」。その「宮城登米えがおねっと」
 の実践には「女性だけへの手厚い支援」が記され、男性への支援は存在しないのです。そ
 してそれに何のコメントもつけずに、あたかもそれが優れた典型実践であるかの如く掲載
 した内閣府男女局。もしも男女局が「女性支援センター」という名称であるならば、施策
 と名称の間に、とりあえずの整合性はあるでしょう。しかし実際には、男女局は、「男女の
 人権の尊重」を謳った「男女共同参画社会基本法第3条」に立脚しているはずなのです。
 その男女局が、なぜ男性の人権を無視するのですか。女性には、個人のサイズまで調べた
 新しい下着を配るのに、男性にはそういう配慮が全くない。それでは「男性は汚い下着の
 ままで暮らせ」と言っているのと同じではありませんか。どうしてそのような差別ができ
 るのですか。男性は、人間としての尊厳を全く無視されているではありませんか。それは
 まさに、「宮城登米えがおねっと」と「内閣府男女共同参画局」が、男性に対して「不当な
 性別観」を持っていることの証ではありませんか。                 

  第三次男女共同参画基本計画の「健康支援」も同じことです。この問題につきましては、
 厚生労働省のデータを添えて、別の要望書を作成する予定がありますが、要するに、第10
 分野「生涯を通じた女性の健康支援」に記された女性に対する手厚い配慮に比して、男性
 に対する支援が、あまりにも弱すぎるのです。現実には、男性は、明白な「性差」として
 の「短命」と、その背景としての「病に対する弱さ」、そして「自殺」の問題を抱えている。
 そういう、男性が抱えた現実を見つめる視座が、あまりにも脆弱すぎるのです。    

  ポジティブ・アクションも同様です。例えば、それを政治の表舞台に登場させた安部首相
 は、「国家公務員採用者女性割合を必ず30%まで引き上げる」と発言してきましたが、教
 育の機会均等、そして、国家公務員採用試験受験の機会平等が保障されている日本の社会
 にあって、更に、内閣府男女局が行ってきた「学校教育の場における地位の平等感調査(平
 成24年)」の「20〜29歳」のデータを見れば、そこには有意の男女差はないであろうと
 推測されます。つまり、システムとしても内実としても「男女平等」が確立したと判断さ
 れる学校教育の一つの到達点としての国家公務員採用試験の場で、数値目標30%達成のた
 めの女性優遇採用が行われれば、それはまさに、裁かれるべき不正入試と同じでしょう。

  更に、「関連資料」【表4】に示された「就職失敗による20代の自殺者の8割から9割を
 男性が占める」ことを考えるとき、それとポジティブ・アクションが無関係であると、言い
 切ることができるでしょうか。例えば、平等な選考ならば国家公務員に採用されたはずの
 男性が、男性であるという理由によって不採用となり、自殺をすることもあり得るでしょ
 うし。更に広く、「男性は家庭を支える経済力を持たなければならない」という性別観に囚
 われた男性が、実力主義に離反したポジティブ・アクションという名の男性差別によって就
 職活動に失敗し、自ら命を絶つ可能性は、十分あり得るのではないでしょうか。    

  女性優遇採用の行われた可能性は、既に、平成25年度大阪府・大阪市職員採用試験、そ
 して、平成26年度名古屋市職員採用試験でも指摘されています。それは、憲法第14条違
 反であるだけでなく、「性別役割意識」を考えれば、男性に対して、非常に強い精神的打撃
 を与える可能性を孕んでいます。このような不正採用に拍車をかけるポジティブ・アクシ
 ョンは、絶対に行わないよう、強く要望します。                  

  (3)の冒頭にも書きましたように、第三次男女共同参画基本計画の「第1部:基本的な
 方針」には、「男女共同参画社会の実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会
 を作ることであり、政府一体となって取り組むべき最重要課題である」とあります。しか
 し、内閣府男女局は、そして、全国の男女共同参画部局は、本当にこの精神に則って、施
 策を行っているのでしょうか。実際には、男性が抱えている性別役割意識、男性は女性を
 守らなければならない。女性を優先しなければならない。男性だからという理由で人権を
 軽んじられても、差別されても、我慢をしなければならない。」というような性別役割意識の
 上にアグラをかいて、「かつて女性は差別されてきた」という言葉を、粗雑に、乱雑に使い、
 「男女共同参画」という「美名」と乖離した「男性差別の施策」を行っているのではない
 でしょうか。だとすればそれは、美名で本質を隠した「自己本位のフェミニズム運動」、ま
 さに「裏切りの男女共同参画」ではありませんか。日本国憲法第14条の直下にあり、男女
 共同参画社会基本法第3条を擁する内閣府男女共同参画局、そして、その精神に則った条例
 を持つはずの全国の男女共同参画部局が、そういうことでよいのでしょうか ?     

(4)要望の要約 ・・・・・ 以上の認識をふまえ、次に、要望を要約します。

1.この要望書の末尾に【関連資料】として掲載した【表1】〜【表5】の数値から、男性の
 自殺の実態を再確認すること。自殺者数・自殺死亡率には、長期に渡って「明白な性差」
 が存在し、男性が、女性より深刻な状況に置かれ続けていることを再確認すること。  

2.「第三次男女共同参画基本計画」の「第1部:基本的な方針」に、「男女共同参画社会の
 実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会を作ること」とある。しかし実際
 には、上記1の事実から、男性は、より多くの「自殺につながる生きにくさ」を抱えてい
 ると考えられる。この現実を鑑み、自殺者全体を減らす取組みだけではなく、特に、男性
 の自殺を回避するための、積極的な改善措置を講ずること。             

3.「第三次男女共同参画基本計画・第2部・第3分野」の「成果目標」には、「自殺死亡率
 の減少」が掲げられているが、上記2の視点に立った「男性の自殺を減らすための改善目
 標」が記されていない。これを検討し、「第四次男女共同参画基本計画」に必ず加えること。

4.内閣府男女共同参画局は、現在、全国各自治体での男性相談体制の整備を進めている。
 それは、男性の自殺の実態を顧みれば、遅すぎた施策の感があるが、今後、男性が相談し
 やすい体制を整えると共に、困難の中で苦しむ男性の心の襞に分け入り、人生に希望を与
 える役割を果たすことを切に願う。                        

5.上記4のような相談体制の整備は、男性の自殺対策として必須のことと思われるが、そ
 れだけでは、恐らく、自殺の性差の問題は解決しない。なぜなら、長い間社会に存在し続
 けてきた「男性に対する性別観・性別役割意識」が、男性を追い詰める要素を孕みながら、
 今も、私たちの日常に深く根を張っているからである。例えば、「男性は強くなければなら
 ない。困難に耐えなければならない。孤独に耐えなければならない。弱音を吐いてはなら
 ない。」「男性は家庭を支える経済力を持たなければならない。家庭を守らなければならな
 い。」「男性は女性を守らなければならない。女性のために自分を犠牲にしなければならな
 い。男性だからという理由で人権を軽んじられても、差別されても、不満を言ってはなら
 ない。それが男らしさの規範なのだ・・・」というように・・・。
  内閣府男女共同参画局は、男女共同参画社会基本法第3条「男女の人権の尊重」に立脚
 しつつ、上記のような現実を再認識し、全ての施策を考えるに当たり、男性を追い詰める
 ことがないよう、また、男性に対して「人権軽視・人権無視・男性差別」を行うことがな
 いよう留意し、男性をストレスや危機場面から解放していくこと、そして、男性の幸福感
 ・安心感を高めること。また、この視点に立って、全国すべての男女共同参画部局に対し
 て、啓発メッセージを発すること。                        

6.上記5の視点から、「災害対応」「健康支援」「ポジティブ・アクション」について、具体
 的な要望を記す。                                

 @ 災害対応 ・・・・・ 平成25年3月に公開された「男女共同参画の視点からの防災・復興の
    取組指針(案)」は、意見募集の過程を経て、男性の人権にも配慮する方向で修正さ
    れ、同年5月に「同・指針」が公開された。しかし、その他の「災害対応」には、
    内閣府男女局の施策だけではなく、全国の男女共同参画部局の施策にも、非常に多
    くの「男性に対する人権無視・人権軽視」が存在し、「男女共同参画の視点」という
    言葉は、その本質と乖離して「女性優先・女性優遇・男性差別の視点」と同義に使
    われている。内閣府男女局の施策については、この実態を是正し、全国の男女共同
    参画部局に対しては、同様の視点で、是正のための啓発メッセージを発していただ
    きたい。また、この要望書の6枚目に取り上げた内閣府男女局の施策、「被災地にお
    ける女性の悩み・暴力相談事業」は、早急に「被災地における被災者の悩み・暴力
    相談事業」に修正していただきたい。

 A 健康支援(第三次男女共同参画基本計画)・・・・・ この件については、関係する厚生労働
    省のデータも添えて、再度、要望書を提出する計画があるが、第10分野「生涯を通
    じた女性の健康支援」に記された女性に対する手厚い配慮に比して、男性に対する
    支援があまりにも弱すぎる。明白な「性差」としての「男性の短命・病に対する弱
    さ・自殺」の問題をふまえ、「第四次男女共同参画基本計画」策定にあたっては、「男
    女共同参画社会基本法第3条」の視点に立って、修正をお願いしたい。

 B ポジティブ・アクション ・・・・・ 今回は、採用試験だけについて発言する。教育の機会
    均等、採用試験受験の機会平等が保障されている日本の社会にあって、更に、内閣
    府男女共同参画局が行った「学校教育の場における地位の平等感調査(平成24年)」
    の「20〜29歳」のデータから、学校教育に関しては、システムとしても内実とし
    ても「男女平等」が確立したと判断される。このような社会状況の中にあって、学
    校教育の一つの到達点としての採用試験の場で、女性優遇採用が行われるとすれば、
    それは裁かれるべき不正入試と同じである。それは、明白な、日本国憲法第14条違
    反であるだけではなく、「男性は家庭を背負わなければならない」という「性別役割
    意識」を担う男性に対して、非常に強い精神的打撃を与える。このような不正採用
    に拍車をかけるポジティブ・アクションは、絶対に行わないでいただきたい。  

7.再度引用する。「第三次男女共同参画基本計画・第1部:基本的な方針」に記された次の
 文章、「男女共同参画社会の実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会を作る
 ことであり、政府一体となって取り組むべき最重要課題である。」に、私は共感し、内閣府
 男女共同参画局に要望する。この「基本的な方針」の視点に立って「男性の自殺の実態」
 を直視し、「男性に対する支援の必要性」を再認識し、「全国での男性相談体制の整備」だけ
 ではなく、「第四次男女共同参画基本計画」の策定に向けて、更なる支援の方法を検討して
 いただきたい。                                   

関連資料                               

【表1】年間自殺者数の推移と男女比(1978〜2014年:37年間)          

   ・年間自殺者数が3万人以上であるか否かによって、37年間を三つの時期に区分し、
   各時期の年間自殺者数の幅を示した。                     
   ・男女比は、各年度の女性の自殺者数を1として、男性の自殺者数の割合を数値で 
   示した。表中の自殺率(自殺死亡率)は、人口10万人あたりの自殺者数を示す。  

                         (男女比)【男/女】      
     (年次)     (年間自殺者数)  (自殺者数) (自殺率)    
   1978年〜1997年  20,434 〜 25,524  1.6 〜 2.1 (1.7 〜 2.2)  
   1998年〜2011年  30,651 〜 34,427  2.2 〜 2.6 (2.3 〜 2.7)  
   2012年〜2014年  25,427 〜 27,858    2.2   (2.3 〜 2.4)  

【表2】原因・動機(大分類:7項目)別自殺者数と男女比(2008〜2014年:7年間)  

   ・7年間の年間自殺者数の幅を、原因・動機別にした。             
   ・表の数値には、「原因・動機不特定者数」は含まれていない。          

   (原因・動機)     (年間自殺者数)   (男女比)【男/女】     
    健康問題      12,920 〜15,867     1.3 〜 1.5       
    経済・生活問題    4,144 〜 8,377     8.1 〜 10.3        
    家庭問題       3,644 〜 4,547     1.6 〜 1.9       
    勤務問題       2,227 〜 2,689     6.9 〜 8.8        
    男女問題        875 〜 1,138     1.4 〜 1.8        
    学校問題        364 〜  429     2.6 〜 4.2       
    その他        1,351 〜 1,621     2.1 〜 2.7        

【表3】・・・・・(3月19日掲載の記事、「男性の自殺(5)」を参照のこと)

【表4】就職失敗による若者(20代)の自殺と男性の割合(2008〜2014年:7年間) 

      (年次)    (総数) (男性) (女性) (男性の割合)   
    2008年(H 20)   86    69     17     80.2 %       
    2009年(H 21)  122    98    24     80.3 %       
    2010年(H 22)  153   138    15     90.1 %       
    2011年(H 23)  141   119    22     84.3 %       
    2012年(H 24)  149   130    19     87.2 %       
    2013年(H 25)  104    95      9     91.3 %       
    2014年(H 26)  110    95    15     86.3 %       

【表5】東日本大震災に関連する自殺者数の男女別割合(H23年6月〜24年2月)

                      (女性)  (男性)  (計)   
 震災関連自殺者数(H23年6月〜24年2月) 24.6%  75.4%  100%   
 全国の自殺者数(平成23年)        31.6%  68.4%  100%   

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2015年03月19日

男性の自殺 (5) 2014年の状況

3月12日付で、内閣府自殺対策推進室が、
2014年の「自殺の統計」を公開した。
その日であったか、NHKラジオを聞いていたら、
女性キャスターが、「自殺者数が 6.8%減った」と言った。

しかし彼女は、性差の問題には触れなかった。
下表Tに示すように、2014年の自殺にも「明白な性差」があるが、
彼女は、「今回もまた男性の自殺が多かった」、とは言わなかったのである。
以前、記事として取り上げたことのある、某市の自殺予防フォーラムもそうであった。
経済生活問題の相談機関の代表者は出席していたから、
配慮の内実はあったのだろうが、
「自殺は男性に多い」という意味の言葉は、
フォーラムの間中、一言も聞こえてこなかった。

どこかの国の首相も同じである。
「光り輝く女性」発言ばかりを繰り返して、
男性を、困難から、特にその局限としての自殺から、
救おうとする言葉を発してこなかった。
経済政策であるとか、地方再生であるとか、若者支援であるとか、
そういう言葉だけでは不足なのである。
「男性」という言葉を、明確に前面に押し出して、
男性の困難にも手を差し伸べるような、そういう土壌を、
社会の中に作り出すことが重要なのである。

男性の苦しさは、強く前面に出すべきではない。
男性の困難は、できるだけ控えて表現するべきである。
そういう「性別観」「性別役割意識」が、
今も、社会に根を張り、私たちの日常を支配している。
それを変えなければ、自殺の性差の問題は、解決しないと思う。

前述の自殺予防フォーラムを企画した某市が、
初めに作った自殺予防のポスターには、
中央に、悩む女性のイラストだけが描かれていた。
それは、私たちの社会に根を張る「性別観」の象徴であり過ぎるとして、
私は、担当の部局に抗議の電話を入れた。
勿論、ただの一市民の発言でしかないから、
偶然の所産であろうが、
フォーラムの会場に掲示された新しいポスターには、
青い背景の中に、多数の絡み合った臙脂色の歯車が、
心を模るように描かれていた。
苦しみながら自殺に向かう人は、
性別とは無関係に、等しく救われなければならない。

2014年の自殺データは、下記の通り。
昨年の記事「男性の自殺(4)」と同様に整理した。

【項目】T.自殺者数と男女比                         
    U.自殺の「原因・動機特定者数」と「原因・動機不特定者数」      
    V.原因・動機特定者の「原因・動機別自殺者数(大分類:7項目)」と男女比 
    W.原因・動機特定者の、「原因・動機別の自殺者数(52項目)」と男女比  
    X.就職失敗による若者(20代)の自殺者数と男性の割合         

◆ なお、近日中に、内閣府男女共同参画局に「自殺対策要望書」を送る。
また、追って、同様の趣旨の要望書を、内閣府自殺対策推進室に送る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 2014年 自殺データ 】

T.自殺者数と男女比 ・・・ 自殺死亡率(自殺率)は、人口10万人あたりの自殺者数を示す。
                           男女比【男/女】    
      総 数      男       女    自殺者数(自殺死亡率)   
      25,427    17,386    8,041    2.16(2.28)      
          
U.自殺の「原因・動機特定者」と「原因・動機不特定者」            

      総 数     原因・動機特定者     原因・動機不特定者    
      25,427    19,025(74.8%)     6,402(25.2%)    

V.原因・動機特定者の「原因・動機別の自殺者数(大分類:7項目)」と男女比。   

     (原因・動機)  (計)  (男性) (女性)  【 男性 : 女性】  
      家庭問題    3,644  2,227  1,417  【 1.57 : 1 】  
      健康問題    12,920  7,418  5,502  【 1.34 : 1 】  
      経済生活問題  4,144  3,688   456  【 8.08 : 1 】  
      勤務問題    2,227  1,988   239  【 8.31 : 1 】  
      男女問題      875   555    320  【 1.73 : 1 】  
      学校問題     372   300    72  【 4.16 : 1 】  
      その他     1,351   961   390  【 2.46 : 1 】  

   (注意) 遺書等の自殺を裏付ける資料により、明らかに推定できる原因・動機を、
     自殺者一人につき3つまで計上可能としているため、原因・動機特定者の原因
     ・動機別自殺者数の和と、原因・動機特定者数(19,025)とは一致しない。

W.原因・動機特定者の、「原因・動機別の自殺者数(52小項目)」と男女比。    

 ◆ 下表の男女比は、少ない方を1として示してある。              
  男性の自殺は、52項目中 51項目で女性を上回っている。
  各項目が属する大項目は、表中の語尾に、次の略記号で示した。        

      健康問題:A  経済生活問題:B  家庭問題:C  勤務問題:D 
      男女問題:E  学校問題:F  その他:G             

(順位)(原因・動機)         (男 女 比)     (人 数)    
                  【 男性 : 女性 】  男性  女性  計  
1 負債(連帯保証債務):B      【 25.0 : 1 】   25    1   26   
2 負債(多重債務):B        【 16,8 : 1 】  639   38  677 
3 仕事の失敗:            【 13.4 : 1 】  376   28  404 
4 借金の取り立て苦:B        【 13.3 : 1 】   53   4   57  
5 事業不振:B            【 12.8 : 1 】  486   38  524  
6 負債(その他):B         【 11.2 : 1 】  639   57  696  
7 職場環境の変化:D         【 10.9 : 1 】  251   23  274 
8 仕事疲れ:D            【 10.0 : 1 】  623   62  685 
9 倒産:B              【 9.7 : 1 】   29   3   32  
10 自殺による保険金支給:B     【 9.3 : 1 】   74   8   82  
11 失業:B             【 8.9 : 1 】  337   38  367  
12 就職失敗:B           【 8.3 : 1 】  232   28  260  
13 その他:D            【 8.2 : 1 】  320   39  359  
14 犯罪発覚:G           【 7.7 : 1 】  153   20  173  
15 子育ての悩み:C         【 1: 5.9 】   19  112  131  
16 学業不振:F           【 5.7 : 1 】  102   18  120  
17 生活苦:B            【 5.1 : 1 】  916  178 1,094  
18 入試に関する悩み:F       【 5.0 : 1 】   20   4   24  
19 病気の悩み・影響(アルコ-ル依存症):A【 4.9 : 1 】  156   32  188  
20 職場の人間関係:D        【 4.8 : 1 】  418   87  505  
21 そのほかの進路に関する悩み:F  【 4.2 : 1 】  106   25  131  
22 その他:B            【 3.6 : 1 】  258   71  329  
23 教師との人間関係:F       【 3.5 : 1 】   7   2    9  
24 その他:F            【 3.3 : 1 】   33   10   43  
25 いじめ:F            【 3.0 : ー 】   3   0    3  
26 その他:G            【 2.7 : 1 】  372  136  508  
27 夫婦関係の不和:C        【 2.6 : 1 】  637  247  884  
28 失恋:E             【 2.5 : 1 】  198   78  276  
29 犯罪被害:G           【 2.5 : 1 】   5   2   7  
30 家族からのしつけ・叱責:C    【 2.4 : 1 】  104   44  148  
31 そのほかの学友との不和:F    【 2.2 : 1 】   29   13   42  
32 その他:E            【 2.2 : 1 】   46   21   67  
33 近隣関係:G           【 2.1 : 1 】   47   22   69  
34 身体障害の悩み:A        【 2.1 : 1 】  211   99  310  
35 被虐待:C            【 2.0 : ー 】   2   0    2  
36 病気の悩み・影響(薬物乱用):A  【 2.0 : 1 】   42   21   63  
37 病気の悩み(身体の病気):A   【 2.0 : 1 】 2,724 1,395 4,119
38 孤独感:G            【 1.9 : 1 】  328  174  502  
39 家族の将来悲観:C        【 1.6 : 1 】  330  207  537  
40 後追い:G            【 1.6 : 1 】   56   36   92 
41 そのほかの家族関係の不和:C   【 1.5 : 1 】  228  150  378  
42 そのほかの交際をめぐる悩み:E  【 1.5 : 1 】  184  122  306  
43 家族の死亡:C          【 1.5 : 1 】  314  215  529  
44 その他:C            【 1.5 : 1 】  196  135  331  
45 親子関係の不和:C        【 1.3 : 1 】  261  197  458  
46 不倫の悩み:E          【 1.3 : 1 】   92   71  163  
47 その他:A            【 1.3 : 1 】  150  118  268  
48 結婚をめぐる悩み:E       【 1.3 : 1 】   35   28   63  
49 介護・看病疲れ:C        【 1.2 : 1 】  136  110  246  
50 病気の悩み・影響(他の精神疾患):A【 1.2 : 1 】  711  596 1,307  
51 病気の悩み・影響(統合失調症):A 【 1.1 : 1 】  635  591 1,226  
52 病気の悩み・影響(うつ病):A   【 1.1 : 1 】 2,789 2.650 5,439  


X.就職失敗による若者(20代)の自殺者数と男性の割合

        年次別    総数  男性  女性  男性の割合         
      2008(H 20)   86   69    17   80.2 %         
      2009(H 21)  122   98    24   80.3 %         
      2010(H 22)  153  138   15   90.1 %         
      2011(H 23)  141  119   22   84.3 %         
      2012(H 24)  149  130   19   87.2 %         
      2013(H 25)  104   95    9   91.3 %         
      2014(H 26)  110   95   15   86.3 %

        
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2015年02月16日

マイノリティーの人権 (1)

このブログを立ち上げる時、
私は、自分の立脚点を示すために、
憲法については14条と13条を引用して、
題名の下にブログの紹介文を書いた。
題が「男性差別とたたかう者のブログ」であるのに、
14条だけではなく13条も引用したのは、
一般的な(と、とりあえず表現するが)男性差別の問題にとどまらず、
マイノリティーに対する差別、或いは、
「男は…」「女は…」というような、個性を無視した二項対立的視点に起因する差別を、
許せない自分、受け入れられない自分が、
長い間、存在し続けてきたからである。

振り返ればその萌芽は、小学校6年の時であった。
私は、少年であるという理由によって、
あるものを求める思いを拒否され、それを手に入れることができなかった。
少女ならば何の制約もなく、それを手に入れることができたというのに・・・・・。
なぜなのだ……。なぜそうなのだ……。
私がただ、少年であるという理由によって……。

     ◆      ◆      ◆

マイノリティーの人権については、ある弁護士の言葉が印象に残る。
彼は、同性愛者に対する差別とのたたかいの中で、
「13条を拠り所としてたたかい続ければ、いつか必ず、未来の開ける日がやってくる」と
発言していた。
私は、性愛については straight(異性愛者)であるから、
その意味では被差別者ではなかったが、
彼の言葉によって、13条は忘れられない存在となった。

マイノリティーや、その対極としてのマジョリティーの位置について、
私たちの日常を素直に見れば、
マジョリティーは、例えば空気の存在を意識せずに暮らしている私たちと同じであって、
彼らは、平凡であることの幸せを、意識せずに享受している。
しかし、それができないマイノリティーの日常は、
非凡さのゆえに、恐らくは、マジョリティーの理解を越える。

平凡が、幸せの必要条件であって、
非凡は、不幸との契約であると、
心の中で反芻していた時期があった。

しかし時代の変化を見れば、
マイノリティーに対する人権擁護の気運は、今の日本では確かに高まっていて、
まだ、「自由の身なればこそ」ではあるが、
私もまた、生きやすくなった一面がある。
例えばそれは、昨年4月の記事、
「ロングカ−ディガン(カテゴリ…日記・つぶやき)」の世界のように。

しかしその、人権擁護の気運は、
例えば、法務省が、重すぎる腰をようやくあげて、
2002年から、性的マイノリティーの人権擁護を、
「おもな人権課題」の中に取り上げるようになったというような、
国の姿勢の変化、そしてその結果としての社会の変化に、
恐らくは負うものであって、
私がこのブログで訴えてきたような男性差別解消の多くは、
性別観を含め、今の日本の社会の、男性に対する不当な偏見等によって、
現在では、性的マイノリティーの人たちよりも、
むしろマイノリティーであるかもしれない位置からの、
届かない叫びのようにも思えてくる。

先日、私は、法務省の人権擁護局人権啓発課に、問合せの電話をした。
そのとき私の電話を受けた、ある人の話によれば、
法務省が、性的マイノリティーの人権擁護に踏み込んだ契機は、
当時、社民党の議員であった上田氏の、国会質問だったのだそうだ。
では、私たちは、どうすれば、
男性差別解消の思いに、実効性を持たせることができるのだろうか ?

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2015年02月07日

掲載記事のカテゴリ (2014年〜2015年)

掲載記事のカテゴリを、年ごとに分けて掲載することにした。
このページには、とりあえず、2014年と2015年の一覧を記すが、
いずれ、両者は区分けする。

最近、私は、記事のアップが遅れるようになって、
それを寒さのせいにしているが、
そろそろ、第四次男女共同参画基本計画の、
パブリックコメントの準備をしなければならないと思う。
パブコメの始まる時期は定かでないが、
内閣府の男女局に聞いたところ、
春から夏にかけてのどこかで・・・・・・
というような返事であった。

既に繰り返し書いてきたような、乖離の部局、内閣府男女共同参画局。
憲法第14条の直下にあり、男女共同参画社会基本法第3条を擁するというのに、
男女局は、女性差別の解消を逸脱し、
女性優先・女性優遇・女権拡大に向かう。
その、自己本位のフェミニズム運動の、発信基地に向かって、
男女両方の人権を尊重する立場から、
発言をしなければならないと思う。

私は、自分が、塵のような一国民でしかないことを意識する。
たくさんの人たちが、
平等な人権尊重の社会をめざして、
パブリックコメントで発言をしてほしいと、
強く思う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

掲載記事のカテゴリ(2014年〜2015年)

(2014年)

【記事名(掲載日)】                             【カテゴリ】

掲載記事のカテゴリ(2013年)(1/5)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・掲載記事のカテゴリ(2013年)
被災地における、女性の悩み・暴力相談事業(1)(1/14)・・・災害対応批判・要望書(2014・15)
岩手県 男女共同参画課ヘの要望(1/21)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・災害対応批判・要望書(2014・15)
トイレの男性差別 (2)(1/29)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・トイレの男性差別
トイレの男性差別 (3)(2/2)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・トイレの男性差別
国家公務員採用試験(2/10)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ポジティブアクション
男性の羞恥心(1)(2/17)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男性の羞恥心
岩手日報社への要望書 (3/2)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・災害対応批判・要望書(2014・15)
【返信1】被災地の「市民権様」へ(1)・・・男女局の災害対応について(3/10)
                       ・・・・・・・・・・・災害対応批判・要望書(2014・15)
【返信2】被災地の「市民権様」ヘ(2)・・・男女局の災害対応について(続き)(3/18)
                       ・・・・・・・・・・・災害対応批判・要望書(2014・15)
【返信3】被災地の「市民権様」ヘ(3)・・・男女局の災害対応について(続き)(2014・15)
                      ・・・・・・・・・・・・・災害対応批判・要望書(2014・15)
「女性専用車両に反対する会」入会申込書(4/8)・・・レディスデ−・女性割引・女性専用車両問題
ロングカ−ディガン(4/15)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・日記・つぶやき・愛の世界をあなたに
紀伊國屋レディ−スデ−(1)申し立ての精神的背景(4/24)
                      ・・・・・・レディスデ−・女性割引・女性専用車両問題
紀伊國屋レディ−スデ−(2)経過(5/2)・・・・・・・・・・レディスデ−・女性割引・女性専用車両問題
被災地における、女性の悩み・暴力相談事業(2)(5/14)・・・災害対応批判・要望書(2014・15)
男性の羞恥心(2)(5/22)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男性の羞恥心
男性更衣室(4)浴室にまで【その1】(6/4)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男性更衣室
男性更衣室(5)浴室にまで【その2】(6/13)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男性更衣室
男性更衣室(6)浴室にまで【その3】(6/20)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男性更衣室
男性の自殺(4)・・・2013年の状況と、就職失敗による自殺(7/3)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自殺関連
被災地における、女性の悩み・暴力相談事業(3)(7/12)・・・災害対応批判・要望書(2014・15)
ファミマ・レディ−スデ−(1)拡大する男性差別の中で(7/21)
                    ・・・・・・・・レディスデ−・女性割引・女性専用車両問題

ファミマ・レディ−スデ−(2)経過報告(7/30)・・・レディスデ−・女性割引・女性専用車両問題
被災地における、女性の悩み・暴力相談事業(4)(8/12)・・・災害対応批判・要望書(2014・15)
「高野悦子」のこと(8/17)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・日記・つぶやき・愛の世界をあなたに
「カフェ・ド・クリエ」(8/24)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・トイレの男性差別
xavi 様(1)・・・男性に対する不当な性別観(9/7)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人権擁護への思い
「女に生まれたかった男」様・・・男女共同参画の欺瞞(9/14)・・・・・・・・・・・・・・・・人権擁護への思い
許せない男(9/24)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ポジティブアクション
投稿原稿-3 ・・・男性の人権を守るために【1】(10/3)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・投稿原稿
近況報告 2014 (1)(10/12)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・近況報告
近況報告 2014 (2)(10/20)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・近況報告
山田昌弘さん(中央大学教授)の言葉 【その1】(10/27)・・・・・・・・・・・・・・・・・・人権擁護への思い
山田昌弘さんの言葉 【その2】(11/4)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人権擁護への思い
災害対応シンポジウム(福島)【その1】(11/10)・・・・・・・・・災害対応批判・要望書(2014・15)
服装の自由と性的挑発(11/19)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人権擁護への思い
名古屋市職員採用試験(12/10)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ポジティブアクション
近況報告 2014 (3)(12/16)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・近況報告
災害対応シンポジウム(福島)【その2】(12/26)・・・・・・・・・災害対応批判・要望書(2014・15)

(2015年) 

「あおもり被災地の地域コミュニティ再生支援事業実行委員会」へ(1/14)
                        ・・・・・・・・・災害対応批判・要望書(2014・15)
投稿原稿-4 ・・・男性の人権を守るために【2】(1/30)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・投稿原稿
掲載記事のカテゴリ(2014〜2015年)・・・・・・・・・・・・・・・・・掲載記事のカテゴリ(2014〜2015年)

2015年01月30日

投稿原稿-4 ・・・ 男性の人権を守るために 【2】

4回目の投稿原稿を掲載する。
今回は「男性の自殺」を取り上げた。
例によって、
このブログの幾つかの記事をまとめたものであるから、
内容の重複があるが、
ご容赦いただければ幸いと思う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 男性の人権を守るために【2】

2.男性の自殺

(1) はじめに

 「いのちの重さは、男性より女性の方が重い」と主張する人は、とりあえずいないもの
と仮定するが、現実的には、後述する自殺デ−タに見られる明白な性差から、男性の場合、
恐らくは既存の性別観や、男性であるために背負う性別役割等の影響のもとで、解決不能
の危機や孤独に直面し、自ら死を選ぶことが、女性にくらべ、有意の差を持って多いもの
と推察される。自殺デ−タに見られる性差から、男性のいのちは、社会によって軽んじら
れていると表現することが可能である。勿論、女性に危機や孤独がないなどと言うつもり
は全くなく、要するに、可能性や頻度の問題である。                

 時代の変化を見ると、今の日本には、「男のくせに」とか「女のくせに」とか、そうい
う表現をタブ−とする価値観が広がりつつあるようで、男らしくない私は大変喜んでいる。
しかしこの変化は、まだ、はなはだ表面的なのであって、現実的には、男性は、従来から
の男らしさの規範、男性であるが故の呪縛を、陰に陽に押しつけられるし、自分自身でも
背負うことが多いと思う。                            

 たとえば、私の知人に、ある相談活動に従事する男性がいるが、彼はあるときこう言っ
た。「私は、女性から相談を受けると、相手の気持ちに寄り添い、親切に対応しようとす
るが、男性から相談を受けると、『男なんだから一人でやってみろ』と言いたくなってし
まう」と・・・。彼は、根はいい男性であるから、今はもう姿勢を変えたと思いたいが、相
談活動はいずれにしても、彼と話しをしていると、同様の性別観、性別役割の押しつけ
が随所に現れる。要するに、何事につけても初めに結論ありきで、彼は男性に対して、
困難や孤独や我慢や被差別の受容を要求する。そして彼は、その要求が男性に与えるス
トレスを理解しようとしない。

 また、私が時折会話をする20代の女性であるが、彼女の第一子は男の子で、ある日彼
女は彼の未来について、「男の子だから強く・・・」と言った。それは、とりもなおさず彼女
の愛の一つの形であろうし、社会通念的にも受け入れられやすく、強くなるのは、本人
の人格に愛の欠落がなければ大変結構なことだと、私は性別と無関係に思っているが、
私の中の、この投稿に至る内発性の故に、表面的には頷きながらも心中穏やかではなか
った。男性であることを背負い、孤独と危機の中で疲弊してゆく男性、その背後で煩悶
を余儀なくされる母親。そういう現実は確かにあるだろう。            

 ところで先日、私のブログにきてくださったある男性が、ワレン・ファレルの「男性
権力の神話」(久米泰介訳.作品社)を紹介してくださった。その冒頭の山田昌弘さん
(中央大学教授)の推薦文に、次のような一節があり、私の問題意識を的確に代弁して
くださっているように思われた。                          

    なぜ女性のつらさは問題にされるのに、
    男性の生きづさは問題にされないのだろう。

 山田さんのこの一節と共通の思いを、私は、「男性の自殺」を取り上げた自分のブログ
で、次のように表現してきた。

   しかし自殺者に男性が多いことは、厳然たる事実であって、
   ・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・
   自殺者の男女比が、もしも逆であったら、
   日本中が大騒ぎになっているような気もする。
   女性団体はたぶん、その現実を放置しないだろう。
   保護を求める女性たち、保護を受け入れられる女性たち、
   しかし保護を求めることができずに、
   「男性」であることを背負いながら、
   孤独のうちに死んでいく男たちがいる。

(2)自殺の状況

 自殺に関するデ−タは、厚生労働省と警察庁が集計しているが、厚生労働省は、家庭
からの死亡届をもとにしているとのことであるから、より自殺の実態に近いのは、警察
庁のデータであろうと推察される。ちなみに、「年間自殺者数が14年間3万人を越えた」
という報道は、警察庁のデ−タに基づいている。                 
 警察庁のデ−タは、内閣府自殺対策推進室が整理し、ホ−ムペ−ジに掲載している。
それをもとに、主に性比に着目して整理し直したデータを、4種類の表として文末に掲
載した。(注1)                                

 その【表1】に示されているように、1978年から2013年までの36年間、毎年例外
なく、男性の自殺が女性を上回っている。それ以前も恐らくは同様であろうと推測する。
警察庁は、自殺の原因・動機を大きく7項目(表2)に分類し、更にそれを51の小項目
(表3)に分類しているが、大分類では、【表2】の通り7項目全てで男性の自殺が女性
を上回っている。特に「経済・生活問題」と「勤務問題」では差が著しく、前者では、
男性の自殺が女性の8〜10倍、後者では7〜9倍に達している。小分類では、【表3】
のように、51項目中48項目で男性の自殺が女性を上回り、女性が男性を上回るのは 2
項目。残りの1項目は同数であった。                      

 また、一昨年の春、就職活動失敗による若者の自殺の増加が報道されたが、その状況
を、この6年間について性別と共に示せば、【表4】のように、自殺者の8割から9割を
男性が占めている。                              

(2)自殺対策

 国の自殺対策としては、年間自殺者数が3万人を越えて9年目(2006年)の、自殺
対策基本法の制定であるとか、翌年の、内閣府への自殺対策担当の設置、或いは自殺総
合対策大綱の策定などが聞こえてくる。全国の取組みは自治体により差があると聞いた
が、●●県ならば●●市の自殺予防フォ−ラムに「結実した」と表現したくなるような
取組みがあったし、県としては、自殺対策アクションプランの策定があった。そういう、
温度差をかかえながらも全国に広がっていった自殺対策の成果であるのか、或いは、若
干の好転とも言われる経済状況の変化の帰結であるのか等、主因は関係者に聞いても定
かにならないが、2012年から、全国の年間自殺者数は3万人を割った。しかしこの変
化の中にあっても、変わらない事実がある。それは、自殺が男性に多いという明白な
「性差」なのである。                               

 先日私は、ある自殺対策を担当する男性に、彼の、男性に対する性別観について尋ね
た。結果は私の予想通りであった。彼は、私がこの投稿原稿の冒頭で紹介した男性相談
員のような性別観が、自分の中にあると答えたのである。そしてそれは、恐らくは決し
て珍しいことではなく、むしろ平凡で一般的な価値基準として、多くの男性の中に存在
する。男性の、男性に対する支援は弱く、その関係性は、社会の中に根を下ろしてしま
っているのである。そしてそれは、自殺対策に限らず、次回再び取り上げる「災害対応」
についても、その施策決定の過程で強い影響を与えてきたし、これからも与え続けると
推察する。男性に対して「困難や孤独や我慢や被差別の受容を要求する」性別観が、女
性の自己本位性を是認し、膨張させ、男性差別の施策が出現する。      

【インタ−ネット検索項目】                          
(注1)平成20・21・22年度における自殺の概要資料(警察庁生活安全局生活安全企
画課)、及び、平成23・24・25年度における自殺の状況 (内閣府自殺対策推進室・警
察庁生活安全局生活安全企画課)を用いて算出。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【表1】年間自殺者数の変化と男女比(1978〜2013年:36年間)        
   ・年間自殺者数が3万人以上であるか否かによって、36年間を三つの時期に区分し、
   各時期の年間自殺者数の幅を示した。                     
   ・男女比は、各年度の女性の自殺者数を1として、男性の自殺者数の割合を数値で 
   示した。表中の(自殺率)は、人口10万人あたりの自殺者数を示す。       

     (年次)    (年間自殺者数)    (男女比)【男/女】     
                         自殺者数  (自殺率)   
   1978年〜1997年  20,434 〜 25,524   1.6 〜 2.1 (1.7 〜 2.2)  
   1998年〜2011年  30,651 〜 34,427   2.2 〜 2.6 (2.3 〜 2.7)  
   2012年〜2013年  27,283 〜 27,858     2.2   (2.3 〜 2.4)  

【表2】原因・動機(大分類:7項目)別自殺者数と男女比(2008〜2013年:6年間)
    ・6年間の年間自殺者数の幅を、原因・動機別にした。            
    ・表の数値には、「原因・動機不特定者数」は含まれていない。         

   (原因・動機)     (年間自殺者数)    (男女比)【男/女】     

    健康問題      13,629 〜15,867     1.3 〜 1.5       
    経済・生活問題    4,636 〜 8,377     8.3 〜 10.3        
    家庭問題       3,912 〜 4,547     1.7 〜 1.9        
    勤務問題       2,323 〜 2,689     6.9 〜 8.8        
    男女問題        912 〜 1,138     1.4 〜 1.8        
    学校問題        364 〜  429      2.6 〜 3.8       
    その他        1,462 〜 1,621     2.1 〜 2.7        

【表3】原因・動機(小分類:51小項目)別自殺者数と男女比(2013年)     
    ・男女比は、自殺者数の少ない方を1として、性差の大きい順に配列した。 
    ・51の各小項目が属する大項目は、小項目名の末尾に、次の略記号で示した。
       健康問題:A  経済生活問題:B  家庭問題:C  勤務問題:D
       男女問題:E  学校問題:F  その他:G            

(順位)(原因・動機)         (男 女 比)         (人数)         
                   【 男性 : 女性 】  (男性) (女性) (計)    

1 倒産:B             【 45.0 : 1 】   45    1    46     
2 負債(連帯保証債務):B     【 20.0 : − 】   20    0    20     
3 負債(多重債務):B       【 15.8 : 1 】   647   41    688     
4 事業不振:B           【 15.8 : 1 】   568   27    438     
5 失業:B             【 14.7 : 1 】   411   28    439     
6 職場環境の変化:D        【 12.2 : 1 】   280   23    303     
7 就職失敗:B           【 10.9 : 1 】   251   23    247     
8 犯罪発覚:G           【 9.9 : 1 】   158   16    174     
9 仕事疲れ:D           【 9.5 : 1 】   587   62    649     
10 その他:D            【 8.9 : 1 】   354   40    394     
11 負債(その他):B        【 8.5 : 1 】   773   91    864     
12 借金の取り立て苦:B       【 7.8 : 1 】   47    6    53     
13 自殺による保険金支給:B     【 6.7 : 1 】   60    9    69     
14 生活苦:B            【 5.5 : 1 】  1,081   196   1,277     
15 子育ての悩み:C         【 1: 4.6 】   24   111    135     
16 職場の人間関係:D        【 4.3 : 1 】   437   102    539     
17 その他:B            【 4.2 : 1 】   244   58    302     
18 教師との人間関係:F       【 4.0 : − 】    4    0     4     
19 その他:G            【 3.6 : 1 】   462   130    592     
20 そのほかの進路に関する悩み:F  【 3.5 : 1 】   92   26    118     
21 病気の悩み・影響(アルコ-ル依存症):A【 3.5 : 1 】   163   47    210     
22 入試に関する悩み:F       【 3.3 : 1 】   23    7    30     
23 学業不振:F           【 3.1 : 1 】   102   33    135     
24 夫婦関係の不和:C        【 2.7 : 1 】   729   273   1,002     
25 身体障害の悩み:A        【 2.6 : 1 】   198   77    275     
26 家族からのしつけ・叱責:C    【 2.5 : 1 】   108   43    151     
27 失恋:E             【 2.4 : 1 】   207   86    293     
28 その他:F            【 2.3 : 1 】   25   11    36     
29 病気の悩み(身体の病気):A   【 2.0 : 1 】  2,993  1,470   4,463     
30 その他:E            【 2.0 : 1 】   36   18    54     
31 家族の将来悲観:C        【 1.9 : 1 】   384   203    587     
32 その他:A            【 1.9 : 1 】   166   88    254     
33 その他:C            【 1.8 : 1 】   217   119    336     
34 孤独感:G            【 1.8 : 1 】   339   193    532     
35 近隣関係:G           【 1.7 : 1 】   36   21    57     
36 そのほかの家族関係の不和:C   【 1.6 : 1 】   277   171    448     
37 介護・看病疲れ:C        【 1.6 : 1 】   164   104    268     
38 結婚をめぐる悩み:E       【 1.4 : 1 】   53   37    90      
39 病気の悩み・影響(薬物乱用):A  【 1.4 : 1 】   35   25    60     
40 家族の死亡:C          【 1.4 : 1 】   313   229    542     
41 いじめ:F            【 1.3 : 1 】    4    3     7     
42 親子関係の不和:C        【 1.3 : 1 】   259   198    457     
43 犯罪被害:G           【 1.3 : 1 】    5    4     9     
44 不倫の悩み:E          【 1.2 : 1 】   91   74    165     
45 病気の悩み・影響(統合失調症):A 【 1.2 : 1 】   694   571   1,265     
46 病気の悩み・影響(他の精神疾患):A【 1.2 : 1 】   721   600   1,321     
47 そのほかの学友との不和:F    【 1: 1.1 】   21   24    45     
48 そのほかの交際をめぐる悩み:E  【 1.1 : 1 】   165   145    310     
49 後追い:G            【 1.1 : 1 】   52   42    98     
50 病気の悩み・影響(うつ病):A   【 1.0 : 1 】  2,939  2,893   5,832     
51 被虐待:C            【 1 : 1 】    2    2     4     

【表4】就職失敗による若者(20代)の自殺と男性の割合(2008〜2013年:6年間)

      (年次)   (総数) (男性) (女性)   (男性の割合)   

    2008年(H 20)   86    69    17     80.2 %       
    2009年(H 21)  122    98    24     80.3 %       
    2010年(H 22)  153   138    15     90.1 %       
    2011年(H 23)  141   119    22     84.3 %       
    2012年(H 24)  149   130    19     87.2 %       
    2013年(H 25)  104    95     9     91.3 %       
posted by 翠流 at 16:04| Comment(0) | 投稿原稿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月14日

「あおもり被災地の地域コミュニティ再生支援事業実行委員会」へ

「男女共同参画の視点」という美名を使いながらも、
女性への配慮ばかりに終始し、男性には配慮しない女たち。
たとえばガレキの処理で衣服もからだも汚れ、
心身共に疲弊して避難所に帰ってきた男たちには、
からだを休める部屋もない。
それなのに女たちには、
アロマオイルまで用意した、手厚い部屋を用意する。
その、あきれるばかりの「男性差別の視点」を、
彼女たちは「男女共同参画の視点」とよぶ。
全く、ひどい話なのである。
男性には、人権など、ありはしない。
そして恐らくはそれを受け入れるのが男性の義務であるかの如く、
女性優遇是認の規範を、男性に押しつける男たち。
或いはまた、無言のままに通り過ぎる男たち。
そういう、「女たちの自己中心性」と、男たちの「男性に対する加害性」によって、
「男性差別」が出現し、拡大していく。
その、典型の一つとして、
ここに、「あおもり被災地の地域コミュニティ再生支援事業実行委員会」が作った冊子、【男女共同参画の視点を取り入れた「安心できる避難所」づくり訓練ヒント集】を取り上げる。
その URL は次の通り。

http://www.aomoricombiz.co.jp/hintosyu.pdf

これをご覧いただきながら、次の要望書を読んでほしいと思う。
私は、この要望書を「あおもり被災地の地域コミュニティ再生支援事業実行委員会」へ送り、
その写しを、
「青森県環境生活部、青少年・男女共同参画課、男女共同参画グループ」
「青森県 防災・消防課」
「内閣府 政策統括官(防災担当)」
そして、事業を委託した、「文部科学省、生涯学習政策局社会教育課」に送る。

なお、上記の「実行委員会」には、
青森の、「男女共同参画」課の職員が含まれている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

                               平成27年1月●●日
あおもり被災地の地域コミュニティ            
再生支援事業実行委員会 様
                                     翠 流
                  要 望 書

     冊子:【「安心できる避難所」づくり訓練ヒント集】 に見られる、
    男性に対する人権無視・人権軽視・誹謗表現の是正について。

       ・・・・・「男女共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)」、及び、
         「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」の視点から。

 昨年12月3日に福島市で行われました「防災・復興における女性の参画とリーダーシップ〜
第3回国連防災世界会議に向けてのシンポジウム」に参加しました折、貴実行委員会が作成
した冊子、【「安心できる避難所づくり」訓練ヒント集】を拝見し、そこに見られる「男性に
対する人権無視・人権軽視・誹謗表現」に、非常に強いショックを受けています。    

 その冊子の作成に関わる文部科学省の委託事業、「学びを通じた被災地の地域コミュニティ
再生支援事業(平成25年度)」につきまして、文科省の担当者、生涯学習政策局社会教育課
の●●様にお尋ねしましたところ、「この事業に関わる各自治体の取組内容は、各自治体に任
せてある」とのお話しでした。従いまして、冊子の内容・表現は、全て「あおもり被災地の
地域コミュニティ再生支援事業実行委員会」の決定によるものと理解しております。   

 冊子に見られる「男性に対する人権無視・人権軽視・誹謗表現」につきましては、具体的
に後述しますが、冊子の表紙に記された「男女共同参画の視点」は、とりもなおさず、「男女
共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)」に則った視点のはずで、ご存じのように、
「第三条」には、次のように記されています。

 【男女共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)】
   男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性
  別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保さ
  れることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。

 そして更に、平成25年5月に公開された「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指
針」には、上記「第三条」の精神を反映した、次のような文章が記されています。

 【男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(p.4)】
  4 男女の人権を尊重して、安心・安全を確保する
   避難生活において人権を尊重することは、女性にとっても、男性にとっても必要不可
  欠であり、どのような状況にあっても、一人ひとりの人間の尊厳、安全を守ることが重
  要である。                                  

 ですから、この冊子の作成に際して、「あおもり被災地の地域コミュニティ再生支援事業実
行委員会」は、上記のような「男女両方の人権の尊重」を、作成の基本精神として据えなけ
ればならなかったはずなのです。尊重されるべきは女性の人権だけではない。男性にも、尊
重されるべき人権があるのです。                          

 しかし実行委員会は、その精神と乖離した冊子を作りました。この冊子には、次に記すよ
うな問題点、「男性に対する人権無視・人権軽視・誹謗表現」が存在します。それは、「男女
共同参画社会基本法第三条」や「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」の精神
からの乖離なのです。冊子の表紙には、「男女共同参画の視点を取り入れた」と謳いながら、
しかし実際の内容は、「男女共同参画の視点」になっていないのです。 

【問題点】

1.「女性専用ルーム」は設置されているが、「男性用の部屋」は、全く存在しない。

  ・・・ ひど過ぎる話だと思います。たとえば、ガレキの処理で心身共に疲弊して避難所に
  帰ってきた男性は、どこで、からだと心を休めればよいのでしょうか? 冊子の「女性
  専用ルーム」の説明文には、「お茶・お菓子・ドライヤー・鏡付きの一角」等を用意する
  とまで書き、チェック項目には「身だしなみセット・洗面器」から「アロマオイル」ま
  である。しかし、男性に対する配慮は何もないのです。疲弊した、からだと心を休める部
  屋さえもないのです。これでは、男性には人権などないに等しいではありませんか。こ
  のような、男性差別をしてよいのでしょうか?。

   心の問題について言えば、冊子の「女性専用ルーム」の説明文には、「(女性たちが)
  何気ないおしゃべりから、自分が抱えている悩みを打ち明け、少し楽になれる場にもな
  る」と記されています。しかし、「男女共同参画白書:平成24年全体版(内閣府)」の
  「第1−特−27図・28図・29図・31図」にも示されているように、被災地では、女性
  だけが悩んだのではない。男性も苦しんできたのです。それは例えば、白書「第1−特
  −27図」の「アルコール依存の男性での増加」、そして「第1−特−31図」の「自殺者
  に占める男性の割合」に、明確に示されているではありませんか。「男性たちが心通わせ
  る場」としても、「男性用の部屋」が必要なのです。

2.「女性専用物干し場」の必要性は説かれているが、「男性専用物干し場」の必要性は、
  全く指摘されていない。

   男性にも「専用物干し場」が必要な理由を、具体例と共に書きます。私は、現在の居
  住地に来て、22年になりますが、スラックスの下に身に着けている下着を、人に見える
  場所に干したことは、ただの一度もないのです。すべて部屋干しです。そういう男性も
  いるのです。「専用物干し場」は、性犯罪防止だけのために作られるものではない。改め
  て言うまでもなく、それ以前に、プライバシーの問題、羞恥に対する配慮の問題がある。
  そしてそれは、女性だけの問題ではないのです。感受性は人によって違います。男性で
  も羞恥心の強い人はいるのです。羞恥心は、性別で単純にカテゴライズできるものでは
  ないのです。

   羞恥は人間の尊厳に関わる感情です。男性の羞恥心を軽視することなく、「男性専用
  物干し場」の必要性も指摘してください。私は、個人的には、同性にも下着を見られた
  くはない。しかし、被災の現実を考えれば、そこまでの配慮は困難でしょう。ですから、
  「男女別の物干し場」を作るのです。「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針
  (内閣府)」の12ページにも、次のような文章が記されているではありませんか。

  【男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(p.12)】
     3 避難所 (1)避難所の開設 ・・・・・ ○ 避難所の開設当初から、授乳室や
    男女別のトイレ、物干し場、更衣室、休養スペースを設けること。

3.冊子 p.4 の「男女別更衣室」の説明文に、男性の尊厳を破壊する誹謗表現がある。

   下記の引用文の表現に、私は非常に強いショックを受けました。私は、女性の前で着
  替えをしたことなど、ただの一度もないのです。というより、着替えなどできるはずは
  ないのです。私は、あるスポ−ツクラブの男性更衣室に女性清掃員が入るのが嫌で、法
  務局の人権擁護課に人権救済の申し立てをして、合法的なたたかいを続けてきた人間で
  す。そういう感受性の男性がいるのです。しかし、下記の引用文は、そういう男性の存
  在を全く無視し、男性には、あたかも羞恥心がないかの如く表現しているではありませ
  んか。それは、私のような男性に対する、尊厳の破壊なのです。避難所に更衣室がなけ
  れば、私も「毛布の中で」着替えをします。それは、女性だけではないのです。そうい
  う感受性の、私のような男性が、人前で裸になど、なれるはずがないではありませんか。

   被災地の避難所に、下記の引用文のような着替えをした男性がいたのか否か、私は知
  りません。しかし、もしもいたとすれば、それは、常軌を逸した男性の批判されるべき
  行動でしょう。羞恥心を持つ健全な男性に、或いは良識ある普通の男性に、そんなこと
  ができるはずはないのです。引用文のような、常軌を逸した男性を、あたかも男性の代
  表であるかの如く表現するのは、絶対にやめてください。それは、男性に対する尊厳の
  破壊です。

   羞恥は人間の尊厳に関わる感情です。男性に対するプライバシーへの配慮は、羞恥心
  の強い男性を主役としてなされなければならないはずです。文章表現もそうです。常軌
  を逸した男性の批判されるべき行動だけを取り上げて、そうではない男性の尊厳を破壊
  する誹謗表現は、絶対にやめてください。

  【冊子 p.4「男女別更衣室」からの引用文】・・・(男性の尊厳を破壊する誹謗表現を含む)
     ・・・ 毛布の中や仮設トイレの中で着替えをしていた女性たちもたくさんいました。
    また、女性の前で、男性が裸になって着替えたりすることは、日常であればセクハ
    ラにつながり、それは非常時でも同じです。

4.「女性相談コ−ナ−(p.2)」や「DV被害女性支援ル−ム(p.4)」の必要性が記さ
 れている一方で、男性に対する相談・支援体制が全く存在しない。

   既に、上記1で記しましたたように、被災地で苦しんできたのは、女性だけではあり
  ません。男性も苦しんできたのです。それは、既述の通り、男性に多い自殺や、アルコ
  −ル依存の増加等に顕著に現れています。男性に対する相談体制の整備につきましては、
  【男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(内閣府)】には、次のように記さ
  れています。この現実もふまえ、男性に対する相談・支援体制も整備してください。

  【男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(p.19)】
     オ 相談窓口の周知(後半) ・・・・・ ○ 男性としての重圧や他人に弱音を吐くこ
    とを避ける傾向にある男性の精神面での孤立が課題となってくることから、男性に
    対する相談体制を整備するとともに、相談窓口の周知方法に工夫を行うこと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆ 以上の認識をふまえ、冊子【「安心できる避難所づくり」訓練ヒント集】に見られる「男
 性差別」の是正のために、次の7点を要望します。

                    記

1.「男女共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)」、及び、「男女共同参画の視点か
 らの防災・復興の取組指針(内閣府)」の視点に立ち、冊子に見られる「男性に対する人権
 無視・人権軽視・誹謗表現」を是正すること。具体的内容は、以下の通り。

2.「女性専用ル−ム」だけではなく、「男性専用ル−ム」も冊子に付け加えること。また、
 「女性専用ル−ム」と同等の備品を、「男性専用ル−ム」にも用意すること。例えば、「鏡
 付きの一角」「ドライヤー」「身だしなみセット」「洗面器」「アロマオイル」等、冊子の
 「女性専用ル−ム」の説明文にある物品を、「男性専用ル−ム」にも用意すること。

3.「女性専用物干し場」だけではなく、「男性専用物干し場」も用意すること。

4.上記2・3の観点をふまえ、冊子 p.2の「レイアウト」、p.3の「準備物」等、関連部
 分を修正すること。

5.冊子 p.4 「男女別更衣室」の説明文に見られる「男性の尊厳を破壊する誹謗表現」を削
 除し、例えば次の文例のように、男女両方の人権を尊重した表現に修正すること。

【文例】・・・男性、女性それぞれの更衣室をつくることが大切です。避難所では、男女問わ
  ず、毛布の中や仮設トイレの中で着替えをしていた人たちがたくさんいました。男女の
  プライバシーを守るために、男女別更衣室をつくりましょう。

6.相談・支援体制は、女性だけではなく、男性についても整備すること。

7.冊子の全てを再度見直し、真に「男女共同参画の視点に立った冊子」、即ち、「男女両方
 の人権を尊重した冊子」を完成させること。
                               以上、強く要望します。


2014年12月26日

災害対応シンポジウム (福島) 【その2】

 12月3日(水)に、私は、東北新幹線で福島市に行き、「防災・復興における女性の
参画とリーダーシップ 〜第3回国連防災世界会議に向けてのシンポジウム」に参加した。

 既に、11月10日の記事「災害対応シンポジウム(福島)【その1】」にも書いたが、
私は、来年3月に仙台で行われる「第3回国連防災世界会議」で、たとえば災害対応のメ
ッセ−ジが、男性の人権を無視、或いは軽視した状態で採択されてしまうような展開を、
危惧してきたのである。もしもそうなれば、実際の被災場面で、間違いなく男性差別に
拍車がかかると、私は、まるで脅迫観念に襲われるかのように思う。たとえば疲弊して
たどり着いた避難所で、私は男性であるために、着替えの場所がなく、トイレも充分に
与えられず、新しい下着も配布されず、プライバシ−に配慮された物干し場もなく、ガ
レキの処理から帰った避難所で休息するスペ−スもなく、というような状況、そして男
性には、それに耐えるべき当然の義務があるというような、まさに不当な、人権侵犯と
しての性別観の強要の中で、私は、収拾しきれない煩悶の中に追い込まれると・・・・・。

 男女共同参画社会基本法第3条(男女の人権の尊重)を擁するはずの内閣府男女局。
私をこのような不安に陥れたのは、ほかならぬ、あなたたちだ。あなたたちが行ってき
た「第3条と乖離した施策」だ。実際、昨年の3月28日に開かれた「男女共同参画の視
点からの防災・復興の取組指針(案)」の意見交換会の日までの間、あなたたちは、そう
いう災害対応ばかりを考えてきたではないか。意見交換会当日の、「有識者の意見も聞い
た」などという、吐き気を催すような発言まで携えて・・・・・。

 幸いなことに、意見交換会に続く「意見募集」の過程を経て、「指針(案)」の問題点
だけは修正された。しかし、ほかの場所に、今もたくさんの男性差別が残されているでは
ないか。私がこのブログで指摘し続けてきたように・・・・・。

 私は、シンポジウムの登壇者から「男女両方の人権に配慮する」という意味の言葉を
引き出したくて、記事「災害対応シンポジウム(福島)【その1】」に記した要望書を
男女局に送り、当日、適当な登壇者から、それに対する壇上からの見解を聞きたい旨を
伝えておいた。申込書には「登壇者に聞きたいこと」の記入欄があったのである。しか
し、この要望に正面から応える言葉はなかった。私は苛立ち、「時間がない」旨をくり
返す司会者の言葉を遮るように、2回に渡って発言の機会を求めた。私の大きい声が、
広い多目的ホールに響き渡ってしまった。

 結局、発言の機会は与えられなかった。私は苛立ちを収拾できず、コーディネーター
との面談を求めて係を呼んだ。しかし、これもかなえられなかった。

 しかし、今回、係として様々の橋渡しをしてくれた男女局のあの人は、私の要望書が
完全に無視されたわけではないと私に伝えた。それはそうさ。確かに、そうかもしれな
いと感じさせる発言はあった。それは、避難所となった「学校の体育館」での話だった
と記憶する。「大きいカーテンを持ち込んで仕切りを作り」「男女が交代で」「着替え
をした」という報告・・・・・。

 しかし男女局はどこか逃げていると私は感じる。「男女の人権の尊重」という私の要
望書の表現を、コーディネーターが使うことはなかった。それは、彼女が、問題の本質
から逃げている証ではないかと私は思う。では、彼女は、なぜ逃げるのか。それは、憲
法第14条や男女共同参画社会基本法第3条の実現よりも、ほかならぬ自己本位のフェミ
ニズム運動の貫徹を上位に置こうとする、男女共同参画局の、本質的な自己中心性の現
れではないかと私は思う。

 私には、「防災・復興における女性の参画とリーダーシップ」に反対するつもりなど、
全くない。問題はそういうことではなくて、どういうリーダーが育つかにあると思うの
である。要するに、このブログでくり返し発言してきたように、人間の多様性をふまえた、
全ての人に対する人権尊重の視点を持ったリーダーが、育つかどうかが問題なのである。
当然のことながら、女性の人権だけではなく、男性の人権も同等に尊重されなければなら
ない。「男女共同参画の視点」という美しいはずの言葉を使いながら、しかしそれと乖離
して、女性に対する配慮ばかりに目を向ける人間に、リーダーとしての資格など、あるは
ずはないのである。

 ところで私は、このシンポジウムに参加する前に、展示とリレートークが行われた企画
展示室で、「あおもり被災地の地域コミュニティ−再生支援実行委員会」が作成した資料
を見て、ショックを受けていた。それについては、年が明けてから報告したいと思う。



2014年12月16日

近況報告 2014 (3)

11月22日(土)

   朝、レストラン・ガストK店のマネ−ジャ−から、私の携帯に電話が入った。彼は、
  私が申し入れをしたK店の女性優遇トイレ(女性専用+男女共用)の改善について、
  上司と相談をして、私に返信する約束だったのである。申し入れのときは、必ずしも
  感触は悪くなかったので、私には幾らかの期待もあったが、この日の電話では、見事
  に裏切られてしまった。彼は、K店の改善はおろか、「今後展開する店舗のトイレは、
  K店と同様、女性優遇トイレにする」などという、上司の回答を伝えてきたのである。
  止まらない女性優遇、拡大する女性優遇、私はショックであった。トイレの男性差別
  は、精神的に非常にきつい。私は気持ちが収まらず、「お客様相談室」に、長々と苦
  情の電話を入れた。受けたのは女性であったが、なぜか彼女は、職務範囲を逸脱する
  かのように私の主張に共感的なのであった。

11月27日(木)

   記事「紀伊國屋レディ−スデ−(2)」で取り上げた店舗に行った。私の居住地の
  ショッピングモ−ルにあり、人権侵犯被害申告の対象とした店舗である。そのときの
  店内掲示物には、レディ−スデ−は「2014年11月26日(水)まで」と書いてあっ
  た。26日は昨日である。だから、私の中には愚かにも、掲示物が取り外された壁面
  を期待する自分がいた。自嘲ではすまないような話である。しかし壁面には、私を嘲
  笑するかのように、次のような掲示物が貼られていた。

            レディ−スデ− 女性会員限定 
              水曜日はポイント2倍
       ご好評につき、2015年11月26日(水)まで期間延長

   思わず私は、近くのレジにいた40歳前後と思われる男性社員をつかまえて言って
  しまった。「男を差別するなよ・・・・・」。

   水曜は女性限定でポイント2倍。ポイントは金と等価のサ−ビスとして還元される。
  それが、女性限定で上乗せされるのであるから、男性差別にきまっている。しかし、
  地方法務局の人権擁護課は、つまり、結局は法務省の人権擁護局が、「法の下の平等」
  と「営業の自由」を秤にかけたとかで、「人権侵犯事実不明確」の結論を出した。「人
  権侵犯がなかったとは言っていない」などと言っても、「不明確」の結論は、企業に
  とっては、何の痛手にもならない。現実的な拘束性を発揮し得ていない男女共同参画
  関連条例と同じである。この手の男性差別を解消させるためには、企業に対して拘束
  性を持つ法の整備、「性別」という属性を利用した優遇戦略を禁じるような法整備が
  必須であるように感じてしまう。しかし、そんなこと、とても・・・・・・?
   
   しかし、法務局への人権侵犯被害申告だけではたたかいきれないと感じても、私は
  それをやめるつもりはない。法務局に対して声を上げることは、声の存在を知らせる
  ことでもあるし、世論の高まりを作るための1つの方法として、それなりの重さを持
  つと考えているからである。しかし、同様の被害申告をしている人が、何人いるのか
  な? 紀伊國屋については、私は、ほかの人を知らない。ファミリ−マ−トの場合は、
  私と、あの人と、あの人と・・・・・・・・・ もしかして、3人だけ?

11月下旬・・・・・日の記録はないが、トイレの男性差別が改善された一例である。

   私が、このブログの記事を書くのによく使っている喫茶店。落ち着いた雰囲気で、
  男性専用トイレも広く、個室の壁面に大きな鏡があって身繕いもできる店。私はそこ
  がたいへん気に入っているのであるが、その近くに、数ヶ月ほど前、セブンイレブン
  の新店舗ができた。駐車場の広い店舗で、入りたくなるような外観であるが、私の先
  入観通りの男性差別トイレの店舗で、近くを通る度に頭が痛かった。全国にはもう既
  に、膨大な数の同様な店舗があるわけで、私一人がわずかな店舗に働きかけても徒労
  の思いがあるが、その不当性を黙認することができず、この日、店に立ち寄って、店
  員さんに申し入れをした。オ−ナ−は、土曜の夜には間違いなく店に来るとのことで
  あったので、日を改めて、直接申し入れをする旨を伝えておいたが、数日前、この店
  に立ち寄ったところ、既にトイレの表示が改善されていた。今まで、「女性専用+男
  女兼用」であったトイレが、二つとも、男女兼用に変わっていたのである。私は、お
  礼かたがた、経過を聞く意味もあって、12月13日に店舗に立ち寄ったが、オ−ナ−
  の話では、彼が問い合わせをした関東事務所(本社とは言わなかった)は、「店舗の
  判断に任せる」と言ったのだそうだ。オ−ナ−は、「男性の使いづらさを考え、改善
  した」とのことであった。私は彼のような人の存在に、救われる思いであった。改め
  て、この場で感謝申し上げる。
   ところで、私が今まで、男性差別トイレの改善を直接申し入れたコンビニエンスス
  トアは、上記を含め、セブンイレブン7店舗、ファミリ−マ−ト4店舗、セ−ブオン
  2店舗であるが、その結果を、「改善あり」「改善なし」「未確認」の順に数として記
  せば、次のようになる。ただし、申し入れは、必ずしも、オ−ナ−や店長にしたわけ
  ではない。
          セブンイレブン ・・・・・・・ 3・2・2
          ファミリ−マ−ト ・・・・・ 2・2・0
          セ−ブオン ・・・・・・・・・・・ 0・2・0

12月3日(水)

   11月10日に記事として取り上げた「防災・復興における女性の参画とリーダーシ
  ップ 〜 第3回国連防災世界会議に向けてのシンポジウム」に参加するために、東北
  新幹線で、福島市に行った。
   関連して、私は、12月4日に、「あおもり被災地の地域コミュニティ−再生支援
  実行委員会委員長(青森県男女共同参画センタ−副館長)」に、また、12月10日に
  は、青森県庁内の男女共同参画局に、要望の電話を入れている。
   シンポジウムの後は、数日間、心の状態が悪かった。これから記事を書くのも、
  重い腰をあげる感があるが、年内には報告をしたいと思う。

posted by 翠流 at 19:15| Comment(0) | 近況報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月10日

名古屋市職員採用試験

取り上げるのが、遅くなってしまったが、
先月の中旬、知人のAさんから、(アルファベットはご本人の頭文字ではなく、順に従う表記である。)
名古屋市職員採用試験(第1類・事務系)について、
男性差別の存在を示唆する資料をいただいた。
既に差別ネットワ−クのブログで取り上げられた件ではあるが、
安倍晋三の「光り輝く女性」発言や、
内閣府男女共同参画局が行っているポジテブ・アクション、
つまりは、数値目標達成を最優先とした女性割合拡大の動きが強まる中で、
特に面接試験を利用して女性にゲタをはかせる女性優遇採用が、
日本全国に広がるのではないかという懸念を、
私も強く抱いている。
教育の機会均等、受験の機会平等は、勿論以前から保障されてきたから、
もしも、女性にゲタをはかせる優遇採用があれば、
それは、「法の下の平等」に抵触する、裁かれるべき施策であり、
不正入試と同じであるが、
あわせて、内閣府が行った「学校教育の場における男女の地位の平等感調査(図4):下記【注】参照」の、下方にある図『20〜29歳を対象とした調査結果』を見れば、
            【注】http://survey.gov-online.go.jp/h24/h24-danjo/zh/z04.html
学校での平等感には、既に、男女間の有意差はなくなったと感じられる。
従って、学校での性差別の事例は、恐らくは個々に対応すべき少数に近づいており、
男女平等は、制度だけでなく、生徒の感じ方から見ても確立したと言ってよい。
そういう状況の今にあって、
学校教育の到達点の1つとしての公務員採用試験の場で、
女性にゲタをはかせる優遇採用があれば、
それは明らかな男性差別であることが、一層明白となった。
平等な選考ならば合格するはずの男性が不合格となり、
不合格となるはずの女性が合格するなどという理不尽が、
許されてよいはずはない。

私がAさんからいただいた資料には、
次のような、男女別合否状況が記されていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

平成26年度 名古屋市職員採用試験(第1類・事務系)
          一次試験・・・・・行政一般・学校事務・・・・・・・教養試験       
                 法律・経済・社会福祉・・・・・教養試験・専門試験  
          二次試験・・・・・論文試験・口述試験
合否状況
(区分)  (申込者数) (一次試験受験者数)(二次試験対象者数) (合格者数) 
      男性  女性   男性  女性    男性  女性    男性 女性
行政一般  1,111 601    756  408    185  78    60  44 
法  律   300 154    213  111    125  68    45  49 
経  済   202  65    150  50    101  37    42  29 
社会福祉   100  90     77   66     55  54     21  33 
(計)   1,713 910   1,196  635    466  237    168 155

 この数値から、受験者の「一次試験合格率」、及び、一次合格者の「二次試験合格率」
を男女別に算出すると、次のようになる。

        (一次試験合格率)   (二次試験合格率)           
        男 性   女 性    男 性   女 性            
行政一般    24%    19%    32%   56%            
法  律    59%    61%    36%   72%            
経  済    67%    74%    42%   78%            
社会福祉    71%    82%    38%   61%            
(全体)    39%    37%    36%   65%            

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この数値に示されているように、二次試験では合格率の男女差が非常に大きく、
女性に対する優遇措置が強く懸念される。
この問題について、12月1日の朝日新聞の「声」の欄には、
次のような、川上直也氏の投稿文が掲載された。

 「採用試験 女性優遇ではないか」・・・ 川上直也
                     朝日新聞「声」(12月1日)より引用
    私は市民団体で様々な差別について問題提起をする活動をしているが、今年度の
   名古屋市の職員採用試験の結果を見てあぜんとしてしまった。大学卒程度の第1類
   の事務系には男性1196人、女性635人が受験したのだが、合格者は男性168人、
   女性155人。受験者数は男性が女性の倍近くいるのに、合格者数は男女ほぼ同数
   に近い。
    同市人事委員会が出した「採用総合案内」には「年齢・性別・学歴・出身地・職
   歴などによる有利・不利は一切ありません。受験資格を満たしていれば、すべての
   人に平等です」と書かれている。
    だが、採用結果を細かく見ていくと、客観的で人為的な操作の難しい筆記試験で
   ある1次試験を通過した割合を計算すると、男性が39%で、女性の37%をわずか
   に上回るのに、主観的になりがちな面接と論文が課される2次試験の合格率は男性
   36%に対し、女性65%だった。これは憲法14条1項がうたう「法の下の平等」に
   反し、人為的な性差別が行われたと推認せざるを得ないのではないか。
    仮に男女に関係なく、同じ基準を適用した結果と言われても、その基準自体が一
   方の性に著しく有利にできている、いわゆる間接差別にあたるのではないか。
    ほかに能力の高い男性がいるのに、女性が優先的に採用・登録されたとすれば、
   これは男性差別にとどまらず、能力主義の否定でもあり、大問題であると思う。採
   用や登用における性差別を完全になくしたいのであれば、面接後、受験者の氏名や
   性別がわからない状態で評価を行い、選考するべきだ。

 私も、この採用試験の結果を見て、川上氏と基本的に同じ認識を持つ。特に文中の『こ
れは憲法14条1項がうたう「法の下の平等」に反し、人為的な性差別が行われたと推認
せざるを得ないのではないか。』について・・・・・。
 私は市職に就いた経験はないが、10代後半の若者とは関係を持ちながら生活してきた。
それを振り返って思うのだが、仮に、論文と口述の平均的資質が女子の方に高いと仮定し
たとしてもても、この二次試験ほどの差はつかないのではないか。しかも、二次試験の対
象者は、客観的な一次試験で選別されてきた人たちなのである。二次試験の合格率の、男
性36%、女性65%という大きな差は、女性優遇がなければ生じないのではないかと思う。
 
 あわせて、同じ名古屋市採用試験の「学校事務」の結果を見ると、興味深い違いに気づ
く。合否状況は次のようになっている。要するに、二次試験合格率に、男女差はないので
ある。名古屋市の事務系職員の男女比は調べていないが、学校事務については、私の居住
県と傾向が同じであるとすれば、恐らく、女性の方が男性より多いか、同数に近いのでは
ないかと推測する。要するに、学校事務の場合は、女性にゲタをはかせて優遇採用をする
必要がないと、推測することも可能なのである。

(区分)  (申込者数) (一次試験受験者数)(二次試験対象者数)(合格者数) 
      男性  女性   男性  女性    男性  女性    男性 女性  
学校事務   68   69    48   51    13   13     5   5 

        (一次試験合格率)   (二次試験合格率)           
        男 性   女 性    男 性   女 性            
学校事務    27%    25%    38%    38%

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Aさんからいただいた資料の中には、川上氏の指摘に対する、名古屋市人事委員会の、
次のような見解も含まれていた。
    ・・・・・ ネットニュ−ス http://www.j-cast.com/s/2014/12/01222160.html 

  ◆ 名古屋市は「性別への配慮はありません」(人事委員会)と言い切る。「合否の
   判定時には(担当者は)性別などのデータはもっていません」と説明。男女の差が
   なかったのは、あくまで「結果」という。
    市によると、「特別な取り組みをしているようなことはありませんが、ここ数年、
   女性の採用比率が上がっているのは事実です」と話す。ただ、採用試験では「そう
   いった(女性を優遇するような)判断はなく、採点で上から順番に採用していった
   結果です」と、恣意的なことはないと強調する。

 しかし、この名古屋市の見解は、川上氏への反論になっていない。人事委員会は「合否
の判定時には(担当者は)性別などのデータはもっていません」と言っているが、判定会
議以前に、たとえば面接結果を点数化するような作業があったとした場合、女性受験者に
ゲタをはかせて採点することも可能なのである。もしも、そのようなことがなされれば、
「合否判定時に性別のデ−タがなく」「採点で上から順番に採用していった」としても、
必然的に、女性優遇採用がおこる。

 内閣府男女共同参画局の、数値目標を設定したポジティブ・アクションは、安倍晋三の
「光り輝く女性」発言によって、政治の表舞台に登場した。それが、たとえば保育環境の
整備であるとか、採用や昇進段階の女性差別の排除であれば正当であるが、実際には、女
性にゲタをはかせる優遇政策として、男性差別拡大の危険性を増幅させた。
 採用試験の担当者が、たとえば面接試験の評価のような、隠蔽可能な部分で女性優遇採
用を拡大させる可能性は、日本全国に広がったように思う。

 ところで私は、このブログの記事「男女共同参画に翻弄される日々【1】」の中に、国家
公務員採用試験について、次のような文章を書いた。その根拠となったグラフ(人事院)
のURLを、下に記す。

    ・・・・・ところが、とりあえず「似非フェミニスト」という言葉を使わせていただ
   くが、そういう人たちは、採用や昇進等にあたって、女性にゲタをはかせる形の、
   女性優遇の、つまりは男性差別の選考を企図し、それは、これからだけではなくて、
   実はもう、既に行われてきたことのようでもあるのだ。例えば、「女性国家公務員
   の採用・登用の現状等:人事院」に記されたグラフ、「T種試験事務系(行政・法
   律・経済)区分の申込者・合格者・採用者に占める女性の割合(昭和63年から平
   成22年まで)」を見ると、平成14年以降、採用者に占める女性の割合は、毎年、
   明らかに、合格者に占める女性の割合より高くなっている。この事実から、採用
   に関わる面接等の段階で、関係各省庁が、女性優遇の、つまりは男性差別の選考
   を行ってきた可能性を指摘できるのである。この件について、私の質問に答えた
   ある職員は、「女性が面接で優秀だったからだ。」と答えた。しかしそれは、そう
   いう発言で隠蔽可能な領域で、女性優遇採用が行われてきた結果であると、そう
   いう見方もまた、可能なのである。                     

グラフURL・・・・・・・ 国家公務員採用.T種試験事務系(行政・法律・経済)区分の 
         申込者・合格者・採用者に占める女性の割合の推移     

http://www.jinji.go.jp/saiyoutouyou/sankoushiryou/III.pdf#search='%EF%BC%89%E3%80%8C%E5%A5%B3%E6%80%A7%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E5%85%AC%E5%8B%99%E5%93%A1%E3%81%AE%E6%8E%A1%E7%94%A8%E3%83%BB%E7%99%BB%E7%94%A8%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6%E7%AD%89%EF%BC%9A%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E9%99%A2%E3%80%8D%E3%80%8C%E2%85%A0%E7%A8%AE%E8%A9%A6%E9%A8%93%E4%BA%8B%E5%8B%99%E7%B3%BB%EF%BC%88%E8%A1%8C%E6%94%BF%E3%83%BB%E6%B3%95%E5%BE%8B%E3%83%BB%E7%B5%8C%E6%B8%88%EF%BC%89%E5%8C%BA%E5%88%86'
                                         (以上)

posted by 翠流 at 02:11| Comment(3) | ポジティブアクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする