2015年09月21日

近況報告 (6) 第四次計画・意見書関連 No.1

9月14日(月)の消印有効という、
「第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」に対する意見書を、
最近の私らしく、締切の直前に、
2回に分けて出した。
1回目は、東京の某郵便局から、13日の日曜日に、
2回目は、居住地の、深夜まで受け付けているという某郵便局から、14日の23時に。

発言をした項目は、次の通り。

  第2部 政策編
   U 安心・安全な暮らしの実現
     ◆ 6-生涯を通じた女性の健康支援
     ◆ 7-女性に対するあらゆる暴力の根絶
     ◆ 8-貧困、高齢、障害等により困難を抱えた女性等が安心して暮らせる環境の整備
   V 男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備
     ◆11-男女共同参画の視点に立った防災・復興体制の確立

実は、このほかに、
ポジティブアクションに関わって、
女性優遇採用を批判する意見書を送りたかったが、
怠惰のために締切に間に合わなかった。
この件については、私が発言しなくても、
どこかの同志が意見を送ってくれるだろうなどと、
不確かな推測に身を委ねて、
自分の怠惰を許してしまったたのである。

その件について、具体的に取り上げたかったのは、
国家公務員採用に関わる安倍晋三の発言と行動であった。
彼は、周知のように、昨年、
「国家公務員採用者に占める女性割合30%」 を必ず達成すると発言していた。、
そして実際、そのようになったのである。(下表)

 ◆ 平成22年以降の「国家公務員採用者に占める女性割合」 を次に示す。
                  採用者に占める女性割合
    平成22年4月 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26.1 %
    平成23年4月 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26.6 %
    平成24年4月 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25.8 %
    平成25年4月 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26.8 %
    平成26年4月 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26.7 %
    平成26年9月(27年度採用者)・・・・・ 31.5 %

御覧のように、昨年は急激な変化が起こっている。
これは、安倍晋三が、強制力によって、数値目標を達成させた結果であると推測する。
その女性優遇採用は、
人事院に保管される最終合格者名簿に登録された受験者が、
それぞれの希望の関係省庁で受けた最後の選考の段階で行われたのではないかと思う。
最後の選考は、基本的には面接であると、以前私は人事院の職員から聞いた。
いくらでも言い訳のできる面接のような機会を利用して行われた女性優遇採用によって、
本来ならば採用されたはずの男性が不採用になるという重大な事態が、
起こったのではないかと推測する。

不正採用が、首相の強制力によって、国策として行われたと考えられるのである。
それは、本来ならば法によって裁かれるべきはずなのに、
詭弁を弄して女権拡大をもくろむ自己本位のフェミニストたちは、
男女共同参画社会基本法第2条第2項(積極的改善措置)を論拠として、
女性優遇採用は不正ではないと主張する。

全く、自己本位の、巧妙で周到な策略として、
「積極的改善措置」の条文は導入されたのではないかと私は感じるが、
しかし、既にこのブログで発言してきたように、
その不当性を、まず、採用試験受験者が受けてきた学校教育について考えれば、
受験生に第2条第2項が適用されるような事実は存在しない。
教育の機会均等と、国家公務員採用試験受験の機会平等が保障されている日本の社会にあって、
更に、内閣府男女共同参画局が行った「学校教育の場における地位の平等感調査(平成24年)」の「20〜29歳」のデータを見れば、
男女の平等感に有意の差はないであろうと推察され、
学校教育の場での、地位の平等は確立したと判断されるのである。
従って、その、システムとしても内実としても「男女平等」が確立したと考えられる学校教育の一つの到達点としての採用試験の場で、女性優遇採用が行われるとすれば、それは、第2条第2項の入り込む余地のない不正そのもと考えられるのである。

また、もしも、受験者が受けてきた学校教育とは別の部分、広く言えば日本の社会、そして国家公務員の世界に、「過去の女性差別に起因する女性にとっての不利益が存在する」というような論理を持ち出して「女性優遇採用」を正当化しようとするならば、それは、仮にそういう不利益が存在したとしても、若い男性は過去の女性差別の加害者ではないからして、女性優遇採用は、無実の男性受験者に過去の女性差別の責任を取らせるという、理不尽極まりない「時空を越えた連座制」に他ならないのである。

以前、既にブログを閉じてしまった「やぐるまさん」が、
「優遇採用をすると言われれば、こちらから採用を拒否する」という意味の発言をしていたと記憶するが、
女性優遇採用を求める女たちには、
「やぐるまさん」のような、正義感に裏打ちされた気概など微塵もない。
全く、最たる甘えの人種というか、
いやそれよりも、採用される力のあった男性を、女性優遇採用で蹴落として、
自分が、国家公務員に採用されるなどとは、
全く話にならない話なのである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

発言が、やや長くなった。
話を元に戻すが、
「第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」に対して、
送付した意見書の内容を、
次回から、何回かに分けて掲載する。


posted by 翠流 at 00:13| Comment(0) | 近況報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月02日

近況報告 (5) 第四次計画素案公聴会

8月31日(月)に、
先回の記事で紹介した「第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」
 http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_sakutei/yojikeikaku/ikenboshu.html
の公聴会に参加してきた。
東京の日本教育会館で行われた公聴会である。
 http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_sakutei/yojikeikaku/kouchoukai.html
発言は、できても一人一回限りだろうと予測したが、その通りで、
しかも3分という、あまりにも短い時間であった。
幸いになことに指名はされたから、
昨年12月の福島でのシンポジウムの時のように、発言の機会を求めて叫ぶことはなかったが、
今回は、叫んでいれば追い出されていたかもしれない。
短い時間の中で、私が要求できたのは、次の2点だけであった。

 (1) 「生涯を通じた女性の健康支援」を「生涯を通じた男女の健康支援」 に直すこと。
 (2) DV問題については、男性の被害も付け加えること。

現実を、憲法第14条や男女共同参画社会基本法第3条の精神に則って見つめれば、
こんなことはあたりまえ、というより必須のことなのであるが、
なぜか男性の困難には目を向けず、
「男女共同参画」とは乖離した施策を平然と行うのが、
美名の「男女共同参画局」なのである。

(1)については、要求の根拠として、厚労省発表のデータ(国民の死亡原因:昨年)と、警察庁発表の自殺データを使い、下記のように数値を引用した。(老衰は自然死であり、発言から除外した。老衰は女性が男性より36,078人多かった。@〜Bは厚労省のデータ、CDは警察庁のデータによる。なお、死亡原因に関する厚労省のデータの詳細は、後日、このブログで紹介する)。
(2)については、横浜市(市民活力推進局男女共同参画課・こども青少年局こども家庭課)の調査結果から、Eのように発言した。この発言をした段階で、既に制限時間の3分を超えており、Fで発言を打ち切らざるを得なかった。

@ 国民の死亡原因の第一位である悪性新生物による死亡は、男性が女性より 69,078人(約7万人)多
 い。
A 死亡者数の差が次に大きいのは心疾患で女性に多く、差は 13,833人である。
B 次は自殺で、男性が 10,253人多い。
C 自殺者数には、長期に渡り、明白な性差が存在する。警察庁発表の年間自殺者数を過去37年間に渡っ
 て整理したが、自殺は毎年明らかに男性に多く、女性が男性より多かったことなどただの一度もない。
D 警察庁は自殺の原因動機を52項目に分けているが、昨年の場合、女性のほうが多かったのは1項目
 だけで、他の51項目はすべて男性が多かった。一昨年は、女性が多かったのは2項目、男女同数が1
 項目、他の49項目は、全て男性が多かった。
E 横浜市の調査結果によれば、DVの被害経験者数に男女差はない。(時間不足を理由に説明できな
 かったことに後悔が残るが、「DV経験が何度もあった(A)」と「DV経験が1、2度あった(B)」
 を合わせると、女性が 42.6%、男性が 41.8%で、差はほとんどないが、A・Bを分ければ、女性が、  A:16.9%、B:25.7%、男性は、A:11.0%、B:30.8% となっている)
F 男性も苦労してきたんですよ。・・・・・ この言葉を発する時、思わず語気が強くなってしまった。

 参加者の発言が打ち切られた後、登壇者からコメントがあった。その中の一つ、恐らくは私の発言に
関わってのコメントだと思うが、ある人が、「『男女の人権』を考えると、女性に対する支援が薄まって
しまう。ジレンマがある」などと言った。つまり、彼女の頭の中は「女性支援センター」であって、「男
女共同参画局」ではないのである。そういう、自己本位の「女性優先・女性優遇の視点」が、内閣府男女
共同参画局、そして、全国の男女共同参画部局に、はびこっている。「かつて女性は差別されてきた」と
いう言葉の、粗雑、乱雑な使用、そして、男性の困難を顧みない女性の自己中心性、更には、「男性は我
慢すべきだ」、「女性優先・女性優遇を受け入れるべきだ」というような、男性に対する加害性、不当な
性別観、不当な性別役割意識を持つ男たちの存在。それらが、男性に対する人権無視、人権軽視、つま
りは、男性差別を作り出している。

(追伸) このブログを読んでくださっている皆様へ。
   冒頭のURLからわかりますように、パブリックコメントの締め切りは9月14日です。まだ時間
  があります。それぞれのお立場から、できるだけ多くの発言を、内閣府男女共同参画局に届けてほし
  いと思っています。よろしくお願いします。


posted by 翠流 at 03:54| Comment(2) | 近況報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月11日

つぶやき ・ 男性問題の世紀

安全保障関連法案の紛糾が、
第四次男女共同参画基本計画の策定時期に影響を与えれば・・・・・などと、
自分の怠惰の救いを求める思いが実はあったが、
7月29日付で、パブリックコメントの募集が始まってしまった。

 【関連URL】
   第4次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」に係る意見募集について
     http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_sakutei/yojikeikaku/ikenboshu.html
   第4次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方についての公聴会の開催について
     http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_sakutei/yojikeikaku/kouchoukai.html

第四次基本計画を意識して3月29日に送った自殺対策要望書の中に、
健康支援の男性差別についても是正を求める要望を記したが、
主張の根拠となる厚労省のデータを添えた健康支援要望書の作成は、
あれから4か月もの間、遅々として進まなかった。

昔、ある労働組合の分会長になった知人が、
「一人でたたかう強さがなければ組合活動はできない」などと言っていたが、
どうやら私にはそういう強さは育たなかったようで、
今の私の遅々とした生活は、その証だと思う。
組合活動も、男性差別とたたかう運動も、基本的には同じだろう。
私にはむしろ、現実的な差別とのたたかいより、
たとえば主観的な美の世界の、僅かばかりの自己表現の舞台に、
埋没したほうが似合っているような気がする。
シュプランガーの分類に逃げれば、
私は審美型の人間なのである。

ところで、4月に参加した或る集会に都議会議員が何人か出席していたが、
その中の或る女性議員が、印象に残る発言をしていた。
彼女はこう言ったのである。
「今、電車に乗ると、女性はみんなきれいです。男性はみんな下を向いています・・・・・・」
私はこの言葉が、今の日本の男女の状況を、
的確に象徴しているように思われた。
女たちは既に、解放を越えた女性優遇、女権拡大の道を、
たとえば男女共同参画という、美名と乖離した施策によって与えられ、
消費の世界では、美に向かう営業戦略のターゲットとして、
膨張し続ける主役となった。
渡辺恒夫(注1)の言葉を借りれば、
「今日、女性は自らの性のアイデンティティを、男性に比べはるかに強固な自信と安定の上に築き上げている」のである。
      (注1) 先回および先々回の記事で取り上げた書籍、「脱男性の時代」の著者。

それに比すれば男たちは、
未来の見えない社会の中にあって、
過去からの性別観に縛られながら、
不器用に、脆弱に、下を向きながら生きているように見える。
それはたとえば、スーツを着るしか術のない男たち、
或いはまた、美を剥奪されたワイシャツを着るしか術のない男たち・・・・・。

渡辺恒夫は同書の中で言う。
「20世紀が女性問題の世紀であったとすれば、21世紀は男性問題の世紀になるだろう・・・・・」

就活失敗で自殺する20代の若者の8割から9割が男性であるという事実(注2)を挙げるまでもなく、
「男性問題の世紀」は、既に始まっている。
      (注2) 記事「男性の自殺(5)」参照・・・・・記事カテゴリは「自殺関連」


posted by 翠流 at 00:08| Comment(0) | 人権擁護への思い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月20日

服装差別 ・・・ 「脱男性の時代」 (2)

渡辺恒夫の「脱男性の時代」の、2回目の紹介文である。
今回は、まず服装に関わる私の感受性を記し、
続いて、この本の関連部分を引用する。
このような記事を書く背景には、
私や、私と類似した感性を持つ男性が、
男性であるが故に回避できない被差別感を、
渡辺恒夫の言葉を借りながら、
顕在化させたいという思いがある。
この思いは、このブログの名称の下に記した憲法第13条(個人の尊重)の理念によって、
擁護されなければならないと考える。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

既に小学校6年の時から、私は、
社会には、男性に対する「服装差別」が存在すると、
強く感じてきた。
それは私の感受性の為せる業であって、
理屈の所産ではない。
ここ数年の経験からすれば、私は、
秋から翌年の春にかけて、メンズライクではあるがレディースの、
ロングカーディガンを着て街を歩くようになって(注1)、
その思いを一層強くするようになった。
    (注1)記事「ロングカーディガン」参照
           ・・・・・記事カテゴリーは、「日記・つぶやき・愛の世界をあなたに」

レディースの衣料は、色も柄もデザインも、溢れるばかりの種類に彩られ、
女たちは、それだけでも充分に幸せなのであるが、
着てみればそれは、実は視覚的な意味合いだけではなくて、
肌を通して、つまりは皮膚感覚によって、
更なる幸せを与えるように仕立てられていると実感する。
それは、男たちを疎外し、女たちが占有する世界である。

美しさや様々の彩りだけでなく、肌の喜びも剥奪されたメンズの衣料は、
私たちの社会に存する男性への性別観に類似して、
男たちを、外部注入によって、硬く粗雑な世界に閉じ込めようとする。
それは、私の感性からすれば、
紛れもない、ジェンダーハラスメントなのである。

もしも男性の衣料に、レディースと同等の要素があれば、
私は、レディースのロングカーディガンを着ることはない。

     ◆     ◆     ◆

「脱男性の時代」から、関連部分を引用する。

 【p.78〜79】・・・近代市民社会にあっては、女性の美が前代にも増して尊重され称揚され
    る一方、男性の美は無用とされ、それどころか、男性は美しくあってはならないと
    する不可視の規制力が、私たちの内面を支配し、美意識を根底から条件づけている
    のが見られるのである。このことは、今日、街頭で見受けられる女性の服装が、美
    を際立たせるよう巧みに工夫されているのとは対照的に、男性の服装が、美的な要
    素の排除を基調として組み立てられているかに見えることからも、充分裏書きされ
    ることであろう。かかる社会にあって、生来美的な感受性に恵まれた少年が、成長
    するにしたがい、自分は美しくもなければ美しくあってもならない方の性に属して
    いるのだということを、ことあるごとに思い知らされ、深く心を傷つけられないと
    したら、かえって奇妙なことと言わねばなるまい。

  続いて渡辺恒夫は、横溝正史の小品「蔵の中」の一文を掲載する。下記はその一部。

 【p.79〜80】】・・・そのうちにこれではまだ満足できなくなって、長持ちの中から、姉の
    形見の振り袖を取り出すと、それを自分の身につけて見ました。さやさやと鳴る紅
    絹裏の冷たい感触が、熱っぽい肌をなでて、擽るようなその快さ、・・・(中略)・・・
    私はしばらく驚異の眼をみはって、茫然としてこの美しい、・・・(中略)・・・そのう
    ちに何とも言えぬほどの寂しさにうたれました。ああ、私は何だって男になど生ま
    れて来たのであろう。女に生まれていたら、毎日こうしてお化粧も出来、色美しく
    肌触りのいい着物を着てくらせるのに、男に生まれたばっかりに、こんなゴツゴツ
    とした、くすんだ色の着物よりほかに着ることも出来ず、お化粧をするわけにも参
    りません。何という勿体ない事であろうと私は思わず、ふかい溜め息をつくのでし
    た・・・・・・。

今回は、ここまで。


posted by 翠流 at 23:32| Comment(0) | 書籍紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月31日

脱男性の時代 (1)

ある人から紹介されて、
渡辺恒夫の「脱男性の時代」(勁草書房)を買った。
初版は、1986年ではあるが、
冒頭の引用文(下記:本書第4章より)は、
私の認識からすれば、今も甚だ今日的で、
私の持つ問題意識に、
次第に、鮮明な姿を与えてくれるように思われた。

  冒頭引用文(本書第4章より)

    人は女として生まれるのではない。女につくられるのだ。
                        ・・・・・・ ボーヴォアール『第二の性』

     この書物を通じて、私はたえずボーヴォアールに対抗し、「人は男として生まれ
    るのではない。男につくられるのだ」という新たなる定式を強調してきた。そして、
    その論拠の一つとしてたえず援用してきたのが、男であることに間断なく苦しみ、
    漠たる空想にとどまることなく、真の意味で、生涯かけて変性を願望する男性は、
    女であることに間断なく苦しみ、真の意味で変性を願望する女性よりもはるかに多
    いという、現代性科学の発見だった。

もしも、これから書くことの中に、
私が、私であるがゆえの、
ひとりよがりの偏見があるとすれば、
それはむしろ、幸いなことなのかもしれないが、
日々、日常の中の男たちを見るにつけ、
私には、彼らの人格のどこかに、
いつの間にか、自らが男性であることに囚われて、
無理をして、不器用に、
男性であろうと、或いは男性になろうとしている姿が、
あるように思われる。

たとえば私が好きな喫茶店を訪れるカップルの、
男たちの、言葉や仕草や表情の中の、
男性であるがゆえの、或いはそれに囚われた、脆弱な姿。

それに比べれば女たちは、
女の時代の今にも支えられながら、
いつの日も自然に、したたかに女であって、
美しい髪も、美しい肌も、その化粧も、
そして、美しさをまとうことのできるそのからだも、
脆弱さなど微塵もなく、この世界に存在しているように見える。

したたかな女たちと、
その手のひらの上の男たち。

ところで私は、
性同一性障害の人たちとの交流会の中で、
ある MtoF の人から聞いた。
彼女(彼)が通院しているジェンダークリニックの医師によれば、
最近は、MtoF の通院者が、
性同一性障害であるか否かの判断が難しくなっているのだそうだ。
それは恐らく、
男性であることのストレスの増加から、
女性への変性を望む男性が増えていることの証であろうと、
私は、その話を聞いた。
女の時代が、男性の、
変性願望を増幅させている。


posted by 翠流 at 01:54| Comment(3) | 書籍紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月22日

近況報告 (4)

  「近況」と言っても4か月前のことになってしまったが、企業や公共施設などの個室
 トイレについて、「性別に関係なく使える『ジェンダー・ニュートラル』対応を義務付
 ける条例が発効した」というを記事を読んだ。と言っても日本のことではない。米ウェ
 ストハリウッド市のニュースである(URLは下記)。記事によれば、市内には「トラ
 ンスジェンダーの人々が多く住んでいる」という状況はあるようだが、たとえ少ない地
 域であっても、例えば「誰もが使えるユニバーサルトイレ」のような形で、配慮はなさ
 れなければならない。マイノリティーの人権が無視されてよいはずはない。

  日本でも、同様の動きはないわけではなく、一昨年の秋、ある団体が、文科省に対し
 て、学校での性同一性障害の生徒に対するトイレの配慮について、要望書を提出した。
 私は、このニュースに突き動かされるような衝動を感じて、実はその年の冬、性同一性
 障害の人たちとの交流会に参加した。打ち解けた歓談の場の、私の近くで、二人の Mto
 Fの人がささやき合っていた。「ねえ、ここのトイレは・・・?」「大丈夫。ここはユニバ
 ーサルだから・・・」。男女別トイレは Gender Identity Disorder の人たちを疎外する。

  ところで、例の「カフェ・ド・クリエ・新宿東信ビル店」のトイレの件について、1月
 19日付で、人権侵犯事実不明確の通知がきた。私はショックであった。その日の午後
 であったか、東京法務局に電話をするも、担当者は不在であった。代わりに電話を受け
 た職員には、私の思いを受けとめる感情がなく、私は苛立ち、語気が強くなった。私事
 にさえ踏み込んだ私の訴えも、結局は意味を持たなかった。それはたぶん、私が男性で
 あるからだろうと、私は猜疑を抱く。男性は、不当な性別観の、犠牲者なのである。

  店内ただ一つのトイレを女性専用として、他の客には外の公衆トイレを使わせる「新
 宿東信ビル店」、憎むべき「カフェ・ド・クリエ」、そして、今回もまた「人権侵犯事実
 不明確」の結論を出した東京法務局と法務省。

  トイレの問題だけではなく、営業戦略としての女性優遇、女性の特権階級化に歯止め
 をかけるためには、その視点から「営業の自由」を制限する法整備が、なされなければ
 ならないと感じる。

  なお、上の記事のURLは次の通り。記者の用語の使い方等には、疑問を感じる部分
 があるが、記された施策の方向は教訓的であると思う。

  http://www.sankeibiz.jp/express/news/150115/exd1501150000001-n1.htm

posted by 翠流 at 00:55| Comment(0) | 近況報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月13日

国立教育政策研究所へ (3)

2013年(H25)の8月と12月に、
国立教育政策研究所・文教施設研究センタ−へ、要望書を送った。
理由は、記事カテゴリー「災害対応(2013年)」の中の、
「国立教育政策研究所へ(1)(2)」に書いてあるが、
要するに、全国の公立学校を対象に行っているアンケート調査、「学校施設の防災機能に関する実態調査」には、
「女性のプライバシーに配慮したスペースの確保」という項目はあったが、
男性に対しては、これに相当する項目がなかったのである。
私には、それが、非常にショックであった。
なぜならそれは、「すべての人の人権を尊重すべき学校教育の現場」に、
男性に対しては、個人の感受性の如何に関わらず、
プライバシーには配慮しなくてよいという、
人権を無視した「差別の通達」が下りたのと同じだからである。
プライバシーへの配慮は、人間の尊厳に関わる問題である。
プライバシーへの配慮は、性犯罪防止だけのために行われるものではない。
それ以前に、人間の尊厳に関わっているのである。
感受性は人によって違う。
性別で、単純にカテゴライズできるものではない。

一昨年、私の要望書を読んだ担当者は、
同年11月21日に、返事を聞くために電話をかけた私に対して、次のように言った。
「今年度調査済みの項目については修正できないが、来年度に向けて、項目全般的を見直す。」
私はその結果を聞くために、先月、4月9日に、担当者に直通の電話をかけた。
彼は在室であった。私は彼の声を覚えていた。彼も私を覚えていた。
彼は、私の問いかけに対して、次のように答えた。
「アンケート項目から『女性の』という語句をとった。」

私は、確認するために、国立教育政策研究所のホームページを開いた。
確かに彼の言う通りであった。
2014年の項目から、『女性の』という語句は消えていた。
関連部分を、2012年・2013年・2014年の順に、URLと共に記す。

2012(H24)年 
   ・要援護者や女性のプライバシーに配慮したスペース〈新規〉
   http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/bousaikinou2012.pdf
2013(H25)年 
   ・要援護者や女性のプライバシーに配慮したスペース
   http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/bousaikinou2013.pdf
2014(H26)年 
   ・要援護者やプライバシーに配慮したスペース
   http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/bousaikinou2014.pdf

猜疑心が強くなっている私は、怯えのように、『女性の』という語句を『男女の』にしなかった理由が気になった。2年間の『女性の』という言葉の効果が、その後も続きやすくなるように、つまり、内実は、男性に対する人権軽視を抱えたままであるために、あえて、『男女の』という言葉を避けたのではないだろうか・・・? しかしたとえば、性同一性障害の人たちへの配慮を考えれば、『男女の』という言葉はないほうがいい・・・。しかし、国立教育政策研究所はそこまで考えたのだろうか・・・? 

私は結局、この戸惑いを捨てることができず、5月8日に、再び担当者に電話をかけた。
『男女の』にしなかったのはなぜか、と聞く私に、
彼は、「いろいろな場合がある。高齢者とか・・・」と答えた。
「そうですね、性同一性障害の人たちへの配慮も・・・」と受けた私に、
彼の、意表を突かれた緊張感のような息遣いが感じられた。

どのような話し合いを経て、表現が変わったのかはわからない。
しかしとりあえず、一昨年の要望によって、
退行でもなく、現状維持でもない表現を、
獲得することはできた。

男女共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)

  男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が
 性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保
 されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。


2015年05月01日

投稿原稿ー5  男性の人権を守るために 【3】

前回掲載した「自殺対策要望書」の内容を使って、
「投稿原稿ー5」・・・「男性の人権を守るために【3】」を作成した。
内容の重複を考え、当初、ここには掲載しない予定であったが、
私に与えられた字数に収めるために推敲をくりかえしていたら、
また別の表現にも出会い、
このブログに来てくださる人たちに、
また読んでもらいたいと思うようになってしまった。

ところで、過日、差別ネットワークのブログの、
コメント欄でも話題になった静岡市長選の、最終得票数を確認したいと思い、
静岡市の選挙管理委員会に問合せの電話をしたら、
結果は次のようであった。

  1.タナベノブヒロ  184,856
  2.タカタトモコ    68,895
  3.マツウラトシオ   22,066

もちろんこの中の「タカタトモコ」が、
皆さんご存じの、「憲法違反の女」である。
彼女は、「女性市民税ゼロ」をマニフェストに掲げて立候補し、
落選はしたものの、7万票近い票を獲得した。
この、市長選の結果を見て、
全く、愕然とするというか、唖然とするというか、あきれ果てるというか・・・・・。

しかし、このブログで発言してきたように、
本来ならば法に抵触するはずの様々の「女性優遇」が、行われ続けてきた日本。
それを思えば、土壌はすでに醸成されていたと感じる。
同様のことは、これから先も、日本全国でくり返されるように思う。

狡賢い人間は詭弁を弄して、自己本位の利益誘導のために、巧みに法解釈を変更する。
女性優遇是認の大きな流れは、詭弁を正当化し、
日々、女たちの「特権階級化」が進む。

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「投稿原稿ー5」・・・ 男性の人権を守るために【3】                 
                                      
3.内閣府男女共同参画局へ

(1)はじめに                              
  内閣府男女共同参画局(以下「男女局」)へ「自殺対策要望書」を送った。男女局は第三
 次男女共同参画基本計画の第1部「基本的な方針」に、「男女共同参画社会の実現は、女性
 にとっても男性にとっても生きやすい社会を作ることであり、政府一体となって取り組む
 べき最重要課題である」と書きながら、実際には、既述のように、男性の人権を軽視、或い
 は無視した「女性優先・女性優遇・女権拡大」の施策を行ってきた。それは、日本国憲法
 第14条(法の下の平等)そして男女共同参画社会基本法第3条(男女の人権の尊重)との
 乖離である。「男女共同参画」という「美名」で「本質」を隠した、自己本位のフェミニズ
 ム運動の拠点、内閣府男女共同参画局。「かつて女性は差別されてきた」という言葉は、粗
 雑に、乱雑に使われ、全国の男女共同参画部局でも流行語のようになった「男女共同参画
 の視点」は、例えば災害対応に見られる事例(注1)のように、「女性優遇の視点」と同義
 に使われている。男性に対して「我慢」や「女性優遇是認」を強要する「性別観・性別役
 割意識」の男たち或いは女たちは、私のような発言をしない。そして、男女局の施策は、
 このような規範意識への依存、或いはその上に胡坐をかく姿勢によって進められてきたと
 思う。男女局は、「男性の不利益」には配慮しない傾向が強い。その姿勢は、様々の施策に
 現れている。                                   

(2)「自殺対策要望書」の構成                           
  前号で示したように、自殺者数には、長期に渡る明白な「性差」が存在し、それは、国
 策としての自殺対策以後も変化していない。しかし男女局は、この「男性に多い自殺」の
 問題に、非常に消極的なスタンスをとってきた。それは、とりもなおさず、この問題が「男
 性にとっての不利益」だからであると、今の私は考える。もしも「自殺者数の男女差」が
 逆であれば、男女局は大騒ぎをしてきたに違いない。勿論マスコミも、そして、どこかの
 国の首相という人も。では、なぜそうなるのか。それは、要するに、男女局の体質の問題
 は勿論あるが、むしろそれ以前に、私たちの社会に根を張る「性別観・性別役割意識(前
 号参照)」に、根本的な原因があると私は思う。「男性の生きにくさ」は、「被害者が男性
 であるがゆえに」軽んじられるのである。私は、このような男性差別と自殺対策を絡めて、
 男女局への要望書を作成した。「女性にとっても男性にとっても生きやすい社会」を求めて
 この問題を検討するのは、男女局の仕事のはずである。               
  要望書は次の4つの内容で構成されている。(a)自殺の状況と性差の再認識 (b)男性に
 対する性別観・性別役割の呪縛 (c)男女共同参画局としての男性に対する支援のあり方に
 ついて (d) 要望の要約。このうち(a)と(b)は、前号の「男性の人権を守るために【2】」
 と共通の内容が多いため、今号では省略した。ただし前号の【表1・2・4】には、今年3月
 に自殺対策推進室が公開した「自殺の統計(2014年)」の数値を加え、【表3】は 2014
 年のデータと置換した。しかし傾向に変化はない。尚、要望書には、この原稿末尾の【表
 5】【表6】を加えた。                              

(3)「自殺対策要望書(c)(d)の要約」・・・ 要望書は長文となった。この投稿に与えられた字
                  数の範囲で、主に(c)(d)の内容を要約する。    
 ◆【表1〜5】が示す自殺者数の性差をふまえ、内閣府男女共同参画局に、「男性の自殺を
 減らすための積極的な改善措置(注2)」を要望します。「第三次男女共同参画基本計画・
 第2部・第3分野」の「成果目標」には「自殺死亡率の減少」が掲げられていますが、「男
 性の自殺を減らすための改善目標」は設定されていません。これを検討し、「第四次男女共
 同参画基本計画」に加えるよう要望します。「第三次男女共同参画基本計画」の第1部「基
 本的な方針」にあるように、「男女共同参画社会の実現は、女性にとっても男性にとっても
 生きやすい社会を作ることであり、政府一体となって取り組むべき最重要課題である」は
 ずです。                                    
 ◆「男女共同参画白書・平成26年版」によれば、男女局も、ようやく、全国各自治体での
 「男性相談体制確立に向けた取組み」を始めたようで、それは、白書の「本編・2・第1
 部・第4章・第1節・7」そして「第2部・第4章・第1節」に記されています。しかし、
 相談体制の確立は、自殺対策として必須ではあっても、それだけでは、「性差」は変わらな
 いと思います。なぜなら、男性に対する「性別観・性別役割意識」が、今後も、「日常の」
 様々の場面で、男性を追い詰める役割を果たすと考えられるからです。         
 ◆ この問題について、男女局と私の認識に共通性が全くないわけではなく、それは例えば
 「第三次男女共同参画基本計画・第2部・第3分野・具体的施策・キ」や、「男女共同参画の視
 点からの防災・復興の取組指針ーp.3・p.4」等に記されています。しかしそれは、あくまで
 も文章として記された認識の共通性だけであって、男女局は、現実的には、私たちの日常
 から「男性を追い詰める要素」を取り払う役割は果たしていないと思いますし、むしろ逆
 に、後述するように、男性に対して不当なストレスや不利益を強いる差別の施策が多数存
 在します。                                   
 ◆ 関連して、概括的に言えば、女性は、男性によって、或いは社会によって「守られる存
 在・守られて当然の存在」として位置し、この認識によって、男女間に人権上の配慮の不
 均衡を生じます。女性優遇・男性差別の出現です。例えば、今回は要点だけを記しますが、
 今の日本の女性優遇・男性差別是認の象徴的存在として、「女性専用車両だけの存在」があ
 ります。「痴漢対策としての女性専用車両」は存在しても、「痴漢冤罪対策としての男性専
 用車両」は存在しないのです。痴漢被害も・痴漢冤罪被害も、被害者の人生を破壊します。
 例えば、周知のように、原田信助さんは、痴漢冤罪被害のために新宿駅で自らの命を絶っ
 たのです。しかし、このような現実があるにも関わらず、鉄道会社は男性専用車両を設置
 しないのです。                                 
 ◆ 要するに「性別観・性別役割意識」が、女性と男性に、異なる社会的位置を与えている
 のです。「守られる存在としての女性」そして「自分で自分を守らなければならない存在と
 しての男性」、この位置関係が、様々の場面で男性を追い詰め、その結果として、自殺者数
 の性差が、今後も現れ続けると思うのです。                    
 ◆ ですから、自殺対策に関わる男性支援として重要なことは、「男性相談体制の確立」だ
 けではなく、「男性を追い詰める性別観・性別役割意識」を是正し、男性を危機やストレス
 から解放していくこと、或いは、その「性別観・性別役割意識」に対する支援を「日常の
 中に」作り出すこと、そして、男性の人権を軽視・無視する風潮、男性差別を是正し、男
 性の幸福感・安心感を高めることだと思うのです。そしてそれは、全国の男女共同参画関
 連条例を含め、「法」に記された理念、「法の下の平等」「男女の人権の尊重」に立脚すれば
 可能なはずなのです。                              
 ◆ しかし、現実はそうなっていない。いやむしろ日本の社会は、後述する具体例のように、
 男性差別が拡大する方向に進んでいます。「かつて女性は差別されてきた」という言葉を旗
 印に、女性差別撤廃運動を展開するのは大変結構なことです。女性差別はあってはならな
 いのです。しかし現実には、今の日本は、男女平等実現を逸脱して、女性優先・女性優遇
 ・女権拡大の方向へ進んでいます。男性の人権が蔑ろにされ、男性差別が拡大しているの
 です。                                     
 ◆ 男性差別拡大の流れは、大きくは三つあると思います。いや、実際は他にもありますが、
 今の私の認識の範囲で明言できる現象は三つある。その一つは、今回の要望書に詳細は書
 きませんが、「女性をターゲットとした企業の女性優遇戦略」。そしてもう一は、前述の、
 公共交通機関での「女性専用車両だけの存在」。そしてもう一つが、他ならぬ「内閣府と全
 国の男女共同参画部局の施策」であって、これらは相乗作用を伴いながら、「女性の特権階
 級化」を確実に進行させています。                        
 ◆ 男女局の施策につきましては、今回、「災害対応・健康支援・ポジティブ・アクション」
 について発言させていただきます。「災害対応」につきましては、既に、関連部局等に、種
 々の要望書を提出していますが、男性差別は非常に多く。男女共同参画社会基本法第3条
 との乖離を強く感じます。今回はその中から二例を取り上げます。一つは「相談体制」そ
 のものに関わる男性差別、もう一つは、被災者の生活支援に関わって、男性の人権を全く
 無視した施策の一例です。                            
 ◆「相談体制」については、東日本大震災以降、内閣府男女局が同名のままに継続してき
 た施策、「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」の問題があります。この件につきま
 しては、既に昨年、男女局推進課宛に改善の要望書を提出しましたが、要するに、例えば
 「震災関連自殺者の75%が男性である(文末【表5】)」というような事実が示すように、
 男性も苦しんできたのです。にもかかわらず男女局は、男性を相談の対象から外したので
 す。また、DV被害も女性だけに局限された現象ではない(注3)。それは、内閣府男女局で
 あれば十分ご存じのはずでしょう。ならばなぜ、男性を相談の対象から外したのですか。
 それは、男性の困難を顧みない「差別」ではありませんか。                  
 ◆「被災地での生活支援」については、「宮城登米えがおねっと」の「女性のニーズに寄り
 添った物資の支援」(注4)を取り上げます。それは「女性だけへの手厚い支援」であり、
 男性への支援が存在しないのです。そして、それに何のコメントもつけずに、あたかもそ
 れが優れた典型実践であるかの如く掲載した内閣府男女局。女性には、個人のサイズまで
 調べた新しい下着を配るのに、男性にはそういう配慮が全くない。それでは「男性は汚い
 下着のままで暮らせ」と言っているのと同じではありませんか。どうしてそのような差別
 ができるのですか。男性は、人間としての尊厳を全く無視されているではありませんか。
 それはまさに、男性に対する「不当な性別観」そのものではありませんか。      
 ◆ 第三次男女共同参画基本計画の「健康支援」も同じことです。第10分野「生涯を通じ
 た女性の健康支援」の女性への配慮に比して、男性への配慮が弱すぎるのです。現実には、
 男性は、明白な性差としての、「自殺・病に対する弱さ(注5)・短命」の問題を抱えてい
 る。そういう現実を見つめる視座が、あまりにも脆弱すぎるのです。         
 ◆ ポジティブ・アクションも同様です。例えば安部首相は、「国家公務員採用者女性割合を
 必ず30%まで引き上げる」と発言してきましたが、教育の機会均等・受験の機会平等が保
 障されている日本にあって、更に、男女局が行った「学校教育の場における地位の平等感
 調査(平成24年)(注6)」の「20〜29歳」のデータを見れば、そこには有意の男女差は
 ないであろうと推測されます。つまり、システムとしても内実としても「男女平等」が確
 立したと判断される学校教育の一つの到達点としての採用試験の場で、数値目標達成のた
 めの女性優遇採用(注7)が行われれば、それはまさに裁かれるべき不正入試と同じでし
 ょう。                                     
 ◆ 更に、【表4】に示された「就職失敗による20代の自殺者の8割から9割を男性が占め
 る」事実を考えるとき、それとポジティブ・アクションが無関係であると言い切ることがで
 きるでしょうか。例えば、「男性は家庭を支える経済力を持たなければならない」という性
 別観に囚われた男性が、実力主義に離反した女性優遇採用によって就職活動に失敗し、自
 ら命を絶つ可能性は、十分あり得るのではないでしょうか。             
 ◆ 男性に対して「困難や孤独や責任や被差別(女性優遇)の受容」を要求する「性別観・
 性別役割意識」が、男性の「生きにくさ」を増幅させ、その延長線上に、「自殺者数の性差」
 が現れ続けていると思います。日本の社会に広がる女性優遇是認の風潮は、「かつて女性は
 差別されてきた」という言葉と、非常に粗雑に、乱雑に絡み合いながら、内閣府や全国の
 男女共同参画部局の施策を含め、「男女平等の実現」を逸脱して「男性差別」を拡大させ、
 男性のストレスを不当に増幅させています。このような現実に改めて目を向け、日本国憲
 法第14条、そして男女共同参画社会基本法第3条と乖離した施策を是正し、男女両方の人
 権を尊重した施策を展開してください。また、同様の視点で、全国の男女共同参画部局に
 対して、啓発メッセージを発してください。第四次男女共同参画基本計画の策定に向けて、
 強く要望します。人権は女性だけにあるわけではない。男性にも人権はあるのです。  

【注釈】インターネット検索項目等 ・・・ 文中の語句から検索可能と思われる項目については
                  (注)を省略した。               
(注1)非常に多くの事例があるが、関連記事を一つ記す。題は【「あおもり被災地の地域コ
   ミュニティ再生支援事業実行委員会」へー男性差別とたたかう者のブログ】。URLは次
   の通り。http://mzkisaragigid.seesaa.net/article/412358053.html      
(注2)敢て「男女共同参画社会基本法第2条」と同じ表現を使った。         
(注3)「配偶者等からの暴力(DV)に関するアンケート調査及び被害者実態調査」・H21
   (横浜市市民活力推進局・こども青少年局)p.8【配偶者やパートナーから暴力にあた
   る行為を受けた経験】                            
(注4)「男女共同参画の視点からの防災復興の取組指針・解説事例集」p.38・取組み事例13
(注5)国民の死亡原因の第1位「悪性新生物」による年間死亡者数(男女別)を【表6】
   として示した。                               
(注6)「男女共同参画社会に関する世論調査・図4・内閣府」。URLは次の通り。    
   http://survey.gov-online.go.jp/h24/h24-danjo/zh/z04.html        
(注7)女性優遇採用の行われた可能性は、平成25年度大阪府・大阪市職員採用試験、及び
   平成26年度名古屋市職員採用試験でも指摘されている。後者の関連記事を一つ記す。
   題は【名古屋市職員採用試験ー男性差別とたたかう者のブログ】。URLは次の通り。 
   http://mzkisaragigid.seesaa.net/article/410384276.html          

◆ 資料 ・・・ 下表の番号は、前号に続く。なお、前号の表3の訂正を下に記す。     

【表5】東日本大震災に関連する自殺者数の割合 (H23年6月〜24年2月)      
                       (女性) (男性)  (計)     
   震災関連自殺者数(H23年6月〜24年2月) 24.6%  75.4%  100%     
   全国の自殺者数(平成23年)       31.6%  68.4%  100%     

【表6】悪性新生物による年間死亡者数(厚生労働省 人口動態統計)         
              男性     女性     計             
   H17(2005)年  196,603  129,338  325,941           
   H18(2006)年  198,052  131,262  329,314           
   H19(2007)年  202,743  133,725  336,468           
   H20(2008)年  206,354  136,609  342,963           
   H21(2009)年  206,352  137,753  344,105           
   H22(2010)年  211,435  142,064  353,499 第三次計画決定  
   H23(2011)年  213,190  144,115  357,305           
   H24(2012)年  215,110  145,853  360,963           
   H25(2013)年  216,975  147,897  364,872           

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(追記) 【表6】は、内閣府男女局への「自殺対策要望書」には含まれていない。    
    今後、健康支援に関わる要望書で使用する予定。

               
posted by 翠流 at 06:51| Comment(0) | 投稿原稿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月31日

自殺対策要望書

内閣府男女共同参画局へ「自殺対策要望書」を送った。
男女局は、第三次男女共同参画基本計画の第1部「基本的な方針」に、
「男女共同参画社会の実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会を作ることであり、
政府一体となって取り組むべき最重要課題である」などと書きながら、
実際には、男性の人権を軽視、或いは無視した、
「女性優先・女性優遇・女権拡大」の施策を行ってきた。
その特徴は、日本国憲法第14条(法の下の平等)との乖離、
そして、男女共同参画社会基本法第3条(男女の人権の尊重)との乖離である。
「男女共同参画」という「美名」で「本質」を隠した、
自己本位のフェミニズム運動の拠点、裏切りの「内閣府男女共同参画局」。
「かつて女性は差別されてきた」という言葉を、粗雑に、乱雑に使い、
「男性差別の施策」を、平然と行ってきた内閣府男女共同参画局。
全国の男女共同参画部局で流行語のようになった「男女共同参画の視点」という言葉は、
その本質と乖離して、「女性優先・女性優遇の視点」と同義になってしまっている。
「男は我慢すべきだ」、「男は女を優先させるべきだ」
「男は、男であることを理由に差別されても、不満を言ってはならない。それが男らしさの
規範なのだ」、というような性別観、性別役割意識の男たちは、
私のような発言をしない。
そして、その上にアグラをかいた内閣府男女共同参画局は、
恐らくは、女性優先・女性優遇の視点のままに、
もう既に、「第四次男女共同参画基本計画」の策定に入っている。

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今回の要望書は、次の4つの内容に分かれている。
  (1) 自殺の状況と「性差」の再認識   (2) 男性に対する性別観・性別役割の呪縛 
  (3) 男女共同参画局としての「男性に対する支援」のあり方について (4) 要望の要約
このうち、(1)と(2) は、
1月30日の記事「投稿原稿-4:男性の人権を守るために【2】」の内容を使っている。
ただし【表】の数値は、3月19日の記事「男性の自殺(5)」に掲載した2014年のデータを加えて
修正した。【表3】については、2014年のデータと差し替えた。

今回は、長い要望書になってしまった。
「投稿原稿-4」の内容をご存じの方は、
(3)と(4)だけをお読みいただいても、思いは伝わると思う。
なお、同様の趣旨の要望書を、後日、内閣府自殺対策推進室にも送る予定。

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                                 平成27年3月29日
内閣府 男女共同参画局 御中              
                                   翠 流 
                 要 望 書    

        年間自殺者数に見られる「明白な性差」の再認識と、    
      男女共同参画局としての「男性に対する支援」のあり方について。
                   ◆                   
標記の件に関わる事項を次の4項目に分け、状況認識と要望を記させていただきます。
  (1) 自殺の状況と「性差」の再認識   (2) 男性に対する性別観・性別役割の呪縛 
  (3) 男女共同参画局としての「男性に対する支援」のあり方について (4) 要望の要約

(1)自殺の状況と「性差」の再認識                        

  すべての人は等しく尊重されるべき「いのち」を持ち、社会は、苦しみの中で自殺に向
 かう人に、救いの手を差し伸べなければならないと思います。勿論、この視点が日本の社
 会にないわけではなく、1998年に年間自殺数が3万人を越えて以降、国政レベルでは、
 自殺対策基本法の制定、内閣府への自殺対策推進室の設置、そして自殺総合対策大綱の策
 定などが行われてきました。全国各地の取組みは、自治体により差があると聞きますが、
 私の居住県であれば、●●市の、自殺予防フォ−ラムに「結実した」と表現したくなるよ
 うな取組みがありましたし、県としては、自殺対策アクションプランの策定に向けた取組
 みがありました。そういう、全国に広がった自殺対策の成果であるのか、或いは、若干の
 好転とも言われる経済状況の変化の帰結であるのか等、主因は、自殺対策の担当者に聞い
 ても定かにはなりませんが、2012年から、年間自殺者数は3万人を割りました。しかし
 このような変化の中にあっても、変わらない事実があります。それは、自殺者が明らかに
 男性に多いという、「明白な性差」なのです。                    

  ご存じのように、内閣府自殺対策推進室は、警察庁が集計した自殺データを整理し、「自
 殺の状況」としてホームページに掲載していますが、今回、この要望書を作成するにあた
 り、それを、特に性差に着目して整理し直し、下記のような【表1】〜【表4】として、ま
 た、併せて、震災関連自殺データとして、「男女共同参画白書平成24年全体版・第1-特-31
 図:東日本大震災に関連する自殺者数の男女別割合」に示された数値を、【表5】として、
 末尾の「関連資料」に掲載させていただきました。

  【表1】年間自殺者数の推移と男女比(1978〜2014年:37年間)         
  【表2】原因・動機(大分類:7項目)別自殺者数と男女比(2008〜2014年:7年間)
  【表3】原因・動機(小分類:52項目)別自殺者数と男女比(2014年)      
  【表4】就職失敗による若者(20代)の自殺と男性の割合(2008〜2014年:7年間)
  【表5】東日本大震災に関連する自殺者数の男女別割合(H23年6月〜24年2月)   

  「関連資料」の【表1】に示されたような自殺者数の性差は、既に周知のことと思われ
 ますが、1978年から2014年までの37年間、毎年例外なく、男性の自殺が女性を上回っ
 ています。それ以前も、恐らく同様ではないかと推測します。警察庁は、自殺の原因・動
 機を大きく7項目(表2)に分類し、更にそれを52の小項目(表3)に分類していますが、
 大分類では、【表2】の通り、7項目全てで男性の自殺が女性を上回り、特に「経済・生活
 問題」では、男性の自殺が女性の8〜10倍、また「勤務問題」では7〜9倍に達していま
 す。小分類では、【表3】のように、52項目中51項目で男性の自殺が女性を上回り、女性
 が男性を上回るのは1項目となっています。また、一昨年の春、就職活動失敗による若者
 の自殺の増加が報道されましたが、その状況を、この7年間について性別と共に示せば、【表
 4】のように、自殺者の8割から9割を男性が占めているのです。

  このように、日本の社会には、長期に渡って、自殺者数の明らかな性差が存在します。
 男性には、より多くの「生きにくさ」があるのです。ですから私たちは、この事実を見つめ
 直し、男性に対する、更なる「支援の方法」を探し求める必要があるのではないでしょうか。

(2)男性に対する性別観・性別役割の呪縛                     

  前述の「男性の生きにくさ」に関わって、長い間社会に存在し続けてきた「男性に対する
 性別観・性別役割」の問題があると思います。この件について、内閣府男女共同参画局と私
 の認識に共通性が全くないわけではなく、それは例えば「第三次男女共同参画基本計画・第
 2部・第3分野・具体的施策・キ」や、「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針ーp.3
 ・p.4」等に記されていますが、その補強と再確認のために、発言をさせていただきます。

  「男性に対する性別観」、そして「男性が抱えざるを得ない性別役割意識」は、今も、男
 性にストレスを与え、男性を追い詰める要素を孕みながら、私たちの日常に深く根を張っ
 ていると思います。例えば、「男性は強くなければならない。困難に耐えなければならない。
 孤独に耐えなければならない。弱音を吐いてはならない。」「男性は家庭を支える経済力を
 持たなければならない。家庭を守らなければならない。」「男性は女性を守らなければなら
 ない。女性のために自分を犠牲にしなければならない。男性だからという理由で人権を軽
 んじられても、差別されても、不満を言ってはならない。それが男らしさの規範なのだ・・・」
 というように・・・。

  具体的な例を挙げます。例えば、私の知人に、ある相談活動に従事する男性がいますが、
 彼はある時こう言ったのです。「私は女性から相談を受けると、その人の気持ちに寄り添い、
 親切に対応しようとするが、男性から相談を受けると『男なんだから一人でやってみろ』
 と言いたくなってしまう」と・・・。彼は、根はいい人間ですから、今はもう姿勢を変えたと
 思いたいのですが、相談活動はいずれにしても、彼と会話をしていると、同様の性別観、
 性別役割意識の押しつけが随所に現れます。要するに、彼は、何事につけても初めに結論
 ありきで、男性に対して、困難や孤独や我慢や被差別の受容を要求します。そして彼は、
 その要求が男性に与えるストレスを理解しようとしないのです。           

 また、私が時折会話をする20代の女性ですが、彼女の第一子は男の子で、ある日彼女は、
 彼の未来について、「男の子だから強く・・・」と言ったのです。それは、とりもなおさず彼女
 の愛の一つの形でしょうし、社会通念的にも受け入れられやすく、強くなるのは、本人の
 人格に愛の欠落がなければ大変結構なことだと、私は、性別とは無関係に思っていますが、
 彼が、将来、解決不能の危機に直面した時、彼は、「男性」であるが故に、「逃げ場のない
 性別観・性別役割意識」を背負い、追い詰められる可能性が高いと思うのです。    

  時代の変化を見ると、今の日本には、「男のくせに」とか「女のくせに」とか、そういう
 表現をタブ−とする価値観は広がりつつあるようで、私はこの変化を、性的偏見の排除や、
 人間の多様性を認め個人の人権を尊重する視点から、大変好ましく思っていますが、しか
 し現実的には、それはまだ、甚だ表面的な現象なのであって、男性は、今も、従来からの
 男らしさの規範、男性であるが故の呪縛を、陰に陽に押しつけられるし、自分からも背負
 うことが多く、その影響は、例えば若者の自殺、具体的には、「関連資料」【表4】に示さ
 れた「就職活動失敗による自殺者の8割から9割を男性が占める」というような現実とし
 て、現れているのではないでしょうか。                      

  この要望書の初めに記しましたような事実、自殺対策の全国的な高まりの中にあっても、
 自殺が明らかに男性に多いという「性差」が変わらない現実の背後には、恐らくは、上に
 述べような、男性に対する性別観・性別役割の呪縛の問題があると思います。そして、こ
 のような主張は、私だけがしているわけではない。例えば、中央大学の山田昌弘氏は、ワ
 レン・ファレルの著書「男性権力の神話」(久米泰介訳.作品社)の推薦文の冒頭で、次の
 ように述べているのです。

     なぜ女性のつらさは問題にされるのに、                   
              男性の生きづさは問題にされないのだろう。
                           (中央大学教授 山田昌弘)

  そして、このような現実と、男性の自殺との関わりは、例えば、次のような文章で表現
 することができると思うのです。                         

     自殺者の男女比が、もしも逆であったら、                 
     日本中が大騒ぎになっているような気もする。               
     女性団体はたぶん、その現実を放置しないだろう。             
     保護を求める女性たち、保護を受け入れられる女性たち、          
     しかし保護を求めることができずに、                   
     「男性」であることを背負いながら、                   
     孤独のうちに死んでいく男たちがいる。                  

(3)男女共同参画局としての「男性に対する支援」のあり方について。

  「関連資料」【表1】〜【表5】に示された自殺者数の「性差」をふまえ、私は、内閣府
 男女共同参画局(以下、「男女局」と略す)に対して、自殺者数全体を減らす取組みだけで
 はなく、特に「男性の自殺を減らすための積極的な改善措置」を要望します。「第三次男女
 共同参画基本計画」の、「第1部:基本的な方針」にもあるように、「男女共同参画社会の
 実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会を作ることであり、政府一体とな
 って取り組むべき最重要課題である」はずです。                  

  尤も、男性の自殺の問題について、内閣府男女局が対策を全く講じていないわけではな
 く、例えば、「男女共同参画白書・平成26年版・本編・2」の「第1部・第4章・第1節・
 7」そして「第2部・第4章・第1節」には、全国各自治体での「男性相談体制の確立に向
 けた取組み」が記されています。歴史的に見れば、各自治体での相談事業の対象は、殆ど
 「女性」が中心であったという事実があり、それは、男性の自殺の実態を考えれば、男性
 に対する人権軽視の施策であったと思いますし、同時に、(2)で述べたような、男性に対
 する「不当な性別観」が社会に存在し続けてきた証でもあると思いますが、白書に記され
 た取組みが、遅すぎた施策ではあるにしても、今後、困難を背負いながらひたすら一人で
 耐えることが責務であるかの如く苦しむ男性の、心の襞に分け入り、人生に希望を与える
 役割を果たすことを、願うばかりです。                      

  しかし、察するに、「男性相談体制の確立」は、自殺対策として必須の事項であるにして
 も、それだけでは「自殺者数の性差」は変わらないと思います。なぜなら、(2)で述べた
 ような「性別観・性別役割意識」が、様々の場面で男性を追い詰める役割を果たしている
 からです。総じて、或いは概括的に言って、女性は、「男性に守られる存在」「守られて当
 然の存在」として、社会の中に位置しています。つまり、男性は「女性を守らなければな
 らない存在」なのです。この認識によって、男女間に、人権上の配慮の不均衡を生じます。
 女性優遇・男性差別の出現です。例えば、細部に踏み込めば長くなりますから今回は要点
 だけを記しますが、今の日本の社会の、女性優遇・男性差別是認の象徴的存在として、「女
 性専用車両だけの存在」があります。「痴漢対策としての女性専用車両」は存在しても、「痴
 漢冤罪対策としての男性専用車両」は存在しないのです。ある男性駅員が言ったそうです。
 「女性は社会が守らなくちゃ。男は自分で自分を守らなくちゃ」。まさにこの発言ような不
 当な性別観が、男性に対する人権軽視を増幅させているのです。痴漢冤罪の問題について
 言えば、男性は自分の力だけで冤罪被害から身を守ることはできない。実際、周知のよう
 に、原田信助さんは、痴漢冤罪被害のために、新宿駅で自ら命を絶ったのです。    

  要するに、「性別観・性別役割意識」が、女性と男性に、異なる社会的な位置を与えてい
 るのです。「社会によって守られる存在としての女性」、そして「自分で自分を守らなけれ
 ばならない存在としての男性」。この位置関係が、社会の様々の場面で男性を追い詰め、そ
 の結果として、自殺者数の性差が、今後も現れ続けると思うのです。         

  ですから、自殺対策に関わる男性支援として重要なことは、全国各自治体での「男性相
 談体制の確立」だけではなく、前述のような「男性に対する性別観・性別役割意識」を取
 り払い、男性をストレスや危機場面から解放していくこと、或いは、その性別観・性別役
 割意識に対する支援を、「日常の中に」作り出すこと、そして、男性の人権を軽んじる風潮、
 男性差別を是正し、男性の幸福感・安心感を高めることだと思うのです。そしてそれは、
 法的基盤に目を向ければ、実は簡単なことのはずなのです。なぜなら、改めて言うまでも
 なく、日本国憲法第14条が「法の下の平等」を保障し、男女共同参画社会基本法第3条が
 「男女の人権の尊重」を謳い、その精神が、全国各自治体の男女共同参画関連条例に反映
 されているはずだからです。                           

  しかし現実は、その「法的基盤」のようになっていない。いやむしろ日本の社会は、男性
 に対する人権軽視・人権無視・男性差別を拡大させる方向に進んでいます。「かつて女性は
 差別されてきた」という言葉を旗印に、女性差別撤廃運動を展開するのは大変結構なこと
 です。女性差別はあってはならないのです。しかし現実には、今の日本は、男女平等実現を
 逸脱して、女性優先・女性優遇・女権拡大の方向へ進んでいる。男性の人権が蔑ろにされ、
 男性差別が拡大しているのです。それは、次に述べるような事実によって明らかなのです。

  男性差別拡大の流れは、大きくは三つあると思います。いや、実際は他にもありますが、
 今の私の認識の範囲で明言できる現象は三つある。その一つは、今回の要望書に詳細は書
 きませんが、「女性をターゲットとした企業の女性優遇戦略」。そしてもう一つが、前述の、
 公共交通機関での「女性専用車両だけの存在」。どちらも、日本の社会での「女性の特権階
 級化」を確実に進行させています。そしてもう一つが、他ならぬ「内閣府と全国の男女共
 同参画部局の施策」なのです。今まで、私の関心は、主に「災害対応・健康支援・ポジテ
 ィブ・アクション」にありましたが、その全てに、例えば次のような男性差別があるのです。

  「災害対応」につきましては、既に、内閣府や全国の男女共同参画部局・防災担当部局、
 更にその関連機関・団体等に、種々の要望書等を提出してきましたが、男性差別は非常に
 多く。男女共同参画社会基本法第3条との乖離を強く感じます。今回はその中から、二つ
 の例を取り上げます。一つは、被災者の「相談体制」そのものに関わる男性差別、もう一
 つは、被災者の生活支援に関わって、男性の人権を全く無視した施策の一例です。   

  「相談体制」に関わっては、内閣府男女局が、今年度も同名のままに継続してきた施策、
 「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」の問題があります。この件につきましては、
 既に昨年、8月12日付で、男女局推進課宛に改善の要望書を提出しており、主張の詳細は
 そこにありますが、要するに、被災して苦しんできたのは女性だけではない。男性も苦し
 んできたのです。にもかかわらず、「男女の人権を尊重すべき男女局」が、男性を相談の対
 象から外したのです。それが問題なのです。男女局は、被災者の心の状態をよくご存じの
 はずです。男女局はそれを「白書」に書いたではありませんか。そしてその一つが、「関連
 資料」【表5】に記された「震災関連自殺者の75%が男性」という事実であり、加えて「男
 性の飲酒量増加」の問題も白書に記されてているではありませんか。また、DV被害も、
 女性だけに局限された現象ではない。それは例えば、推進課宛要望書に記した「横浜市・
 市民活力推進局・こども青少年局」の調査結果にも示されていますし、そのくらいのこと
 は、内閣府男女局であれば十分ご存じのはずでしょう。ならばなぜ「相談事業」の対象を
 「女性だけ」に限定したのですか。なぜ「男性」を相談の対象にしないのですか。それは、
 自殺の問題を含め、男性が抱えている困難を顧みない、深刻な男性差別ではありませんか。
 それは「男女共同参画社会基本法第3条」と乖離した施策ではありませんか。     

  もう一つ、被災地での生活支援に関わって、放置できない男性差別。それは、2013年
 5月に公開された「男女共同参画の視点からの防災復興の取組指針」の「解説事例集p.38
 ・取組み事例13・女性のニーズに寄り添った物資の支援」。その「宮城登米えがおねっと」
 の実践には「女性だけへの手厚い支援」が記され、男性への支援は存在しないのです。そ
 してそれに何のコメントもつけずに、あたかもそれが優れた典型実践であるかの如く掲載
 した内閣府男女局。もしも男女局が「女性支援センター」という名称であるならば、施策
 と名称の間に、とりあえずの整合性はあるでしょう。しかし実際には、男女局は、「男女の
 人権の尊重」を謳った「男女共同参画社会基本法第3条」に立脚しているはずなのです。
 その男女局が、なぜ男性の人権を無視するのですか。女性には、個人のサイズまで調べた
 新しい下着を配るのに、男性にはそういう配慮が全くない。それでは「男性は汚い下着の
 ままで暮らせ」と言っているのと同じではありませんか。どうしてそのような差別ができ
 るのですか。男性は、人間としての尊厳を全く無視されているではありませんか。それは
 まさに、「宮城登米えがおねっと」と「内閣府男女共同参画局」が、男性に対して「不当な
 性別観」を持っていることの証ではありませんか。                 

  第三次男女共同参画基本計画の「健康支援」も同じことです。この問題につきましては、
 厚生労働省のデータを添えて、別の要望書を作成する予定がありますが、要するに、第10
 分野「生涯を通じた女性の健康支援」に記された女性に対する手厚い配慮に比して、男性
 に対する支援が、あまりにも弱すぎるのです。現実には、男性は、明白な「性差」として
 の「短命」と、その背景としての「病に対する弱さ」、そして「自殺」の問題を抱えている。
 そういう、男性が抱えた現実を見つめる視座が、あまりにも脆弱すぎるのです。    

  ポジティブ・アクションも同様です。例えば、それを政治の表舞台に登場させた安部首相
 は、「国家公務員採用者女性割合を必ず30%まで引き上げる」と発言してきましたが、教
 育の機会均等、そして、国家公務員採用試験受験の機会平等が保障されている日本の社会
 にあって、更に、内閣府男女局が行ってきた「学校教育の場における地位の平等感調査(平
 成24年)」の「20〜29歳」のデータを見れば、そこには有意の男女差はないであろうと
 推測されます。つまり、システムとしても内実としても「男女平等」が確立したと判断さ
 れる学校教育の一つの到達点としての国家公務員採用試験の場で、数値目標30%達成のた
 めの女性優遇採用が行われれば、それはまさに、裁かれるべき不正入試と同じでしょう。

  更に、「関連資料」【表4】に示された「就職失敗による20代の自殺者の8割から9割を
 男性が占める」ことを考えるとき、それとポジティブ・アクションが無関係であると、言い
 切ることができるでしょうか。例えば、平等な選考ならば国家公務員に採用されたはずの
 男性が、男性であるという理由によって不採用となり、自殺をすることもあり得るでしょ
 うし。更に広く、「男性は家庭を支える経済力を持たなければならない」という性別観に囚
 われた男性が、実力主義に離反したポジティブ・アクションという名の男性差別によって就
 職活動に失敗し、自ら命を絶つ可能性は、十分あり得るのではないでしょうか。    

  女性優遇採用の行われた可能性は、既に、平成25年度大阪府・大阪市職員採用試験、そ
 して、平成26年度名古屋市職員採用試験でも指摘されています。それは、憲法第14条違
 反であるだけでなく、「性別役割意識」を考えれば、男性に対して、非常に強い精神的打撃
 を与える可能性を孕んでいます。このような不正採用に拍車をかけるポジティブ・アクシ
 ョンは、絶対に行わないよう、強く要望します。                  

  (3)の冒頭にも書きましたように、第三次男女共同参画基本計画の「第1部:基本的な
 方針」には、「男女共同参画社会の実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会
 を作ることであり、政府一体となって取り組むべき最重要課題である」とあります。しか
 し、内閣府男女局は、そして、全国の男女共同参画部局は、本当にこの精神に則って、施
 策を行っているのでしょうか。実際には、男性が抱えている性別役割意識、男性は女性を
 守らなければならない。女性を優先しなければならない。男性だからという理由で人権を
 軽んじられても、差別されても、我慢をしなければならない。」というような性別役割意識の
 上にアグラをかいて、「かつて女性は差別されてきた」という言葉を、粗雑に、乱雑に使い、
 「男女共同参画」という「美名」と乖離した「男性差別の施策」を行っているのではない
 でしょうか。だとすればそれは、美名で本質を隠した「自己本位のフェミニズム運動」、ま
 さに「裏切りの男女共同参画」ではありませんか。日本国憲法第14条の直下にあり、男女
 共同参画社会基本法第3条を擁する内閣府男女共同参画局、そして、その精神に則った条例
 を持つはずの全国の男女共同参画部局が、そういうことでよいのでしょうか ?     

(4)要望の要約 ・・・・・ 以上の認識をふまえ、次に、要望を要約します。

1.この要望書の末尾に【関連資料】として掲載した【表1】〜【表5】の数値から、男性の
 自殺の実態を再確認すること。自殺者数・自殺死亡率には、長期に渡って「明白な性差」
 が存在し、男性が、女性より深刻な状況に置かれ続けていることを再確認すること。  

2.「第三次男女共同参画基本計画」の「第1部:基本的な方針」に、「男女共同参画社会の
 実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会を作ること」とある。しかし実際
 には、上記1の事実から、男性は、より多くの「自殺につながる生きにくさ」を抱えてい
 ると考えられる。この現実を鑑み、自殺者全体を減らす取組みだけではなく、特に、男性
 の自殺を回避するための、積極的な改善措置を講ずること。             

3.「第三次男女共同参画基本計画・第2部・第3分野」の「成果目標」には、「自殺死亡率
 の減少」が掲げられているが、上記2の視点に立った「男性の自殺を減らすための改善目
 標」が記されていない。これを検討し、「第四次男女共同参画基本計画」に必ず加えること。

4.内閣府男女共同参画局は、現在、全国各自治体での男性相談体制の整備を進めている。
 それは、男性の自殺の実態を顧みれば、遅すぎた施策の感があるが、今後、男性が相談し
 やすい体制を整えると共に、困難の中で苦しむ男性の心の襞に分け入り、人生に希望を与
 える役割を果たすことを切に願う。                        

5.上記4のような相談体制の整備は、男性の自殺対策として必須のことと思われるが、そ
 れだけでは、恐らく、自殺の性差の問題は解決しない。なぜなら、長い間社会に存在し続
 けてきた「男性に対する性別観・性別役割意識」が、男性を追い詰める要素を孕みながら、
 今も、私たちの日常に深く根を張っているからである。例えば、「男性は強くなければなら
 ない。困難に耐えなければならない。孤独に耐えなければならない。弱音を吐いてはなら
 ない。」「男性は家庭を支える経済力を持たなければならない。家庭を守らなければならな
 い。」「男性は女性を守らなければならない。女性のために自分を犠牲にしなければならな
 い。男性だからという理由で人権を軽んじられても、差別されても、不満を言ってはなら
 ない。それが男らしさの規範なのだ・・・」というように・・・。
  内閣府男女共同参画局は、男女共同参画社会基本法第3条「男女の人権の尊重」に立脚
 しつつ、上記のような現実を再認識し、全ての施策を考えるに当たり、男性を追い詰める
 ことがないよう、また、男性に対して「人権軽視・人権無視・男性差別」を行うことがな
 いよう留意し、男性をストレスや危機場面から解放していくこと、そして、男性の幸福感
 ・安心感を高めること。また、この視点に立って、全国すべての男女共同参画部局に対し
 て、啓発メッセージを発すること。                        

6.上記5の視点から、「災害対応」「健康支援」「ポジティブ・アクション」について、具体
 的な要望を記す。                                

 @ 災害対応 ・・・・・ 平成25年3月に公開された「男女共同参画の視点からの防災・復興の
    取組指針(案)」は、意見募集の過程を経て、男性の人権にも配慮する方向で修正さ
    れ、同年5月に「同・指針」が公開された。しかし、その他の「災害対応」には、
    内閣府男女局の施策だけではなく、全国の男女共同参画部局の施策にも、非常に多
    くの「男性に対する人権無視・人権軽視」が存在し、「男女共同参画の視点」という
    言葉は、その本質と乖離して「女性優先・女性優遇・男性差別の視点」と同義に使
    われている。内閣府男女局の施策については、この実態を是正し、全国の男女共同
    参画部局に対しては、同様の視点で、是正のための啓発メッセージを発していただ
    きたい。また、この要望書の6枚目に取り上げた内閣府男女局の施策、「被災地にお
    ける女性の悩み・暴力相談事業」は、早急に「被災地における被災者の悩み・暴力
    相談事業」に修正していただきたい。

 A 健康支援(第三次男女共同参画基本計画)・・・・・ この件については、関係する厚生労働
    省のデータも添えて、再度、要望書を提出する計画があるが、第10分野「生涯を通
    じた女性の健康支援」に記された女性に対する手厚い配慮に比して、男性に対する
    支援があまりにも弱すぎる。明白な「性差」としての「男性の短命・病に対する弱
    さ・自殺」の問題をふまえ、「第四次男女共同参画基本計画」策定にあたっては、「男
    女共同参画社会基本法第3条」の視点に立って、修正をお願いしたい。

 B ポジティブ・アクション ・・・・・ 今回は、採用試験だけについて発言する。教育の機会
    均等、採用試験受験の機会平等が保障されている日本の社会にあって、更に、内閣
    府男女共同参画局が行った「学校教育の場における地位の平等感調査(平成24年)」
    の「20〜29歳」のデータから、学校教育に関しては、システムとしても内実とし
    ても「男女平等」が確立したと判断される。このような社会状況の中にあって、学
    校教育の一つの到達点としての採用試験の場で、女性優遇採用が行われるとすれば、
    それは裁かれるべき不正入試と同じである。それは、明白な、日本国憲法第14条違
    反であるだけではなく、「男性は家庭を背負わなければならない」という「性別役割
    意識」を担う男性に対して、非常に強い精神的打撃を与える。このような不正採用
    に拍車をかけるポジティブ・アクションは、絶対に行わないでいただきたい。  

7.再度引用する。「第三次男女共同参画基本計画・第1部:基本的な方針」に記された次の
 文章、「男女共同参画社会の実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会を作る
 ことであり、政府一体となって取り組むべき最重要課題である。」に、私は共感し、内閣府
 男女共同参画局に要望する。この「基本的な方針」の視点に立って「男性の自殺の実態」
 を直視し、「男性に対する支援の必要性」を再認識し、「全国での男性相談体制の整備」だけ
 ではなく、「第四次男女共同参画基本計画」の策定に向けて、更なる支援の方法を検討して
 いただきたい。                                   

関連資料                               

【表1】年間自殺者数の推移と男女比(1978〜2014年:37年間)          

   ・年間自殺者数が3万人以上であるか否かによって、37年間を三つの時期に区分し、
   各時期の年間自殺者数の幅を示した。                     
   ・男女比は、各年度の女性の自殺者数を1として、男性の自殺者数の割合を数値で 
   示した。表中の自殺率(自殺死亡率)は、人口10万人あたりの自殺者数を示す。  

                         (男女比)【男/女】      
     (年次)     (年間自殺者数)  (自殺者数) (自殺率)    
   1978年〜1997年  20,434 〜 25,524  1.6 〜 2.1 (1.7 〜 2.2)  
   1998年〜2011年  30,651 〜 34,427  2.2 〜 2.6 (2.3 〜 2.7)  
   2012年〜2014年  25,427 〜 27,858    2.2   (2.3 〜 2.4)  

【表2】原因・動機(大分類:7項目)別自殺者数と男女比(2008〜2014年:7年間)  

   ・7年間の年間自殺者数の幅を、原因・動機別にした。             
   ・表の数値には、「原因・動機不特定者数」は含まれていない。          

   (原因・動機)     (年間自殺者数)   (男女比)【男/女】     
    健康問題      12,920 〜15,867     1.3 〜 1.5       
    経済・生活問題    4,144 〜 8,377     8.1 〜 10.3        
    家庭問題       3,644 〜 4,547     1.6 〜 1.9       
    勤務問題       2,227 〜 2,689     6.9 〜 8.8        
    男女問題        875 〜 1,138     1.4 〜 1.8        
    学校問題        364 〜  429     2.6 〜 4.2       
    その他        1,351 〜 1,621     2.1 〜 2.7        

【表3】・・・・・(3月19日掲載の記事、「男性の自殺(5)」を参照のこと)

【表4】就職失敗による若者(20代)の自殺と男性の割合(2008〜2014年:7年間) 

      (年次)    (総数) (男性) (女性) (男性の割合)   
    2008年(H 20)   86    69     17     80.2 %       
    2009年(H 21)  122    98    24     80.3 %       
    2010年(H 22)  153   138    15     90.1 %       
    2011年(H 23)  141   119    22     84.3 %       
    2012年(H 24)  149   130    19     87.2 %       
    2013年(H 25)  104    95      9     91.3 %       
    2014年(H 26)  110    95    15     86.3 %       

【表5】東日本大震災に関連する自殺者数の男女別割合(H23年6月〜24年2月)

                      (女性)  (男性)  (計)   
 震災関連自殺者数(H23年6月〜24年2月) 24.6%  75.4%  100%   
 全国の自殺者数(平成23年)        31.6%  68.4%  100%   

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2015年03月19日

男性の自殺 (5) 2014年の状況

3月12日付で、内閣府自殺対策推進室が、
2014年の「自殺の統計」を公開した。
その日であったか、NHKラジオを聞いていたら、
女性キャスターが、「自殺者数が 6.8%減った」と言った。

しかし彼女は、性差の問題には触れなかった。
下表Tに示すように、2014年の自殺にも「明白な性差」があるが、
彼女は、「今回もまた男性の自殺が多かった」、とは言わなかったのである。
以前、記事として取り上げたことのある、某市の自殺予防フォーラムもそうであった。
経済生活問題の相談機関の代表者は出席していたから、
配慮の内実はあったのだろうが、
「自殺は男性に多い」という意味の言葉は、
フォーラムの間中、一言も聞こえてこなかった。

どこかの国の首相も同じである。
「光り輝く女性」発言ばかりを繰り返して、
男性を、困難から、特にその局限としての自殺から、
救おうとする言葉を発してこなかった。
経済政策であるとか、地方再生であるとか、若者支援であるとか、
そういう言葉だけでは不足なのである。
「男性」という言葉を、明確に前面に押し出して、
男性の困難にも手を差し伸べるような、そういう土壌を、
社会の中に作り出すことが重要なのである。

男性の苦しさは、強く前面に出すべきではない。
男性の困難は、できるだけ控えて表現するべきである。
そういう「性別観」「性別役割意識」が、
今も、社会に根を張り、私たちの日常を支配している。
それを変えなければ、自殺の性差の問題は、解決しないと思う。

前述の自殺予防フォーラムを企画した某市が、
初めに作った自殺予防のポスターには、
中央に、悩む女性のイラストだけが描かれていた。
それは、私たちの社会に根を張る「性別観」の象徴であり過ぎるとして、
私は、担当の部局に抗議の電話を入れた。
勿論、ただの一市民の発言でしかないから、
偶然の所産であろうが、
フォーラムの会場に掲示された新しいポスターには、
青い背景の中に、多数の絡み合った臙脂色の歯車が、
心を模るように描かれていた。
苦しみながら自殺に向かう人は、
性別とは無関係に、等しく救われなければならない。

2014年の自殺データは、下記の通り。
昨年の記事「男性の自殺(4)」と同様に整理した。

【項目】T.自殺者数と男女比                         
    U.自殺の「原因・動機特定者数」と「原因・動機不特定者数」      
    V.原因・動機特定者の「原因・動機別自殺者数(大分類:7項目)」と男女比 
    W.原因・動機特定者の、「原因・動機別の自殺者数(52項目)」と男女比  
    X.就職失敗による若者(20代)の自殺者数と男性の割合         

◆ なお、近日中に、内閣府男女共同参画局に「自殺対策要望書」を送る。
また、追って、同様の趣旨の要望書を、内閣府自殺対策推進室に送る。

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【 2014年 自殺データ 】

T.自殺者数と男女比 ・・・ 自殺死亡率(自殺率)は、人口10万人あたりの自殺者数を示す。
                           男女比【男/女】    
      総 数      男       女    自殺者数(自殺死亡率)   
      25,427    17,386    8,041    2.16(2.28)      
          
U.自殺の「原因・動機特定者」と「原因・動機不特定者」            

      総 数     原因・動機特定者     原因・動機不特定者    
      25,427    19,025(74.8%)     6,402(25.2%)    

V.原因・動機特定者の「原因・動機別の自殺者数(大分類:7項目)」と男女比。   

     (原因・動機)  (計)  (男性) (女性)  【 男性 : 女性】  
      家庭問題    3,644  2,227  1,417  【 1.57 : 1 】  
      健康問題    12,920  7,418  5,502  【 1.34 : 1 】  
      経済生活問題  4,144  3,688   456  【 8.08 : 1 】  
      勤務問題    2,227  1,988   239  【 8.31 : 1 】  
      男女問題      875   555    320  【 1.73 : 1 】  
      学校問題     372   300    72  【 4.16 : 1 】  
      その他     1,351   961   390  【 2.46 : 1 】  

   (注意) 遺書等の自殺を裏付ける資料により、明らかに推定できる原因・動機を、
     自殺者一人につき3つまで計上可能としているため、原因・動機特定者の原因
     ・動機別自殺者数の和と、原因・動機特定者数(19,025)とは一致しない。

W.原因・動機特定者の、「原因・動機別の自殺者数(52小項目)」と男女比。    

 ◆ 下表の男女比は、少ない方を1として示してある。              
  男性の自殺は、52項目中 51項目で女性を上回っている。
  各項目が属する大項目は、表中の語尾に、次の略記号で示した。        

      健康問題:A  経済生活問題:B  家庭問題:C  勤務問題:D 
      男女問題:E  学校問題:F  その他:G             

(順位)(原因・動機)         (男 女 比)     (人 数)    
                  【 男性 : 女性 】  男性  女性  計  
1 負債(連帯保証債務):B      【 25.0 : 1 】   25    1   26   
2 負債(多重債務):B        【 16,8 : 1 】  639   38  677 
3 仕事の失敗:            【 13.4 : 1 】  376   28  404 
4 借金の取り立て苦:B        【 13.3 : 1 】   53   4   57  
5 事業不振:B            【 12.8 : 1 】  486   38  524  
6 負債(その他):B         【 11.2 : 1 】  639   57  696  
7 職場環境の変化:D         【 10.9 : 1 】  251   23  274 
8 仕事疲れ:D            【 10.0 : 1 】  623   62  685 
9 倒産:B              【 9.7 : 1 】   29   3   32  
10 自殺による保険金支給:B     【 9.3 : 1 】   74   8   82  
11 失業:B             【 8.9 : 1 】  337   38  367  
12 就職失敗:B           【 8.3 : 1 】  232   28  260  
13 その他:D            【 8.2 : 1 】  320   39  359  
14 犯罪発覚:G           【 7.7 : 1 】  153   20  173  
15 子育ての悩み:C         【 1: 5.9 】   19  112  131  
16 学業不振:F           【 5.7 : 1 】  102   18  120  
17 生活苦:B            【 5.1 : 1 】  916  178 1,094  
18 入試に関する悩み:F       【 5.0 : 1 】   20   4   24  
19 病気の悩み・影響(アルコ-ル依存症):A【 4.9 : 1 】  156   32  188  
20 職場の人間関係:D        【 4.8 : 1 】  418   87  505  
21 そのほかの進路に関する悩み:F  【 4.2 : 1 】  106   25  131  
22 その他:B            【 3.6 : 1 】  258   71  329  
23 教師との人間関係:F       【 3.5 : 1 】   7   2    9  
24 その他:F            【 3.3 : 1 】   33   10   43  
25 いじめ:F            【 3.0 : ー 】   3   0    3  
26 その他:G            【 2.7 : 1 】  372  136  508  
27 夫婦関係の不和:C        【 2.6 : 1 】  637  247  884  
28 失恋:E             【 2.5 : 1 】  198   78  276  
29 犯罪被害:G           【 2.5 : 1 】   5   2   7  
30 家族からのしつけ・叱責:C    【 2.4 : 1 】  104   44  148  
31 そのほかの学友との不和:F    【 2.2 : 1 】   29   13   42  
32 その他:E            【 2.2 : 1 】   46   21   67  
33 近隣関係:G           【 2.1 : 1 】   47   22   69  
34 身体障害の悩み:A        【 2.1 : 1 】  211   99  310  
35 被虐待:C            【 2.0 : ー 】   2   0    2  
36 病気の悩み・影響(薬物乱用):A  【 2.0 : 1 】   42   21   63  
37 病気の悩み(身体の病気):A   【 2.0 : 1 】 2,724 1,395 4,119
38 孤独感:G            【 1.9 : 1 】  328  174  502  
39 家族の将来悲観:C        【 1.6 : 1 】  330  207  537  
40 後追い:G            【 1.6 : 1 】   56   36   92 
41 そのほかの家族関係の不和:C   【 1.5 : 1 】  228  150  378  
42 そのほかの交際をめぐる悩み:E  【 1.5 : 1 】  184  122  306  
43 家族の死亡:C          【 1.5 : 1 】  314  215  529  
44 その他:C            【 1.5 : 1 】  196  135  331  
45 親子関係の不和:C        【 1.3 : 1 】  261  197  458  
46 不倫の悩み:E          【 1.3 : 1 】   92   71  163  
47 その他:A            【 1.3 : 1 】  150  118  268  
48 結婚をめぐる悩み:E       【 1.3 : 1 】   35   28   63  
49 介護・看病疲れ:C        【 1.2 : 1 】  136  110  246  
50 病気の悩み・影響(他の精神疾患):A【 1.2 : 1 】  711  596 1,307  
51 病気の悩み・影響(統合失調症):A 【 1.1 : 1 】  635  591 1,226  
52 病気の悩み・影響(うつ病):A   【 1.1 : 1 】 2,789 2.650 5,439  


X.就職失敗による若者(20代)の自殺者数と男性の割合

        年次別    総数  男性  女性  男性の割合         
      2008(H 20)   86   69    17   80.2 %         
      2009(H 21)  122   98    24   80.3 %         
      2010(H 22)  153  138   15   90.1 %         
      2011(H 23)  141  119   22   84.3 %         
      2012(H 24)  149  130   19   87.2 %         
      2013(H 25)  104   95    9   91.3 %         
      2014(H 26)  110   95   15   86.3 %

        
posted by 翠流 at 21:49| Comment(2) | 自殺関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする