2015年11月10日

再び、名古屋市職員採用試験

名古屋市のホームページに記された、
平成22年度以降6年間の、名古屋市職員採用試験(第1類・事務系)の合否状況(下記URL)と、
  http://www.city.nagoya.jp/jinji/cmsfiles/contents/0000070/70796/H27_dai1rui_jisshijoukyou.pdf
  http://www.city.nagoya.jp/jinji/cmsfiles/contents/0000010/10992/H26-kekka.pdf
  http://www.city.nagoya.jp/jinji/cmsfiles/contents/0000010/10992/H25-kekka.pdf
  http://www.city.nagoya.jp/jinji/cmsfiles/contents/0000010/10992/H24-kekka.pdf
  http://www.city.nagoya.jp/jinji/cmsfiles/contents/0000010/10992/H23-kekka.pdf
  http://www.city.nagoya.jp/jinji/cmsfiles/contents/0000010/10992/H22-kekka.pdf

それをもとに算出した「一次試験男女別合格率」、及び「一次合格者の二次試験男女別合格率」を、
この記事の後半に、素データとして掲載した。
それをもとに、「行政一般」「法律」「経済」「社会福祉」それぞれについて、
6年間の「男女別合格率」の推移を示すと次のようになる。

         (注)試験内容は次の通り
             一次試験・・・・・行政一般・学校事務・・・・・・・教養試験     
                    法律・経済・社会福祉・・・・・教養試験・専門試験
             二次試験・・・・・論文試験・口述試験            

行政一般  (一次試験合格率)  (二次試験合格率)
      男 性   女 性    男 性   女 性
H27    27%   24%    24%   42%
H26    24%   19%    32%   56%
H25    23%   20%    33%   49%
H24    28%   20%    27%   58%
H23    32%   24%    32%   61%
H22    12%    9%    40%   60%

法律    (一次試験合格率)  (二次試験合格率)
      男 性   女 性    男 性   女 性
H27    67%   66%    28%   71%
H26    59%   61%    36%   72%
H25    47%   50%    38%   77%
H24    46%   45%    42%   68%
H23    54%   60%    40%   69%
H22    29%   23%    50%   88%

経済    (一次試験合格率)  (二次試験合格率)
      男 性   女 性    男 性   女 性
H27    67%   67%    41%   74%
H26    67%   74%    42%   78%
H25    47%   60%    35%   67%
H24    68%   64%    43%   72%
H23    77%   84%    45%   85%
H22    30%   33%    60%   83%


社会福祉  (一次試験合格率)  (二次試験合格率)
      男 性   女 性    男 性   女 性
H27    63%   76%    26%   63%
H26    71%   82%    38%   61%
H25    55%   51%    37%   87%
H24    67%   64%    56%   70%
H23    73%   84%    56%   70%
H22    40%   31%    42%   70%

(全体)  (一次試験合格率)  (二次試験合格率)
      男 性   女 性    男 性   女 性
H27    40%   41%    29%   59%
H26    39%   37%    36%   65%
H25    34%   34%    35%   67%
H24    40%   32%    37%   65%
H23    43%   41%    38%   69%
H22    19%   16%    48%   73%

この数値を見ると、全ての場合について、二次試験合格率に明白な性差があり、
女性の合格率が、明らかに男性を上回っている。
この事実をどう捉えるかについて、
偽りのない実態を引き出したいという強い思いがあるが、
それが叶うはずもない。

ところで私は、このブログを立ち上げる前年に、
「ポジティブ・アクション」という名の、数値目標達成を最優先とした女性優遇採用が、
国家公務員採用試験で行われているらしいという情報を得て、
「女性国家公務員の採用・登用の現状等:人事院」
http://www.jinji.go.jp/saiyoutouyou/sankoushiryou/III.pdf#search='www.jinji.go.jp%2Fsaiyoutouyou%2Fsankoushiryou%2FIII.pdf'
に記されたグラフ、T種試験事務系(行政・法律・経済)区分の申込者・合格者・採用者
に占める女性の割合(昭和63年から平成22年まで)」 にたどり着き、
このブログの最初の記事「裏切りの男女共同参画」に、次のように書いた。

   もしもポジティブ・アクションが、たとえば、女性の就労支援のための、保育環境
  の整備のようなアクションであるならば、それは必要なことなのである。ところが、
  とりあえず似非フェミニストと表現しておくが、そういう人たちが行おうとしている
  ポジティブ・アクションは、採用や昇進にあたって、女性優遇の、つまりは男性差別
  の選考を企図するアクションであって、実はもう、それは、既に行われてきたことの
  ようでもあるのだ。例えば、「女性国家公務員の採用・登用の現状等:人事院」
        (上記URL)
  に記されたグラフ、「T種試験事務系(行政・法律・経済)区分の申込者・合格者・
  採用者に占める女性の割合(昭和63年から平成22年まで)」を見ると、平成13年以
  降、採用者に占める女性の割合は、毎年、明らかに、合格者に占める女性の割合より
  高くなっている。従って、この事実から、採用に関わる面接等の段階で、関係各省庁
  が、女性優遇、つまりは男性差別の選考を行ってきた可能性を指摘できる。

そして、この件のついて、私は、記事『「男女共同参画」に翻弄される日々【1】…(カ
テゴリ:投稿原稿)』の中で、次のように補足した。

   この件について、私の質問に答えたある職員は、「女性が面接で優秀だったからだ」
  と答えた。しかしそれは、そういう発言で隠蔽可能な領域で、女性優遇採用が行わ
  れてきた結果であると、そういう見方もまた、可能なのである。         

あのときの女性職員の対応は、今も記憶に残る。彼女は私の質問に対して、即座に、あた
かも用意された答えであるかの如く、「それは女性が面接で優秀だったからだ。」と答え
たのである。

今回取り上げた名古屋のデータと、上記国家公務員採用の特徴を、時系列的にも結び付け
て考えれば、名古屋市職員採用試験(第1類・事務系)の二次試験合格率の明白な性差も
また、女性優遇採用の結果であろうという推論は、十分に成立すると思う。

ところで、平成21年度以前のデータは、名古屋市のHPにはない。また、試験内容変更の
有無や、もしも変更があったとするならば、その時期と内容が気になるが、私は情報を得
ていない。閉塞状況を言い訳にした怠惰の帰結である。また、現在の二次試験に、口述だ
けでなく論文が課されていることも気になっている。

なお、先回の記事に、平成26年度学校事務(上記4者と管轄が異なる)の二次試験合否状
況には、4者とは異質の感があると書いたが、6年間の合否状況は次のようになっている。
後述の素データが示すように、二次対象者の母集団が上記4者に比べて小さいので、%の
数値にどの程度の意味があるか気になるが、二次試験合格率の性差の特徴は年度によって
異なり、前記4者のような規則性はない。

学校事務  (一次試験合格率)   (二次試験合格率)
      男 性   女 性    男 性   女 性
H27    34%   16%    35%   56%
H26    27%   25%    38%   38%
H25    10%    8%    13%   67%
H24    23%   17%    55%   53%
H23    24%   17%    52%   64%
H22    21%    5%    50%   100%

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【素データ】
  名古屋市職員採用試験(第1類・事務系)合否状況
  一次試験男女別合格率・一次合格者の二次試験男女別合格率・・・・・平成22〜27年度

平成27年度(2015年度)
    
(区分)  (申込者数) (一次試験受験者数)(二次試験対象者数) (合格者数)
      男性  女性   男性  女性    男性  女性     男性  女性
行政一般  907  597   666  429   178  102    42   43 
法  律  273  161   170  116   114   76     32   54 
経  済  195   69   132    58    88   39     36   29 
社会福祉   68  107    43    83    27   63      7   40 
(計)   1443  934   1011  686   407  280    117  166 

            (一次試験合格率)   (二次試験合格率)
            男 性   女 性    男 性   女 性
    行政一般    27%   24%    24%   42%
    法  律    67%   66%    28%   71%
    経  済    67%   67%    41%   74%
    社会福祉    63%   76%    26%   63%
    (全体)    40%   41%    29%   59%
           
平成26年度(2014年度) 

(区分)  (申込者数) (一次試験受験者数)(二次試験対象者数) (合格者数) 
      男性  女性   男性  女性    男性  女性   男性 女性
行政一般  1,111 601   756  408    185  78    60  44 
法  律   300  154    213  111    125  68    45  49 
経  済   202  65    150  50    101  37    42  29 
社会福祉   100  90    77  66     55  54    21  33 
(計)   1,713 910   1,196  635    466 237   168 155

            (一次試験合格率)   (二次試験合格率)
            男 性   女 性    男 性   女 性
    行政一般    24%   19%    32%   56%
    法  律    59%   61%    36%   72%
    経  済    67%   74%    42%   78%
    社会福祉    71%   82%    38%   61%
    (全体)    39%   37%    36%   65%

平成25年度(2013年度) 
    
(区分)  (申込者数) (一次試験受験者数)(二次試験対象者数)(合格者数) 
      男性  女性   男性  女性    男性  女性   男性  女性
行政一般  1106  618   783  404   184  82    60  40 
法  律  330  166   223  120   105  60    40  46 
経  済  328  104   245   82    115  49    40  33 
社会福祉  111  133    84   88    46  45    17  39 
(計)   1875  1021   1335  694   450  236   157  158 

            (一次試験合格率)   (二次試験合格率)
            男 性   女 性    男 性   女 性
    行政一般    23%   20%    33%   49%
    法  律    47%   50%    38%   77%
    経  済    47%   60%    35%   67%
    社会福祉    55%   51%    37%   87%
    (全体)    34%   34%    35%   67%

平成24年度(2012年度)
           
(区分)  (申込者数) (一次試験受験者数)(二次試験対象者数)(合格者数)
      男性  女性    男性  女性   男性  女性    男性  女性
行政一般  1155  657   802  467   224  92    60  53 
法  律   385  208   266  154   122  69    51  47 
経  済   279   77    208   61   141  39    60  28 
社会福祉   80   94    64   67    43  43    24  30 
(計)   1899  1036   1340  749    530  243    195  158 

            (一次試験合格率)  (二次試験合格率)
            男 性   女 性    男 性   女 性
    行政一般    28%   20%    27%   58%
    法  律    46%   45%    42%   68%
    経  済    68%   64%    43%   72%
    社会福祉    67%   64%    56%   70%
    (全体)    40%   32%    37%   65%

平成23年度(2011年度)

(区分)  (申込者数) (一次試験受験者数)(二次試験対象者数) (合格者数) 
      男性  女性    男性  女性    男性  女性    男性  女性
行政一般  1068  645   739  425    234  103   74  63 
法  律   370  176   235  103   128   62   51  43 
経  済   201   75   144   62    111   52   50  44 
社会福祉   59   84    37   51    27   43   15  30 
(計)   1698  980  1155  641   500  260   190 180 

            (一次試験合格率)   (二次試験合格率)
            男 性   女 性    男 性   女 性
    行政一般    32%   24%    32%   61%
    法  律    54%   60%    40%   69%
    経  済    77%   84%    45%   85%
    社会福祉    73%   84%    56%   70%
    (全体)    43%   41%    38%   69%

平成22年度(2010年度)

(区分)  (申込者数) (一次試験受験者数)(二次試験対象者数) (合格者数) 
      男性  女性    男性  女性    男性  女性    男性  女性
行政一般  1019  529   660  336    77  30    31  18 
法  律   345  141   179   74    52  17    26  15 
経  済   245   89   149   55    45   18    27  15 
社会福祉   79  110    48   75    19   23     8  16 
(計)   1688  869   1036  540   193  88    92  64 

            (一次試験合格率)   (二次試験合格率)
            男 性   女 性    男 性   女 性
    行政一般    12%    9%    40%   60%
    法  律    29%   23%    50%   88%
    経  済    30%   33%    60%   83%
    社会福祉    40%   31%    42%   70%
    (全体)    19%   16%    48%   73%
           
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
学校事務
     (申込者数) (一次試験受験者数)(二次試験対象者数) (合格者数)
     男性  女性   男性  女性   男性  女性   男性  女性  
H27    78  81    58  56    20   9     7   5  
H26    68  69    48  51    13  13     5   5  
H25    106 109    83  79     8   6     1   4  
H24    109 129    86  89    20  15    11   8  
H23    172 168    111 129    27  22    14  14  
H22    238 230    173 157    36   8    18   8  
    
学校事務の「一次試験合格率」・「二次試験合格率」は前記の通り。
                                    (以上)


posted by 翠流 at 03:16| Comment(1) | ポジティブアクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月16日

近況報告 (8) 第4次計画・意見書関連 No.3

男性差別が加速する日本にあって、
憤りや、失望や、怨恨の感情が増幅し続ける自分を意識するが、
最近得た情報の中に、特に気になることが二つある。
一つは、昨年と同じ知人が提供してくださった今年度名古屋市職員採用試験のこと。
もう一つは、前回の記事「近況報告(7)」のコメント欄に、
「とくめ」さんが書き込んでくださった「中央大学男性差別」のこと。
恐らくは「初めに女性優遇の結論ありき」の工作や詭弁によって作り出された男性差別。
「法の下の平等」本来の理念が踏みにじられて、理不尽な男性差別が進行する。
どちらも記事としてアップしたい思いがあるが、情報収集をしなければならない。
今回は、とりあえず予定通り、「第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」に対する4種類の意見書のうち、残りの3種類を掲載する。
素案の該当項目と掲載ページは下記の通り。
素案のURLをもう一度記しておく。
  http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_sakutei/yojikeikaku/ikenboshu.html

【該当項目・掲載ページ】
   第2部 政策編
     U 安心・安全な暮らしの実現     掲載ページ   
       7-女性に対するあらゆる暴力の根絶 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.48〜55   
       8-貧困、高齢、障害等により困難を抱えた女性等が安心して暮らせる環境の整備 
                        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.56〜60   
     V 男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備
       11-男女共同参画の視点に立った防災・復興体制の確立
                        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.70〜73   

 Uー7 に関わっては、私自身が、つい数年前まで、DV被害者のほとんどが女性であろうと思っ
ていた。ところが、意見書に記した「横浜市・市民活力推進局男女共同参画課・こども青少年局こ
ども家庭課」の調査結果によれば、男性のDV被害も、後述のような数値として存在するのである。
被害者が男性の場合はDVが表面化しにくいとも言われ、深刻化を懸念する声もある。男性は、「パ
ートナーから暴力を受けた」などとは言えないのである。この問題に限らず、男性は危機を一人で
抱え込む傾向が強い。古くから男性に強要されてきた性別観の帰結である。そして、このような現
実を、内閣府男女共同参画局が知らないはずはないのである。にもかかわらず「素案」の題は、「女
性に対するあらゆる暴力の根絶」でしかないのである。                   

 Uー8 についても同様である。「貧困、高齢、障害等により困難を抱えた女性等が安心して暮ら
せる環境の整備」という題名には、「男性の困難」を見つめる視座が存在しない。しかしこのような
発言をすると、担当者は、「女性等の『等』の中に男性が含まれている」などと言うのかもしれない。
それが内閣府男女共同参画局の体質である。男女局は、男性の苦しみを直視しない。      

 男性の危機や困難は、現実の問題として、例えば前回も記した「自殺の性差」のような客観的事
実として現れている。年間自殺者数は、長期に渡り常に男性に多いのである。しかし、にも関わら
ず、「素案」はこの問題を取り上げていないのである。担当者は、「Uー6−p.43Fに、男性は精神
面で孤立しやすいと書いてある」などと、僅かすぎる表現を取り上げて言い訳をすべきではない。
女性に対する手厚い配慮に比べれば、男性に対する配慮は、雲泥の差を持って脆弱なのである。 

 Vー11は、このブログを立ち上げた当初から、私の最大の関心事の一つで、内閣府男女局にも繰
り返し要望書を送付してきた。それを再び取り上げれば連綿と続く意見書となるが、今回は、全体
を概観、簡単に概括するような内容にしてしまった。弱さがあったと思う。喫茶店でここまで書き
上げ、自宅でプリントアウトした意見書を某郵便局で出したのが、消印有効最終日の、夜11時頃で
あった。                                        

 意見書は次の通り。                                  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【意見書:第2部ーUー7】・・・・・「前置き」の文章は、前回の◆と同じ            

【A】問題点                                       

 (a)<目標>には、「女性に対する暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であり」 
   と記されているが、「男性に対する暴力」も同じである。にもかかわらず、「女性の被害」 
   ばかりに注目し、「男性の被害」を顧みないのは、明白な「男性差別」であり、日本国憲  
   法第14条(法の下の平等)、及び、男女共同参画社会基本法第3条(男女の人権の尊重)に 
   抵触する。内閣府男女共同参画局は、「男女の人権の尊重」を柱とする「男女共同参画」局 
   なのである。その理念と乖離した表現は修正されなければならない。          

 (b) 実際、「女性から男性に対する暴力」は存在する。例えば、「横浜市・市民活力推進局  
   男女共同参画課・こども青少年局こども家庭課」の調査、「配偶者等からの暴力(DV)  
   に関するアンケート調査及び被害実態調査(面接調査):平成21年7月」には、次のよ  
   うな調査結果が記されている。
                         男性    女性             
         DV経験が何度もあった    11.0%   16.9%            
         DV経験が1,2度あった    30.8%   25.7%            
            (計)         41.8%   42.6%            
    
    従って、この結果に現れたような「男性のDV被害者」に対する配慮を、「男女共同参画 
   局」が、どのように捉え、どのように「第4次男女共同参画基本計画」に記載するかは、 
   甚だ現実的な必要性を持った問題である。「素案」のような「男性に対する人権無視」は、 
   許されるはずはない。また男性は、自分が「男性である」という理由によって被害を表面 
   に表しにくく、かえって深く潜行し、深刻化する場合もあると言われている。そういう、 
   男性が抱える「性別観に起因する不利益」も鑑み、「素案」を修正する必要があると考える。

【B】要望                                        
   @ 上記【A】のような認識をふまえ、「素案・第2部・U・7」の題名を「女性に対する 
    あらゆる暴力、及び、男性に対するあらゆる暴力の根絶」のように変更すること。   
   A 上記【A】のような現実をふまえ、男性の被害に対する配慮を、女性に対する配慮と  
    同等に付け加えること。  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【意見書:第2部ーUー8】・・・・・「前置き」の文章は、前回の◆と同じ            

【A】問題点                                       
   男性も困難を抱えている。それは、下記の資料のような「男性に明らかに多い自殺」に現れ
  ている。しかし「素案・第2部・U・7」の題名は「貧困、高齢、障害等により困難を抱えた
  女性等が安心して暮らせる環境の整備」となっており、「男性」という語句が欠落している。 

【B】要望                                        
  @ 「素案・第2部・U・7」の題名に「男性」という語句を、具体的に付け加えること。  
  A 男性は、「男性であるがゆえに一人で困難に耐えなければならない」というような、   
   「性別観の呪縛」を抱えており、「苦しみ」を訴えにくい。また、社会も、男性の苦しみを 
   顧みない傾向が強い。この現実を直視し、男性に対しても充分な配慮を付け加えること。 

【自殺関連資料】 ・・・・・下記4種類の表を記載した。                    
           全て、本年3月31日の掲載記事「自殺対策要望書」の表に同じ。    

  【表1】年間自殺者数の推移と男女比(1978〜2014年:37年間)           
  【表2】原因・動機(大分類:7項目)別自殺者数と男女比(2008〜2014年:7年間)   
  【表3】原因・動機(小分類:52小項目)別自殺者数と男女比(2014年)        
  【表4】就職失敗による若者(20代)の自殺と男性の割合(2008〜2014年:7年間)  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【意見書:第2部ーVー11】・・・・・「前置き」の文章は、前回の◆とほぼ同じ。         
                【問題点】は記載せず、次の【要望】のみを記した。    
【要望】                                        
   私は、平成25年3月の「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(案)」の公開  
  以降、同年5月に公開された「指針」を含め、内閣府男女共同参画局をはじめ、内閣府中央  
  防災会議、全国の男女共同参画部局・防災担当部局等に、「災害対応の男性差別・男性に対  
  する人権軽視・人権無視の改善」について、種々の「要望書」「意見書」等を送付してきま  
  した。それをふまえて発言します。

   人間を「男性」と「女性」に分け、両者を「二項対立的」に「単純化」して論ずる視点、 
  そしてまた、「男性に対する不当な性的偏見」等によって、男性に対して、男性の多様性を   
  無視した、様々の、「人権軽視・人権無視」の施策が現れました。包括的に言えば、男性の  
  中にも「女性の視点」と表現されるような視点や、「女性的」と表現される感受性があり、  
  そして、男性にも「苦しみ」があるのです。このような事実をふまえ、女性だけではなく、 
  「全ての人の人権を尊重する」視点で、「素案」の次の部分の表現について、再考を要望   
  します。                                      

  ◆「素案」 p.70 <目標>
     ・本文7行目、「男女のニーズの」から「課題が生じた」まで。           
     ・本文12行目、「性別等により分類」から「意志決定を行うこと」まで。      
     ・本文、下から4行目、「女性と男性では」から「生じることに配慮し」まで。    

  ◆「素案」 p.71ーウーC
     ・本文1行目・・・・「災害時には、女性が様々な不安や悩みを抱える」        
      ・・・・・上文中の「女性が」を「女性も男性も」に修正する。
                                       
                                      (以上)

  
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2015年09月28日

近況報告 (7) 第4次計画・意見書関連 No.2

「第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」に送付した4種類の意見
書のうち、今回は「第2部 政策編ーU 安心・安全な暮らしの実現ー6 生涯を通じた女性の健康支
援」に対する意見書を掲載する。「素案」の該当部分は、下記URLの、p.42〜47に記されている。
  http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_sakutei/yojikeikaku/ikenboshu.html

 なお、意見書の自殺関連部分、【A】の(b)、【B】のB、【資料U】の【表1】〜【表4】には、 
本年3月31日に掲載した記事、「自殺対策要望書」の内容を使用した。             

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

意見書                                         

  ◆ 日本国憲法第14条(法の下の平等)、及び、男女共同参画社会基本法第3条(男女の人権の
   尊重)に立脚して、「素案・第2部・U・6・生涯を通じた女性の健康支援」の問題点【A】
   を指摘し、続いて、要望【B】を記させていただきます。

【A】問題点                                       

 (a) 健康問題(「いのち」の問題)に関わる「男女の性差」については、男性の「短命(健康寿
   命を含む)」、そして、その原因としての「疾病に対する弱さ」「女性より明らかに多い自殺」
   「不慮の事故による死亡」等の、男性が抱える問題点が存在し、その「性差」を示す数値は、
   この意見書の末尾に示した【資料T】から、次のように要約されます。(自殺については、後
   半で、【資料U】を用いて、更に詳述します)                     

   ◆ 平成25年 厚生労働省人口動態統計(確定数)、「性別にみた死因順位(第10位まで)別
    死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」を用いて集約した「死因別の性差」。    

     ★ 疾患による死亡 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 男性が 69,558 人 多い    
               特に、国民の死亡原因の第1位(約3割)である「悪性新生物」
              による死亡は、男性が 69,078 人 多い。          
     ★ 自殺による死亡 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 男性が 10,253 人 多い    
     ★ 不慮の事故による死亡 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 男性が  6,512 人 多い    
        (計) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 男性が 86,323 人 多い    

     ★ 老衰(自然死)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 女性が 36,078 人 多い    

    これらの数値は、男性の「いのち」に対する支援の不足を示す客観的事実です。しかし、
   このような事実が存在するにも関わらず、素案・第2部・U・6の題名は「生涯を通じた女
   性の健康支援」となっており、「生涯を通じた男女の健康支援」になっていません。これは、
   「いのち」に関わる現実と乖離した「男性に対する人権軽視」であり、自己中心的な、女性
   優先・女性優遇の思想の反映です。題名は、理念の根幹を示す表現として、非常に重要です。
   素案の題名「生涯を通じた女性の健康支援」は、憲法第14条、そして男女共同参画社会基本
   法第3条と乖離した表現であり、しかもそれが「いのち」の問題であるだけに、非常に重大
   な男性差別であると考えます。                           
    <施策の基本的方向と具体的な取組>には、「生涯にわたる男女の健康の包括的な支援」と
   いう表現はあります。しかし、順序が逆なのです。まず、第2部・U・6の題名として「生
   涯を通じた男女の健康支援」という表現を与え、次に、<施策の基本的方向と具体的な取組
   >として、「男女別の健康支援」を書くべきなのです。人は皆、等しい重さの「いのち」を持
   っています。女性の「いのち」のほうが男性の「いのち」より重いわけではない。男性の「い
   のち」にも、女性の「いのち」と等しい重さがあるのです。それなのに、なぜ、男性の「い
   のち」を軽視した素案を作るのでしょうか ?                    
    素案 p.43「ア:推進体制の構築」の @〜Fを見れば、AからEまでの6項目には、女性に
   対する手厚い支援が記されています。しかし残りの2項目のうちの@は、男女を合わせた概
   括的な支援の方向であって、男性に対する支援はF1項目しかなく、しかも「推進体制の構
   築」としての踏み込み方は、女性に対するそれに比して、余りにも浅すぎるのです。どうし
   てそのように、男性の「いのち」の問題を軽視するのですか。強い憤りを覚えます。   
    「国民の健康支援」の施策を担う主役は厚生労働省であると思います。そして、その厚労省
   の幾多の施策の中から、既に母子保健課が平成8年から行ってきた施策、「生涯を通じた女性
   の健康支援」を、この「男女共同参画」という名の基本計画の素案に上乗せする形で、「第2
   部・U・6」の題名として与え、その内容は、恐らくは「初めに結論ありき」と思われる「女
   性優先・女性優遇」の視点に彩られています。要するに、男性が置かれている困難を見つめ
   る視座が、あまりにも脆弱すぎるのです。それでは、「男女の人権の尊重」に立脚するはずの
   内閣府「男女共同参画」局が、その「美名」と乖離した、自己本位のフェミニズム運動の拠
   点になってしまうではありませんか。憲法第14条の直下にあるはずの内閣府男女共同参画局
   が、それで良いのでしょうか ?                           

 (b) 自殺の状況と「性差」の再認識
    前述のように、全ての人は等しく尊重されるべき「いのち」を持ち、社会は、苦しみの中
   で自殺に向かう人に、救いの手を差し伸べなければならないと思います。勿論、この視点が
   日本の社会にないわけではなく、1998年に年間自殺数が3万人を越えて以降、国政レベルで
   は、「自殺対策基本法の制定、内閣府への自殺対策推進室の設置、そして自殺総合対策大綱の
   策定などが行われてきました。全国各地の取組みは、自治体により差があると聞きますが、
   私の居住県であれば、●●市の、自殺予防フォ−ラムに「結実した」と表現したくなるよう
   な取組みがありましたし、県としては、自殺対策アクションプランの策定に向けた取組みが
   ありました。そういう、全国に広がった自殺対策の成果であるのか、或いは、若干の好転と
   も言われる経済状況の変化の帰結であるのか等、主因は、自殺対策の担当者に聞いても定か
   にはなりませんが、2012年から、年間自殺者数は3万人を割りました。しかし、このような
   変化の中にあっても、変わらない事実があります。それは、自殺者が、明らかに男性に多い
   という、「明白な性差」なのです。                          
    ご存じのように、内閣府自殺対策推進室は、警察庁が集計した自殺データを整理し、「自殺
   の状況」としてホームページに掲載していますが、今回、この意見書を作成するにあたり、
   それを、特に性差に着目して、次のように整理し直し、【資料U】の【表1】〜【表4】とし
   て、末尾に掲載させていただきました。   

     【表1】年間自殺者数の推移と男女比(1978〜2014年:37年間)
     【表2】原因・動機(大分類:7項目)別自殺者数と男女比(2008〜2014年:7年間)
     【表3】原因・動機(小分類:52項目)別自殺者数と男女比(2014年)      
     【表4】就職失敗による若者(20代)の自殺と男性の割合(2008〜2014年:7年間)

    【資料U】の【表1】に示されたような自殺者数の性差は、既に周知のことと思われます
   が、1978年から2014年までの37年間、毎年例外なく、男性の自殺が女性を上回っていま
   す。それ以前も、恐らく同様ではないかと推測します。警察庁は、自殺の原因・動機を大き
   く7項目(表2)に分類し、更にそれを52の小項目(表3)に分類していますが、大分類で
   は、【表2】の通り、7項目全てで男性の自殺が女性を上回り、特に「経済・生活問題」では、
   男性の自殺が女性の8〜10倍、また「勤務問題」では7〜9倍に達しています。小分類では、
   【表3】のように、52項目中51項目で男性の自殺が女性を上回り、女性が男性を上回るのは
   1項目となっています。また、就職活動失敗による若者の自殺の増加が報道されています。
   その状況を、この7年間について性別と共に示せば、【表4】のように、自殺者の8割から9
   割を男性が占めているのです。                           
    このように、日本の社会には、長期に渡って、自殺者数の明らかな性差が存在します。男
   性には、より多くの「生きにくさ」があるのです。ですから私たちは、この事実を見つめ直
   し、男性に対する、更なる「支援の方法」を探し求める必要があると思います。そして、前回
   の「第三次男女共同参画基本計画」の、「第1部:基本的な方針」に記されていたように、「男
   女共同参画社会の実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会を作ることであり、
   政府一体となって取り組むべき最重要課題である」はずでしょう。ならば、内閣府男女共同
   参画局は、「第四次男女共同参画基本計画・第2部・U・6」に、この課題を、具体的に取り
   上げる責任があるのではないでしょうか。                       

【B】要望・・・・・上記【A】の認識をふまえ、次のC点を要望します。    

  @ 「素案・第2部・U・6」の題名、「生涯を通じた女性の健康支援」を、「生涯を通じた男女
   の健康支援」に修正し、<施策の基本的方向と具体的な取組>に、「男女別の健康支援を記載
   すること。                                    
  A 【A】問題点(a)に記したような、「男性が抱える困難」を直視し、【資料T】に記された
   ような事実に、具体的に踏み込んだ「第四次男女共同参画基本計画」を作成すること。  
  B 特に、自殺の問題については、【A】問題点(b)に記したような「自殺の性差」について、
   【資料U】のような現実に踏み込み、男性に対する、更なる「支援の方法」を検討し、記載す
   ること。その際、長い間社会に存在し続けてきた「男性に対する性別観、性別役割意識」が、
   男性を追い詰める要素を孕みながら、今も、私たちの日常に深く根を張っている事実に注目
   すること。例えば、「男性は強くなければならない。困難に耐えなければなない。孤独に耐え
   なければならない。弱音を吐いてはならない。」「男性は家庭を支える経済力を持たなければ
   ならない。家庭を守らなければならない。」「男性は女性を守らなければならない。女性のた
   めに自分を犠牲にしなければならない。男性だからという理由で人権を軽んじられても、差
   別されても、不満を言ってはならない。それが男らしさの規範なのだ・・・」というような、男
   性に対する呪縛が、男性を追いつめる現実を注視すること。              
  C 全編に渡って、日本国憲法第14条(法の下の平等)、男女共同参画社会基本法第3条「男
   女の人権の尊重」に立脚し、その理念と乖離しない「第四次男女共同参画基本計画」を作成
   すること。                                    

【資料T】 年間死亡者数:平成25年(2013年)

  ・厚生労働省人口動態統計(確定数)「性別にみた死因順位(第10位まで)別、死亡数・死亡
  率(人口10万対)・構成割合」 を使用。                        
  ・総数の死因順位が11位以下であっても、男女別の順位が10位以内に含まれる死因については、
  平成25年「年次別にみた死因簡単分類・性別死亡数及び率(人口10万対)」 から必要な数値を
  補足した。                                     
  ・表中の死亡者数に続く( )内の数値は死亡率(少数第一位四捨五入)を示す。     
  ・【 】内は死亡総数に占める割合(%)(少数第一位四捨五入)。 1%未満は【ー】で示す。 
  ・表中の@AB・・・・・の数値は、死亡順位を示す。順位が11位以下の場合は(ー)で示してある。
  ・「心疾患」は、「心疾患(高血圧を除く)」である。                   
  ・「自殺による死亡」は、厚労省のデータが「家庭からの申告」によるものであり、また、在日
  外国人を除いてあるため、警察庁発表のデータ【資料U】より数値が小さくなっている。  
  ・紙面の関係で、男女の合計は省略し、「性差」を中心に記す。              

          男          女          性差            
● 全死因   658,684(1077)  609,752( 945)  48,932(男性に多い)      

● 性別にみた死因別死亡数(死因10位まで)と「性差」                   

 ★ 疾患による死亡 ・・・・・・・・・・・・・・・・・下表のように、男性が 69,558 人 多い       

  ◆ 死亡者が男性に多い疾患 (性差が大きい順に配列)                 
                 男             女         性差  
    悪性新生物    216,975(355)【33】@  147,897(229)【24】@   69,078 
    肺炎       66,362(109)【10】B   56,607( 88)【 9】C   9,755 
    慢性閉塞性肺疾患 13,057( 21)【 2】G   3,386( 5)【 1】ー    9,671 
    肝疾患      10,360( 17)【 2】I   5,570( 9)【 1】ー    4,790 
    大動脈瘤及び解離  8,400( 14)【 1】ー   7,705( 12)【 1】H     695
   (小計)    315,154(515)【48】   221,165(343)【36】    93,989 

  ◆ 死亡者が女性に多い疾患 (性差が大きい順に配列)                 
                男             女          性差  
    心疾患     91,445(150)【14】A  105,278(163)【17】A  13,833 
    脳血管疾患   56,718( 93)【 9】C   61,629( 96)【10】B   4,911 
    血管性等の認知症 2,700( 4)【ー】ー    7,292( 11)【 1】I   4,592 
    腎不全      12,003( 20)【 2】H   13,098( 20)【 2】F   1,095 
    (小計)    162,866(266)【25】   187,297(290)【31】   24,431 

  ◆ 合計      478,020(782)【73】   408,462(633)【67】   69,558 
                                     (男性に多い)

 ★ 自殺による死亡・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 次のように、男性が 10,253 人 多い
         男             女            性差       
    18,158( 30)【 3】E   7,905( 12)【 1】G  10,253(男性に多い) 

 ★ 不慮の事故による死亡・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 次のように、男性が  6,512 人 多い
         男             女            性差       
    23,043( 38)【 4】D  16,531( 26)【 3】E   6,512 (男性に多い) 

★ 老衰(自然死)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 次のように、女性が 36,078 人 多い
         男            女            性差       
    16,821( 28)【 3】F  52,899( 82)【 9】D  36,078 (女性に多い) 


【資料U】 自殺関連資料 ・・・・・警察庁、及び、内閣府自殺対策推進室の自殺データを使用。   

  ・下記4種類の表は、全て、記事「自殺対策要望書」(本年3月31日掲載)の表に同じ。  

  【表1】年間自殺者数の推移と男女比(1978〜2014年:37年間)           
  【表2】原因・動機(大分類:7項目)別自殺者数と男女比(2008〜2014年:7年間)   
  【表3】原因・動機(小分類:52小項目)別自殺者数と男女比(2014年)        
  【表4】就職失敗による若者(20代)の自殺と男性の割合(2008〜2014年:7年間)


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2015年09月21日

近況報告 (6) 第四次計画・意見書関連 No.1

9月14日(月)の消印有効という、
「第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」に対する意見書を、
最近の私らしく、締切の直前に、
2回に分けて出した。
1回目は、東京の某郵便局から、13日の日曜日に、
2回目は、居住地の、深夜まで受け付けているという某郵便局から、14日の23時に。

発言をした項目は、次の通り。

  第2部 政策編
   U 安心・安全な暮らしの実現
     ◆ 6-生涯を通じた女性の健康支援
     ◆ 7-女性に対するあらゆる暴力の根絶
     ◆ 8-貧困、高齢、障害等により困難を抱えた女性等が安心して暮らせる環境の整備
   V 男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備
     ◆11-男女共同参画の視点に立った防災・復興体制の確立

実は、このほかに、
ポジティブアクションに関わって、
女性優遇採用を批判する意見書を送りたかったが、
怠惰のために締切に間に合わなかった。
この件については、私が発言しなくても、
どこかの同志が意見を送ってくれるだろうなどと、
不確かな推測に身を委ねて、
自分の怠惰を許してしまったたのである。

その件について、具体的に取り上げたかったのは、
国家公務員採用に関わる安倍晋三の発言と行動であった。
彼は、周知のように、昨年、
「国家公務員採用者に占める女性割合30%」 を必ず達成すると発言していた。、
そして実際、そのようになったのである。(下表)

 ◆ 平成22年以降の「国家公務員採用者に占める女性割合」 を次に示す。
                  採用者に占める女性割合
    平成22年4月 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26.1 %
    平成23年4月 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26.6 %
    平成24年4月 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25.8 %
    平成25年4月 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26.8 %
    平成26年4月 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26.7 %
    平成26年9月(27年度採用者)・・・・・ 31.5 %

御覧のように、昨年は急激な変化が起こっている。
これは、安倍晋三が、強制力によって、数値目標を達成させた結果であると推測する。
その女性優遇採用は、
人事院に保管される最終合格者名簿に登録された受験者が、
それぞれの希望の関係省庁で受けた最後の選考の段階で行われたのではないかと思う。
最後の選考は、基本的には面接であると、以前私は人事院の職員から聞いた。
いくらでも言い訳のできる面接のような機会を利用して行われた女性優遇採用によって、
本来ならば採用されたはずの男性が不採用になるという重大な事態が、
起こったのではないかと推測する。

不正採用が、首相の強制力によって、国策として行われたと考えられるのである。
それは、本来ならば法によって裁かれるべきはずなのに、
詭弁を弄して女権拡大をもくろむ自己本位のフェミニストたちは、
男女共同参画社会基本法第2条第2項(積極的改善措置)を論拠として、
女性優遇採用は不正ではないと主張する。

全く、自己本位の、巧妙で周到な策略として、
「積極的改善措置」の条文は導入されたのではないかと私は感じるが、
しかし、既にこのブログで発言してきたように、
その不当性を、まず、採用試験受験者が受けてきた学校教育について考えれば、
受験生に第2条第2項が適用されるような事実は存在しない。
教育の機会均等と、国家公務員採用試験受験の機会平等が保障されている日本の社会にあって、
更に、内閣府男女共同参画局が行った「学校教育の場における地位の平等感調査(平成24年)」の「20〜29歳」のデータを見れば、
男女の平等感に有意の差はないであろうと推察され、
学校教育の場での、地位の平等は確立したと判断されるのである。
従って、その、システムとしても内実としても「男女平等」が確立したと考えられる学校教育の一つの到達点としての採用試験の場で、女性優遇採用が行われるとすれば、それは、第2条第2項の入り込む余地のない不正そのもと考えられるのである。

また、もしも、受験者が受けてきた学校教育とは別の部分、広く言えば日本の社会、そして国家公務員の世界に、「過去の女性差別に起因する女性にとっての不利益が存在する」というような論理を持ち出して「女性優遇採用」を正当化しようとするならば、それは、仮にそういう不利益が存在したとしても、若い男性は過去の女性差別の加害者ではないからして、女性優遇採用は、無実の男性受験者に過去の女性差別の責任を取らせるという、理不尽極まりない「時空を越えた連座制」に他ならないのである。

以前、既にブログを閉じてしまった「やぐるまさん」が、
「優遇採用をすると言われれば、こちらから採用を拒否する」という意味の発言をしていたと記憶するが、
女性優遇採用を求める女たちには、
「やぐるまさん」のような、正義感に裏打ちされた気概など微塵もない。
全く、最たる甘えの人種というか、
いやそれよりも、採用される力のあった男性を、女性優遇採用で蹴落として、
自分が、国家公務員に採用されるなどとは、
全く話にならない話なのである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

発言が、やや長くなった。
話を元に戻すが、
「第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」に対して、
送付した意見書の内容を、
次回から、何回かに分けて掲載する。


posted by 翠流 at 00:13| Comment(0) | 近況報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月02日

近況報告 (5) 第四次計画素案公聴会

8月31日(月)に、
先回の記事で紹介した「第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」
 http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_sakutei/yojikeikaku/ikenboshu.html
の公聴会に参加してきた。
東京の日本教育会館で行われた公聴会である。
 http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_sakutei/yojikeikaku/kouchoukai.html
発言は、できても一人一回限りだろうと予測したが、その通りで、
しかも3分という、あまりにも短い時間であった。
幸いになことに指名はされたから、
昨年12月の福島でのシンポジウムの時のように、発言の機会を求めて叫ぶことはなかったが、
今回は、叫んでいれば追い出されていたかもしれない。
短い時間の中で、私が要求できたのは、次の2点だけであった。

 (1) 「生涯を通じた女性の健康支援」を「生涯を通じた男女の健康支援」 に直すこと。
 (2) DV問題については、男性の被害も付け加えること。

現実を、憲法第14条や男女共同参画社会基本法第3条の精神に則って見つめれば、
こんなことはあたりまえ、というより必須のことなのであるが、
なぜか男性の困難には目を向けず、
「男女共同参画」とは乖離した施策を平然と行うのが、
美名の「男女共同参画局」なのである。

(1)については、要求の根拠として、厚労省発表のデータ(国民の死亡原因:昨年)と、警察庁発表の自殺データを使い、下記のように数値を引用した。(老衰は自然死であり、発言から除外した。老衰は女性が男性より36,078人多かった。@〜Bは厚労省のデータ、CDは警察庁のデータによる。なお、死亡原因に関する厚労省のデータの詳細は、後日、このブログで紹介する)。
(2)については、横浜市(市民活力推進局男女共同参画課・こども青少年局こども家庭課)の調査結果から、Eのように発言した。この発言をした段階で、既に制限時間の3分を超えており、Fで発言を打ち切らざるを得なかった。

@ 国民の死亡原因の第一位である悪性新生物による死亡は、男性が女性より 69,078人(約7万人)多
 い。
A 死亡者数の差が次に大きいのは心疾患で女性に多く、差は 13,833人である。
B 次は自殺で、男性が 10,253人多い。
C 自殺者数には、長期に渡り、明白な性差が存在する。警察庁発表の年間自殺者数を過去37年間に渡っ
 て整理したが、自殺は毎年明らかに男性に多く、女性が男性より多かったことなどただの一度もない。
D 警察庁は自殺の原因動機を52項目に分けているが、昨年の場合、女性のほうが多かったのは1項目
 だけで、他の51項目はすべて男性が多かった。一昨年は、女性が多かったのは2項目、男女同数が1
 項目、他の49項目は、全て男性が多かった。
E 横浜市の調査結果によれば、DVの被害経験者数に男女差はない。(時間不足を理由に説明できな
 かったことに後悔が残るが、「DV経験が何度もあった(A)」と「DV経験が1、2度あった(B)」
 を合わせると、女性が 42.6%、男性が 41.8%で、差はほとんどないが、A・Bを分ければ、女性が、  A:16.9%、B:25.7%、男性は、A:11.0%、B:30.8% となっている)
F 男性も苦労してきたんですよ。・・・・・ この言葉を発する時、思わず語気が強くなってしまった。

 参加者の発言が打ち切られた後、登壇者からコメントがあった。その中の一つ、恐らくは私の発言に
関わってのコメントだと思うが、ある人が、「『男女の人権』を考えると、女性に対する支援が薄まって
しまう。ジレンマがある」などと言った。つまり、彼女の頭の中は「女性支援センター」であって、「男
女共同参画局」ではないのである。そういう、自己本位の「女性優先・女性優遇の視点」が、内閣府男女
共同参画局、そして、全国の男女共同参画部局に、はびこっている。「かつて女性は差別されてきた」と
いう言葉の、粗雑、乱雑な使用、そして、男性の困難を顧みない女性の自己中心性、更には、「男性は我
慢すべきだ」、「女性優先・女性優遇を受け入れるべきだ」というような、男性に対する加害性、不当な
性別観、不当な性別役割意識を持つ男たちの存在。それらが、男性に対する人権無視、人権軽視、つま
りは、男性差別を作り出している。

(追伸) このブログを読んでくださっている皆様へ。
   冒頭のURLからわかりますように、パブリックコメントの締め切りは9月14日です。まだ時間
  があります。それぞれのお立場から、できるだけ多くの発言を、内閣府男女共同参画局に届けてほし
  いと思っています。よろしくお願いします。


posted by 翠流 at 03:54| Comment(2) | 近況報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月11日

つぶやき ・ 男性問題の世紀

安全保障関連法案の紛糾が、
第四次男女共同参画基本計画の策定時期に影響を与えれば・・・・・などと、
自分の怠惰の救いを求める思いが実はあったが、
7月29日付で、パブリックコメントの募集が始まってしまった。

 【関連URL】
   第4次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」に係る意見募集について
     http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_sakutei/yojikeikaku/ikenboshu.html
   第4次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方についての公聴会の開催について
     http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_sakutei/yojikeikaku/kouchoukai.html

第四次基本計画を意識して3月29日に送った自殺対策要望書の中に、
健康支援の男性差別についても是正を求める要望を記したが、
主張の根拠となる厚労省のデータを添えた健康支援要望書の作成は、
あれから4か月もの間、遅々として進まなかった。

昔、ある労働組合の分会長になった知人が、
「一人でたたかう強さがなければ組合活動はできない」などと言っていたが、
どうやら私にはそういう強さは育たなかったようで、
今の私の遅々とした生活は、その証だと思う。
組合活動も、男性差別とたたかう運動も、基本的には同じだろう。
私にはむしろ、現実的な差別とのたたかいより、
たとえば主観的な美の世界の、僅かばかりの自己表現の舞台に、
埋没したほうが似合っているような気がする。
シュプランガーの分類に逃げれば、
私は審美型の人間なのである。

ところで、4月に参加した或る集会に都議会議員が何人か出席していたが、
その中の或る女性議員が、印象に残る発言をしていた。
彼女はこう言ったのである。
「今、電車に乗ると、女性はみんなきれいです。男性はみんな下を向いています・・・・・・」
私はこの言葉が、今の日本の男女の状況を、
的確に象徴しているように思われた。
女たちは既に、解放を越えた女性優遇、女権拡大の道を、
たとえば男女共同参画という、美名と乖離した施策によって与えられ、
消費の世界では、美に向かう営業戦略のターゲットとして、
膨張し続ける主役となった。
渡辺恒夫(注1)の言葉を借りれば、
「今日、女性は自らの性のアイデンティティを、男性に比べはるかに強固な自信と安定の上に築き上げている」のである。
      (注1) 先回および先々回の記事で取り上げた書籍、「脱男性の時代」の著者。

それに比すれば男たちは、
未来の見えない社会の中にあって、
過去からの性別観に縛られながら、
不器用に、脆弱に、下を向きながら生きているように見える。
それはたとえば、スーツを着るしか術のない男たち、
或いはまた、美を剥奪されたワイシャツを着るしか術のない男たち・・・・・。

渡辺恒夫は同書の中で言う。
「20世紀が女性問題の世紀であったとすれば、21世紀は男性問題の世紀になるだろう・・・・・」

就活失敗で自殺する20代の若者の8割から9割が男性であるという事実(注2)を挙げるまでもなく、
「男性問題の世紀」は、既に始まっている。
      (注2) 記事「男性の自殺(5)」参照・・・・・記事カテゴリは「自殺関連」


posted by 翠流 at 00:08| Comment(0) | 人権擁護への思い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月20日

服装差別 ・・・ 「脱男性の時代」 (2)

渡辺恒夫の「脱男性の時代」の、2回目の紹介文である。
今回は、まず服装に関わる私の感受性を記し、
続いて、この本の関連部分を引用する。
このような記事を書く背景には、
私や、私と類似した感性を持つ男性が、
男性であるが故に回避できない被差別感を、
渡辺恒夫の言葉を借りながら、
顕在化させたいという思いがある。
この思いは、このブログの名称の下に記した憲法第13条(個人の尊重)の理念によって、
擁護されなければならないと考える。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

既に小学校6年の時から、私は、
社会には、男性に対する「服装差別」が存在すると、
強く感じてきた。
それは私の感受性の為せる業であって、
理屈の所産ではない。
ここ数年の経験からすれば、私は、
秋から翌年の春にかけて、メンズライクではあるがレディースの、
ロングカーディガンを着て街を歩くようになって(注1)、
その思いを一層強くするようになった。
    (注1)記事「ロングカーディガン」参照
           ・・・・・記事カテゴリーは、「日記・つぶやき・愛の世界をあなたに」

レディースの衣料は、色も柄もデザインも、溢れるばかりの種類に彩られ、
女たちは、それだけでも充分に幸せなのであるが、
着てみればそれは、実は視覚的な意味合いだけではなくて、
肌を通して、つまりは皮膚感覚によって、
更なる幸せを与えるように仕立てられていると実感する。
それは、男たちを疎外し、女たちが占有する世界である。

美しさや様々の彩りだけでなく、肌の喜びも剥奪されたメンズの衣料は、
私たちの社会に存する男性への性別観に類似して、
男たちを、外部注入によって、硬く粗雑な世界に閉じ込めようとする。
それは、私の感性からすれば、
紛れもない、ジェンダーハラスメントなのである。

もしも男性の衣料に、レディースと同等の要素があれば、
私は、レディースのロングカーディガンを着ることはない。

     ◆     ◆     ◆

「脱男性の時代」から、関連部分を引用する。

 【p.78〜79】・・・近代市民社会にあっては、女性の美が前代にも増して尊重され称揚され
    る一方、男性の美は無用とされ、それどころか、男性は美しくあってはならないと
    する不可視の規制力が、私たちの内面を支配し、美意識を根底から条件づけている
    のが見られるのである。このことは、今日、街頭で見受けられる女性の服装が、美
    を際立たせるよう巧みに工夫されているのとは対照的に、男性の服装が、美的な要
    素の排除を基調として組み立てられているかに見えることからも、充分裏書きされ
    ることであろう。かかる社会にあって、生来美的な感受性に恵まれた少年が、成長
    するにしたがい、自分は美しくもなければ美しくあってもならない方の性に属して
    いるのだということを、ことあるごとに思い知らされ、深く心を傷つけられないと
    したら、かえって奇妙なことと言わねばなるまい。

  続いて渡辺恒夫は、横溝正史の小品「蔵の中」の一文を掲載する。下記はその一部。

 【p.79〜80】】・・・そのうちにこれではまだ満足できなくなって、長持ちの中から、姉の
    形見の振り袖を取り出すと、それを自分の身につけて見ました。さやさやと鳴る紅
    絹裏の冷たい感触が、熱っぽい肌をなでて、擽るようなその快さ、・・・(中略)・・・
    私はしばらく驚異の眼をみはって、茫然としてこの美しい、・・・(中略)・・・そのう
    ちに何とも言えぬほどの寂しさにうたれました。ああ、私は何だって男になど生ま
    れて来たのであろう。女に生まれていたら、毎日こうしてお化粧も出来、色美しく
    肌触りのいい着物を着てくらせるのに、男に生まれたばっかりに、こんなゴツゴツ
    とした、くすんだ色の着物よりほかに着ることも出来ず、お化粧をするわけにも参
    りません。何という勿体ない事であろうと私は思わず、ふかい溜め息をつくのでし
    た・・・・・・。

今回は、ここまで。


posted by 翠流 at 23:32| Comment(0) | 書籍紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月31日

脱男性の時代 (1)

ある人から紹介されて、
渡辺恒夫の「脱男性の時代」(勁草書房)を買った。
初版は、1986年ではあるが、
冒頭の引用文(下記:本書第4章より)は、
私の認識からすれば、今も甚だ今日的で、
私の持つ問題意識に、
次第に、鮮明な姿を与えてくれるように思われた。

  冒頭引用文(本書第4章より)

    人は女として生まれるのではない。女につくられるのだ。
                        ・・・・・・ ボーヴォアール『第二の性』

     この書物を通じて、私はたえずボーヴォアールに対抗し、「人は男として生まれ
    るのではない。男につくられるのだ」という新たなる定式を強調してきた。そして、
    その論拠の一つとしてたえず援用してきたのが、男であることに間断なく苦しみ、
    漠たる空想にとどまることなく、真の意味で、生涯かけて変性を願望する男性は、
    女であることに間断なく苦しみ、真の意味で変性を願望する女性よりもはるかに多
    いという、現代性科学の発見だった。

もしも、これから書くことの中に、
私が、私であるがゆえの、
ひとりよがりの偏見があるとすれば、
それはむしろ、幸いなことなのかもしれないが、
日々、日常の中の男たちを見るにつけ、
私には、彼らの人格のどこかに、
いつの間にか、自らが男性であることに囚われて、
無理をして、不器用に、
男性であろうと、或いは男性になろうとしている姿が、
あるように思われる。

たとえば私が好きな喫茶店を訪れるカップルの、
男たちの、言葉や仕草や表情の中の、
男性であるがゆえの、或いはそれに囚われた、脆弱な姿。

それに比べれば女たちは、
女の時代の今にも支えられながら、
いつの日も自然に、したたかに女であって、
美しい髪も、美しい肌も、その化粧も、
そして、美しさをまとうことのできるそのからだも、
脆弱さなど微塵もなく、この世界に存在しているように見える。

したたかな女たちと、
その手のひらの上の男たち。

ところで私は、
性同一性障害の人たちとの交流会の中で、
ある MtoF の人から聞いた。
彼女(彼)が通院しているジェンダークリニックの医師によれば、
最近は、MtoF の通院者が、
性同一性障害であるか否かの判断が難しくなっているのだそうだ。
それは恐らく、
男性であることのストレスの増加から、
女性への変性を望む男性が増えていることの証であろうと、
私は、その話を聞いた。
女の時代が、男性の、
変性願望を増幅させている。


posted by 翠流 at 01:54| Comment(3) | 書籍紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月22日

近況報告 (4)

  「近況」と言っても4か月前のことになってしまったが、企業や公共施設などの個室
 トイレについて、「性別に関係なく使える『ジェンダー・ニュートラル』対応を義務付
 ける条例が発効した」というを記事を読んだ。と言っても日本のことではない。米ウェ
 ストハリウッド市のニュースである(URLは下記)。記事によれば、市内には「トラ
 ンスジェンダーの人々が多く住んでいる」という状況はあるようだが、たとえ少ない地
 域であっても、例えば「誰もが使えるユニバーサルトイレ」のような形で、配慮はなさ
 れなければならない。マイノリティーの人権が無視されてよいはずはない。

  日本でも、同様の動きはないわけではなく、一昨年の秋、ある団体が、文科省に対し
 て、学校での性同一性障害の生徒に対するトイレの配慮について、要望書を提出した。
 私は、このニュースに突き動かされるような衝動を感じて、実はその年の冬、性同一性
 障害の人たちとの交流会に参加した。打ち解けた歓談の場の、私の近くで、二人の Mto
 Fの人がささやき合っていた。「ねえ、ここのトイレは・・・?」「大丈夫。ここはユニバ
 ーサルだから・・・」。男女別トイレは Gender Identity Disorder の人たちを疎外する。

  ところで、例の「カフェ・ド・クリエ・新宿東信ビル店」のトイレの件について、1月
 19日付で、人権侵犯事実不明確の通知がきた。私はショックであった。その日の午後
 であったか、東京法務局に電話をするも、担当者は不在であった。代わりに電話を受け
 た職員には、私の思いを受けとめる感情がなく、私は苛立ち、語気が強くなった。私事
 にさえ踏み込んだ私の訴えも、結局は意味を持たなかった。それはたぶん、私が男性で
 あるからだろうと、私は猜疑を抱く。男性は、不当な性別観の、犠牲者なのである。

  店内ただ一つのトイレを女性専用として、他の客には外の公衆トイレを使わせる「新
 宿東信ビル店」、憎むべき「カフェ・ド・クリエ」、そして、今回もまた「人権侵犯事実
 不明確」の結論を出した東京法務局と法務省。

  トイレの問題だけではなく、営業戦略としての女性優遇、女性の特権階級化に歯止め
 をかけるためには、その視点から「営業の自由」を制限する法整備が、なされなければ
 ならないと感じる。

  なお、上の記事のURLは次の通り。記者の用語の使い方等には、疑問を感じる部分
 があるが、記された施策の方向は教訓的であると思う。

  http://www.sankeibiz.jp/express/news/150115/exd1501150000001-n1.htm

posted by 翠流 at 00:55| Comment(0) | 近況報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月13日

国立教育政策研究所へ (3)

2013年(H25)の8月と12月に、
国立教育政策研究所・文教施設研究センタ−へ、要望書を送った。
理由は、記事カテゴリー「災害対応(2013年)」の中の、
「国立教育政策研究所へ(1)(2)」に書いてあるが、
要するに、全国の公立学校を対象に行っているアンケート調査、「学校施設の防災機能に関する実態調査」には、
「女性のプライバシーに配慮したスペースの確保」という項目はあったが、
男性に対しては、これに相当する項目がなかったのである。
私には、それが、非常にショックであった。
なぜならそれは、「すべての人の人権を尊重すべき学校教育の現場」に、
男性に対しては、個人の感受性の如何に関わらず、
プライバシーには配慮しなくてよいという、
人権を無視した「差別の通達」が下りたのと同じだからである。
プライバシーへの配慮は、人間の尊厳に関わる問題である。
プライバシーへの配慮は、性犯罪防止だけのために行われるものではない。
それ以前に、人間の尊厳に関わっているのである。
感受性は人によって違う。
性別で、単純にカテゴライズできるものではない。

一昨年、私の要望書を読んだ担当者は、
同年11月21日に、返事を聞くために電話をかけた私に対して、次のように言った。
「今年度調査済みの項目については修正できないが、来年度に向けて、項目全般的を見直す。」
私はその結果を聞くために、先月、4月9日に、担当者に直通の電話をかけた。
彼は在室であった。私は彼の声を覚えていた。彼も私を覚えていた。
彼は、私の問いかけに対して、次のように答えた。
「アンケート項目から『女性の』という語句をとった。」

私は、確認するために、国立教育政策研究所のホームページを開いた。
確かに彼の言う通りであった。
2014年の項目から、『女性の』という語句は消えていた。
関連部分を、2012年・2013年・2014年の順に、URLと共に記す。

2012(H24)年 
   ・要援護者や女性のプライバシーに配慮したスペース〈新規〉
   http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/bousaikinou2012.pdf
2013(H25)年 
   ・要援護者や女性のプライバシーに配慮したスペース
   http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/bousaikinou2013.pdf
2014(H26)年 
   ・要援護者やプライバシーに配慮したスペース
   http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/bousaikinou2014.pdf

猜疑心が強くなっている私は、怯えのように、『女性の』という語句を『男女の』にしなかった理由が気になった。2年間の『女性の』という言葉の効果が、その後も続きやすくなるように、つまり、内実は、男性に対する人権軽視を抱えたままであるために、あえて、『男女の』という言葉を避けたのではないだろうか・・・? しかしたとえば、性同一性障害の人たちへの配慮を考えれば、『男女の』という言葉はないほうがいい・・・。しかし、国立教育政策研究所はそこまで考えたのだろうか・・・? 

私は結局、この戸惑いを捨てることができず、5月8日に、再び担当者に電話をかけた。
『男女の』にしなかったのはなぜか、と聞く私に、
彼は、「いろいろな場合がある。高齢者とか・・・」と答えた。
「そうですね、性同一性障害の人たちへの配慮も・・・」と受けた私に、
彼の、意表を突かれた緊張感のような息遣いが感じられた。

どのような話し合いを経て、表現が変わったのかはわからない。
しかしとりあえず、一昨年の要望によって、
退行でもなく、現状維持でもない表現を、
獲得することはできた。

男女共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)

  男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が
 性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保
 されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。