2016年04月26日

熊本地震関連 (1)

熊本地震の報道に関わって、pawh45hnto761wcx さんが、
YAHOO知恵袋で、下記のような問題提起をしていました。
彼は、私に発言の場を与えてくださって、
私は、感謝しつつ回答を作っていたのですが、
予定より早く締め切られてしまい、投稿できませんでした。
残念ですが、代わりにそれを、記事として、ここにアップします。
「ベストアンサー」に選ばれた回答は、
現在の日本の男性差別の状況を非常に良く捉えていて、
その簡潔明瞭な表現に、私も強く共感します。
私の回答は、後記のような長文になってしまいましたが、
その後半で、今まで取り上げたことのなかった問題についても、発言をしました。
問題意識としては以前からあったことなのですが、
取り上げなかった理由は、
お読みいただければ、察していただけることと思います。
最近の私は、記事のアップが滞っていますが、
活動は、電話での発言・抗議等を中心に、色々しています。
熊本地震に関わる活動は、
後日、箇条書きになるかとは思いますが、報告したいと思います。

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【YAHOO知恵袋】 pawh45hnto761wcx さんの「問題提起」と「ベストアンサー」  
     http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10158396350

 【問題提起】・・・【熊本地震の報道でNHKは女性の人権ばかり優先・・・】   
                              2016/4/20 13:50:47
  熊本地震の報道でNHKは女性の人権ばかり優先して報道してますけど、こういうのは 
  男性差別にならないんですか? 熊本地震関連の報道でNHKは女性の健康を守れとか、
  母子の健康を守れとか言ってばかりいるんですけど、それを言うなら被災住民全員の
  健康を守れと報道すべきではないですか? 初めから男性の人権は無視されてるような
  報道スタンスで、差別が行き過ぎてませんか?

 【べストアンサー】
                             2016/4/25 16:18:22
  悪質な男性差別です。
  報道する側も加害者ですね。
  「女性のほうが大変」「男性は強いから平気」という妄信が定着した現代社会。
  女性が過保護にされている一方で、男性は命を軽んじられ、苦痛を受けることを
  当然視される。
  女尊男卑に歯向かってみても、「男なんだから我慢しろ」と押さえ込まれてしまう。
  それが日本の現実です。
  今の時代は、男性の人権こそ真剣に考えるべきです。

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【私の回答】

 東日本大震災のとき、主に男女共同参画部局や女性団体が行った災害対応の不当性につ
いて、「男性差別とたたかう者のブログ」の中で、くりかえし発言してきた翠流です。
 男性差別とのたたかいには組織づくりの難しさがあり、個人として取り組まざるを得な
い状況や、打開が困難な壁の存在を前にして、疲労感が強く、今回の熊本地震についても、
発言に向かえない状況がありましたが、「蜻蛉の眼鏡」というブログで知った「ピースウ
ィンズ・ジャパン」(ボランティア団体)の男性差別(後記)に憤りを抑えきれなくなり、
発言することにしました。

    「蜻蛉の眼鏡」URL  http://blog.goo.ne.jp/grk39587

 私のブログを読んでくださっていた方には、ご理解いただけるはずと思いますが、人権
問題に関わる私のスタンスは、「多様性の認識」と「多様性をふまえた人権の尊重」です。
一人ひとりが置かれている身体的・精神的状況や個性は、「男性は」「女性は」というよ
うな、単純化された二項対立的視点で把握・説明しきれるものではなく、その視点は性差
別を招来します。単純化によって、配慮から不当に疎外される人が現れるからです。例え
ば、男性の中にも、被災地で身体的・精神的な弱さ・困難を抱える人がいる。そういう男
性には、本来、配慮されるべき人権があるはずですが、現実には、「子ども・女性・お年
寄りに配慮を」というような報道が日本中に拡散する状況の中で、配慮が女性側に傾斜し、
男性が疎外されるという、男性差別が出現するのです。本来、人権の重さ、命の重さは、
女性も男性も同じはずなのに、男性だけが配慮から疎外されるのです。

 今回の熊本地震についても、日を追うごとに、男性に対する人権無視、人権軽視の報道
が増える傾向にあり、私は再び強いストレスを感じるようになっていますが、ここではま
ず、「ピースウィンズ・ジャパン(以後、PWJと略す)」の震災対応について発言します。
PWJには、「多様性をふまえた、差別のない人権尊重の視点」が欠落しています。PWJは、
初めに女性優遇の結論ありきの、男性差別の団体なのです。彼ら彼女らは、熊本の益城町
で、まず、避難施設としての「バルーンシェルター」を設置しましたが、それには「女性
専用」と「ペット連れ専用」しかありませんでした。シェルターは、強風の危険性に配慮
して撤去され、新しく避難テントが設置されましたが、それも同じです。設置したのは「
女性専用」と「ペット連れ専用」だけで、「男性専用」はないのです。トイレについても
同じです。PWJが搬入した12基の新しいトイレのうち、10基は女性用、2基は「身体に
不自由のある方」用で、男性用は全くないのです。男性は、汚れたトイレを使うしか術が
ない。新しいトイレは使わせてもらえないのです。それは、人間の尊厳に関わる排泄の差
別。後述する問題とも関わって、非常にひどい男性差別だと思います。

    PWJのURL  https://ja-jp.facebook.com/PWJPublicRelations 
    トイレについては、4月22日 23:05 配信の記事、「【熊本地震】22日の
    活動報告〜トイレ設置、靴下など配布〜」の、掲載写真の下にある文字、
    「【熊本地震】22日の活動報告〜トイレ設置、靴下など配布〜」をクリック。

 たくさんの被災者が集まった雑踏のような避難所。頻発する地震の中で、前述のように、
女性だけではなく男性にも、強いストレスや不安を抱え、疲弊する人が現れます。それだ
けではありません。発災当初から、そして今も、災害対応の危険な力仕事をしている男性
が必ずいるはずなのです。からだも衣服も汚れ、心身共に疲弊して避難所に帰ってくる男
性、そういう男性が、雑踏の避難所から離れて心身を休める場所、後述するプライバシー
への配慮も含めて、「男性用避難テント」を、なぜ設置しないのでしょうか。そういう「ピ
ース・ウィンズ・ジャパン」が、私には全く理解できないのです。

 プライバシーへの配慮について発言します。「専用避難テント」の設置は、性犯罪等の
犯罪被害の防止だけではなく、それ以前に、着替えの時のプライバシーに対する配慮とし
て、女性だけではなく、それを強く求める男性、例えば私のような男性に対しても必要な
のです。率直に言えば、失礼ながら、男性の中には羞恥に対して鈍感な人もいるようです。
しかし、そういう人は、この場合の主役ではない。主役は、羞恥に敏感な男性なのです。
なぜなら、羞恥は人間の尊厳に関わる感情だからです。

 東日本大震災発災のとき、「女性が毛布の中やトイレで着替えをしなければならなかっ
た」というような表現が、男女共同参画部局を中心に、日本中に拡散しました。あたかも
それが女性特有の現象であるかの如く拡散したのです。しかしそれは、女性に限ったこと
ではなかった。たとえば私が、男性差別のストレスから、被災地の「いのちの電話」に電
話をしたとき、受けてくれた女性は被災者でした。そして彼女は言ったのです「私の夫は
布団の中で着替えをしていました」と。

 男性の羞恥心は、「男性であるが故に与えられる不当な性的偏見」によって、軽視、或
いは無視されています。男性にも羞恥に敏感な人がいるのに、配慮から疎外されるのです。
ちなみに私は、今の居住地に来て20数年になりますが、洗濯をして、ズボンの下につけ
ていた1枚の下着を、人に見える場所に干したことは、ただの一度もないのです。すべて
部屋干しなのです。そういう男性もいるのです。

 更に補足します。私が定期的に検査を受けている消化器系専門施設の男性更衣室には、
天井から、ランダムにカーテンが下がっています。同性からも着替えを見られないように
するための配慮です。それが、更衣室の本来あるべき姿です。着替えというのはそういう
ものなのです。少なくとも私のような男性にとっては。だから被災地でも、せめて、例え
ば PWJの避難テントのような、異性には見られない更衣の場所がほしいのです。

 ところで、この「YAHOO知恵袋」の回答の中に、女性の生理用品に関わる発言がありま
すが、関連して、私も発言します。ご記憶の方も多いかと思いますが、昨年の秋、インタ
ーネットで「女性の生理用品を使用している男性」のニュースが報じられたことがありま
した。はっきり書きますが、要するに、やや重い肛門疾患(痔)や、軽度であっても便失
禁のような排便障害を抱えている男性が、生理用品を使用しているのです。こういうニュ
ースが報じられるようになったのは、男性の人権尊重のために、非常に好ましいことだと
思います。男性は、このような、日常生活のQOLに深刻な影響を与える疾患を抱えてい
ても、男性であるが故に、配慮から疎外されてきたのです。

 女性は生理用品があるから救われます。ナプキンを少し後ろへずらせば、十分に対応で
きるのです。ある男性は、痔の手術の入院生活を終えて退院の時、病院付属の薬局で、細
長く切った脱脂綿と紙絆創膏を渡されて、非常に強いショックを受けたと言っていました。
そんな処置で、日常生活のQOLを維持できるはずはないのです。彼は、薬局を出て、コン
ビニエンスストアに立ち寄り、生まれて初めて女性の生理用品を買ったのです。

 医者の中にも、話にならないような対応しかできない人がいる。というより、そういう
医師がほとんどではないかと推測します。例えば患者が、つまりは生理用品のない男性患
者が、医師に対処の方法を尋ねる。そうすると医師は、「紙をはさんでおけばいい」など
と、話にならない答えしかしないというのです。その背景には男性の人権を軽視する不当
な性別観、それも、非常に根強い性別観の存在があると思います。男性は、生理用品のよ
うな機能を持った下着を求めてはいけないのです。それは「男らしさの規範」に反するの
です。そういう不当な性別観の呪縛の中で、男性は、強い不快感を抱えながら生活してき
たのです。そしてそれは、排尿に関わる疾患の場合も同じなのです。

 「かつて女性は差別されてきた」と、そういう言葉があります。それはその通りなので
す。そして、そういう女性差別は解消されなければならないのです。しかし「かつて男性
は差別されてきた」と、それもまた事実なのです。その差別の根本には、「男らしさの規
範」、「男性に対する性別観」の問題があると思います。性別観に関わる事象を広く見て、
例えば、明白な性差しての男性の自殺、被災者を含め、明らかに男性に多い自殺の問題に
も、その根本に同様の問題があると思います。男性は、その性別観の故に、苦しみを一人
で背負うことが多く、追いつめられやすいのです。(男性差別とたたかう者のブログ・・・
記事カテゴリ:自殺関連:4/26現在・記事7つ)

 生理用品の件に戻ります。前述のような疾病を抱えた男性は、被災地にも必ずいます。
高齢者ではない男性の中に、そういう人たちがいるのです。先日、災害対応のラジオ番組
で、ある大学の先生(女性)が、「避難所で小集団をつくり、班長を決め、被災者のニー
ズを引き出す」という方法を提示していました。それは、「声になりにくい声を引き出す」
という意味で、良い方法だと思います。しかし、ニーズを隠す人はいるでしょう。男性な
らばその性別観に縛られ、自分の弱さ、ニーズ隠すかもしれない。排泄の問題ならば、羞
恥が手伝ってなおさらのことと思います。ですからせめて男性にも、女性と同じように、
新しくきれいな下着を配ってほしい。そして、トイレや更衣室に対する配慮が欲しいので
す。それは必要最低限の配慮でしょう。

 東日本大震災の時、「宮城登米えがおネット」という団体が、非常にひどい男性差別を
しました。彼女たちは、女性だけを対象にアンケートを取り、下着のサイズまで調べ、一
人ひとりに合った下着と共に生活用品を袋詰めにして、女性だけに配ったのです。本当に
ひどいと思います。それでは「男性は汚い下着で暮らせ」と言っているのと同じではあり
ませんか。そして、内閣府男女共同参画局(以下:男女局)は、それがあたかも優れた実
践の典型であるかの如く、「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」の「解説
事例集」に、「取組事例13」として、それを掲載したのです。もしもその記事の下に、「男
性に対しても同様の配慮が必要である」というような一文があれば、私は、この件について、
男女局は批判しません。しかし、そういう記載は全くなかったのです。

 既にブログではくり返し書いてきましたが。「男女共同参画社会基本法第3条」には、
「男女の人権の尊重」が明確に謳われています。しかし男女局は、その精神と乖離した、
たくさんの男性差別を行ってきました。そしてそれは、今も同じなのです。例えば。昨年
12月に閣議決定となった「第四次男女共同参画基本計画」の、「生涯を通じた女性の健康
支援」のように、男性が置かれている命の危機、女性より明らかに多い悪性新生物による
死亡や自殺のような現実を直視せずに、平然と、「初めに結論ありき」の、女性優先・女
性優遇・男性差別の施策を企図し、実行し続けているのです。男女局は、男女共同参画の
理想に向かう部局ではなく、自己本位の、フェミニズム運動の発信基地なのです。


posted by 翠流 at 11:04| Comment(0) | 災害対応・要望書(2016・17年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月19日

熊本地震関連 (2) 

 熊本地震発災(4月14日)の夜、私は、ある高速道路のサービスエリアにいて、車の中
でNHK第一放送を聞いていた。キャスターは初め、「子ども・お年寄りに配慮を」と言
っていたが、やがてそれは「子ども・女性・お年寄り」に変わる。NHK内部で修正を求
める発言があったのか、外部から圧力がかかったのかは知らないが、私は、「またか・・・」
と、不快な思いでそれを聞いた。身体的にであるにしろ精神的にであるにしろ、弱さ・繊
細さを抱えた男性は、本来ならば配慮の対象とされるべきはずなのに、男性であるが故に
配慮からはずされ、女たちは、したたかであろうが強くあろうが、無条件に配慮の対象と
なる。女はそれを望み、男たちがそれを許す。

 似たようなことが、一昨年の12月、福島で行われた災害対応シンポジウム(注1)で
あった。パネリストは5人、そのうち男性は1人であった。彼は初め、災害弱者を「子ど
も・お年寄り」として話しを進めていたが、私には彼が会場の様子をうかがっているよう
に見えた。参加者の大部分は女性であった。そして彼は何回か同じ言葉をくりかえした後、
会場に目を向けながら言ったのである。「もちろん女性もそうですけれどね・・・・」と。

      (注1)〜第3回国連防災世界会議に向けてのシンポジウム〜
                防災・復興における女性の参画とリーダーシップ

 私は、「いのちの電話」の、ある女性相談員の言葉を思い出す。彼女は、男性差別の不
当性を訴える私の思いを、非常に良く受けとめてくれた。それは、単に相談員としての研
修で磨かれた技術によるものではなく、彼女の、一方の性に偏ることのない平等観と、彼
女の優しさの証しであったと私は思う。しかし彼女は、電話の最後に、いみじくも付け加
えたのである。「でもね、私みたいなことを言う女性は少ないんですよ。女はみんな自己
中心なんです・・・」と。

 女たちは、解放の時代にあって、意識するしないに関わらず、日本の社会を様々な形で
浸食するフェミニズムの擁護を受けながら、特権階級として、自己中心性を膨張させるよ
うになった。彼女たちの求めるものは、既に女性差別解消の域を逸脱している。彼女たち
は、社会に溢れる女性優遇を当然の如く享受し、男らしさの規範から脱却できない不器用
な男たちを尻目に、したたかに、ただ女たちだけのために、更なる優遇を求めるのである。
大切なのは愛より自分。倫理より自分。彼女たちは、その感情の機微と巧みな言葉によっ
て、女性優遇を正当化、或いは誘導する。男たちの不利益など、彼女たちの眼中にはない。
いやもしかすると、男たちの不利益は、彼女たちの快感であるのかもしれない。

 「かつて女性は差別されてきた・・・」と、そいう言葉が、乱雑に、或いは、自己本位の
フェミニズム運動の巧妙な利益誘導のために、意図的に使われる時代。そしてそれを受け
入れよと、男性差別の「男らしさの規範」を、言葉には出さずとも内実は暴力性を孕んだ
強制力を持って男性に要求する男たちが、社会の上層部にも、日常の中にも、支配的な影
響力を持って存在する。マスコミの論調もまた女性優先・女性優遇に彩られ、例えば少子
化対策やワークライフバランスの問題も、女性側への支援に傾斜して論評され、今もなお、
恐らくは「男性である責任」を重く背負いながら、非正規にあえぐ男たちの苦悩、そして
非婚の問題等を浮き彫りにした記事には、最近になって、ブログ「社会の荒廃 研究室(蜻
蛉の眼鏡)」の、次の記事(注2)を読むまで、私は出会えたことがなかったのである。

(注2)「社会の荒廃 研究室(蜻蛉の眼鏡)」
     「少子化はフェミニズムによる非婚化が最大の原因であることを世間に広めよ」
     http://blog.goo.ne.jp/grk39587/e/30d6de065e0282c847526f782a571320

 災害対応の問題であれば、東日本大震災をめぐる施策について、既にこのブログで繰り
返し指摘してきたように、内閣府の男女共同参画局であろうが全国各自治体の男女共同参
画部局であろうが、「男女共同参画」と名のつく部局は、私の知る限りすべて、「男女共同
参画の視点」という美辞を掲げながら、内実は「女性優遇・女性優先・女性限定の視点」
で、これもまた自己本位極まりない女性団体と共に、数々の男性差別の施策、男性の人権
を無視・軽視した災害対応を行ってきたのである。

 災害対応だけではない。「国民への健康支援」の問題にしても、昨年12月に閣議決定と
なった「第4次男女共同参画基本計画」の該当項目を見れば、男女局の本質が非常に良く
わかる。その題名は「生涯を通じた女性の健康支援」。私は、男性が抱える「命の危機」、
率直に言えば女性より深刻な男性の命の危機を、国民の死亡原因の第一位である悪性新生
物による死亡の性差、そして自殺の性差等について、数値と共に具体的に提示したが、男
女局は、題名を「生涯を通じた男女の健康支援」に変えよという要望すら受け入れず、内
容もまた、国民の命の現実と乖離して、男性の命の危機に真摯に対峙することなく、著し
く女性側への支援に傾斜した基本計画を作成したのである。それが、憲法14条の直下に
あるはずの部局、しかも「男女の人権の尊重」を謳った男女共同参画社会基本法第3条を
擁する内閣府男女局の施策であることを考えれば、それはまさに「裏切りの男女共同参画」
と表現するだけでは済まない男性差別なのである。

 熊本地震発災の夜、NHKラジオの報道と共に様々の思いが心をよぎり、私は、キャス
ターの言葉を放置できなかった。男性の人権を軽んじる理不尽なメッセージを、NHKが、
社会的圧力として全国に拡散させているのである。私は、時間外かとは思いつつも、翌朝
まで待つことができず、「NHKふれあいセンター:0570-066-066」に苦情の電話を入
れた。男性職員が私の電話を取った。相手の心は、声のトーン、言葉のトーンでわかる。
彼はマニュアルに沿って義務的な対応をしただけで、私の思いを受けとめてはいなかった。
そういう男は多い。男性差別の性別観が男の中にある。私は、帰宅の後、車の中で仮眠の
ような時を経て、午前3時頃、再びNHKに電話を入れた。受話器から録音メッセージが
流れる。発言は録音対応であった。翌朝、私は再びNHKに電話を入れた。私がどのよう
な発言をしたかは、このブログを以前から読んでくださっている方は察してくださるはず
である。思いが溢れ、語りきれない私に、対応した女性職員が電話の終了を告げた。私は
苛立ち、再び電話を入れた。昨晩からの経過を話す私に、別の女性職員の身構えるのがわ
かった。しかし彼女は、時間を理由に電話を切ることはなかった。

 以後、5月2日までの間に、熊本地震の災害対応に関わって、西日本新聞・東京新聞・
産経新聞・静岡新聞・河北新報・内閣府男女共同参画局・栃木県男女共同参画・登米市男
女共同参画・宮城県男女共同参画・減災と男女共同参画推進センター・内閣府防災・埼玉
坂戸防災・ピースウィンズジャパン・登米えがおネット(解散するも取材は継続)・イコ
ールネット仙台等に、電話をかける日々が続いた。


posted by 翠流 at 01:30| Comment(2) | 災害対応・要望書(2016・17年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月19日

「東京防災:女性版」

 「小池百合子という人が、『東京防災・女性版』を発行する」、というニュースが流れている。
(URLと本文は、この記事の末尾に記す)。私は、彼女が、「政治塾」の入会金を「男性5万円・
女性4万円」とした時から、彼女には、「初めに女性優遇の結論ありき」の、自己本位のフェミニ
ズム的体質があるのではないかと懸念し続けてきたが、それが、この「東京防災・女性版」に現
れるのではないかと、強く危惧している。もとより、私がこのブログを立ち上げるに至った契機は、
災害対応をめぐる、内閣府男女共同参画局の男性差別の施策にあったが、以後、今日に至るまで、
全国各自治体の男女共同参画部局や 各種団体を含めて、その施策に、「男性に対する人権軽視・
人権無視」を、強く感じ続けてきた。男性も、個人の特徴は多様であって、例えば、「羞恥に対
する配慮」を強く求める人、求めない人、「清潔に対する配慮」を強く求める人、求めない人、
配慮されるべき「身体的・精神的な弱さ」「疾患」を持つ人、持たない人、等のように様々で
あって、その特徴は、グラデーションを形成しながら「男性」という集団の中に存在している。
しかし、にもかかわらず、「男性であるが故に与えられる不当な性的偏見」、「『男らしさ』と
いう性別観・性別役割の強要」、「自己中心的なフェミ二ズム運動の拡大」等によって、男性は、
配慮不要の存在として画一化され、差別され続けてきたのである。私は、その理不尽に強い憤り
を感じている。私は、憲法第14条・13条、男女共同参画社会基本法第3条、そして、不当な性
別観によって耐えることを強要され続けてきた男性の不利益・困難に対する「積極的改善措置」
としても意味を持つはずの、男女共同参画社会基本法第2条第2項を立脚点として、「災害対応
の男性差別撤廃」を強く求めている。
 
 私は、「東京防災・女性版」に関わって、ある知人に、次のような内容のメールを送信した。

【知人への送信メール】

 小池百合子の「東京防災:女性版」について、東京都庁・総合防災部・防災管理課に、問い合
わせと発言の電話をしましたので報告します。電話を受けた職員によれば、今は「小池知事から、
東京防災:女性版の内容を検討するよう指示が下りた」段階で、「これから検討が始まる」との
ことでした。電話は、途中、私の都合で一時中断しましたが、合計で2時間程度だったと思います。
私の発言のスタンスは、以前 紹介させていただきました私のブログ(男性差別とたたかう者の
ブログ)の記事、熊本地震関連(1)(2)に示されていると言って、概ね、誤りはありません。
電話は、最終的には、私の発言を「課内で共有する」という担当者の発言で収束しましたが、途
中、私が感情的にならざるを得ないような場面もありました。電話だけでは不足ですから、私は、
後日、要望書を作成して郵送します。他に、メール・FAXによる方法もありますが、「都民の声
・総合窓口」の某職員によれば、できるだけ都知事に近い位置に要望を伝えるためには、下記の
宛名で要望書を送付するのがベスト、とのことでした。宛名には必ず「親展」を書き添えること、
とのアドバイスもいただきました。書くか書かないかで、行先が変わるとのことです。

    〒163−8001
      東京都 新宿区 西新宿 2−8−1
        東京都庁
          東京都知事 小池百合子様
               親展
 
 なお、「東京都庁総合防災部」と直接の関係を持てる部局ではありませんが、昨年、熊本地震
関連で、ある防災部局に電話をしたとき、たまたま、私のスタンスを、共感的に受け止めてくだ
さる人に出会えましたので、今回も電話をして、短時間、お話をさせていただきました。私の、
「『東京防災:女性版』が作られれば全国に波及する」という発言に対して、その人は、「全く、
その通りだ」と言っておりました。

 ところで私は、15日に、東京で行われた「LGBT成人式」に参加しましたが、会場には多数
の議員が来ておりました。彼ら彼女らは、「口々に」と言って過言ではないくらい、「多様性の認
識と人権の尊重」を趣旨とする発言をしていたという印象が残っていますが、今の日本の社会状況
を見ると、多様性は「女性・高齢者・子供・LGBT等」の存在について語られており、「男性」
という集団に内在する多様性には光が当てられていないと強く感じます。男性は未だに「男性は
こうである。こうあるべきだ」というような、「画一化・単純化された不当な性別観」、つまりは
「男性の多様性と乖離した性別観」に強く縛られる傾向が強いと思います。「避難所で着替えが
しにくい」というのは、「女性だけの観点」ではなく、私のような「男性の観点」でもあるのです。
以前「仙台いのちの電話」に電話がつながった時、その女性相談員は私に言いました。「私の夫も、
布団の中で着替えをしていました・・・」と。

【追記】 私は、「東京防災:女性版」について、東京都の男女平等参画部局にも電話をしている。
   時間は、1時間程度であったと思う。

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【時事ドットコムニュース】 2017/01/07-19:27

「東京防災」に女性版=舛添氏の施策継承−小池都知事
      http://www.jiji.com/jc/article?k=2017010700227&g=soc

 東京都の小池百合子知事は7日、防災ブック「東京防災」の女性版を新たに発行すると発表
した。2017年度予算案に関連費用3億円を計上する。小池知事は予算査定後、都庁で記者団
に「避難所で着替えや授乳がしにくいなど、女性の観点で考えなければならないことは多々あ
る」と述べた。
 東京防災は、舛添要一前知事がスイスの取り組みを参考にして、15年に750万部を印刷、
都内の全戸に無償配布した。実用的な内容が反響を呼び、一般販売も始めた。小池知事は「都
民の間でも評価が高いので、切り口を変えてよりきめ細やかにしたい」と語った。
                              (2017/01/07-19:27)


posted by 翠流 at 03:12| Comment(0) | 災害対応・要望書(2016・17年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月07日

「東京防災:女性版」 に関わる要望書

小池百合子東京都知事発案の「東京防災:女性版」について、
都知事と総合防災部防災管理課に「要望書」を送った。
内容はどちらも同じである。
今回は、その要望書を掲載する。
なお、近日中に、東京都の男女平等参画部局に、
要望書の写しを送る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                              平成29年4月5日
東京都知事 小池百合子 様
                                ( 翠 流 )
               要 望 書

            「東京防災:女性版」ではなく、
        男性にも配慮した「東京防災:改訂版」の刊行を。        

 平成23年(東日本大震災発災)以降の災害対応について、内閣府や被災自治体の男女
共同参画部局・防災部局・各種女性団体・ボランティア団体等の施策を見てきた一人の国
民として、小池百合子東京都知事発案の「東京防災:女性版」の刊行について発言させて
いただきます。この要望書の前半には、私の基本的な認識を記し、後半に、具体的要望を、
項目別に記します。

 東日本大震災であるにしろ、熊本地震であるにしろ、「女性の視点」という表現のもと
に、「女性への配慮」ばかりが強調される中で、男性が配慮から疎外され、「不当な我慢」
を強いられてきた事例が数多くあったと強く感じています。以下に述べる具体的事実、
例えば「着替え」等の問題を考えてもわかるように、「女性の・・・」として語られる視点
は、実際には「男性の中にも」存在します。同じ「男性」であっても、感受性や身体的
特徴は様々です。「男性」にも「多様性」が存在するのです。しかしそれを「男性は・・・」
「女性は・・・」という二項対立的視点によって単純化し、「女性の視点」の名のもとに「男
性を不当に疎外」した「女性限定・女性優先の配慮」が、東日本大震災にも熊本地震にも、
非常に多くあったと感じています。

 本来、尊重されるべき人権は女性だけにあるわけではなく、男性にもあるはずです。広
く言えば、人間には、単純にカテゴライズできない「多様性」があり、その「多様性の認
識」と「多様性をふまえた平等な人権尊重の視点」が、災害対応に限らず、全ての人権尊
重の基本的視点として据えられなければならないと思います。それは、倫理的な意味だけ
ではなく、法的にも保障されているはずです。憲法第13条には「個人の尊重」が謳われ、
14条には「法の下の平等」が、そして、男女共同参画社会基本法第3条には「男女の人
権の尊重」が謳われています。

 多様性に関わって、性的マイノリティーとしての「LGBT」の人たちへの配慮について
は、この要望書の最後に、該当団体等のニーズの把握を要望する旨を記します。ここでは
まず、小池都知事の「東京防災:女性版」という表現を受けて、私を含め、「男性」とカテ
ゴライズされる人たちの立場から発言します。

 今までの災害対応で、男性が配慮から疎外されてきた理由の一つとして、「男性に対す
る性別観」「男らしさの規範」「性別役割」の問題があると思います。時代の流れと共に
若干の変化があるとはいえ、男性は今も、過去からの性別観に強く縛られていると思いま
す。「男性は我慢しなければならない」・「男性は女性を優先しなければならない」・「男性
は強くなければならない」・「男性は一人で苦しみに耐えなければならない」・「男性は女性
を守らなければならない」・「男性は、男性に対する災害対応に不満があってもそれを口に
出してはならない」・・・等、要するに、このような「初めに女性優遇の結論ありき」の性
別観が、男性と女性の関係、男性どうしの関係、そして男性の社会的位置を規定し、災害
対応に強い影響を与えてきたと思います。

 加えて、このような性別観の呪縛の中で、それを背景として形成・増幅された「男性に
対する不当な性的偏見」が、男性を、配慮から一層強く疎外してきた現実があると思いま
す。例えば、避難所での着替えの問題。東日本大震災であるにしろ熊本地震であるにしろ、
避難所に女性専用更衣室だけが設置され、男性には更衣室が与えられない事例が多数あり
ました。その背景には、「羞恥心を持つのは男らしくない」というような、ジェンダーハ
ラスメント如き「性別観」・「男らしさの強要」だけでなく、実際には「羞恥心の強い、敏
感な男性」がいるにも関わらず、鈍感な男性の特徴だけがあたかも男性の一般的特徴であ
るかの如く歪曲された「不当な性的偏見」が、「男性は我慢しなければならない」という
性別観と相まって、男性を、更衣室設置の配慮から強く疎外してきたと思います。

 今回の「東京防災:女性版」のニュースの中に、小池都知事の、「避難所で着替えがし
にくいなど、女性の観点で考えなければならないことは多々ある」という発言がありま
した。しかし、実際には、着替えがしにくかったのは女性だけではない。男性更衣室のな
い避難所で、布団の中で着替えをしなければならなかった男性がいたことも確かな事実な
のです。更衣室は、性犯罪防止だけのために設置されるものではありません。それ以前に、
人間の尊厳に関わる羞恥への配慮として不可欠なもののはずです。男性にも羞恥心の強い
人はいます。鈍感な男性ばかりではないのです。人間としての尊厳を守るために、男性に
も更衣室が必要なのです。

 物資の配布についても同様です。東日本大震災の時、女性だけに新しい下着・ハンドク
リーム・裁縫箱・化粧品・生理用品等の生活用品を配布して、男性には生活用品を全く配
布しない団体(「宮城登米えがおネット」)がありました。本当にひどい男性差別だと思
います。熊本地震でも同様の現象がありました、昨年の秋、私が熊本市男女共同参画セン
ター(はあもにい)に問い合わせの電話をしたとき、館長は確かに言ったのです。「そう
いえば私たちのセンターに届いたのは女性用下着だけでした」と。「男女共同参画」なら
ば男女両方の下着が手配されるべきなのに、なぜ「女性用下着だけ」なのでしょうか。

 下着の配布に関わって言えば、確かに女性には生理があるでしょう。しかし男性の中に
も、「肛門疾患や排便障害をかかえて、女性の生理用品を使用している人がいる」という
ニュースが、一昨年の秋、インターネットで流れたのです。女性の生理用品が進化する一
方で、男性のQOL(生活の質)が、いかに「なおざり」にされてきたかが、このニュー
スから推察できるはずと思います。男性は、日常の中でもそういう扱いをされるのです。
泌尿器系の病気でも同様のことがありますし、たとえ健康な男性であっても、汗等の分泌
物を考えれば、男性の下着を軽視してよいはずはないでしょう。男性に下着を配布せずに
男性の体臭の悪口を言うなど、まさに、ダブルスタンダードの男性差別、ひどい人権侵犯
ではありませんか。更に踏み込んで、はっきり言えば、特に若い健康な男性が、夜、睡眠
中に下着を汚すことがあることは、女性も、中学や高校の保健の授業で習ったはずではな
いでしょうか。このような現実があるにもかかわらず、なぜ、女性だけに下着を配布する
のでしょうか。

 物干し場も同じです。性別の物干し場は、性犯罪防止だけのために設置されるものでは
なく、それ以前に、プライシーへの配慮の意味があるはずです。男性の中にもプライバシ
ーに配慮した物干し場を求める人がいます。例えば私は、現在の住宅街に居住して24年
になりますが、洗濯をして、ズボンの下に身につけていた下着を、人に見える場所に干し
たことはただの一度もないのです。全て部屋干しなのです。そういう男性もいるのです。
物干し場は、女性用だけではなく、男性用も必要なのです。

 トイレの問題も同じです。広島県にある「ピースウィンズジャパン」というボランティ
ア団体は、熊本地震に際して、益城町に12基の仮設トイレを送りました。しかし、その
うちの10基は女性用、2基は「身体に不自由のある方」用で、男性用は全くなかったの
です。男性は汚れたトイレを使うしか術がない。男女のトイレ使用時間の比は約3:5と
認識していますが、それを考慮しても、男性用が全くないのは、余りにもいどい男性差別、
人間の尊厳と健康に関わる重大な差別ではないでしょうか。

 「女性専用スペース」についても同じことです。性犯罪防止・プライバシーへの配慮だ
けではなく、そのスペースに様々の配慮を加えて、「女性専用の『幸せスペース』」とし
て、女性だけへの配慮を膨張させていった自治体が、東日本大震災の時、福島県にあった
(郡山市)。具体的な内容は後述しますが、男性に対しては、そういう配慮は皆無だった
のではないでしょうか。

 長期的な復興の過程も含めて、精神的なケアも男女両方に対して必要です。特に、男性
の「震災関連自殺」が気になります。平成24年版男女共同参画白書(全体版)によれば、
平成23年6月から24年2月までの、「東日本大震災関連自殺者」の、75.4%が男性
だったのです。加えて、男性のアルコール依存の増加、仮設住宅での孤立化傾向も指摘さ
れています。しかし、このような現実があるにも関わらず、内閣府男女共同参画局が行っ
てきた震災関連相談事業は、「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」であって、男
性は相談の対象からはずされているのです。全国レベルで見れば、男性に対する相談体制
も、少しずつ整備される傾向はありますが、余りにも遅々としています。その背景には、
恐らくは、「男性は強くあるべき配慮不要の存在」という性別観が色濃くあり、男性の自
殺が毎年明らかに女性より多いという現実も、この問題と無関係ではないと思います。

 発災直後の避難に関わる対応も気になります。数年前でしたか、大地震を想定して、関
東地方のあるホテルが「女性を優先的に受け入れる」という発言をしたことがあります。
しかし男性は誰もが強いわけではない。身体的な、或いは精神的な弱さをかかえた男性も
いる。そういう男性は「男だから死んでもしかたがない」のでしょうか。「強い男性」で
あっても、都市が破壊される大地震の前には、無力ではないでしょうか。発災直後の避難
スペース、そして帰宅困難者の収容スペースを手配するとき、男性に対する配慮は、後回
しでもよいのでしょうか。

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【具体的要望】
 ◆ 以上のような認識をふまえ、「東京防災:女性版」の刊行ではなく、男性に対しても
  下記のような配慮を加えた「東京防災:改訂版」の刊行を、強く要望します。

1.備蓄・・・・・ 女性や乳幼児に必要な生活用品の備蓄については、非常に多くの場面で、
    その必要性が具体的に語られてきたが、男性については、配慮の文章を見たこと
    がない。男性は人間として扱われていないと感じる。ひどい男性差別である。声
    にならない声、隠されたままのニーズ、身体的な問題への配慮を含めて、次のよ
    うに要望する。

  @ 下着類・・・・・男性用下着も充分に備蓄しておくこと。男性に生理はないが、Aに
      述べるような疾患を持った男性がいる。健康であっても、発汗等の分泌物に
      よる汚れは、男性の場合、顕著であろう。男性が被災地で肉体労働の主役と
      ならなければならない現実等を考えれば、一層、充分な下着の備蓄が必要で
      ある。更に踏み込んで言えば、特に若い男性の場合、睡眠時に下着が汚れる
      こともある。女性だけでなく、男性にも充分な下着の備蓄が必要である。

  A 衛生用品・・・・・既に記したように、肛門疾患や排便障害をかかえる男性が、女性
      の生理用品を使用しているというニュースが、一昨年の秋に、インターネッ
      トで流れた。女性の生理用品が著しく進化する中で、このような疾患を持つ
      男性のQOL(生活の質)は、著しく軽視されている。排尿に関わる疾患も
      同様である。専門的な知識を持つ立場の人の見解も聞き、対応可能の衛生用
      品の備蓄が必要である。ただし、注意しなければならないことがある。特に
      男性医師の中には、このような配慮に耳を傾けない人がいる。男性に対する
      「不当な性的偏見」、「男性にそのような配慮は必要ない」という「ジェン
      ダーハラスメント」の如き性別観を持つ男性医師は珍しくない。男性患者は、
      このような医師から人権軽視・無視の扱いを受けるのである。

2.発災直後の対応 ・・・・・ 男性は「強い」・「強くあるべきだ」とされ、避難時の配慮か
    ら疎外される傾向にある。「弱い男性は死んでもしかたがない」と言うが如きで
    ある。弱者男性に対する残酷な、非人道的な対応である。強い男性であっても、
    都市が破壊される大地震の前に、その「強さ」は殆ど無力であろう。女性に対し
    てだけではなく、男性に対しても「安全」を確保すべきである。

  @ 避難スペース・帰宅困難者収容スペースの確保・・・・・この件について、各種施設
      と協定を結ぶ場合、女性だけではなく、男性に対しても、安全なスペースを
      確保すること。各種施設に対しては、男女共同のスペースだけでなく、プラ
      イバシーへの配慮・性犯罪の防止等を考慮し、男女別のスペースを確保する
      よう要請すること。今までの災害対応では、専用スぺ―スが女性だけに与え
      られ、男性には与えられないことがあったが、男性の中には、プライバシー
      への配慮がないと、非常に強いストレスを感じる人がいる。「男だから」と
      いう「不当な性的偏見」を捨て、男性にも専用スペースを確保すべきである。

3.避難所・・・・・各地域で避難所を開設するにあたって、更衣室・トイレ・物干し場・休
    養スペースの設置等について、女性に対する配慮ばかりが優先され、男性が不当
    な我慢を強いられることが非常に多くあった。授乳室は女性への配慮であろうが、
    その他は全て男女両方に配慮すべきである。男性の中にも、羞恥・プライバシー
    ・清潔等への配慮を強く求める男性がいる。鈍感な男性ばかりではないのである。
    「男性は我慢をするべきだ」というような「不当な性別観の強要」ではなく、男
    性の人権にも配慮した避難所の開設をするべきである。男性だけに我慢を強いて
    ストレスを増幅させる避難所運営はやめてもらいたい。

  @ 更衣室・・・・・必ず男女別更衣室を設置する。一つしかない場合は、男女交代で使
      用できるよう配慮する。

  A トイレ・・・・・ 必ず男女別トイレを設置する。所用時間については、男性と女性の
      比は約3:5と理解しているが、男性のトイレを不当に少なくするのはやめ
      てもらいたい。排泄は、健康だけでなく、人間の尊厳に関わる行為である。
      男性の小用にも必ずトイレを確保してもらいたい。

  B 衛生用品・・・・・ 上記1−Aに書いたように、肛門疾患・排便障害・排尿障害等を
      かかえた男性にも衛生用品が必要である。男女別のトイレに、それぞれの衛
      生用品を置くよう、配慮が必要である。

  C 物干し場・・・・・ 男性の中にも、例えば私のように、ズボンの下の下着は必ず部屋
      干しにする人がいる。性別の物干し場は性犯罪防止だけのために作られるも
      のではない。プライバシーへの配慮が必要である。女性用だけではなく、男
      性用の物干し場も設置する必要がある。

  D 休養スペース・・・・・ 女性専用スペースだけを設置し、男性には家族スペースしか
      与えられない避難所が目についた。福島(郡山)の例を「7枚中の3」に書
      いたが、熊本地震ではNHKラジオの報道の中にあったし、「青森被災地の
      地域コミュニティー再生支援事業実行委員会」や栃木県の男女共同参画が作
      成した「避難所のつくりかた」の冊子も同様であった。他の自治体は調べて
      いないが、同様の避難所はかなりあったのではないかと推測する。単身女性
      や女性だけの世帯への配慮としてだけではなく、福島の場合は、発災から半
      年近くの間に、女性専用スペースに、喫茶コーナー、料理会、手芸教室、弁
      護士相談、マッサージ等を導入し、「女性の幸せスペース」として膨張させ
      ていった。青森の場合も同様である。女性専用ルームだけを設置し、その説
      明文には「お茶・お菓子・ドライヤー・鏡付きの一角」を書き、チェック項
      目には「身だしなみセット・洗面器」から「アロマオイル」まで書いた。し
      かし、同等の配慮は、男性に対しては全くなされていなかったのである。例
      えば被災地で、肉体労働を背負う主役は男性になるだろう。それはそれでよ
      いと私は思う。しかし、肉体労働で衣服は汚れ、心身共に疲弊して避難所に
      返ってきた男性が、周囲に気兼ねなく休息できる部屋、身づくろいができ、
      心身に癒しを与えられるスペースを、なぜ男性には用意しないのか。その、
      女性たちの自己中心性が、私には全く理解できないのである。後述する精神
      的支援の問題にも関わるが、男性は苦しみを一人で背負いやすく、被災地で
      の孤立化傾向も指摘されてきた。男性どうしで心を通わせる場が、避難所の
      中にも必要である。休養スペース・専用ルームは、女性用だけではなく、男性
      用も設置する必要がある。

4.被災者に対する精神的支援・・・・・中央大学の山田昌弘氏は、ワレン・ファレルの著書
    「男性権力の神話」(久米泰介訳:作品社)の推薦文の冒頭で、次のように述べ
    ている。
         なぜ女性のつらさは問題にされるのに、
              男性の生きづらさは問題にされないのだろう。
                    (中央大学教授 山田昌弘)

     この山田昌弘氏の指摘は、まさに今までの災害対応全般にもあてはまっている。
    精神的支援の問題については、この要望書の「7枚中の3・4」で、男性に顕著
    な「震災関連自殺」・「アルコール依存の増加」・「孤立化傾向」について触れた。
    しかし、このような事実があったにも関わらず、内閣府男女共同参画局は、男性
    を相談事業の対象からはずしてきたのである(「被災地における『女性の』悩み
    ・暴力相談事業」)。これもまた、「現実との乖離」・「男性の苦しみの軽視」・「男
    女共同参画社会基本法第3条との乖離」として、私には受け入れることができな
    い事実なのである。日本の男女共同参画運動の範を示すべき内閣府男女共同参画
    局が、なぜ男性の危機と真摯に対峙しないのか、私には理解できない。男性は、
    男性に与えられた「性別観」・「男らしさの規範」・「性別役割」のゆえに、責任や
    苦しみを一人で抱えやすく、追い詰められやすい。全国の男性相談体制は、少しず
    つ整備され始めてはいるが、私の眼から見れば、自殺の現実と乖離して、余りにも
    遅々としている。「東京防災」については、震災という極限状況の中での男性の
    苦しみにも光をあて、全ての人に対する相談体制を整備してもらいたい。

5、性的マイノリティーへの配慮・・・・・最後に、男女の枠を越えて、「LGBT」の人たちへ
    の配慮について発言します。数年前、「日本性同一性障害と共に生きる人々の会
    (gid.jp)」が、文部科学省に対して、「学校での、性同一性障害の児童・生徒
    に対するトイレの配慮」について、要望を提出したことがありました。災害対応
    についても、「LGBT」の人たちは、それぞれの立場から要望を持っているはずで
    す。東京都としても、関連団体等からの情報収集を行い。必要な配慮を、「東京
    防災:女性版」ではなく、「東京防災:改訂版」に組み入れるよう要望します。

◆ 以上、小池百合子東京都知事発案の、「東京防災:女性版」の刊行について、主に、
 女性だけではなく男性の人権にも配慮する立場から、「東京防災:改定版」への修正を
 求める発言をさせていただきました。繰り返しますが、人権は女性だけにあるわけでは
 ない。男性にも人権はあるのです。既に述べたように、男性に対する過去からの「性別
 観」・「男らしさの規範」・「性別役割」には、男性に対する「不当な性的偏見」「耐える
 ことの強要」が、色濃く含まれています。それに呪縛されることなく、「男性」とカテゴ
 ライズされる人たちに内在する「多様性」・「様々の身体的特徴・精神的特徴・感受性」
 に目を向け、女性だけではなく、男性にも配慮した災害対応を展開してくださるよう、
 強く要望します。
                                   (以上)

posted by 翠流 at 00:36| Comment(0) | 災害対応・要望書(2016・17年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする