2016年04月26日

熊本地震関連 (1)

熊本地震に関するNHKの報道について、pawh45hnto761wcxさんが、
YAHOO!知恵袋で、次のような問題提起をしていた。

 【熊本地震の報道でNHKは女性の人権ばかり優先・・・】      2016/4/20 13:50:47
      http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10158396350
   熊本地震の報道でNHKは女性の人権ばかり優先して報道してますけど、こういうのは
   男性差別にならないんですか? 熊本地震関連の報道でNHKは女性の健康を守れとか、
   母子の健康を守れとか言ってばかりいるんですけど、それを言うなら被災住民全員の健
   康を守れと報道すべきではないですか? 初めから男性の人権は無視されてるような報
   道スタンスで、差別が行き過ぎてませんか?

彼は、私に発言の機会を与えてくださって、
私は、感謝しつつ回答を作っていたが、
締切が早かったようで、投稿の機会を失してしまった。
残念ではあるが、代わりにそれを、記事として、以下に掲載する。
なお、彼は、次の回答を「ベストアンサー」に選んでいるが、
今の日本の男性差別の状況を非常に良く捉えた回答で、
その、簡潔明瞭で的確な表現に、私も強く共感する。

 【べストアンサー】                    2016/4/25 16:18:22
   悪質な男性差別です。
   報道する側も加害者ですね。
   「女性のほうが大変」「男性は強いから平気」という妄信が定着した現代社会。
   女性が過保護にされている一方で、男性は命を軽んじられ、苦痛を受けることを当然視される。
   女尊男卑に歯向かってみても、「男なんだから我慢しろ」と押さえ込まれてしまう。
   それが日本の現実です。
   今の時代は、男性の人権こそ真剣に考えるべきです。

私の回答は、次のような長文になってしまったが、
後半で、今まで取り上げたことのない問題についても発言をした。
問題意識としては以前からあったことではあるが、
採り上げなかった理由は、お読みいただければ、察していただけることと思う。
回答全文は、以下の通り。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【私の回答】

◆ 東日本大震災の時、主に男女共同参画部局や女性団体が行った災害対応の不当性、男性差別について、くりかえし発言してきた翠流です。男性差別とのたたかいには組織づくりの難しさがあり、個人として取り組まざるを得ない状況や、打開が困難な壁を前にして疲労感が強く、今回の熊本地震についても発言に向かえない状況がありましたが、ある人のブログで知ったボランティア団体【A】の、男性差別に憤りを抑えきれなくなり、発言することにしました。

◆ 私のブログを読んでくださっている方には、ご理解いただけることと思いますが、人権問題に関わる私のスタンスは、「多様性の認識と、それを踏まえた人権の尊重」です。一人ひとりが置かれている身体的・精神的状況や、その人の個性は、「男性は」「女性は」というような、単純化された二項対立的視点で把握・説明しきれるものではなく、その視点は性差別を招来します。単純化によって、配慮から不当に疎外される人が現れるからです。例えば、男性の中にも、被災地で身体的・精神的な弱さ・困難を抱える人がいる。そういう男性には、本来、配慮されるべき人権があるはずですが、現実には、「子ども・女性・お年寄りに配慮を」というような報道が日本中に拡散する状況の中で、配慮が、性別で言うならば女性側に傾斜し、男性が疎外されるという、男性差別が出現するのです。本来、人権の重さ、命の重さは、女性も男性も同じはずなのに、男性だけが配慮から疎外されるのです。

◆ 今回の熊本地震についても、日を追うごとに、男性に対する人権軽視、人権無視の報道が増える傾向にあり、私は再び強いストレスを感じるようになっていますが、ここではまず、上述のボランティア団体【A】の対応について発言します。【A】には、「多様性をふまえた、差別のない人権尊重の視点」が欠落しています。【A】は、初めに女性優遇の結論ありきの男性差別の団体なのです。彼ら彼女らは、熊本の益城町に、まず、避難施設としての「バルーンシェルター」を設置しましたが、それには「女性専用」と「ペット連れ専用」しかありませんでした。シェルターは、強風の危険性に配慮して撤去され、新しく多数の避難テントが設置されましたが、それも同じです。設置したのは「女性専用」と「ペット連れ専用」だけで、「男性専用」はないのです。トイレについても同様です。【A】が搬入した12基の新しいトイレのうち、10基は女性用、2基は「身体に不自由のある方」用で、男性用は全くなかったのです。このトイレの件については、避難所の状況は把握していません。しかし【A】に、上述のテントの配布と同様のスタンスがあったとすれば、男性への配慮は捨象されたと、そういう疑念を捨てきれない。排泄は、健康だけではなく、人間の尊厳に関わる事象です。にもかかわらず、【A】は、「男は汚れたトイレで我慢させればよい」「小用は外でさせればよい」というような、いわばジェンダーハラスメントの価値観で対応したのではないかと、疑念を抱かざるを得ないのです。

◆ 避難用テントについて言えば、たくさんの被災者が集まった雑踏のような避難所。頻発する地震の中で、前述のように、女性だけではなく男性にも、強いストレスや不安を抱え、疲弊する人が現れます。男性は、誰もが強くはないのです。それだけではありません。発災当初から、そして今も、災害対応の危険な力仕事をしている男性が必ずいるはずです。からだも衣服も汚れ、心身共に疲弊して避難所に帰ってくる男性、そういう男性が、雑踏の避難所から離れ、心身を休める場所、休息だけではなく、着替えであるにしろ仮眠であるにしろ就寝であるにしろ、改めて後述するプライバシーへの配慮を含めて、「男性用避難テント」を、なぜ設置しないのでしょうか。そういう【A】の対応が、私には全く理解できないのです。

◆ プライバシーへの配慮について発言します。「男女別避難テント」の設置は、性犯罪等の犯罪被害の防止だけではなく、それ以前に、着替えの時のプライバシーに対する配慮として、女性だけではなく、それを強く求める男性に対しても必要なのです。率直に言えば、失礼ながら、男性の中には羞恥に対して鈍感な人もいるようです。しかし、そういう人は、この場合の主役ではない。主役は、羞恥に敏感な男性なのです。なぜなら、羞恥は人間の尊厳に関わる感情だからです。東日本大震災のとき、「女性が毛布の中やトイレで着替えをしなければならなかった」というような表現が、男女共同参画部局を中心に、日本中に拡散しました。あたかもそれが女性特有の現象であるかの如く拡散したのです。しかしそれは、女性に限ったことではなかった。例えば私が、男性差別のストレスから、被災地の「いのちの電話」に電話をしたとき、受けてくれた女性は被災者でした。そして彼女は言ったのです「私の夫は布団の中で着替えをしていました」と。

◆ 男性の羞恥心は、「男性であるが故に与えられる不当な性的偏見」によって、軽視、或いは無視されています。男性にも羞恥に敏感な人がいるのに、配慮から疎外されるのです。ちなみに私は、現在の居住地に来て20数年になりますが、洗濯をして、ズボンの下につけていた1枚の下着を、人に見える場所に干したことは、ただの一度もありません。すべて部屋干しなのです。そういう男性もいるのです。更に補足します。私が定期的に検査を受けている消化器系専門施設の男性更衣室には、天井から、ランダムにカーテンが下がっています。同性にも着替えを見られないようにする配慮です。それが、更衣室の本来あるべき姿です。着替えというのはそういうものなのです。少なくとも私のような男性にとっては。だから被災地でも、女性に対してだけではな男性に対しても、専用の「避難テント」が欲しいのです。

◆ ところで、この「YAHOO!知恵袋」の回答の中に、女性の生理用品に関する発言がありますが、関連して、私も発言します。ご記憶の方も多いかと思いますが、昨年の秋、インターネットで「女性の生理用品を使用している男性」のニュースが報じられたことがありました。はっきり書きますが、要するに、やや重い肛門疾患や、軽度であっても便失禁のような排便障害を抱えている男性が、看護師さん等の配慮があって、女性の生理用品を使用しているのです。こういうニュースが報じられるようになったのは、男性の人権尊重のために、非常に好ましいことだと思います。男性は、このような、日常生活のQOLに深刻な影響を与える疾患を抱えていても、男性であるが故に、配慮から疎外されてきたし、今もそうなのです。女性は生理用品があるから救われます。それで対応できるのです。ある男性は、痔の手術の入院生活を終えて退院の時、病院付属の薬局で、細長く切った脱脂綿と紙絆創膏を渡されて、非常に強いショックを受けたと言っていました。そんな対応で、日常生活のQOLを維持できるはずはないのです。彼は、その薬局を出て、コンビニエンスストアに立ち寄り、生まれて初めて女性の生理用品を買ったのです。

◆ 医者の中にも、話にならないような対応しかできない人がいる。というより、そういう医師がほとんどではないかと推測します。要するに、医師も含め、男性は「不当な性的偏見」に囲まれて生きているのです。例えば患者が、つまりは生理用品のない男性患者が、医師に対処の方法を尋ねる。そうすると医師は、「紙をはさんでおけばいい」などと、話にならない答えしかしないというのです。その背景には男性に対する、不当な、根強いジェンダーバイアスの存在がある。男性は、生理用品のような機能を持った製品や、下着を求めてはいけないのです。それは「男らしさの規範」に反するのです。そういう不当な性別観の呪縛の中で、男性は、強い不快感を抱えながら生活してきたのです。そしてそれは、排尿に関わる疾患の場合も同じであった。それが、ごく最近になって、ようやく、ユニ・チャームが、対応する衛生用品を販売するようになった。しかし、下着は今も存在しないのです。

◆ 関連して、補足します。先日、災害対応のラジオ番組で、ある大学の先生(女性)が、「避難所で小集団をつくり、班長を決め、被災者のニーズを引き出す」という方法を提示していました。それは、「声になりにくい声を引き出す」という意味で、良い方法だと思います。しかし、ニーズを隠す人はいるでしょう。男性ならばその性別観に縛られ、自分の弱さ、ニーズ隠すかもしれない。排泄の問題ならば、羞恥が手伝ってなおさらのことと思います。ですからせめて男性にも、女性と同じように、新しくきれいな下着を配ってほしい。そして、トイレや更衣室に対する配慮が欲しいのです。それは必要最低限の配慮のはずでしょう。

◆ 東日本大震災の時、「宮城登米えがおネット」という団体が、非常にひどい男性差別をしました。彼女たちは、女性だけを対象にアンケートを取り、下着のサイズまで調べ、一人ひとりに合った下着と共に生活用品を袋詰めにして、女性だけに配ったのです。本当にひどいと思います。それでは「男性は汚い下着で暮らせ」と言っているのと同じではありませんか。そして、内閣府男女共同参画局(以下:男女局)は、それが、女性限定配慮であっあにもかかわらず、あたかも優れた実践の典型であるかの如く、「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」の「解説事例集」に、「取組事例13」として掲載したのです。もしもその記事の下に、「男性に対しても同様の配慮が必要である」というような一文があれば、私は、この件について、男女局を批判しません。しかし、そういう配慮は全くなかったのです。

◆ 「かつて女性は差別されてきた」と、そういう言葉があります。それは例えば、社会進出のような事象であれば、確かにその通りなのです。そして、そういう女性差別は解消されなければならないのです。しかし「かつて男性は差別されてきた」と、それもまた事実なのです。その差別の根本には、「男らしさの規範」、「男性に対する性別観・性別役割」、「ジェンダーバイアス」の存在がある。そして、その結果としての男性差別が、東日本大震災でも、今回の熊本地震でも、上記の如く、明確に現れているではありませんか。

◆ 既にくり返し書いてきましたが、日本国憲法には13条(個人の尊重・幸福追求権)があり、14条(法の下の平等)があり、男女共同参画社会基本法には3条(男女の人権の尊重)があります。しかし、上述のようなボランティア団体、女性団体、そして、内閣府をはじめ、全国の男女共同参画部局は、東日本大震災で、この法の理念と明らかに乖離した女性優先・女性優遇の施策を展開し、それが、今回の熊本地震でも繰り返されているではありませんか。そのようなことで、良いのでしょうか?


2016年05月19日

熊本地震関連(2) そして 今の時代 

 今年の4月14日、熊本地震発災の夜、私は、ある高速道路のサービスエリアにいて、車の中でNHK・ラジオ第一を聞いていた。キャスターは初め、「子ども・お年寄りに配慮を」と言っていたが、やがてそれは「子ども・女性・お年寄り」に変わる。NHK内部で修正を求める発言があったのか、外部から圧力がかかったのかは知らないが、身体的にであるにしろ精神的にであるにしろ、弱さ、繊細さ、或いは障害を抱えた男性も配慮の対象とすべきはずなのに、男性はすべて配慮から外され、女性はその個性とは全く無関係に、すべてが配慮の対象となっていた。

 似たようなことが、一昨年の12月、福島で行われた災害対応シンポジウム(注1)であった。パネリストは5人、そのうちの1人は男性であったが、彼は、「災害弱者」を「子ども・お年寄り」として話しを始め、その言葉を発しながら、広い会場全体の、様子をうかがうそぶりを見せた。参加者の大部分は女性であった。そして彼は何回か同じ言葉をくりかえした後、会場に目を向けながら言ったのである。「もちろん女性もそうですけれどね・・・・」と。

    (注1)〜第3回国連防災世界会議に向けてのシンポジウム〜
               防災・復興における女性の参画とリーダーシップ

 私は、「いのちの電話」の、ある女性相談員の言葉を思い出す。彼女は、今も社会を広く覆う男性に対するジェンダーバイアスが、同調圧力を伴いながら男性に強要する画一的性別役割の、不当性を訴える私の思いを、非常に良く受けとめてくれた。それは、単に相談員としての研修で磨かれた技術によるものではなく、彼女の、一方の性に偏ることのない人権尊重の思いの、証しであったと私は思う。しかし彼女は、電話の最後に、いみじくも付け加えたのである。「でもね、私みたいなことを言う女性は少ないんですよ。だって、女はみんな自己中心なんです・・・」と。

 誠実な女性に対しては、誠に申し訳ない言い回しにはなるが、近年の日本を侵食する様々の女性優遇の中で、女性たちは、意識するしないに関わらず、女性は特別な配慮を与えられる権利を持った特別な存在であるとして、自己本位性を伴った幸福感を膨張させられるようになった。彼女たちに与えられるものは、既に女性差別解消の域を逸脱しているが、しかし彼女たちは、男らしさの規範から脱却できない不器用な男たちを尻目に、したたかに、当然のごとく、その女性優遇を享受する。

 「かつて女性は差別されてきた・・・」と、そいう言葉が、乱雑に、或いは巧妙に、自己本位の利益誘導のために意図的に使われる時代。そして、それを受け入れるのが「男らしさ」であるかの如き規範を、仮に言葉には出さずとも、内実として、暴力性を孕んだ同調圧力的強制力をもって男性に要求する男たちが、社会の上層部にも、日常の中にも、支配的影響力を持って存在する。マスコミの論調もまた女性優先・女性優遇に彩られ、例えば少子化対策も、女性側への支援に傾斜し、恐らくは今もなお「男性である責任」を重く背負いながら、非正規にあえぐ男性の苦悩、そして、増える非婚、離婚、壊れていく男女の愛、そういう問題に、社会は、「両性の人権」を尊重する視点で、光を当ててはいないと思うのである。

 災害対応であれば、特に東日本大震災を中心として繰り返し指摘してきたように、内閣府であろうが全国の自治体であろうが、「男女共同参画」と名のつく部局は、私の知る限りすべて、「男女共同参画の視点」という美しい言葉を掲げながら、しかしその内実は「女性優遇・女性優先・女性限定の視点」の施策を、これまた自己本位極まりない女性団体と共に、平然と展開し続けてきたのである。

 災害対応だけではない。国民への健康支援の問題にしても、既に「第四次男女共同参画基本計画」関連の記事に記してきたように、命の危機は、厚労省の客観的データが示す如く男性に顕著であるにもかかわらず、男女局は、「男性」を捨象した「生涯を通じた通じた女性の健康支援」という、実は厚労省母子保健課が既に平成8年から行なってきた施策と同名の施策を、つまりは厚労省に上乗せする形で展開する一方で、男性の命の危機への支援は厚労省に丸投げし、そのスタンスには、男性への真摯な対峙は存在しないのである。

 熊本地震発災の夜、NHKラジオを聞きながら様々の思いが心をよぎり、私はキャスターの言葉を放置できなかった。男性の人権を軽んじるメッセージを、NHKが、その社会的影響力と共に、全国に拡散させているのである。私は、時間外かとは思いつつも、翌朝まで待つことができず、NHKふれあいセンターに電話を入れた。男性職員が私の電話を取った。相手の心は、声のトーン、言葉のトーンでわかる。彼はマニュアルに沿って事務的な対応をしただけで、私の思いを受けとめてはいなかった。私は、帰宅の後、車の中で仮眠のような時を過ごし、午前3時頃、再びNHKに電話を入れた。受話器から録音メッセージが流れた。発言は録音対応であった。翌朝、私は再びNHKに電話を入れた。私がどのような発言をしたかは、私のブログを以前から読んでくださっている方は、察してくださるのだろうと思う。思いが溢れ、語りきれない私に、対応した女性職員は電話の終了を告げた。私は苛立ち、再び電話を入れた。別の女性職員が電話を受けた。昨晩からの経過を話す私に、彼女の身構えるのがわかった。しかし彼女は電話を切ることはなかった。

 以後、5月2日までの間に、私は、熊本地震に関わる情報収集を進めながら、西日本新聞・東京新聞・産経新聞・静岡新聞・河北新報・内閣府男女共同参画局・栃木県男女共同参画・登米市男女共同参画・宮城県男女共同参画・減災と男女共同参画推進センター・内閣府防災・埼玉坂戸防災・ピースウィンズジャパン・登米えがおネット(解散するも取材は継続)・イコールネット仙台等に、問合せと要望の電話をかける日々が続いた。


2017年01月19日

東京防災:女性版(1)

 小池百合子という人が「『東京防災・女性版』を発行する」というニュースが流れている。そのURLと本文は、この記事の末尾に記す。私は、彼女が「政治塾」の入会金を、男性5万円、女性4万円とした時から、彼女には、「初めに女性優遇の結論ありき」の体質があるのではないかと懸念してきたが、それが、この「東京防災・女性版」にも現れるのではないかと、強く危惧している。もとより、私がブログを立ち上げるに至った契機は、災害対応をめぐる、内閣府男女共同参画局の男性差別の施策にあったが、以後、今日に至るまで、全国各自治体の男女共同参画部局や 各種団体を含めて、その施策に、男性の人権を軽視あるいは無視するスタンスを、強く感じ続けてきた。避難生活にあっての、プライバシーへの配慮であるにしろ、支援物資であるにしろ、相談体制であるにしろ、男性は、その個性や、個人が置かれている状況とは全く無関係に、配慮から疎外される存在として、差別され続けてきたのである。私は、その理不尽が、この「東京防災:女性版」にも現れるのではないかと、強く懸念している。

 私は、この「東京防災・女性版」に関わって、ある知人に次のような内容のメールを送信した。

【知人への送信メール】

 小池都知事の「東京防災:女性版」について、東京都庁・総合防災部・防災管理課に、問い合わせと発言の電話をしましたので報告します。電話を受けた職員によれば、今は「小池知事から、東京防災女性版の内容を検討するよう指示が下りた」段階で、「これから検討が始まる」とのことでした。電話は、途中、私の都合で一時中断しましたが、合計で2時間程度だったと思います。私の発言のスタンスは、以前 紹介させていただきました私のブログの、熊本地震に関わる二つの記事に示されていると言って、概ね誤りはありません。電話は、最終的には、私の発言を「課内で共有する」という担当者の発言で収束しましたが、途中、私が感情的にならざるを得ないような場面もありました。電話だけでは不足ですから、私は、後日、要望書を作成して郵送します。他に、メール・FAXによる方法もありますが、「都民の声・総合窓口」の某職員によれば、できるだけ都知事に近い位置に要望を伝えるためには、下記の宛名で要望書を送付するのがベスト、とのことでした。

      〒 163−8001 東京都 新宿区 西新宿 2−8−1
                     東京都庁 ・・・・・(以下:略)・・・・・・

 なお、「東京都庁総合防災部」と直接の関係を持てる部局ではありませんが、昨年、熊本地震関連で、ある防災部局に電話をしたとき、たまたま、私のスタンスを共感的に受け止めてくださる人に出会えましたので、今回も電話をして、短時間お話しをさせていただきました。私の、「『東京防災:女性版』が作られれば全国に波及する」という発言に対して、その人は、「全く、その通りだ」と言っておりました。
 ところで私は、15日に、東京で行われた「LGBT成人式」に参加しましたが、会場には多数の議員が来ておりました。彼ら彼女らは、「口々に」と言って過言ではないくらい、「多様性の認識と人権の尊重」を趣旨とする発言をしていた印象がありますが、今の日本の社会状況を見ると、多様性という言葉は、主に、「女性・高齢者・子供・LGBT」の存在を語るために使われている印象が強く、「男性」という集団に内在する多様性には光が当てられていないと強く感じます。男性は未だ、「男性はこうである。こうあるべきだ。」というような、「ジェンダーバイアスに支配された性別観」、言い換えれば「男性の多様性を無視した、外部注入的な画一化された性別観」に強く縛られる傾向が強いと思います。「避難所で着替えがしにくい」というのは、現実には、下記のニュース中に記された小池都知事の発言のような「女性の観点」ではなく、私のような「男性の観点」でもあるのです。以前「仙台いのちの電話」に電話がつながった時、受けた女性相談員は私に言いました。「私の夫も、布団の中で着替えをしていました・・・」と。

【追記】 私は、「東京防災:女性版」について、東京都の男女平等参画部局にも電話をしている。時間は、1時間程度であったと思う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆ 当該ニュース ◆
   「東京防災」に女性版=舛添氏の施策継承−小池都知事
                  時事ドットコムニュース 2017/01/07-19:27
       http://www.jiji.com/jc/article?k=2017010700227&g=soc
(記事全文)
 東京都の小池百合子知事は7日、防災ブック「東京防災」の女性版を新たに発行すると発表した。2017年度予算案に関連費用3億円を計上する。小池知事は予算査定後、都庁で記者団に「避難所で着替えや授乳がしにくいなど、女性の観点で考えなければならないことは多々ある」と述べた。
 東京防災は、舛添要一前知事がスイスの取り組みを参考にして、15年に750万部を印刷、都内の全戸に無償配布した。実用的な内容が反響を呼び、一般販売も始めた。小池知事は「都民の間でも評価が高いので、切り口を変えてよりきめ細やかにしたい」と語った。

・・・・・ 同名の記事(2)に続く。


2017年04月07日

東京防災:女性版(2) ・・・ 要望書

小池百合子東京都知事発案の「東京防災:女性版」について、
小池都知事と、東京都の総合防災部防災管理課に「要望書」を送った。
内容はどちらも同じである。
今回は、その要望書を掲載する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                              平成29年4月5日
東京都知事 小池百合子 様
                                ( 翠 流 )
               要 望 書

            「東京防災:女性版」ではなく、
        男性にも配慮した「東京防災:改訂版」の刊行を。

 平成23年(東日本大震災発災)以降の災害対応について、内閣府や被災自治体の男女
共同参画部局・防災部局・各種女性団体・ボランティア団体等の施策を見てきた一人の国
民として、小池百合子東京都知事発案の「東京防災:女性版」の刊行について発言させて
いただきます。この要望書の前半には、私の基本的な認識を記し、後半に、具体的要望を、
項目別に記します。

 東日本大震災であるにしろ、熊本地震であるにしろ、「女性の視点」という表現のもと
に、「女性への配慮」ばかりが強調される中で、男性が配慮から疎外され、「不当な我慢」
を強いられてきた事例が数多くあったと、強く感じています。以下に述べる具体的事実、
例えば、「着替え」等の問題を考えてもわかるように、「女性の・・・」として語られる視点
は、実際には「男性の中にも」存在します。同じ「男性」であっても、感受性や、身体的
特徴は様々です。「男性」にも「多様性」が存在するのです。しかしそれを「男性は・・・」
「女性は・・・」という二項対立的視点によって単純化し、「女性の視点」の名のもとに「男
性を不当に疎外」した「女性限定・女性優先の配慮」が、東日本大震災にも熊本地震にも、
非常に多くあったと感じています。

 本来、尊重されるべき人権は女性だけにあるわけではなく、男性にもあるはずです。広
く言えば、人間には、単純にカテゴライズできない「多様性」があり、その「多様性の認
識」と「多様性をふまえた平等な人権尊重の視点」が、災害対応に限らず、全ての人権尊
重の基本的視点として据えられなければならないと思います。それは、倫理的な意味だけ
ではなく、法的にも保障されているはずです。憲法第13条には「個人の尊重」が謳われ、
14条には「法の下の平等」が、そして、男女共同参画社会基本法第3条には「男女の人
権の尊重」が謳われています。

 多様性に関わって、性的マイノリティーとしての、「LGBT」の人たちへの配慮について
は、この要望書の最後に、該当団体等のニーズの把握を要望する旨を記します。ここでは、
まず、小池都知事の「東京防災:女性版」という表現を受けて、私を含め、「男性」とカテ
ゴライズされる人たちの立場から発言します。

 今までの災害対応で、男性が配慮から疎外されてきた理由の一つとして、「男性に対す
る性別観」「男らしさの規範」「性別役割」の問題があると思います。時代の流れと共に
若干の変化があるとはいえ、男性は今も、過去からの性別観に強く縛られていると思いま
す。「男性は我慢しなければならない」、「男性は女性を優先しなければならない」、「男性
は強くなければならない」、「男性は一人で苦しみに耐えなければならない」、「男性は女性
を守らなければならない」、「男性は、男性に対する災害対応に不満があっても、それを口に
出してはならない」・・・等、要するに、このような「初めに女性優遇の結論ありき」の性
別観が、男性と女性の関係、男性どうしの関係、そして男性の社会的位置を規定し、災害
対応に強い影響を与えてきたと思います。

 加えて、このような性別観の呪縛の中で、それを背景として形成・増幅された「男性に
対する不当な性的偏見」が、男性を、配慮から一層強く疎外してきた現実があると思いま
す。例えば、避難所での着替えの問題。東日本大震災であるにしろ熊本地震であるにしろ、
避難所に女性専用更衣室だけが設置され、男性には更衣室が与えられない事例が多数あり
ました。その背景には、「羞恥心を持つのは男らしくない」というような、ジェンダーハ
ラスメント如き「性別観」・「男らしさの強要」だけでなく、実際には「羞恥心の強い、敏
感な男性」がいるにも関わらず、羞恥心の弱い男性の特徴だけがあたかも男性の一般的特
徴であるかの如く歪曲された「不当な性的偏見」が、「男性は我慢しなければならない」
という性別観と相まって、男性を、更衣室設置の配慮から強く疎外してきたと思います。

 今回の「東京防災:女性版」のニュースの中に、小池都知事の、「避難所で着替えがし
にくいなど、女性の観点で考えなければならないことは多々ある」という発言がありま
した。しかし、実際には、着替えがしにくかったのは女性だけではない。男性更衣室のな
い避難所で、布団の中で着替えをしなければならなかった男性がいたことも確かな事実な
のです。更衣室は、性犯罪防止だけのために設置されるものではありません。それ以前に、
人間の尊厳に関わる羞恥への配慮として不可欠なもののはずです。男性にも羞恥心の強い
人はいます。羞恥心の弱い男性ばかりではないのです。人間としての尊厳を守るために、
男性にも更衣室が必要なのです。

 物資の配布についても同様です。東日本大震災の時、女性だけに新しい下着・ハンドク
リーム・裁縫箱・化粧品・生理用品等の生活用品を配布して、男性には生活用品を全く配
布しない団体(「宮城登米えがおネット」)がありました。本当にひどい男性差別だと思
います。熊本地震でも同様の現象がありました、昨年の秋、私が熊本市男女共同参画セン
ター(はあもにい)に問い合わせの電話をしたとき、館長は確かに言ったのです。「そう
いえば私たちのセンターに届いたのは女性用下着だけでした」と。「男女共同参画」なら
ば男女両方の下着が手配されるべきなのに、なぜ「女性用下着だけ」なのでしょうか。

 下着の配布に関わって言えば、確かに女性には生理があるでしょう。しかし男性の中に
も、「肛門疾患や排便障害をかかえて、女性の生理用品を使用している人がいる」という
ニュースが、一昨年の秋、インターネットで流れたのです。女性の生理用品が進化する一
方で、男性のQOL(生活の質)が、いかに「なおざり」にされてきたかが、このニュー
スから推察できるはずと思います。男性は、日常の中でもそういう扱いをされるのです。
泌尿器系の疾患でも同様のことがありますし、たとえ健康な男性であっても、汗等の分泌
物を考えれば、男性の下着を軽視してよいはずはないでしょう。男性に下着を配布せずに
男性の体臭の悪口を言うなど、まさに、ダブルスタンダードの男性差別、ひどい人権侵犯
ではありませんか。更に踏み込んで、はっきり言えば、特に若い健康な男性が、夜、睡眠
中に下着を汚すことがあることは、女性も、中学や高校の保健の授業で習ったはずではな
いでしょうか。このような現実があるにもかかわらず、なぜ、女性だけに下着を配布する
のでしょうか。

 物干し場も同じです。性別の物干し場は、性犯罪防止だけのために設置されるものでは
なく、それ以前に、プライシーへの配慮の意味があるはずです。男性の中にもプライバシ
ーに配慮した物干し場を求める人がいます。例えば私は、現在の住宅街に居住して24年
になりますが、洗濯をして、ズボンの下に身につけていた下着を、人に見える場所に干し
たことはただの一度もないのです。全て部屋干しなのです。そういう男性もいるのです。
物干し場は、女性用だけではなく、男性用も必要なのです。

 トイレの問題も同じです。広島県にある「ピースウィンズジャパン」というボランティ
ア団体は、熊本地震に際して、益城町に12基の仮設トイレを送りました。しかし、その
うちの10基は女性用、2基は「身体に不自由のある方」用で、男性用は全くなかったの
です。男性は汚れたトイレを使うしか術がない。男女のトイレ所用時間の比は約3:5と
認識していますが、それを考慮しても、男性用が全くないのは、余りにもいどい男性差別、
人間の尊厳と健康に関わる重大な差別ではないでしょうか。

 「女性専用スペース」についても同じことです。性犯罪防止・プライバシーへの配慮だ
けではなく、そのスペースに様々の配慮を加えて、「女性専用の『幸せスペース』」とし
て、女性だけへの配慮を膨張させていった自治体が、東日本大震災の時、福島県にあった
(郡山市)。具体的な内容は後述しますが、男性に対しては、そういう配慮は皆無だった
のではないでしょうか。

 長期的な復興の過程も含めて、精神的なケアも男女両方に対して必要です。特に、男性
の「震災関連自殺」が気になります。平成24年版男女共同参画白書(全体版)によれば、
平成23年6月から24年2月までの、「東日本大震災関連自殺者」の、75.4%が男性
だったのです。加えて、男性のアルコール依存の増加、仮設住宅での孤立化傾向も指摘さ
れています。しかし、このような現実があるにも関わらず、内閣府男女共同参画局が行っ
てきた震災関連相談事業は、「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」であって、男
性は相談の対象からはずされているのです。全国レベルで見れば、男性に対する相談体制
も、少しずつ整備される傾向はありますが、余りにも遅々としています。その背景には、
恐らくは、「男性は強くあるべき配慮不要の存在」という性別観が色濃くあり、男性の自
殺が毎年明らかに女性より多いという現実も、この問題と無関係ではないと思います。

 発災直後の避難に関わる対応も気になります。数年前でしたか、大地震を想定して、関
東地方のあるホテルが「女性を優先的に受け入れる」という発言をしたことがあります。
しかし男性は誰もが強いわけではない。身体的な、或いは精神的な弱さをかかえた男性も
いる。そういう男性は「男だから死んでもしかたがない」のでしょうか。「強い男性」で
あっても、都市が破壊される大地震の前には、無力ではないでしょうか。発災直後の避難
スペース、そして帰宅困難者の収容スペースを手配するとき、男性に対する配慮は、後回
しでもよいのでしょうか。

【具体的要望】
 ◆ 以上のような認識をふまえ、「東京防災:女性版」の刊行ではなく、男性に対しても
  下記のような配慮を加えた、「東京防災:改訂版」の刊行を、強く要望します。

1.備蓄・・・・・ 女性や乳幼児に必要な生活用品の備蓄については、非常に多くの場面で、
    その必要性が具体的に語られてきたが、男性については、配慮の文章を見たこと
    がない。男性は人間として扱われていないと感じる。ひどい男性差別である。声
    にならない声、隠されたままのニーズ、身体的な問題への配慮を含めて、次のよ
    うに要望する。

  @ 下着類・・・・・男性用下着も充分に備蓄しておくこと。男性に生理はないが、Aに
      述べるような疾患を持った男性がいる。健康であっても、発汗等の分泌物に
      よる汚れは、男性の場合、顕著であろう。男性が被災地で肉体労働の主役と
      ならなければならない現実等を考えれば、一層、充分な下着の備蓄が必要で
      ある。更に踏み込んで言えば、特に若い男性の場合、睡眠時に下着が汚れる
      こともある。女性だけでなく、男性にも充分な下着の備蓄が必要である。

  A 衛生用品・・・・・既に記したように、肛門疾患や排便障害をかかえる男性が、女性
      の生理用品を使用しているというニュースが、一昨年の秋に、インターネッ
      トで流れた。女性の生理用品が著しく進化する中で、このような疾患を持つ
      男性のQOL(生活の質)は、著しく軽視されている。排尿に関わる疾患も
      同様である。専門的な知識を持つ立場の人の見解も聞き、対応可能の衛生用
      品の備蓄が必要である。ただし、注意しなければならないことがある。特に
      男性医師の中には、このような配慮に耳を傾けない人がいる。男性に対する
      「不当な性的偏見」、「男性にそのような配慮は必要ない」という「ジェン
      ダーハラスメント」の如き性別観を持つ男性医師は珍しくない。男性患者は、
      このような医師から人権軽視・無視の扱いを受けるのである。

2.発災直後の対応 ・・・・・ 男性は「強い」・「強くあるべきだ」とされ、避難時の配慮か
    ら疎外される傾向にある。「弱い男性は死んでもしかたがない」と言うが如きで
    ある。弱者男性に対する残酷な、非人道的な対応である。強い男性であっても、
    都市が破壊される大地震の前に、その「強さ」は殆ど無力であろう。女性に対し
    てだけではなく、男性に対しても「安全」を確保すべきである。

  @ 避難スペース・帰宅困難者収容スペースの確保・・・・・この件について、各種施設
      と協定を結ぶ場合、女性だけではなく、男性に対しても、安全なスペースを
      確保すること。各種施設に対しては、男女共同のスペースだけでなく、プラ
      イバシーへの配慮・性犯罪の防止等を考慮し、男女別のスペースを確保する
      よう要請すること。今までの災害対応では、専用スぺ―スが女性だけに与え
      られ、男性には与えられないことがあったが、男性の中には、プライバシー
      への配慮がないと、非常に強いストレスを感じる人がいる。「男だから」と
      いう「不当な性的偏見」を捨て、男性にも専用スペースを確保すべきである。

3.避難所・・・・・各地域で避難所を開設するにあたって、更衣室・トイレ・物干し場・休
    養スペースの設置等について、女性に対する配慮ばかりが優先され、男性が不当
    な我慢を強いられることが非常に多くあった。授乳室は女性への配慮であろうが、
    その他は全て男女両方に配慮すべきである。男性の中にも、羞恥・プライバシー
    ・清潔等への配慮を強く求める男性がいる。感受性の弱い男性ばかりではないの
    である。「男性は我慢をするべきだ」というような「不当な性別観の強要」では
    なく、男性の人権にも配慮した避難所の開設をするべきである。男性だけに我慢
    を強いてストレスを増幅させる避難所運営はやめてもらいたい。

  @ 更衣室・・・・・必ず男女別更衣室を設置する。一つしかない場合は、男女交代で使
      用できるよう配慮する。

  A トイレ・・・・・ 必ず男女別トイレを設置する。所用時間については、男性と女性の
      比は約3:5と理解しているが、男性のトイレを不当に少なくするのはやめ
      てもらいたい。排泄は、健康だけでなく、人間の尊厳に関わる行為である。
      男性の小用にも必ずトイレを確保してもらいたい。

  B 衛生用品・・・・・ 上記1−Aに書いたように、肛門疾患・排便障害・排尿障害等を
      かかえた男性にも衛生用品が必要である。男女別のトイレに、それぞれの衛
      生用品を置くよう、配慮が必要である。

  C 物干し場・・・・・ 男性の中にも、例えば私のように、ズボンの下の下着は必ず部屋
      干しにする人がいる。性別の物干し場は性犯罪防止だけのために作られるも
      のではない。プライバシーへの配慮が必要である。女性用だけではなく、男
      性用の物干し場も設置する必要がある。

  D 休養スペース・・・・・ 女性専用スペースだけを設置し、男性には家族スペースしか
      与えられない避難所が目についた。福島(郡山)の例を「7枚中の3」に書
      いたが、熊本地震ではNHKラジオの報道の中にあったし、「青森被災地の
      地域コミュニティー再生支援事業実行委員会」や栃木県の男女共同参画が作
      成した「避難所のつくりかた」の冊子も同様であった。他の自治体は調べて
      いないが、同様の避難所はかなりあったのではないかと推測する。単身女性
      や女性だけの世帯への配慮としてだけではなく、福島の場合は、発災から半
      年近くの間に、女性専用スペースに、喫茶コーナー、料理会、手芸教室、弁
      護士相談、マッサージ等を導入し、「女性の幸せスペース」として膨張させ
      ていった。青森の場合も同様である。女性専用ルームだけを設置し、その説
      明文には「お茶・お菓子・ドライヤー・鏡付きの一角」を書き、チェック項
      目には「身だしなみセット・洗面器」から「アロマオイル」まで書いた。し
      かし、同等の配慮は、男性に対しては全くなされていなかったのである。例
      えば被災地で、肉体労働を背負う主役は男性になるだろう。それはそれでよ
      いと私は思う。しかし、肉体労働で衣服は汚れ、心身共に疲弊して避難所に
      返ってきた男性が、周囲に気兼ねなく休息できる部屋、身づくろいができ、
      心身に癒しを与えられるスペースを、なぜ男性には用意しないのか。その、
      女性たちの自己中心性が、私には全く理解できないのである。後述する精神
      的支援の問題にも関わるが、男性は苦しみを一人で背負いやすく、被災地で
      の孤立化傾向も指摘されてきた。男性どうしで心を通わせる場が、避難所の
      中にも必要である。休養スペース・専用ルームは、女性用だけではなく、男性
      用も設置する必要がある。

4.被災者に対する精神的支援・・・・・中央大学の山田昌弘氏は、ワレン・ファレルの著書
    「男性権力の神話」(久米泰介訳:作品社)の推薦文の冒頭で、次のように述べ
    ている。
         なぜ女性のつらさは問題にされるのに、
              男性の生きづらさは問題にされないのだろう。
                    (中央大学教授 山田昌弘)

     この山田昌弘氏の指摘は、まさに今までの災害対応全般にもあてはまっている。
    精神的支援の問題については、この要望書の「7枚中の3・4」で、男性に顕著
    な「震災関連自殺」・「アルコール依存の増加」・「孤立化傾向」について触れた。
    しかし、このような事実があったにも関わらず、内閣府男女共同参画局は、男性
    を相談事業の対象からはずしてきたのである(「被災地における『女性の』悩み
    ・暴力相談事業」)。これもまた、「現実との乖離」・「男性の苦しみの軽視」・「男
    女共同参画社会基本法第3条との乖離」として、私には受け入れることができな
    い事実なのである。日本の男女共同参画運動の範を示すべき内閣府男女共同参画
    局が、なぜ男性の危機と真摯に対峙しないのか、私には理解できない。男性は、
    男性に与えられた「性別観」・「男らしさの規範」・「性別役割」のゆえに、責任や
    苦しみを一人で抱えやすく、追い詰められやすい。全国の男性相談体制は、少し
    ずつ整備され始めてはいるが、私の眼から見れば、自殺の現実と乖離して、余り
    にも遅々としている。「東京防災」については、震災という極限状況の中での男
    性の苦しみにも光をあて、全ての人に対する相談体制を整備してもらいたい。

5、性的マイノリティーへの配慮・・・・・最後に、男女の枠を越えて、「LGBT」の人たち
    への配慮について発言します。数年前、「日本性同一性障害と共に生きる人々の
    会(gid.jp)」が、文部科学省に対して、「学校での、性同一性障害の児童・生徒
    に対するトイレの配慮」について、要望を提出したことがありました。災害対応
    についても、「LGBT」の人たちは、それぞれの立場から要望を持っているは
    ずです。東京都としても、関連団体等からの情報収集を行い。必要な配慮を、「東
    京防災:女性版」ではなく、「東京防災:改訂版」に組み入れるよう要望します。

◆ 以上、小池百合子東京都知事発案の、「東京防災:女性版」の刊行について、主に、
 女性だけではなく男性の人権にも配慮する立場から、「東京防災:改定版」への修正を
 求める発言をさせていただきました。繰り返しますが、人権は女性だけにあるわけでは
 ない。男性にも人権はあるのです。既に述べたように、男性に対する過去からの「性別
 観」・「男らしさの規範」・「性別役割」には、男性に対する「不当な性的偏見」「耐える
 ことの強要」が、色濃く含まれています。それに呪縛されることなく、「男性」とカテゴ
 ライズされる人たちに内在する「多様性」・「様々の身体的特徴・精神的特徴・感受性」
 に目を向け、女性だけではなく、男性にも配慮した災害対応を展開してくださるよう、
 強く要望します。
                                   (以上)


2018年07月25日

西日本豪雨関連

 産経WESTに掲載された西日本豪雨関連の記事(下記)の女性限定配慮について、知人のTさんから情報を得て、私は23日に産経新聞社読者サービス(大阪:06-6633-9066)に抗議の電話を入れた。併せて、被災地での男性の人権に関わる私の思いを、Tさんへの返信の形でここに記事としてアップしたが、それと同じ内容の意見書を、私は産経新聞に送信しており、記事をその意見書と差し替えることにした。文章表現は意見書の形となっているが、内容はTさんへの返信と同じである。(2020/06/20 記)

【記事名】 [西日本豪雨] 
  長引く避難所生活 … プライベート空間少なく悩む女性 少しずつ改善も疲労ピーク
                  産経WEST : 2018.7.20 06:15更新
   http://www.sankei.com/west/news/180720/wst1807200007-n1.html
                      (全文は、この記事の末尾に掲載する)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【産経新聞社への意見書】
                  読者サービス(大阪)
                      Eメール:o-dokusha@sankei.co.jp

産経新聞社 読者サービス(大阪) 様

次の記事について発言します。
   産経WEST:2018.7.20 06:15更新
     [西日本豪雨] 長引く避難所生活
        … プライベート空間少なく悩む女性 少しずつ改善も疲労ピーク
          http://www.sankei.com/west/news/180720/wst1807200007-n1.html

 東日本大震災や熊本地震等の災害対応について、様々の部局・団体等に、男性のプライバシーへの配慮を求める発言をくりかえしてきた(翠流)と申します。今回の西日本豪雨でも、貴社や山陽新聞の記事として、女性限定支援のメッセージばかりが拡散する中で、私のような男性は、ストレスと疲弊が強くなるばかりです。私は既に、被災より、男性への配慮のない避難所を恐れるようになっています。

 プライバシーへの配慮は、基本的には、性犯罪の防止だけではなく、それ以前に、人間の尊厳に関わる羞恥への配慮として、性別とは無関係に、全ての人に為されなければならないと考えますが、男性は、常に配慮から疎外されるのです。確かに男性の中には羞恥心の弱い人もいますが、逆に、羞恥心の強い男性もいるのです。しかし、そういう事実と乖離して、男性は、「男性である」という理由によって配慮から疎外される。それは、「男性であるが故に与えられる不当な性的偏見に基づくジェンダーハラスメント」です。そしてその男性差別は、災害対応に限らず、日本の社会の、あらゆる場面に存在するのです。

 男性に対する配慮の必要性について、具体的に発言します。私は、ある地方都市の住宅街に住んで26年になりますが、洗濯をして、ズボンの下に着けていた1枚の下着を、人に見える場所に干したことは唯の一度もありません。全て部屋干しです。私は、人に下着を見られるのが嫌なのです。ですから、もしも私が被災して避難所に行けば、パーティションで仕切られた私個人の空間に下着を干したいと思うし、それができなければ、少なくとも下着は、男性専用の物干し場に干したいのです。しかし、今まで、報道等で拡散してきたメッセージは、「女性専用物干し場」の設置ばかり。私のような男性のニーズは、完全に無視されています。着替え・更衣室の問題も全く同じです。避難所には、男性更衣室も必要なのです。

 今回取り上げた記事には、女性の生理用品のことが記されています。それは、今まで男女共同参画部局から拡散してきたメッセージと同じ内容ですが、関連して、男性に必要な衛生用品、具体的には尿失禁・便失禁等に対応する用品について書かせていただきます。男性への配慮がなされない理不尽を語るために、私はあえて自分のことを書きますが、私は、ある時期から残尿に悩まされるようになりました。通常の小用だけでは完全に排尿することができず、会陰部を押して残尿を排泄せざるを得なくなったのです。私はこの頃から、外出時に多目的トイレ(なければ個室)を常用するようになりましたが、実は、この半年余りは、会陰部を押しても排泄しきれない状態になっていました。完全に排尿したつもりでも、例えば、椅子に座って腹圧がかかると、本当に少量なのですが尿が漏れるのです。そして、本当に偶然の幸運だったと思うのですが、私は、あるスーパーマーケットの店頭で、ユニ・チャームが作った男性の尿失禁対応の「ライフリー・男性用さわやか超うすパッド」を知ったのです。私はその、最も小さい「微量用(10t)」を使っていますが、QOLは圧倒的に改善されました。ズボンは勿論のこと、下着も全く汚れないので、強い安心感を得られるのです。ただ、買う時が困る。他人に知られたくないのです。異性であっても、同性であってもです。ですから私は、いつも、セルフレジのある店で、他人に気付かれないように、この製品を買っています。ですから、今回の産経WESの記事に、「生理用品など女性用支援物資は、男性からは受け取りにくい」という一節がありますが、私には、その気持ちが、それ以上にわかるのです。なぜなら私は、「尿漏れパッド」を、女性から受け取るのも、男性から受け取るのも嫌ですから。

 関連して、熊本地震の時の、内閣府男女共同参画局(以下、男女局)の対応を紹介させていただきます。男女局の災害対応の窓口は、以前から、Aさんという女性が担当していましたが。熊本地震発災の年には、同じ部署にBさんという女性が着任していた。そのBさんが、熊本の被災地に赴いて女性専用トイレの写真を撮り、範として、男女局のHPに掲載したのです。その写真には、女性用品がきちんと整理されて置かれていました。しかし、同様の配慮は、男性に対しては皆無だったのです。身の回りに配慮する能力は、個人差は勿論ありますが、一般的には、男性より女性の方が優れていると思います。それは、力仕事の能力が、女性より男性の方に優れているのと同じだと思います。そして、男女局は、その、女性の「身の回りに配慮する優れた能力」を、女性だけのために使っている。「男女共同参画」という言葉は嘘です。男女共同参画部局の内実は、「初めに女性優遇・女性優先・女性限定の結論ありき」の女性支援センターです。そして、男性支援センターは、社会には存在しないのです。

 先日私は、男性衛生用品の普及、開発について、ユニ・チャームのお客様センターに電話をしました。そして、相談員の女性との会話の中で、私が知らなかった製品の話も聞いた。それは、男女共用の、少量の便失禁に対応するパッドです。ですから、このような、排泄障害に対応する製品を、避難所の、該当する男性被災者に渡すのではなく、あらかじめ、男性専用トイレに置くことが、既に可能な状況になっているのです。しかし、そのような配慮をしている災害対応部局は、まだどこにも存在しないのではないでしょうか?

 産経WESTの記事には、女性専用洗濯機の設置も取り上げられていました。しかし、男性専用洗濯機は、どこにも書いてありません。日常も非日常も、日本は女性専用ばかり。凄まじい「女性専用化社会」。どうして男性専用洗濯機を設置しないのでしょうか? せめて下着用だけでもいいから、男性専用洗濯機を設置してほしいと私は思う。男性は、鈍感な人ばかりではないのです。なぜ社会は、男性に対してそういう配慮をしてくれないのでしょうか? 避難所に必要なのは女性専用だけではないのです。「男性用トイレ」「男性用更衣室」「男性用休憩室」「男性用物干し場」「男性用洗濯機」。要するに、全て、「男女別」に、両方を作るべきなのです。女性用だけがあって男性用がないのは、「男性に対する不当な性的偏見に基づくジェンダーハラスメント」です。もしも男・女という二項対立的な視点で、それぞれの傾向から「女性専用だけ」を作るとすれば、それは、「男性に対する統計的差別」です。「統計的差別」の意味がわかりにくければ、たとえば就職試験で、「女性は結婚や出産で退職する場合が多いから採用しない」とすれば、それは区別ではなく、傾向を不当に使った女性に対する「統計的差別」です。それと同様の「男性差別」が、東日本大震災でも熊本地震でも行われ、今回の西日本豪雨災害でも行われているではありませんか。
 
 同じ「男性」であっても、感受性・心の在り方は様々です。「配慮を必要としている男性」「配慮を求めている男性・求めたい男性」はいるのです。しかし男性は、恐らくはその不器用さと、「男だから我慢しなければいけない」という性別観の呪縛のために、自分のニーズを表面に出せない、或いは出さない場合が多い。7年前、東日本大震災が起こった年の12月に、私は、私の居住県の男女共同参画部局のCという女性と、災害対応について話しをしました。その会話の中で彼女は「でも男性からは声があがってこない」と言った。現在も行われている女性限定相談の件も含め、彼女は、男性に対しては全く配慮をしない、視野狭窄の、自己中心的な女でした。この件について私は、同日、内閣府男女共同参画局の課長補佐を務めていたDさんと話しをしました。その時彼は、Cの発言を否定して言った。「そうではない。声があがってこなくても、それは、あるはずのニーズとして、配慮をしなければならない」と。しかし、彼の声は、男女共同参画局の中に届いたとしても、その一部でしかなかったと思います。それは、男女局の今日までの施策を見ればわかります。男女共同参画運動は、初めに女性優遇の結論ありきの、自己中心的なフェミニズム運動です。そして、それが拡大する社会状況の中で、女性優遇に忖度的に同調する男性差別のスタンスが、今回の産経WESTの記事にも強く表れていると思います。男性であれ女性であれ、人間は多様です。その多様性の認識と、それを踏まえた平等な人権尊重が、日常でも、非日常でも、為されなければならないと思います。それは、倫理的な意味だけでなく、憲法第13条、そして14条によって保障されているはずです。

 以上、今回取り上げた産経WESTの記事につきまして、人間の多様性の認識と、それを踏まえた平等な人権尊重を立脚点として、発言をしました。すべての人の人権が尊重され、人間同士が信頼関係で結ばれる社会をつくるために、今後の記事の作成にあたりましては、慎重なご配慮を、強く要望します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【該当記事全文】 [西日本豪雨] 
  長引く避難所生活 … プライベート空間少なく悩む女性 少しずつ改善も疲労ピーク

 西日本豪雨の被災地では2週間となる今もなお多くの人が避難生活を余儀なくされている。避難所にプライベートな空間は少なく、「着替え、トイレなど人目が気になる」といった悩みを抱える女性は多い。避難所に間仕切りや即席の更衣室を作ったり、女性警察官らが巡回して女性被災者の声を聞くなどしたりしているが、多くの女性が不安を抱えたまま先の見えない生活を続けている。(猿渡友希、小川原咲)

 着替え、気になる

 「一人でいられる時間がなく、寝られない。着替えも周りが気になって自由にできない」。19日、避難所となっている広島市安芸区の市立矢野南小学校の体育館で中学2年の女子生徒(14)が悩みを訴えた。

 約85人が身を寄せている同小。段ボールで間仕切りを作って世帯ごとに「個室」をつくり、最低限のプライベート空間は確保されているが十分ではない。

 女性被災者らの要望を受け、避難所には女性専用洗濯機を設置。ステージ奥に簡易の更衣室も作られたが、家族で避難生活を送るパート女性(42)は「避難所で洗濯後、下着などは自宅に持って行って干している」と打ち明ける。また、シャワーの後には翌日の服を着ることで、避難所で着替えずにすむよう工夫しているといい、「いろいろ気にしなければならず疲れる」とこぼした。

 この日は、避難住民の不安を解消するのを目的に女性警察官を中心に結成された広島県警特別生活安全部隊(通称「メイプル隊」)の3人が避難所を巡回。「夜になかなか寝付けない」「同じ悩みを持つ人たちで一緒に話せる場がほしい」といった被災者の訴えに耳を傾けた。

 女性警察官が巡回

 メイプル隊は平成26年の広島土砂災害で初めて結成。小早川歩美(あゆみ)巡査部長(34)は「女性同士、話しやすいこともあると思う。どんな不安でも話してほしい」と呼び掛ける。

 一方、地区の面積の約3割が浸水被害にあった岡山県倉敷市真備町(まびちょう)の市立岡田小学校では、約370人が避難生活を送る。

 今は紙製の筒と布のカーテンを組み合わせた間仕切りで「個室」を作っているが、同町の主婦(40)は「間仕切りができるまでは、トイレか体育館のカーテンに隠れて着替えていた」と振り返る。

 生理用品など女性用支援物資の取り扱いも重要な問題だ。「男性からは受け取りにくい」という声を受け、トイレにあらかじめ置くようになったという。

 「減災と男女共同参画研修推進センター」の浅野幸子共同代表は「避難所での集団生活や外灯がつかなくなるなど、被災時は女性や子供が犯罪に遭うリスクが高まる」と指摘。防犯ブザーの配布や、警察の巡回を増やすなどの対策を取った上で「女性が言いにくい悩みを相談したり、安全にくつろいだりできる女性専用スペースを避難所に作ることが必要だ」と話している。
                                       (以上)