2014年01月14日

被災地における、女性の悩み・暴力相談事業(1)

            (2020年5月15日:修正・加筆)

 内閣府男女共同参画局の施策は、「男女共同参画」という「美名」と乖離した、女性優遇・男性軽視の施策であると、私は、事実をもとに発言してきた。男女共同参画社会基本法第3条「男女の人権の尊重」には、「男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと」が謳われているにも関わらず、男女局は、男性の人権を軽視、或いは無視する施策を行ってきたし、今も行っている。

 今回取り上げた男女局の施策、昨年6月に内閣府男女局HPの「災害対応」に掲載された「平成24年度、東日本大震災被災地における、女性の悩み・暴力相談事業」も、その題名からして、被災という極限状況の中での、男性の危機を無視した差別の施策と思われた。男女局は、なぜ、男性を支援の対象から外したのだろう。男性には支援は必要ないと考えていたのだろうか? 男性は、危機にあっても一人で耐え、一人で乗り越えるべきだというような性別役割の強要を、是と考えていたのだろうか? それとも最初から、男性のことなど眼中にはなかったのだろうか? そういう疑義を抱きながら、私は、この事業の対象から男性を外した理由について、男女局推進課へ、問合せの電話をした。

 その結果を書く前に、今回取り上げた「被災地における、女性の悩み・暴力相談事業」に関連して、東日本大震災後の、被災者の心の状態を示すデ−タを、「男女共同参画白書:平成24年全体版」から引用する。男性に対する支援の必要性が、たとえば「アルコ−ル依存」や「自殺者数の男女比」に強く現れている。

        【飲酒量が増加した人】 【不眠症の疑い】 【精神的問題の指標10以上(注)】
          女性   男性   女性   男性   女性   男性      
   陸前高田市  3.2%   6.2%  44.4%  27.7%  15.2%   8.7%      
   石巻市    3.5%  11.5%  50.2%  32.4%  20.0%  12.3%      
                       (注):指標となる数値が高いほど、精神的な
                         問題がより重い可能性があるとされる。

        【東日本大震災に関連する自殺者数の男女別の割合】           
                         女性     男性     計    
   震災関連自殺者数(H23年6月〜24年2月)   24.6%   75.4%   100%   
   全国の自殺者数(H23年)          31.6%    68.4%   100%   

 上記4種類のデ−タのうち、私は、特に自殺者数の男女比が気になっていたが、それは、白書の「概要版」では削除された。私はその理由を知りたいと思い、昨年の11月に、男女局調査課に問い合わせの電話を入れた。担当者は、理由を次のように説明した。

   【削除の理由】
     @ 概要版にはペ−ジ数の制限がある。
     A 自殺者数の男女比より重要な記事がある。
     B 震災関連の自殺者数の男女比と、全国の自殺者数の男女比に大差はない。

 皆さんは、この回答を読んでどう思われるであろうか。私は、自殺問題の深刻さから、男女局の回答には違和感と疑義を抱かざるを得なかった。もしかすると担当者は、女性優遇配慮の施策を貫徹するために、男性の深刻な状況を意識的に排除したのではないかと、そういう疑義を、私は抱かざるを得なかったのである。
 関連して、私は、昨年(2013年)の4月、「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(案)」の意見募集にあたって、女性への配慮に傾斜しすぎる「指針(案)」に対して、次のような意見を送った。しかしこの意見は、全く取り上げられなかった。

     「男性については、震災関連の自殺者数の多いことを、具体的な数値をあげて
    強調すべきである。自殺は深刻である。すでに別紙に記したが、内閣府の自殺対
    策担当から得た情報によれば、東日本大震災から今年2月までの震災関連の自殺
    者数は、男性66人、女性19人となっている。」              

 今回取り上げた「被災地における、女性の悩み・暴力相談事業」について、内閣府男女局推進課に問い合わせの電話をしたのは、昨年の12月であった。私は初め、施策の正当性を押し通そうとする自己本位の回答を予測していたのであるが、電話に出たAさん(女性)は、予測に反して、「女性の悩み・暴力相談事業」の男性「軽視」を、是正されるべき問題点であると認める語調で、取り組みの経過と現状について話してくださった。その要点は次の通りである。

    @ 岩手県と福島県には、当時、女性の相談を受ける体制しかなく、女性だけを
     対象として、相談活動を開始せざるを得なかった。しかし、活動を続けている
     うちに、男性からも相談が入るようになった。 
    A 宮城県の場合は、男女両方の相談を受ける体制が既にあったため、両性を対
     象として、相談活動を開始することができた。             
    C 現在は、男性に対する相談体制を確立するために、各自治体向けの、男性相
     談マニュアルの作成等を始めている。                  

 Aさんの発言には、男女双方の人権に配慮する誠意が感じられ、心安らぐ思いがあった。しかし、(後日わかったのであるが)彼女の発言は、各自治体の施策であって、内閣府男女局が行う「女性の悩み・暴力相談」とは別だったのである。また、この件も含め、いずれ同名の記事の中で記すが、「被災地における、女性の悩み・暴力相談事業」は、この年以降も、年度当初の内閣府男女局の会議で、「上命下達」の、内閣府男女局の施策として継続されることを、私は、後日、Bさんという人から聞いた。
 尚、男女局HP「災害対応」の、この記事を開き、「事業の概要」「事業の実施体制」を読んでいただければわかるが、この施策は、女性に対する配慮ばかりに終始していると言って、過言ではないのである。

 ところでこの年、私は、暴力相談事業に関わって、ネットで次のような気になる記事を見て、後日、横浜市から関連資料を入手することとなる。その内容については、後日、別記事に記す。

     11年度に配偶者暴力相談支援センターに寄せられた、DV相談における男性被害者
    の割合は約1%程度。しかし、男性にはDV被害を隠そうとする傾向があるため、この数
    字は氷山の一角だという。また、10年度に横浜市が「配偶者からの暴力に関する調査
    及び被害実態調査」を行った結果によると、DVの被害経験は女性が全体の43%、男性
    は42%と、ほぼ同率となっている。


2014年01月21日

岩手県 男女共同参画課ヘの要望書

前回の記事、「被災地における、女性の悩み・暴力相談事業」のコメント欄に、
被災地に住む「市民権」様から、お便りをいただいた。
岩手県では、今月の、23日・24日・30日に、
「防災・復興について考えよう 〜男女共同参画の視点から〜」と題した、 
「講演とワークショップ」を開催するのだそうだ。
「市民権」様のコメントから、
岩手県の災害対応に、男性軽視、或いは無視の危険性を感じ、
私は、岩手県の男女共同参画局に、以下のような要望書を発送した。
昨年の5月に、内閣府男女共同参画局が発表し、
全国の男女局に送られた「男女共同参画の視点からの防災復興の取組指針」と、
それに付属する「解説・事例集」に関わる要望である。
この要望が、もしも既に、岩手県で実現しているのであれば、
要望書の発送は私の杞憂の産物となり、それはかえって好ましいことではあるが、
このブログに今まで記してきたような現実があるために、
私は、被災地で、男性の人権が軽視、或いは無視される危惧を、
払拭することができない。
私の要望の立脚点は、以前から変わることなく、
性的偏見を排除した、全ての人間に対する人権尊重の視点である。
この視点に立った差別のない配慮を、岩手県男女局に、強く望む。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                               平成26年1月20日
岩手県 環境生活部                               
青少年・男女共同参画課 様
                               ( 翠 流 )
                要 望 書

      本年1月23日(木)・24日(金)・30日(木)開催予定の
   「防災・復興について考えよう〜男女共同参画の視点から〜」について

 小生、○○県在住のため、上記の「講演とワークショップ」には参加できませんが、昨
年3月28日に、東京の内閣府男女共同参画局で行われた、「男女共同参画の視点からの防
災・復興の取組指針(案)」の意見交換会と、その後の意見募集に、一国民として参加さ
せていただいた者として、上記の「講演とワークショップ」に関しまして、下記9点の要
望を送付させていただきます。
 幸いなことに、昨年5月に公開された「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指
針」は、3月発表の「指針(案)」に見られた、男性に対する人権無視・人権軽視が改善
される方向で完成しましたが、私が改めて言うまでもなく、「男女共同参画社会基本法第
三条」に則って考えれば、女性の人権だけではなく、男性の人権にも配慮する視点が、真
の「男女共同参画の視点」であることを鑑み、すべての人の人権を尊重する視点で、上記
の「講演とワークショップ」を運営していただきたく、強くお願い申し上げます。

                   記

【要望1】 内閣府が昨年5月に完成させた、「男女共同参画の視点からの防災・復興の
  取組指針」4ペ−ジの【4 男女の人権を尊重して安全・安心を確保する】に記され
  た、次の考え方を、災害対応の根幹に据え、「指針(案)」に見られたような、男性に
  対する人権軽視・人権無視の施策は、絶対に行わないこと。

   【指針 p.4】・・・ 避難生活において人権を尊重することは、女性にとっ
      ても、男性にとっても必要不可欠であり、どのような状況にあっ
      ても、一人ひとりの人間の尊厳、安全を守ることが重要である。

【要望2】 男性の中にも、プライバシ−に対する配慮を強く求める人たちがいる。プラ
  イバシ−に対する配慮は、人間の尊厳に関わる配慮であり、その主役は、配慮を強く
  求める人たちである。この観点に立って、「指針」4ペ−ジ、及び、12ペ−ジ【3-(1)
  避難所の開設】に記された次の文章のように、避難所等においては、女性用だけでは
  なく、男性に対しても、「更衣室・物干し場・休養スペ−ス」等を用意すること。
   物干し場については、私事ではあるが補足すれば、私は、現在の居住地に住んで21
  年になるが、この間、洗濯物を干す時、スラックスの下に身につけていた1枚の下着
  を、外から見える場所に干したことは唯の一度もない。全て部屋干しである。

   【指針 p.4】・・・・・ プライバシーを確保できる仕切りの工夫、異性の目線
      が気にならない男女別の更衣室や物干し場、入浴設備、安全な男女
      別トイレ、授乳室等の整備、安心して相談や診察等を受けることが
      できるスペースの整備等を行うことが重要である。

   【指針 p.12:3-(1) 避難所の開設】・・・ 避難所の開設当初から、授乳室
      や男女別のトイレ、物干し場、更衣室、休養スペースを設けること。

【要望3】 上記の要望2に関連して発言する。「指針」に付属した「解説・事例集」の、
  p.81、【避難所チェックシ−ト】には、「女性や子育て家庭に配慮した避難所の開設」
  という大項目があり、その中に、「異性の目線が気にならない物干し場、更衣室、休
  養スペ−ス等」というチェック項目があるため、男性に対しては、物干し場、更衣室、
  休養スペ−ス等の設置の配慮がない。この、男性に対する人権無視を解消するために、
  「女性や子育て家庭に配慮した避難所の開設」を、「男女の人権と子育て家庭に配慮
  した避難所の開設」のように、男女両方に配慮する表現に読み替えて運用していただ
  きたい。

【要望4】 仮説トイレの設置について、「指針」12ペ−ジ【3-(1) 避難所の開設】に、
  次のような文章がある。
        「男性に比べて女性の方が混みやすいことから、
        女性用トイレの数を多めにすることが望ましい。」
   この件について、女性の方が時間がかかるのはわかるが、男性のトイレが少なす
  ぎて、男性が、小用を外でしなければならないような状況は、絶対に作らないでいた
  だきたい。同じ男性であっても、羞恥心は人により異なる。羞恥心の強い男性もい
  るのである。排泄に対する配慮は、人間の尊厳に関わる配慮である。羞恥心の強い
  人を主役として行われなければならない。
   男性と女性のトイレの所用時間について、私は「3:5」という比を聞いている。
  「指針」の「解説・事例集」の p.29 には、「国際的な基準では、トイレの個室数の
  比率が男性:女性=1:3となるように計画し、可能であれば、男性用小便器も設
  置することが推奨されています。」という表現があるが、1:3 と言う数値が、個
  室の比であって、男性用小便器を含んでいないことに注意し、避難所には必ず男性
  用小便器もつくってほしい。「男性は小用を外でしろ」と強要するのは、羞恥心の
  強い男性にとっては、人権侵犯、ジェンダ−ハラスメントである。男性の人権を軽
  視・無視しないでいただきたい。

【要望5】 やはり「指針p.12」「解説事例集p.29」にあるように、性的マイノリティ
  −や障害者に配慮し、男女共用のユニバ−サルトイレを設置していただきたい。

【要望6】 「物資の備蓄・調達・輸送等」に関わって、女性に対しては、「指針p.9」
  及び「解説・事例集p.79 備蓄チェックシ−ト」に「下着(いろいろなサイズ)」が
  取り上げられているが、男性に対しては、「下着」の配慮はどこにも書いてない。
  女性には新しい下着が配られるが、男性は汚れた下着で生活しなければならないの
  か。どうしてこのような、男性の人権無視の指針や解説事例集が作られるのか、私
  には全く理解できない。男性に対しても、「下着(いろいろなサイズ)」を、必ず用
  意していただきたい。

【要望7】 私は、「解説・事例集」p.38 の「取組事例13」「女性のニ−ズに寄り添っ
  た物資の支援(宮城県登米市)」を読んで、非常に強いショックを受けた。「宮城登
  米えがおねっと」の取り組みは、男性を完全に疎外しており、男性に対する明白な
  人権無視、差別である。生理用品は別として、下着に気をつかう男性は確実に増えて
  いる。私も非常に気をつかう。男性の下着にも種類があり、好みは人によって違う。
  化粧品に関しても、使用する男性は確実に増えている。私は、ロ−ションとクリ−
  ムとエッセンスを使っているし、特に冬季は手が荒れるだけでなく、指先の皮膚が
  割れて痛いため、ハンドクリ−ムだけでなく、医師から処方された二種類の薬を使
  っている。被災地でガレキの処理等の仕事をしなければならない男性の手の荒れ方
  は、一層ひどいでうあろう。裁縫箱にしても然り、私は独身で、自分のことは全部
  自分で行っている。裁縫箱も欲しい。
   「宮城登米えがおねっと」、そして、その取り組みを「後方支援」した「市」は、
  どうして、男性に対しては、配慮の目を向けなかったのだろう。それで「男女共同
  参画の視点」と言えるのか。男女共同参画社会基本法第三条に則った取り組みをし
  ているといえるのか。全く、男性に対する人権無視がはなはだしすぎる。今後は、
  絶対にこのような、男性の人権を無視した取り組みは行わないでいただきたい。「パ
  ーソナルリクエスト票」を作成するのなら、男性用も必ず作成していただきたい。

【要望8】 被災者の自殺の問題について、「指針」は全く触れていないが、「男女共同
  参画白書平成24年全体版」の「第1−特−31図:東日本大震災に関連する自殺者数
  の男女別割合」には、次の数値が記されている。このような事実のあることを鑑み、
  被災者の心の状態、特に、軽視されがちな男性の心の状態に、十分に目を向けてい
  ただきたい。
                        女性   男性   計
    震災関連自殺者数(H23年6月〜24年2月) 24.6%  75.4%  100%
    全国の自殺者数(平成23年)       31.6%  68.4%  100%

【要望9】 開催予定の「講演とワークショップ」で、もしも、男女共同参画白書(平
  成24年全体版)本編・第1部・特集「男女共同参画の視点からの防災・復興」を使
  用するようであれば、同封いたしました「別添え資料」、つまり、私が、昨年の10
  月に、内閣府男女共同参画局調査課宛に送付いたしました「要望書:男女別統計の
  扱いについて」を、お読みいただきたく思っています。「要望書」に記された内容を
  要約すると、次の三点になります。三点の番号1・2・3は、要望書に記された番
  号に一致します。                             

  1. 白書の、「第1−特−17図 ・・・・・避難所での生活について困っていること」、
    及び、「第1−特−18図・・・・・備蓄や支援物資に対する要望」では、「避難所等
    でのプライバシ−に関わる要望は、男女間に顕著な差はなく、男性の場合もプ
    ライバシ−に配慮を求める気持ちは強い」ことが示唆されているが、この事実
    は、昨年3月に発表された「指針(案)」、つまり「男女共同参画の視点からの
    の防災・復興の取組指針(案)」には生かされず、男性への配慮が欠落した。
    女性だけではなく、男性にも配慮して欲しい。

  2. 白書の、「第1−特−17図 ・・・・・避難所での生活について困っていること」、
    及び、「第1−特−19図 ・・・・・仮設住宅での生活について困っていること」、に
    ついて、白書に記された説明文は、その表現が、女性限定配慮に結びつく危険
    性を孕んでいると感じられる。男性の人権が軽んじられることがないよう、配
    慮してほしい。

  3. 全ての人間は、「等しく尊重されるべき人権」を持っているが、「男女別統計
    の整備」によって、男女の統計的差異ばかりを強調し、施策に性差を導入すると、
    不当な人権軽視、人権無視、つまりは統計的差別が発生する。男女の数値を比
    較して、「男性は女性より数値が小さいから配慮しない」というような統計的
    差別が生じないよう、十分に配慮して欲しい。全ての人間は、「等しく尊重さ
    れるべき人権」を持っているのである。

 以上、9点の要望、よろしくお願い申し上げます。




2014年03月02日

岩手日報社への要望書

1月21日に掲載した「岩手県 男女共同参画課ヘの要望書」のコメント欄に、
岩手県の「市民権さん」が、2月13日にURLを貼りつけてくれた新聞記事、
「【大船渡】女性の防災リーダー育成を:復興へ必要性議論」を放置することができず、
岩手日報社に要望書を送ることにした。
以下に、新聞記事の本文と、要望書を掲載する。
記事中の「NPO法人イコールネット仙台」には、確認したいことがあるが、
連絡がとれないので、
必要があれば、後日掲載する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

岩手日報 新聞記事 (2014年 2月12日)
「【大船渡】女性の防災リーダー育成を:復興へ必要性議論」本文

  県男女共同参画センターは11日、大船渡市盛町のシーパル大船渡で「男女共同参画
 の視点から岩手の復興と未来を考えるin大船渡」を開いた。東日本大震災で女性が抱
 えた困難を社会全体の問題として考える重要性を確認。女性の意思を復興に反映させる
 ため、女性の防災リーダー育成の必要性も議論した。
  大船渡、陸前高田両市などから約30人が参加。仙台市のNPO法人イコールネット
 仙台の宗片恵美子代表理事が講義した。
  宗片代表理事は2011年9、10月に宮城県内の女性3千人を対象に行ったアンケ
 ート結果を紹介。プライバシーのない避難所生活のほか、介護や親戚との同居、失業で
 多くの人が困難を抱えたと指摘し「困難を個人の問題とせず、社会の課題として取り組
 む考えが重要だ」と強調した。
  復興計画に女性の視点を反映させるため、女性が世話をすることが多い障害者や妊産
 婦、病人、高齢者、子どものニーズを踏まえたサポート態勢や、女性の防災リーダー育
 成、女性に配慮した避難所運営マニュアル作りなどが必要だとした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                                平成26年3月1日
岩手日報社 編集局 報道部 様
                                 ( 翠 流 )
               要 望 書

  災害対応報道に見られる、男性に対する人権無視、人権軽視の回避について。

 既に、2月14日に、岩手日報読者相談センタ−に電話を入れ、要望の概要はお伝えい
たしましたが、2月12日の岩手日報に掲載された記事、「【大船渡】女性の防災リーダー
育成を:復興へ必要性議論」の執筆を担当した記者の視点に、男性の人権に対する配慮の
欠落を感じ、災害対応に関わる男性差別の回避を求める者として、要望書を送らせていた
だくことにいたしました。「記事を担当した記者と直接お話をしたい」という私の要望は
叶えられませんでしたので、大船渡で行われた集会の実態と、新聞記事の内容との整合性
を確認することはできませんが、その如何に関わらず、担当記者に、男性の人権に配慮す
る視点があれば、新聞記事は、女性に対する配慮だけに終始することなく、問題提起、或
いはそれに類する形で、男性に対する配慮も、文章として現れたはずと思います。   

 既に、東日本大震災発生の年の秋に、女性団体は、内閣府に対して、「災害時の女性(だ
け)に対する配慮をまとめよ」という要望書を提出しており、それに呼応しつつ、内閣府
男女共同参画局が行ってきた震災関連の施策は、そのホ−ムペ−ジの「災害対応」を見て
も明らかなように、男性に対する人権無視、或いは軽視のもとに行われてきたと考えて誤
りはなく、昨年3月に公開された「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(案)」
にも、それが顕著に現れておりました。例えば、「指針(案)」の「避難所の開設」等の
項目には、特に、人間の尊厳に関わるプライバシ−の問題について、女性に対しては非常
に手厚い配慮を明記していたにもかかわらず、男性に対しては、配慮は、皆無だったので
す。しかし幸いなことに、この「男性に対する人権無視」は、意見交換会と意見募集の過
程を経て、「指針」の「解説・事例集」には多大な問題を残しつつも、少なくとも「指針」
については修正され、男性に対する配慮を付け加える形で、昨年の5月に公開されました。
その「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」の4ペ−ジには、次のような文
章が記されています。

   避難生活において人権を尊重することは、女性にとっても、男性にとっても、
  必要不可欠であり、どのような状況にあっても、一人ひとりの人間の尊厳、安全
  を守ることが重要である。

 この、男女双方の人権に配慮する視点、これこそが、人間として、あるべき視点、災害
対応の根幹に据えられるべき視点であって、それは、日本国憲法 第14条、そして男女共
同参画社会基本法第3条によっても保障されています。女性だけではなく、男性にも、人
権はあるのです。更に踏み込んで言えば、人間の集団には、「男性」と「女性」というよ
うな二項対立的な視点では説明しきれない領域が存在します。例えば、その典型として、
性同一性障害の人たちのような性的マイノリティ−の存在がありますが、併せて、典型で
はない人たちの間にも、二項対立的視点では説明しきれない、感受性のグラデ−ションの
領域が存在するのです。例えば、プライバシ−に対する配慮を強く求める人は、後述する
ように、女性だけではなく、男性にも存在します。このような事実、二項対立的視点では
説明しきれない人間の多様性を踏まえ、先入観や性的偏見を排除した視点、例えば「男性
だから配慮する必要はない」というような不当な性的偏見を排除した人権尊重の視点、そ
れが、災害対応や報道を担う全ての人たちに、常に必要なのではないでしょうか。

 以上のような観点から、大船渡で行われた集会と、その報道を担当した岩手日報の記者
の視点に関わって、次のような問題点を指摘させていただきます。

                   記

 @ 新聞記事中に「東日本大震災で女性が抱えた困難を社会全体の問題として考える重
  要性を確認」とあるが、震災で困難を抱えたのは女性だけではない。例えば、下表(
  「男女共同参画白書:平成24年全体版」から引用)でわかるように、男性に対する支
  援の必要性が、「自殺者数の男女比」や「アルコ−ル依存」に強く現れている。

           【東日本大震災に関連する自殺者数の男女別の割合】
                        女性   男性   計   
   震災関連自殺者数(H23年6月〜24年2月)  24.6%  75.4%  100%  
   全国の自殺者数(平成23年)        31.6%  68.4%  100%  

          【飲酒量増加】  【不眠症の疑い】  【精神的問題:(注1)参照】
          女性  男性   女性   男性    女性   男性   
   陸前高田市  3.2%  6.2%   44.4%  27.7%   15.2%  8.7%   
   石巻市    3.5% 11.5%  50.2%  32.4%   20.0%  12.3%   
          (注1)指標10以上の人の割合を示す。指標となる数値が高いほど、
             精神的な問題がより重い可能性があるとされる。     

 A 東日本大震災以降、災害対応は、報道を含め、女性優先で行われてきた経過がある。
  同時に、「男性は我慢しなければならない」、「男性は女性を守らなければならない」
  「男性は弱音を吐いてはならない」というような、「固定的性別役割意識」が、男性
  自身や、社会の中に強くあり、男性は、要望や苦しみを表に出せない、或いは出さな
  い場合が多い。このような状況の中で、むしろ、「男性が抱えた困難」が、「社会全体
  の問題」として捉えられていない状況が、温存、或いは、場合によっては、むしろ拡大
  している状況があると思われる。従って、女性の場合だけでなく、「男性が抱えた困
  難」についても、それを「社会全体の問題として考える」視点が、非常に重要である。

 B 新聞記事には、「宗片代表理事は 2011年 9、10月に宮城県内の女性3千人を対象
  に行ったアンケート結果を紹介」とあるが、女性だけを対象としたアンケ−ト結果を
  使用しているために、集会の視点が、「男女共同参画の視点」になっていない。標題
  は「男女共同参画の視点から岩手の復興と未来を考えるin大船渡」となっているが、
  この表現は集会の実態と乖離している。男女双方を対象としたアンケ−ト結果は、既
  に、内閣府男女共同参画局ホ−ムペ−ジの「男女共同参画白書:平成24年全体版」
  にあり、集会での引用は可能であったはずである。ただし、申し添えておくが、「白
  書」に記された「アンケ−ト結果の解釈、説明文」には、「はじめに結論(女性優先)
  ありき」の視点があり、これについては、昨年の10月に、内閣府男女共同参画局に
  対して、私から、要望書の形で指摘させていただいた。【別添え資料V】

 C アンケ−ト結果に示された数値等で、「男女の比較」ばかりを行っていると、数の
  少ない人たちに対して、人権無視、人権軽視が発生する。既に述べたように、人間は
  多様であること、そして、多様な人間すべてに、等しく尊重されるべき人権があるこ
  とを忘れることなく、災害対応は行われなければならない。

 D 新聞記事にある「プライバシーのない避難所生活」に、多大な苦痛を感じるのは、
  女性だけではない。男性の中にも、非常に強い苦痛を感じる人がいる。例えば、私の
  ように。いや、勿論私だけではなく、前述の「男女共同参画白書:平成24年全体版」
  には、次のようなアンケ−ト結果が記されており、プライバシ−に対する配慮を強く
  求める男性は、決して少なくはないことが示されている。            

   「災害直後からの避難所での生活について困っていること」
        (本編・第1部・特集・第2節・1・避難所の状況・第1−特−17図)
      「困っていること」として「プライバシーが確保されていない」ことをあげ
      た被災者の割合は、女性で39.0%であるが、男性でも30.7%が「困ってい
      る」と答えている。
   「備蓄や支援物資に対する要望」
        (本編・第1部・特集・第2節・1・避難所の状況・第1−特−18図)
      「プライバシ−間仕切り」の要望は、女性で29件となっているが、男性でも
      27件の要望がある。

   なお、特に、男性に対するプライバシ−無視・軽視の問題に関わって、私が、昨年
  の8月と11月に、ある団体の季刊誌に投稿した文章、「男女共同参画に翻弄される日
  々【1】【2】」を、【別添え資料T・U】として同封させていただいた。それをお読み
  いただき、私のような感受性の男性の存在を、改めて認識していただきたい。

 E 記事中の、「女性の防災リーダー育成の必要性」に私は共感するが、問題は、どの
  ようなリ−ダ−が育つかにある。女性支援ばかりを強調して、男性の人権を無視、軽
  視するようなリ−ダ−ではなく、すべての人の人権に配慮する防災リ−ダ−が、男女
  共に必要である。

 F その他、新聞記事に記された事項については、失業は勿論女性固有の問題ではない
  し、介護・看護等の問題についても、女性に多いという実態はあっても、女性固有の
  問題ではない。場合によっては、介護に直面した男性が、かえって悲惨な事件に足を
  踏み入れる現実があることも、既に報道されている事実である。両性に配慮する視点
  が必要である。                               

 G 要するに災害対応は、常に、全ての人の人権に配慮する視点で行われなければなら
  ないのであって、健常者に関して言えば、特定の人たちを優遇する施策や、逆に、特
  定の人たちの人権を無視、軽視する施策は、絶対にあってはならない。そういう、考
  えてみれば当たり前の視点で、私はこの要望書を書いた。それを岩手日報社に送る理
  由は、東日本大震災以降、震災に関わる災害対応が、あまりにも女性優先で行われて
  きた事実があり、報道も、それを是認するかの如き論調が多く、男性の人権が、無視、
  軽視される現実を見てきたからである。

以上、今後の災害報道に関わる要望として、宜しくご配慮お願い申し上げます。


2014年03月10日

【返信1】 被災地の「市民権様」へ (1)・・・・・「男女局と災害対応について」

 被災地に住む「市民権さん」からいただいた幾つかのコメントへの返信の形で、私が、内閣府や全国の男女共同参画部局の、主に災害対応について感じていることを、何回かに分けて、記事として掲載することにした。私の考えに、誤りや疑問、現実認識の甘さ等があれば、率直に指摘してほしいと思う。もとより私は「社会型」の人間ではないと自己評価しており、私の発言を客観的に見て、例えば私に、脆弱な基盤の上で試行錯誤を繰り返しているような姿があれば、差別のない災害対応の実現に向けて、実効性のある道、私が執るべき適切な道を、教えてほしいと思う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【返信1】 被災地の「市民権様」へ(1)

 共感的なコメント、ありがとうございます。「市民権さん」も感じていらっしゃるように、「男女共同参画」という言葉が、言葉通りの内実を伴わずに、「女性だけに対する支 援」や「女性を優先、優遇する支援」の代用語のように、頻繁に使われています。既に日本中で流行語のようになった「男女共同参画の視点」という言葉は、施策が、男性の人権を、無視、或いは軽視していても、なぜか平然と使われるのです。前回取り上げた「大船渡」の新聞記事もそうでした。「男女共同参画の視点から岩手の復興と未来を考える」と言いながら、書いてあることは、女性に対する支援ばかり。「市民権さん」のコメントは、現在でも、被災地で、「男女共同参画」という「美しいはずの言葉」と乖離した、男性差別の災害対応が行われている証だと思っています。

 災害対応に限ったことではなく、健康支援にしても、ポジティブ・アクションにしても、そして、実は最近気づき始めたのですが、DVの問題にしても、内閣府男女共同参画局の施策は、始めに結論ありきの、女性優先、女性優遇の傾向が強く、男性差別は、広範囲に存在します。施策の中に、男性に対する配慮が全くないわけではありません。しかし、女性に対する手厚い配慮に比べれば、そこには、雲泥の差があるのです。

 しかし、少なくとも、内閣府の男女共同参画局は、その施策の問題点を是正する姿勢を、全く持たないわけではないと、私は、この1年間を振り返って感じています。例えば、恐らくは、外部からの批判あっての結果だろうとは思いますが、くり返し扱ってきた「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(案)」は修正されましたし、昨年の11月25日に掲載した記事、「ひどすぎる男性無視の復興アンケ−ト」で取り上げた「東日本大震災からの復興に関する男女共同参画の取組状況調査」の、男性に対する人権無視の問題についても、12月12日の記事、「内閣府男女局 総務課へ:ひどすぎる復興アンケ−ト」に書きましたように、男女局の担当者から、電話ではありますが、改善の方向で対応するという回答を得ています。また、今年の1月14日の記事、「被災地における、女性の悩み・暴力相談事業」につきましても、(男女局幹部ではなく担当者ではありますが)、「男性に対する配慮の不足」を認める発言をしておりました。

 私の認識に誤りや甘さがあれば、ぜひ指摘していただきたいと思いますが、もとより、男女共同参画部局は公の機関であるわけですから、私的機関に比べれば憲法の拘束性は強いはずだと思います。実際に、ご存じかとは思いますが、男女共同参画社会基本法第3条には、憲法第14条の反映と思われる次のような条文が記されています。

 (男女の人権の尊重)
 第3条:男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、
    男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮
    する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、
    行われなければならない。

 また、この第3条に抵触するような事象を監視する効果を持つ条文、とでも言えばよいのでしょうか、次のような、第17条があります。

 (苦情の処理等)
 第17条:国は、政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策又は
    男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情の
    処理のために必要な措置及び性別による差別的取扱いその他の男女共同参画
    社会の形成を阻害する要因によって人権が侵害された場合における被害者の
    救済を図るために必要な措置を講じなければならない。

 ですから以上のような事実を踏まえて、粘り強く要求を続ければ、道は開けるはずだと、私は考えています。ただ、内閣府ではなく、全国各地の男女共同参画部局の人たちについては、上の条文のような認識を持たない人、或いは知識としてはあっても、女性優先の願望が強い上に、「かつて女性は差別されてきた」という論理と感情が、個々の事象の特質とは無関係に、盲目的に優先される状況が恐らくはあり、女性優先、女性優遇、男性差別が、解消されない状況を生じているのではないかと推測します。この件については、次回以降の返信に具体的に書きたいと思います。今回は、とりあえずここまで。
                                    (続く)


2014年03月18日

【返信2】 被災地の「市民権様」へ (2)                        「男女局と災害対応について(続き)」

 続きを書きます。要するに、男女共同参画社会基本法第3条に則った要求は、全国どこの男女共同参画部局であっても、基本的には無視できないはずですし、3条に抵触するような問題点は、17条の存在を併せて考えれば、本来は、改善されやすいはずだと思うのです。しかし、それにもかかわらず、「市民権さん」の居住地域の男女共同参画部局が関わりを持つ施策に、男性に対する人権無視、人権軽視があって、要望しても改善されない状況があるとすれば、17条も視野に据え、別の機関の力を借りて、働きかけをしてみたらどうかと思うのです。                             

 例えば、内閣府の男女共同参画局には、苦情や意見の処理を担当する係がいる。昨年の12月の段階では、Aさんという男性でした。ですから「市民権さん」が、地元の男女局への要求行動に壁を感じていらっしゃるようであれば、この担当者と直接連絡を取り、苦情の申し立てをしたらどうか、と思うのです。この件については、内閣府と全国の男女局との関係が気になりますが、内閣府男女局は、全国の男女局に対して、啓発的な発言はできるのではないかと推測します。もしも仮に、それができないような関係であったとしても、内閣府男女局の見解を引き出せば、それを、地元の男女局への要求に使うことはできるはずと思うのです。「現在の」内閣府男女局の災害対応の姿勢は、恐らくは外部からの批判が契機であったと推測しますが、以前と比べれば、男性の人権に配慮する方向に変わっていると感じます。その内閣府の現在のスタンスと地方のスタンスとの整合性を取り上げれば、内閣府男女局が示している見解を、地方の男女局の男性差別に対する批判の論拠の一つとして使えるはずと思うのです。現在の内閣府男女局のスタンスを示す具体例については、「返信(1)」に、三例を書きましたが、公式見解一つを再記すれば、男女局は、「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(案)」に見られた、男性に対する人権無視、人権軽視を修正して「指針」を完成させたのです。それが、現在の内閣府男女共同参画局の、災害対応へのスタンスのはずなのです。

 ところで、別の手段としては、ご存じのように、法務局人権擁護部局への人権侵犯被害申告があります。ただこれは、「市民権さん」ご自身が被害者であると認定されなければ、門前払い(調査不開始)になると予測されますし、「国の機関としての法務局に期待などできない」という発言もいただいています。しかし、申し立てをしなければ、声は法務局に届かない。要するに、塵のような一個人でしかない場合であっても、声の存在を知らしめる意義はあるはずと思いますし、求める結果が得られない場合であっても、取り組みの過程で、現状認識に関わる有益な学びもあると思うのです。

 なお、災害対応に関わる人権侵犯被害申告については、以前、自分の経験を少し書いたことがありましたが、参考例として再記すれば、私は、昨年の4月、東京法務局人権擁護部に、「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(案)」に存在した「男性に対する人権無視、人権軽視」について、人権救済の申し立てをしました。具体的には、人権侵犯の可能性を認め、内閣府男女局に対して、男性の人権を守るための啓発的発言をしてほしいと要望したのです。しかし東京法務局は、私の申し立てが、「人権侵犯事件調査処理細則」「第7条第1項第7号」に該当するとして、「救済手続き不開始」の決定をしました。その条文と、東京法務局の担当者から聞いた「該当の根拠」は次の通りです。

  「人権侵犯事件調査処理細則 第7条 第1項 第7号」
     ・・・「当該人権侵犯による被害が生じておらず、又は生ずるおそれが
      ないことが明らかであるとき。」
  「該当の根拠」
    @ 指針は(案)の段階である。
    A 指針(案)の「はじめに」に、次の文章がある。
     ・・・「本指針は、これらを踏まえ、地方公共団体における男女共同参画
      の視点からの自主的な取組を推進する観点から作成したものである」
    B 私自身が被害者になっていない。

 ところで、「指針(案)」は、男女双方の人権に配慮する方向で修正されたにもかかわらず、「市民権さん」の居住地域では、男性に対する人権無視や人権軽視が今も存在し、改善の要望を出しても実現しないという実態がある。その理由を、私は遠方から推測するわけで、誤りは指摘して欲しいのですが、種々の要素が絡み合っているにしろ、理由の一つに、「指針」のような修正がなされなかった「解説・事例集」の存在と、その中に、男性の人権を完全に無視しているにもかかわらず、あたかもそれが理想的であるかの如く掲載された実践、例えば、被災者への支援物資の配布について、男性への配慮を完全に捨象しながら、しかし女性には非常に手厚い配慮をした「宮城登米えがおねっと」の実践、それは、【取組事例13】として「解説・事例集」に記されていますが、それと似た体質が、今も、被災地の様々の女性団体等に共通してあるのではないかと推測するのです。そして、先日送っていただいた岩手日報の記事に記された「男女共同参画の視点から岩手の復興と未来を考えるin大船渡」の内容は、まさにこの私の推測に、もう一つの根拠を与えたのです。ただ、私にはわからない部分がある。コメント欄には書きましたが、仙台市のNPO法人イコールネット仙台の、電話に出たBさんには、男性の人権に配慮する視点もあった。また、記事「手紙・・・東北地方のある人へ」に記した、別の女性団体のCさんには、性的マイノリティ−を含む全ての人の人権に配慮する視点もあると感じたのです。もっともそれがただの外交辞令であって、本音がもしも、隠された自己本位性にあるとすれば、私は欺かれたことになりますが、遠方に住む私は、この件について実態を確認することができない。もしもこの件について、今後、「市民権さん」からヒントをいただけるような機会があるとすれば、私は幸いと思うのです。
                                   (続く)


2014年04月02日

【返信3】 被災地の「市民権様」へ(3)                    「男女局と災害対応について(続き)」 

 今回は、今も日本の社会に広く根深く存在する「男らしさの規範」によって、男性が、受けている不利益について、書きたいと思います。

 東日本大震災に関わって言えば、1月14日に掲載した記事、「被災地における、女性の悩み・暴力相談事業」に書きましたように、発災直後の岩手と福島の「男女共同参画」部局には、男性を対象とした「相談電話」はなく、女性に限られていました。同様の状況は、恐らくは今も、全国に非常に多くあると思います。このような状況は、例えば自殺率の性差を考えたとき、どのように評価されるべきなのでしょうか。記事「男性の自殺(2)」に、具体的な数値を書きましたように、この10数年間、男性の自殺率は、女性の約2.5倍を記録してきましたし、それ以前のデータを見ても、男性の自殺が女性より少なかった年はないのです。震災関連の自殺についても、既に別の記事で取り上げましたように、その7割以上だ男性だったのです。

つまり、自殺対策の部局はあっても、「自殺が男性に多い」という現実に対しては、その施策は成果を収めていないと言って過言ではないのです。このような事実を踏まえて、男女共同参画の電話相談のあり方考えた時、岩手と福島の「男女共同参画」部局が、相談電話を女性に限定していたことは、どう評価されるべきなのでしょうか。改めて引用すれば、男女共同参画社会基本法三条には、「男女の個人としての尊厳が重んぜられること」「男女が性別による差別的取扱いを受けないこと」「男女の人権が尊重されること」が謳われているのです。女性限定電話相談は、この「第三条」と乖離してはいないでしょうか。たとえば相談電話として利用者の多い「いのちの電話」がつながらなかった時、女性は男女共同参画に電話をすることができた。しかし男性には、その権利が与えられていなかったのです。

 このような女性優遇配慮については、「男女共同参画部局の多くは、その前身が女性支援センタ−だったからだ」という主張があります。しかしそれは逃げの論理でしょう。自殺問題に関わって、いのちの重さを考えれば、それは明白のはずです。本来なら、「女性支援センタ−」が「男女共同参画」に名称を変更した段階で、男性も相談の対象とすべきだったのです。「男女共同参画」とはそういうことなのです。

 男性を相談の対象にできない理由として、男女共同参画部局は、よく、「女性相談員しかいない」ことをあげます。しかし、少なくとも精神面での相談活動は、記事「自殺予防フォ−ラム」にも書きましたように、相談者と相談員が同性でなければならないとか、同性であれば成功するとか、そういう限定的で単純な性質のものではないのです。

 ところで、相談件数の男女比について、ある講演会の講師が「男性より女性の方が多い」と言ったことがありました。しかしそれが一般的事実であるとしても、それが苦しみの指標になるわけではない。男性は、苦しくても相談しない傾向が強いからです。その理由は、個性の問題も含めて単一ではないかもしれませんが、一つのには、男性に与えられた「性別役割」、つまりは「男らしさの規範」の問題があると思います。要するに男性は、「強くなければいけない。一人で苦しみに耐えなければいけない。一人で苦しみを克服しなければいけない」というような精神的呪縛を、生育過程や社会生活の中で与えられ、それが自分の行動の規範になっている。そして、男性は、自分以外の男性に対しても、そういう「男らしさ」を要求するのです。それは、「相談」という行為自体を否定する呪縛として、男性の中に存在すると思います。だから男性は、苦しくても相談することなく、孤独のうちに追い詰められ、死んでいくのです。

 昨年の、確か秋に、私が内閣府に問い合わせの電話をした時、受けてくれた男性職員が、男性の「固定的性別役割意識」の問題が、内閣府でも話題に上るようになっていると言っていました。それは、今後、もしかすると一つの救いを与えてくれるかもしれないと、淡い期待も持ちますが、しかしそれが、安定した価値観として社会に根を張るのは、遠い先のことのように思いますし、性急な改革は、かえって男性に、新しい精神的負荷を与えるようにも思います。例えば、今の社会を見れば、就職活動に失敗して自殺をする若者が増え、その8割以上が男性であるという事実がある。私はそこに、優遇を含む女性解放が進む一方で、「家庭を守る責任」を含め、男性としての「性別役割」を背負い、現実との狭間で、呻吟する若い男性の姿があるように思うのです。

 東日本大震災への男女局の対応については、今まで、男性のプライバシ−への配慮の欠落や、支援物資の女性限定配慮等を中心に、その不当性を訴えてきましたが、男性軽視はそれだけではありません。男性には、上述のように、「耐えなければならない」、そして「女性を守らなければならない」というような、「自己犠牲の性別役割意識」がある。そして率直に言えば、女性優遇配慮を推進してきた女性活動家たちは、その、男性の「自己犠牲の性別役割意識」に光をあてることなく、自己本位の、女性限定配慮の災害対応を、あたかも奔流の如く行なってきたと思うのです。つまり、男女共同参画部局や女性団体を主役とする災害対応は、まさに、男性差別の施策そのものであったし、今日の岩手もまたそうであると、私は「市民権さん」から得た情報を手にして、実感するのです。


2014年05月14日

被災地における、女性の悩み・暴力相談事業(2)

内閣府男女共同参画局ホ−ムペ−ジの「災害対応」に、
「被災地における、女性の悩み・暴力相談事業」を、(同名のまま)
今年度も引き続き実施すると書いてある。
文面から判断すれば、男性は、今回も、この相談事業の対象から外されており、
「男女共同参画」とは名ばかりの、基本法三条(男女の人権の尊重)から乖離した施策、
男女共同参画局が、あたかも「女性支援センタ−」であるかの如き施策である。

もしも男性に苦しみがないのであれば、私の主張も変わるが、
平成24年版男女共同参画白書「全体版」に記されている通り、
被災者の自殺も明らかに男性に多く、全体の7割以上を占める。
アルコ−ル依存にしても、男性の被災者には顕著な増加があり、
支援は、女性限定ではなく、男性に対しても必要であることは、
客観的事実として明白である。
それとも、男は辛さに一人で耐え、一人で克服すべき存在であって、
挫折していった男は、男としての価値がない、とでも言うのであろうか。

察するに、女性の多くは、
女性の辛さについては、女性同士で共感的に結びつきやすく、
同時に、男女共同参画部局の、特に幹部の女性職員や、被災地での女性団体は、
その自己本位性から、女性だけについて辛さを強調し、顕在化させ、
女性だけへの配慮を要求する。
近くに男性もいるのだろうが、
男たちは、恐らくは、その不器用さと「男らしさの規範」の呪縛によって、
男性の辛さについて声を挙げることは、ないか、
あっても女性に比すれば圧倒的に少ないだろう。
そういう、行動のパタ−ンの性差が、
災害対応の男性差別を招来している。
しかし、内閣府の職員と言えば、
難関の国家公務員採用試験に合格した責任あるエリートの、
しかも、憲法直下に位置する職員のはずだろう。
そういう人物が、なぜ、
「法の下の平等」や「男女の人権の尊重」と乖離した施策を行うのか?
私には全く理解できないのである。

ところで、前回の関連記事、「被災地における女性の悩み・暴力相談事業 (1)」に書いたように、
私は、この事業について、昨年12月に男女局へ問合せの電話を入れ、
対応してくださったAさんには誠意を感じたが、
上記の通り今年度の施策に改善はなく、
今年5月に改めて問合せを入れたところ、
残念ながらその時の私の発言は、今年度の担当者Bさんには申し送りされておらず、
当時の課内でも、共有されていなかったようであった。

私は、以上の件について、
Aさんの後任のBさんと直接話しをしたいと、
昨年からAさんと同じ課内に勤務するCさんに申し入れをした。
遅くとも来週中には、一度、Bさんに電話を入れる予定。



2014年07月12日

被災地における、女性の悩み・暴力相談事業(3)

 今年この事業を担当している内閣府男女共同参画局のBさんとは、なかなか落ち着いて話ができない。今週の月曜日に電話をしたときには、水曜ならば時間がとれるとの話であったが、当日は別の会議が入ったようで、夕刻になっても不在であった。男女局は(まだこの頃は)開かれた部局という印象があって、職員の方も、一部を除けば話をしやすい人が多いのであるが、Bさんの予定を、同じ課の人は掌握しておらず、いつになったら話ができるかわからない。

 しかし、被災3県(岩手・宮城・福島)の男女共同参画部局の担当者とは、すでに連 絡がとれ、この相談事業に関する情報を収集した。それを、今回と次回の記事に分けて 漸次記すが、その内容には、昨年の12月、当時の担当者のAさんから得た情報とは異なる部分がある。Aさんが正直な悦明をしたとすれば、彼女の認識には誤りがあったようだ。

 今回得た情報によれば、内閣府男女局の「被災地における、女性の悩み・暴力相談事業」は、3県とも、県の男女局の相談事業とは別の事業として、次のように、NPO法人等の協力を得て行われている。対象者は、その名の通り女性だけであって、男性は、相談したくてもできない。(ただし、次回の記事に記すように、この事業とは別の、各県独自の相談事業は、男女双方を対象として行われている。法律相談は女性だけを対象としているという話もあったが、今回取り上げた相談事業とは、重複内容を持ちつつもやや異質と判断し、今回の記事の対象から外した。)

 岩手:NPO法人「参画プランニング岩手」が、女性だけを対象とした電話相談を担当。
    一般財団法人「大阪府男女共同参画推進財団」が、広報活動を行っている。  

 宮城:女性だけを対象とした予約制の面接相談が、下記6カ所を窓口として、それぞれ、
   月に1〜2回行われている。                        
        気仙沼男女局・石巻男女局・名取男女局              
        法テラス南三陸・法テラス東松島・法テラス山本          

 福島:NPO法人「ウイメンズスペ−ス福島」が、女性対象の電話相談を担当。(月〜金)

 この、女性だけを対象とした相談事業を「男女共同参画」局が行うことについて、私は、男女共同参画社会基本法第3条に謳われた「男女の人権の尊重」や、男性に明らかに多い自殺、そして、男性にも決して少なくはないDV被害の存在等の事実をふまえて批判してきたが、そういう論理が通用しないのが、現在の内閣府男女共同参画局なのである。
 自殺に関するならば、既述のように、毎年例外なく自殺は男性に多いという全国状況があるし、この事業が直接関わる被災者であるならば、これもまた既述の如く、その70%以上を男性が占めるという事実が、男女局自身が作成した平成24年版男女共同参画白書の全体版に記されているにもかかわらず(概要版では何故か自殺データは削除された)、男性を相談の対象から外すのである。男女局の担当幹部は、自殺対策の部局は別のところにあるなどど逃げるかもしれないが、その「別のところ」の部局が、成果を収めることの出来ていない問題として、自殺の性差の問題が存在するのである。

◆ 男性の自殺にも「積極的改善措置」を・・・・・

 ところで、男女共同参画社会基本法第2条2項には、「積極的改善措置」が記されている。その条文は、たとえば首相が、「光り輝く女性」発言の中で目標の一つとした国家公務員採用者女性割合30%の達成のような、女性優遇不正採用のポジティブアクションを正当化するために計画的戦略として導入されたものと私は捉えているが、この条文の「一方の性にとっての不利益」という視点で社会を客観的に見れば、警察庁のデータとして、この36年の間、毎年例外なく多かった男性の自殺は、「男性」という一方の性にとっての明らかな「不利益」であって、それは社会が「積極的改善措置」の対象とすべき明白な事象であると思うのである。しかし内閣府男女局は、そういう男性の危機には踏み込まず、今回取上げた相談事業のように、女性限定支援、女性優遇支援ばかりを行なってきたし、今もそうなのである。要するに内閣府男女局は、「男女の人権を尊重」する部局ではなく、初めに結論ありきの、自己中心的な「女性優遇配慮運動」の拠点である。


2014年08月12日

被災地における、女性の悩み・暴力相談事業 (4) 要望書

「被災地における、女性の悩み・暴力相談事業」について、
内閣府男女局推進課のBさんと、ようやく話しをすることができて、  
要望書を送れる状態となった。
要望書の文面は次の通り。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                               平成26年8月12日
                                 (4枚中の1)
内閣府男女共同参画局 推進課 様
                                 ( 翠 流 )
                 要 望 書

   災害対応における男性差別、「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」の、
              男性無視の解消について。

 男性にも苦しみがあり、命があり、人権があるという立場から、今年度も同じ名称で継
続されることとなった「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」の「男性無視」につ
いて、男女共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)を擁するはずの、内閣府男女
共同参画局を批判させていただきます。

                   記

 もとより、女性だけが苦しみを抱えるのであるならば、この事業の名称に示された施策
の方向を厭うものではありませんが、心の危機の指標の一つとして、例えば自殺に注目を
した場合、周知の通り、自殺者数は、毎年、例外なく男性に多いという事実があります。
例えば、平成23年から25年末までの、「東日本大震災に関連する自殺者数の男女比【下表
T】」、及び、「各年度の全国自殺者数の男女比【下表U】」は、それぞれ、「男性:女性=
2.4:1」、「男性:女性=2.2:1」となっており、自殺者が男性に多いことは、明白な
事実なのです。

 【表T】 東日本大震災に関連する自殺者数(内閣府自殺対策推進室)
            合計   男性   女性
     平成23年    55    42    13
     平成24年    24    18     6    【男女比】
     平成25年    38    23    15   (男性:女性)
      (計)    117    83    34 ・・・・・ 2.4:1

 【表U】 全国自殺者数と男女比(同上)       【男女比】
            合計   男性   女性   (男性:女性)
     平成23年  30,651  20,955  9,696 ・・・・・ 2.16:1
     平成24年  27,858  19,273  8,585 ・・・・・ 2.24:1
     平成25年  27,283  18,787  8,496 ・・・・・ 2.21:1
                       (概数・・・2.2 :1)

 また、東日本大震災に伴う、被災者の精神的状況を示す自殺以外の資料として、男女共
同参画白書(平成24年全体版)に記された下記の3項目【表V】を取り上げれば、恐らく
はストレスの反映としての「飲酒量の増加」が男性に目立ち、「不眠」「こころの状態(精
神的問題)」は、女性ほどではないにしても、男性に、全くないわけではないのです。

 【表V】 男女共同参画白書(平成24年全体版)の、次の図から数値を引用。
    第1−特−27図・・・飲酒量が増加した人の割合
    第1−特−28図・・・睡眠に関する状態・・・「不眠症の疑い」を抜粋
    第1−特−29図・・・こころの状態・・・「精神的な問題の程度」を表す数値が、
                    10点以上の人の割合を合計して抜粋。

         【飲酒量増加】  【不眠症の疑い】【精神的問題10点以上】
          女性  男性   女性  男性   女性  男性
   陸前高田市 3.2%  6.2%  44.4% 27.7%  15.2%  8.7%
   石巻市   3.5% 11.5%  50.2% 32.4%  20.0% 12.3%

 更に、「暴力相談事業」に関わるDV被害の問題につきましては、横浜市(市民活力推
進局・こども青少年局)による調査、「配偶者からの暴力(DV)に関するアンケ−ト調査及
び被害者実態調査(面接調査):平成21年7月」に掲載された数値【下表W】から、「配偶
者やパ−トナ−からの暴力被害」が男性にも存在することは、明らかな事実であり、男性
に対しても、DV被害の相談窓口を開く必要性が示唆されるのです。

    【表W】 配偶者やパ−トナ−から暴力にあたる行為を受けた経験
                     女性      男性
         A.何度もあった    16.9%    11.0%
         B.1、2度あった     25.7%    30.8%
         (小計:A+B)   (42.6%)  (41.8%)
         C.まったくない    56.6%    57.8%
         D.無回答        0.9%     0.3%

 また、男性のDV被害につきましては、インタ−ネット上に、「 Business Journal >
ジャーナリズム > DV妻に苦しむ男が急増中!? 」として、2012年11月7日に掲載された
記事、「離婚、うつ、死亡事件まで発生・・・DV妻に苦しむ男が急増中!?」に、男性のDV
被害の、顕在化しにくい深刻さが記されていると思われますので、【別添え資料】として
同封させていただきました。今回の要望に関わる資料としてだけではなく、DV被害全般
の対策を考える場に於いて、検討の対象として加えていただきたく思います。

 以上、「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」の「男性無視」の不当性について、
いくつかのデ−タを根拠として発言させていただきました。しかし、本来、「悩み」や「暴
力」に関わる相談事業は、デ−タの提示なくしても、男女両方を対象として行われなけれ
ばならないものと考えます。それが、全ての人に対する人権尊重の視点であり、その精神
は、既に、男女共同参画社会基本法第三条に謳われています。内閣府男女共同参画局は、
その名の通りの「男女共同参画」局でなければならないはずです。男女共同参画局は、女
性だけに対する支援センタ−ではないのです。

 私は、昨年から、「男女共同参画」局という美名と乖離した施策について、要望書を含
め、様々の指摘をさせていただいておりますが、乖離した施策があまりにも多すぎて、 
失望と疲弊を強く感じています。男性にも人権があります。男性にも、人権を尊重した、
平等な施策を受ける権利があるのです。男性差別はやめてください。

 今回取り上げた事業につきましては、既に昨年の12月に、前任のAさんに、電話で、同
様の思いをお伝えしてあります。Aさんは、私の主張に共感的な立場で電話を受けてくだ
さった印象がありましたが、結局、今年も、事業は同名のまま継続され、男女両方の人権
を尊重する視点は欠落したままとなっています。しかも、今年5月のCさんの確認によれ
ば、私の要望は、推進課内で共有されることなく、また、申し送りもなされていなかった
事実があり、非常に残念に思います。その後、私は、7月上旬に、Aさんから伺った被災
県の相談事業の状況確認のため、岩手・宮城・福島の男女共同参画部局に電話を入れ、そ
れぞれ、Dさん、Eさん、Fさんにお話を伺いました。岩手・福島につきましては、Aさ
んのお話と不整合がありますが、3県とも、県の男女共同参画部局の事業としては、震災
発災直後から、男女両方を対象とした相談事業を行ってきたとのことでした。従って、内
閣府男女共同参画局だけが、男女共同参画社会基本法第三条に抵触する施策を行っている
のです。これもまた、はなはだ遺憾な話で、本来、内閣府男女共同参画局は、全国の男女
共同参画部局の範となる施策を行うべき位置にあるのではないでしょうか。それとも、3
県が男女両方を対象とした相談事業を行っていることを言い訳に、既述のような、自殺者
数に見られる男性の深刻な状況や、横浜のDV調査が示した実態を無視し、女性だけを対
象とした「悩み・暴力相談事業」を正当化するのでしょうか。

 私が求めているものは、今回取り上げた事業につきましては、男女両方を相談の対象と
とすることであって、それ以上ではないのです。しかし、あえて踏み込んで発言をすれば、
男性には、今も日本の社会の中で、陰に陽に求められる「性別観」「性別役割」の呪縛が
あります。「男性は強くなければならない」「男性は一人で苦しみに耐えなければならな
い」「それが目指すべき男らしさである」というような、男性を孤立の道に導く呪縛が、
女性ならば求めやすい「共感的理解」を男性から奪い、孤独のうちに自殺の道をたどって
いった幾多の男性が、恐らくは日本の社会の中にいる。とすれば、それは、精神的支援に
関わる男性差別の存在の証、つまりは男性にとっての不利益の存在の証であって、ならば、
むしろ男性に対して、苦しみから救うための「積極的改善措置」が、取られてよいはずだ
と思うのです。しかし、内閣府男女共同参画局は、その逆を行っているではありませんか。
今回取り上げた事業を、なぜ、今年もまた、「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」
としたのですか。なぜ男性を疎外したのですか。震災関連の自殺は明らかに男性に多いと
いうのに。そして、DV被害は、男性にも存在するというのに・・・・・。

 くり返します。私が今回の要望書で求めているものは、男女両方を対象とした相談事業
の開設であって、それ以上ではないのです。相談事業の対象を女性だけに限定するのでは
なく、男性も対象に加えてください。それくらいのことはできるはずでしょう。「被災地に
おける女性の悩み・暴力相談事業」を、早急に、「被災地における、被災者の悩み・暴力相
談事業」に修正してください。

 以上、強く要望します。 

【別添え資料】・・・ 内閣府男女局には全文を送りますが、このブログには、とりあえず、
        URLだけを記します。支障あれば、コメント欄にてご連絡ください。

  記事:「離婚、うつ、死亡事件まで発生・・・DV妻に苦しむ男が急増中!?」
      URL ・・・ http://biz-journal.jp/2012/11/post_967.html


2014年11月10日

災害対応シンポジウム(福島) 【その1】

久しぶりに、内閣府男女共同参画局のHPを開いた。
久しぶりなのは、私が負けているからである。
男女局のHPを開くことが、私の精神的な負担になっている。

HPには、次のようなシンポジウムの募集要項が記されていた。

「防災・復興における女性の参画とリーダーシップ        
       〜第3回国連防災世界会議に向けてのシンポジウム」
             http://www.gender.go.jp/public/event/2014/bousai.html

以前から、「第3回国連防災世界会議」が被災地で行われることは知っていた。
そして、私はそれを恐れてきた。
災害対応のメッセ−ジが、
男性の人権を、無視・軽視したままに、
採択されてしまうのではないかと・・・・・。

標記のシンポジウムは、
来月、12月3日(水)に、福島市で行われる。
私は、内閣府男女共同参画局総務課に、
次のような要望書を送ることにした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                               平成26年11月10日 
内閣府 男女共同参画局 総務課 様
                                   (翠 流)  
                  要 望 書    

         「防災・復興における女性の参画とリーダーシップ          
         〜第3回国連防災世界会議に向けてのシンポジウム」の        
       内容、および運営について。・・・「男女の人権の尊重」の視点から。    

                    記                  

 標記シンポジウムの開催にあたりましては、男女共同参画社会基本法第3条「男女の人権
の尊重」に則り、女性の人権だけではなく、男性の人権にも配慮する視点を忘れることのな
いよう、強くお願い申し上げます。会の運営にあたりましては、「男性は・・・」「女性は・・・」
というような、単純化された二項対立的視点や、過去からの性別観に囚われすぎることなく、
「人間は多様であること」をふまえた人権尊重の視点で、災害対応を検討していただきたく
お願い申し上げます。例えば、避難生活でのプライバシ−への配慮に関わって言えば、羞恥
に対する配慮が必要なのは女性だけではない。男性にも、羞恥心の強い人はいるのです。男
性に「不当な我慢」を強いるような災害対応は、絶対にやめてください。

 特に男性の人権に関わっては、避難所等における、更衣室、トイレ、物干し場、休憩スペ
−ス等の設置、入浴に対する配慮、生活支援物資の配布など、人間の尊厳、清潔、心身の健
康等に関わる重要事項について、男性に対する人権軽視・人権無視の現れることが強く懸念
され、強い不安感を捨てきれません。「男性は我慢をしなければならない」というような不当
な性別観で男性を呪縛することなく、すべての人の人権を尊重する視点に立って、誰もが、
心身共に健康に暮らせるような災害対応を実現してください。強くお願い申し上げます。 

 なお、上記のような生活支援の問題と併せて、被災者に対する精神的支援の平等性の問題
を含め、今回の要望と関連性の高い既送の要望書として、昨年の12月12日付けで、当時
の総務課のA様を窓口として送付させていただきました要望書、及び、本年8月12日付けで、
推進課のB様を窓口として送付させていただきました要望書(資料を含め全8枚)を、〖別添
え資料−T・U〗として同封させていただきましたので、併せてご覧いただきたくお願い申
し上げます。

〖別添え資料−T〗・・・・・ 平成25年12月12日付・要望書(総務課宛)
    「東日本大震災からの復興に関する男女共同参画の取組状況調査」に見られる
    「男性に対する人権無視」の指摘と、今後の災害対応における、「男性に対する
     人権無視・人権軽視の回避」について。

〖別添え資料−U〗・・・・・ 平成26年8月12日付、要望書(推進課宛)
    災害対応における男性差別、「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」の、
    男性無視の解消について。                         
                        以上、宜しくお願い申し上げます。 

◆ 資料詳細 ◆

〖別添え資料−T〗・・・・・下記の要望書は、昨年12月12日の記事、『内閣府男女局 総務課へ
            ・・・・・「ひどすぎる復興アンケ−ト」について』の中に掲載した。

                               平成25年12月12日 
内閣府 男女共同参画局 総務課 様
                                  (翠 流)  
                  要 望 書   

      「東日本大震災からの復興に関する男女共同参画の取組状況調査」   
         に見られる、「男性に対する人権無視」の指摘と、        
    今後の災害対応における、「男性に対する人権無視・人権軽視の回避」について。

 既に今月5日に、総務課のA様から、防災担当者4名の会議の結果であるとして、ご回答
いただいた件ではありますが、その内容を確認し、文書として明確な形で残したいという思
いから、改めて要望書を送らせていただきます。
 11月27日に、私からA様に発言させていただきましたように、本年6月7日に、内閣府男女
共同参画局ホ−ムペ−ジの「災害対応」に掲載された記事、「東日本大震災からの復興に関
する男女共同参画の取組状況調査」の45ペ−ジ、図表5-5-1「避難所運営の際に男女共同参
画の視点を反映させた取組」に記された調査項目は、下記のように、そのほとんどが女性け
に対する配慮に終始しており、男性に対する配慮、具体的には「男性用更衣室」「男性のニ
−ズの把握(聞き取り、意見箱等)」「男性に対する相談窓口の開設・周知」「男性専用の物
干し場」は完全に欠落しています。因みに、「物干し場」につきましては、私は現在の居住
地に来て約20年になりますが、この20年間、私は、洗濯物を干すときに、自分がスラックス
の下に身につけている1枚の下着を、人に見える場所に干したことは、ただの一度もないの
です。すべて部屋干しです。そういう男性もいるのです。

 【図表5-5-1:調査項目】                            
   男女別トイレ。 避難所の運営体制への女性の参画。 女性用物資(生理用品や  
   下着等)の女性による配布。 女性用更衣室。 女性のニ−ズの把握(聞き取り、 
   意見箱等)。間仕切りによるプライバシ−の確保。 授乳室。 女性に対する相  
   談窓口の開設・周知。 乳幼児のいる家庭用エリアの設置。 女性専用の物干し場。 
   女性に対する暴力を防ぐための措置。 その他                 

 前述のように、図表5-5-1の名称には「男女共同参画の視点を反映させた取組」と書きな
がら、その調査項目には男性に対する配慮が存在しません。この、名称と内実の乖離。それ
は、男性に対する人権無視という倫理的な問題点であると同時に、男女共同参画社会基本法
第3条、そして日本国憲法第14条に抵触する内容であると考えます。          
 この私の発言につきまして、A様は、防災担当者4名の会議の結果であるとして、今後の
災害発生時には、私の発言のような要望を取り入れる形で、つまりは、「女性の人権だけでは
なく、男性の人権にも配慮して」調査項目を設定することを確認したと、回答してください
ました。しかし、人権尊重の原点に立ち帰って考えれば、それは、本来、この調査の開始時
点で考慮されるべき事項であったはずと考えます。男性にも人権はあります。男性の人権を
無視しないでください。本年5月に公開された「男女共同参画の視点からの防災・復興の取
組指針」の4ペ−ジには、「避難生活において人権を尊重することは、女性にとっても、男性
にとっても必要不可欠であり、どのような状況にあっても、一人ひとりの人間の尊厳、安全
を守ることが重要である。」と記されています。この精神を忘れることなく、真の「男女共
同参画の視点」から、今後の施策が実施されるよう、強く要望します。        

〖別添え資料−U〗・・・・・今年の8月12日の記事『被災地における、女性の悩み・暴力相談
           事業(4)要望書』に掲載した。ここでは省略する。

                                     (以上)

2014年12月26日

災害対応シンポジウム (福島) 【その2】

 12月3日(水)に、私は、東北新幹線で福島市に行き、「防災・復興における女性の参画とリーダーシップ 〜第3回国連防災世界会議に向けてのシンポジウム」に参加した。

 既に、11月10日の記事「災害対応シンポジウム(福島)【その1】」にも書いたが、私は、来年3月に仙台で行われる「第3回国連防災世界会議」で、たとえば災害対応のメッセ−ジが、男性の人権を無視、或いは軽視した状態で採択されてしまうような展開を、強く危惧してきたのである。もしもそうなれば、実際の被災場面で、間違いなく男性差別に拍車がかかると、私は、まるで脅迫観念に襲われるかのように思う。たとえば疲弊してたどり着いた避難所で、私は男性であるために、着替えの場所がなく、トイレも充分に与えられず、着替えの下着も配布されず、プライバシ−に配慮された物干し場もなく、ガレキの処理から帰った避難所で休息するスペ−スもなく、というような状況、そして男性には、それに耐えるべき当然の義務があるというような、まさに不当な、人権侵犯としての性別役割の強要の中で、私は、収拾しきれない煩悶の中に追い込まれると。

 男女共同参画社会基本法第3条(男女の人権の尊重)を擁するはずの内閣府男女局。私をこのような不安に陥れたのは、ほかならぬ、あなたたちだ。あなたたちが行ってきた「第3条と乖離した施策」だ。実際、昨年の3月28日に開かれた「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(案)」の意見交換会の日までの間、あなたたちは、そういう災害対応ばかりを考えてきたではないか。意見交換会当日の、「有識者の意見も聞いた」などという、吐き気を催すような発言まで携えて。

 幸いなことに、意見交換会に続く「意見募集」の過程を経て、「指針(案)」の問題点だけは修正された。しかし、解説事例集にも、相談事業にも、白書の内容にも、復興取組状況調査にも、たくさんの男性差別が残されているではないか。私がこのブログで指摘し続けてきたように。

 私は、シンポジウムの登壇者から「男女両方の人権に配慮する」という意味の言葉を引き出したくて、記事「災害対応シンポジウム(福島)【その1】」に記した要望書を男女局に送り、当日、適当な登壇者から、それに対する壇上からの見解を聞きたい旨を伝えておいた。申込書には「登壇者に聞きたいこと」の記入欄があったのである。しかし、この要望に正面から応える言葉はなかった。私は苛立ち、「時間がない」旨をくり返す司会者の言葉を遮るように、2回に渡って発言の機会を求めた。私の大きい声が、広い多目的ホールに響き渡った。

 結局、発言の機会は与えられなかった。私は苛立ちを収拾できず、コーディネーターとの面談を求めて係を呼んだ。しかし、これもかなえられなかった。

 しかし、今回、係として様々の橋渡しをしてくれた男女局のあの人は、私の要望書が完全に無視されたわけではないと私に伝えた。それはそうさ。確かに、そうかもしれないと感じさせる発言はあった。それは、避難所となった「学校の体育館」での話だったと記憶する。「大きいカーテンを持ち込んで仕切りを作り」「男女が交代で」「着替えをした」という報告。

 しかし男女局はどこか逃げていると私は感じる。「男女の人権の尊重」という私の要望書の表現を、コーディネーターが使うことはなかった。それは、彼女が、問題の本質から逃げている証しではないかと私は思う。では、彼女は、なぜ逃げるのか。それは、憲法第14条や男女共同参画社会基本法第3条の実現よりも、ほかならぬ自己本位の女性優遇運動の貫徹を上位に置こうとする、男女共同参画局の本質的な自己中心性の現れではないかと私は思う。

 私には、「防災・復興における女性の参画とリーダーシップ」に反対するつもりなど、全くない。問題はそういうことではなくて、どういうリーダーが育つかにあると思うのである。要するに、このブログでくり返し発言してきたように、人間の多様性をふまえた、全ての人に対する人権尊重の視点を持ったリーダーが、育つかどうかが問題なのである。当然のことながら、女性の人権だけではなく、男性の人権も同等に尊重されなければならない。「男女共同参画の視点」という美しいはずの言葉を使いながら、しかしそれと乖離して、女性に対する配慮ばかりに目を向ける人間に、リーダーとしての資格など、あるは
ずはないのである。

 ところで私は、このシンポジウムに参加する前に、展示とリレートークが行われた企画展示室で、「あおもり被災地の地域コミュニティ−再生支援実行委員会」が作成した資料を見て、非常に強いショックを受けた。それについては、年が明けてから報告したいと思う。





2015年01月14日

「あおもり被災地の地域コミュニティ再生支援事業実行委員会」へ

「男女共同参画の視点」という美名を使いながらも、
女性への配慮ばかりに終始し、男性には配慮しない女たち。
たとえばガレキの処理で衣服もからだも汚れ、
心身共に疲弊して避難所に帰ってきた男たちには、
からだを休める部屋もない。
それなのに女たちには、
アロマオイルまで用意した、手厚い部屋を用意する。
その、呆れるばかりの「男性差別の視点」を、
彼女たちは「男女共同参画の視点」とよぶ。
全く、ひどい話なのである。
男性には、人権など、ありはしない。
そして恐らくはそれを受け入れるのが義務であるかの如く、
「男らしさの規範」「女性優遇是認の規範」を、男性に押しつける男たち。
或いはまた、疑義はあっても、無言のままに、通り過ぎる男たち。
そういう、「女たちの自己中心性」と、男たちの「男性に対する加害性」によって、
「男性差別」が出現し、是認され、拡大していく。
その、典型の一つとして、
ここに、「あおもり被災地の地域コミュニティ再生支援事業実行委員会」が作った冊子、
【男女共同参画の視点を取り入れた「安心できる避難所」づくり訓練ヒント集】がある。
その URL は次の通り。

http://www.aomoricombiz.co.jp/hintosyu.pdf

これをご覧いただきながら、次の要望書を読んでほしいと思う。
私は、この要望書を「あおもり被災地の地域コミュニティ再生支援事業実行委員会」へ送り、
その写しを、
「青森県環境生活部、青少年・男女共同参画課、男女共同参画グループ」
「青森県 防災・消防課」
「内閣府 政策統括官(防災担当)」
そして、事業を委託した、「文部科学省、生涯学習政策局社会教育課」に送る。

なお、上記の「実行委員会」には、
青森の、「男女共同参画」課の職員が含まれている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

                                 平成27年1月●●日
あおもり被災地の地域コミュニティ            
再生支援事業実行委員会 様
                                     翠 流
                  要 望 書

     冊子:【「安心できる避難所」づくり訓練ヒント集】 に見られる、
    男性に対する人権無視・人権軽視・誹謗表現の是正について。

         ・・・・・「男女共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)」、及び、 
            「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」の視点から。

 昨年12月3日に福島市で行われました「防災・復興における女性の参画とリーダーシップ〜第
3回国連防災世界会議に向けてのシンポジウム」に参加しました折、貴実行委員会が作成した
冊子【「安心できる避難所づくり」訓練ヒント集】を拝見し、そこに見られる「男性に対する
る人権無視・人権軽視・誹謗表現」に、非常に強いショックを受けています。

 その冊子の作成に関わる文部科学省の委託事業、「学びを通じた被災地の地域コミュニティ
再生支援事業(平成25年度)」につきまして、文科省の担当者、生涯学習政策局社会教育課の
●●様にお尋ねしましたところ、「この事業に関わる各自治体の取組内容は、各自治体に任せ
てある」とのお話しでした。従いまして、冊子の内容・表現は、全て「あおもり被災地の地
域コミュニティ再生支援事業実行委員会」の決定によるものと理解しております。

 冊子に見られる「男性に対する人権無視・人権軽視・誹謗表現」につきましては、具体的
に後述しますが、冊子の表紙に記された「男女共同参画の視点」は、とりもなおさず、「男女
共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)」に則った視点のはずで、ご存じのように、
「第三条」には、次のように記されています。

  【男女共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)】
     男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、
    男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発
    揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨とし
    て、行われなければならない。

 そして更に、平成25年5月に公開された「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」
には、上記「第三条」の精神を反映した、次のような文章が記されています。

  【男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(p.4)】
   4 男女の人権を尊重して、安心・安全を確保する
     避難生活において人権を尊重することは、女性にとっても、男性にとって
    も必要不可欠であり、どのような状況にあっても、一人ひとりの人間の尊厳、
    安全を守ることが重要である。

 ですから、この冊子の作成に際して、「あおもり被災地の地域コミュニティ再生支援事業実
行委員会」は、上記のような「男女両方の人権の尊重」を、作成の基本精神として据えなけれ
ばならなかったはずなのです。尊重されるべきは女性の人権だけではない。男性にも、尊重さ
れるべき人権があるのです。

 しかし実行委員会は、その精神と乖離した冊子を作りました。この冊子には、次に記すよう
な問題点、「男性に対する人権無視・人権軽視・誹謗表現」が存在します。それは、「男女共同
参画社会基本法第三条」や「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」の精神からの
乖離なのです。冊子の表紙には、「男女共同参画の視点を取り入れた」と謳いながら、しかし
実際の内容は、「男女共同参画の視点」になっていないのです。 

【問題点】

1.「女性専用ルーム」は設置されているが、「男性用の部屋」は、全く存在しない。

   ひど過ぎる話だと思います。たとえば、ガレキの処理で心身共に疲弊して避難所に
  帰ってきた男性は、どこで、からだと心を休めればよいのでしょうか? 冊子の「女
  性専用ルーム」の説明文には、「お茶・お菓子・ドライヤー・鏡付きの一角」等を 用
  意するとまで書き、チェック項目には「身だしなみセット・洗面器」から「アロマオ
  イル」まである。しかし、男性に対する配慮は何もないのです。疲弊した、からだと
  心を休める部屋さえもないのです。これでは、男性には人権などないに等しいではあ
  りませんか。このような、男性差別をしてよいのでしょうか?

   心の問題について言えば、冊子の「女性専用ルーム」の説明文には、「(女性たちが)
  何気ないおしゃべりから、自分が抱えている悩みを打ち明け、少し楽になれる場にも
  なる」と記されています。しかし、「男女共同参画白書:平成24年全体版(内閣府)」の
  「第1−特−27図・28図・29図・31図」にも示されているように、被災地では、女性
  だけが悩んだのではない。男性も苦しんできたのです。それは例えば、白書「第1−
  特−27図」の「アルコール依存の男性での増加」、そして、「第1−特−31図」の「自
  殺者に占める男性の割合」に、明確に示されているではありませんか。「男性たちが心
  通わせる場」としても、「男性用の部屋」が必要なのです。

2.「女性専用物干し場」の必要性は説かれているが、「男性専用物干し場」の必要性は、
  全く指摘されていない。

   男性にも「専用物干し場」が必要な理由を、具体例と共に書きます。私は、現在の
  居住地に来て、22年になりますが、スラックスの下に身に着けている下着を、人に見
  える場所に干したことは、ただの一度もないのです。すべて部屋干しです。そういう
  男性もいるのです。「専用物干し場」は、性犯罪防止だけのために作られるものではな
  い。改めて言うまでもなく、それ以前に、プライバシーの問題、羞恥に対する配慮の
  問題がある。そしてそれは、女性だけの問題ではないのです。感受性は人によって違
  います。男性でも羞恥心の強い人はいるのです。羞恥心は、性別で単純にカテゴライ
  ズできるものではないのです。

   羞恥は、人間の尊厳に関わる感情です。男性の羞恥心を軽視することなく、「男性専
  用物干し場」の必要性も指摘してください。私は、個人的には、同性にも下着を見ら
  れたくはない。しかし、被災の現実を考えれば、そこまでの配慮は困難でしょう。で
  すから、「男女別の物干し場」を作るのです。「男女共同参画の視点からの防災・復興
  の取組指針(内閣府)」の12ページにも、次のような文章が記されているではありませ
  んか。

    【男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(p.12)】
      3 避難所 (1)避難所の開設 ・・・ ○ 避難所の開設当初から、授乳室や
      男女別のトイレ、物干し場、更衣室、休養スペースを設けること。

3.冊子p.4の「男女別更衣室」の説明文に、男性の尊厳を破壊する誹謗表現がある。

   下記の引用文の表現に、私は非常に強いショックを受けました。私は、女性の前
  で着替えをしたことなど、ただの一度もないのです。というより、着替えなどでき
  るはずはないのです。私は、あるスポ−ツクラブの男性更衣室に女性清掃員が入る
  のが嫌で、法務局の人権擁護課に人権救済の申し立てをして、合法的なたたかいを
  続けてきた人間です。そういう感受性の男性がいるのです。しかし、下記の引用文
  は、そういう男性の存在を全く無視し、男性には、あたかも羞恥心がないかの如く
  表現しているではありませんか。それは、私のような男性に対する、尊厳の破壊な
  のです。避難所に更衣室がなければ、私も「毛布の中で」着替えをします。それは、
  女性だけではないのです。そういう感受性の、私のような男性が、人前で裸になど、
  なれるはずがないではありませんか。

   【引用文】:冊子 p.4「男女別更衣室」から引用 ・・・(男性への誹謗表現を含む)
     ・・・ 毛布の中や仮設トイレの中で着替えをしていた女性たちもたくさん
     いました。また、女性の前で、男性が裸になって着替えたりすることは、
     日常であればセクハラにつながり、それは非常時でも同じです。

   被災地の避難所に、上記の引用文のような着替えをした男性がいたのか否か、私
  は知りません。しかし、もしもいたとすれば、それは、常軌を逸した男性の、批判
  されるべき行動でしょう。羞恥心を持つ健全な男性に、或いは良識ある普通の男性
  に、そんなことができるはずはないのです。引用文のような、常軌を逸した男性を、
  あたかも男性の代表であるかの如く表現するのは、絶対にやめてください。それは、
  男性に対する尊厳の破壊です。

   羞恥は人間の尊厳に関わる感情です。男性に対するプライバシーへの配慮は、羞
  恥心の強い男性を主役としてなされなければならないはずです。文章表現もそうで
  す。常軌を逸した男性の批判されるべき行動だけを取り上げて、そうではない男性
  の尊厳を破壊する誹謗表現は、絶対にやめてください。

4.「女性相談コ−ナ−(p.2)」や「DV被害女性支援ル−ム(p.4)」の必要性が記され
  ている一方で、男性に対する相談・支援体制が全く存在しない。

   既に、上記1で記しましたたように、被災地で苦しんできたのは、女性だけでは
  ありません。男性も苦しんできたのです。それは、既述の通り、男性に多い自殺や、
  アルコ−ル依存の増加等に顕著に現れています。男性に対する相談体制の整備につ
  きましては、【男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(内閣府)】には、
  次のように記されています。この現実もふまえ、男性に対する相談・支援体制も整
  備してください。

    【男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(p.19)】
      オ 相談窓口の周知(後半)・・・ ○ 男性としての重圧や他人に弱音を
       吐くことを避ける傾向にある男性の精神面での孤立が課題となってく
       ることから、男性に対する相談体制を整備するとともに、相談窓口の
       周知方法に工夫を行うこと。

◆ 以上の認識をふまえ、冊子【「安心できる避難所づくり」訓練ヒント集】に見られる
 「男性差別」の是正のために、次の7点を要望します。

                    記

1.「男女共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)」、及び、「男女共同参画の視点か
 らの防災・復興の取組指針(内閣府)」の視点に立ち、冊子に見られる「男性に対する人権
 無視・人権軽視・誹謗表現」を是正すること。具体的内容は、以下の通り。

2.「女性専用ル−ム」だけではなく、「男性専用ル−ム」も冊子に付け加えること。また、
「女性専用ル−ム」と同等の備品を、「男性専用ル−ム」にも用意すること。例えば「鏡付
 きの一角」「ドライヤー」「身だしなみセット」「洗面器」「アロマオイル」等、冊子「女性
 専用ル−ム」の説明文にある物品を、「男性専用ル−ム」にも用意すること。

3.「女性専用物干し場」だけではなく、「男性専用物干し場」も用意すること。

4.上記2・3の観点をふまえ、冊子 p.2の「レイアウト」、p.3の「準備物」等、関連部
 分を修正すること。

5.冊子 p.4「男女別更衣室」の説明文に見られる「男性の尊厳を破壊する誹謗表現」を削
 除し、例えば次の文例のように、男女両方の人権を尊重した表現に修正すること。

【文例】・・・男性、女性それぞれの更衣室をつくることが大切です。避難所では、男女問わ
  ず、毛布の中や仮設トイレの中で着替えをしていた人たちがたくさんいました。男女の
  プライバシーを守るために、男女別更衣室をつくりましょう。

6.相談・支援体制は、女性だけではなく、男性についても整備すること。

7.冊子の全てを再度見直し、真に「男女共同参画の視点に立った冊子」、即ち、「男女両方
 の人権を尊重した冊子」を完成させること。
                              以上、強く要望します。


2015年05月13日

国立教育政策研究所へ (3)

2013年(H25)の8月と12月に、
国立教育政策研究所・文教施設研究センタ−へ、要望書を送った。
理由は、記事カテゴリー「災害対応(2013年)」の中の、
「国立教育政策研究所へ(1)(2)」に書いてあるが、
要するに、全国の公立学校を対象に行っているアンケート調査、
「学校施設の防災機能に関する実態調査」には、
「女性のプライバシーに配慮したスペースの確保」という項目はあったが、
男性に対しては、これに相当する項目がなかったのである。
私には、それが、非常にショックであった。
なぜならそれは、「すべての人の人権を尊重すべき学校教育の現場」に、
男性に対しては、個人の感受性の如何に関わらず、
プライバシーには配慮しなくてよいという、
人権を無視した「差別の通達」が下りたのと同じだからである。
プライバシーへの配慮は、人間の尊厳に関わる配慮である。
プライバシーへの配慮は、性犯罪防止だけのために行われるものではない。
それ以前に、人間の尊厳に関わる問題なのである。
感受性は人によって違う。
性別で単純にカテゴライズできるものではない。

一昨年、私の要望書を読んだ担当者は、
同年11月21日に、返事を聞くために電話をかけた私に対して、次のように言った。
「今年度調査済みの項目については修正できないが、来年度に向けて、項目全般を見直す。」
私はその結果を聞くために、先月、4月9日に、担当者に直通の電話をかけた。
彼は在室であった。私は彼の声を覚えていた。彼も私を覚えていた。
彼は、私の問いかけに対して、次のように答えた。
「アンケート項目から『女性の』という語句をとった。」

私は、確認するために、国立教育政策研究所のホームページを開いた。
確かに彼の言う通りであった。
2014年の項目から、『女性の』という語句は消えていた。
関連部分を、2012年・2013年・2014年の順に、URLと共に記す。

2012(H24)年 
   ・要援護者や女性のプライバシーに配慮したスペース〈新規〉
   http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/bousaikinou2012.pdf
2013(H25)年 
   ・要援護者や女性のプライバシーに配慮したスペース
   http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/bousaikinou2013.pdf
2014(H26)年 
   ・要援護者やプライバシーに配慮したスペース
   http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/bousaikinou2014.pdf

猜疑心が強くなっている私は、『女性の』という語句を『男女の』にしなかった理由が気になった。2年間の『女性の』という言葉の効果が、その後も続きやすくなるように、つまりは、女性限定(優遇)配慮の継続を企図する思いから、あえて、『男女の』という言葉を避けたのではないだろうか? しかしたとえば、性同一性障害の人たちへの配慮を考えれば、『男女の』という言葉はないほうがよい。しかし、国立教育政策研究所はそこまで考えたのだろうか? 

私は結局、この戸惑いを捨てることができず、5月8日に、再び担当者に電話をかけた。
『男女の』にしなかったのはなぜか、と聞く私に、
彼は、「いろいろな場合がある。高齢者とか・・・」と答えた。
「そうですね、性同一性障害の人たちへの配慮も・・・」と受けた私に、
彼の、意表を突かれた緊張感のような息遣いが感じられた。

どのような話し合いを経て、表現が変わったのかはわからない。
しかしとりあえず、一昨年の要望によって、
退行でもなく、現状維持でもない表現を、
獲得することはできた。

男女共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)

  男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が
 性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保
 されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。