2018年12月31日

男性の自殺(8) :2017年の状況、及び、過去40年間各年の、   自殺者数・自殺死亡率(自殺率)と男女比

年が明ける前に、
今年3月に厚労省自殺対策推進室が公表したデータをもとにして、
2017年(H29)の自殺の状況を掲載するが、その前に、
1978年(S53)以降40年間の、自殺者数・自殺死亡率(自殺率)を、性差に注目して記す。
1978〜2011年のデータは、記事「男性の自殺(2)」に記したが、・・・・・・・・【A】
2012〜2017年のデータは、次の通りである。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・【B】

   年次別     総 数    男    女    男女比【男/女】
                           自殺者数 (自殺率)
  2012(H 24)  27,858  19,273  8,585   2.24  (2.37)
  2013(H 25)  27,283  18,787  8,496   2.21  (2.33)
  2014(H 26)  25,427  17,386  8,041   2.16  (2.28)
  2015(H 27)  24,025  16,681  7,344   2.27  (2.38)
  2016(H 28)  21,897  15,121  6,776   2.23  (2.35)
  2017(H 29)  21,321  14,826  6,495   2.28  (2.40)

【A】【B】両者を見ればわかるように、
1978年以降の40年間、自殺は、毎年変わることなく、明らかに男性に多い。
この40年間を、時系列に沿って、自殺率・自殺者数の特徴から6群に分け、
それぞれの自殺率の、男女比の幅を記すと、次のようになる。

       年 次        自殺率の男女比【男/女】
  1978(S 53)〜1982(S 57)    1.66 〜 1.85
  1983(S 58)〜1985(S 60)    2.02 〜 2.18
  1986(S 61)〜1992(H 04)    1.64 〜 1.89
  1993(H 05)〜1997(H 09)    2.03 〜 2.14
  1998(H 10)〜2011(H 23)    2.27 〜 2.76 (年間自殺者3万人以上)
  2012(H 24)〜2018(H 29)    2.28 〜 2.40

このような事実は、国および全国各自治体の自殺対策部局が、
「自殺が男性に多い」という問題について、
有効な施策を講じることができなかった、或いはしなかったことを示している。

ところで、内閣府男女共同参画局(以下、男女局)は、
厚労省母子保健課が平成8年から行ってきた「生涯を通じた女性の健康支援」と同名の施策を、
厚労省に上乗せする形で、男女共同参画基本計画の中で展開しており、
それは、それ自体だけについて言えば、それでも結構なのであるが、
一方で、男性が抱える、現実としての「いのちの危機」、たとえば、
国民の死亡原因の第一位である癌死が、男性に圧倒的に多い事実や、
上記の、男性に多い自殺の問題については、
女性に対する手厚い配慮に比べれば、はるかに脆弱、というか、
現実と対比すれば、むしろ皆無と言っても過言ではないような対峙しかしておらず、
今までも繰り返し発言してきたことではあるが、
そのスタンスの男性差別、男女共同参画社会基本法第三条(注1)との乖離には、
呆れるばかりなのである。

 (注1)第三条(男女の人権の尊重)・・・ 男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての
  尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人と
  して能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨とし
  て、行われなければならない。

この件については、2015年8月の、第四次男女共同参画基本計画素案の公聴会で、
挙手指名による発言の機会(3分間しかない)を得て、
素案の「生涯を通じた『女性』の健康支援」を、
「生涯を通じた『男女』の健康支援」に修正するよう要望したが、
集会の最後に、担当者と思われる女性が立って、
「男女の健康支援にすると女性に対する支援が薄まってしまうので、以前からジレンマだ」などと、
国民の「いのち」の現実と乖離した、わけのわからないことを言い出す始末で、
女性の本質は自己中心性にあるのかと、
あの時の記憶は今も消えないのである。

ところで、男女共同参画社会基本法第二条には、下記(注2)のような条文が記されている。
もともと、この項目の、特に第二項は、ポジティブアクションという名の、社会進出をめぐる
女性優遇操作(合格・採用・昇進等に関わる女性優遇)を男性差別であると言わせないための
計画的戦略として導入されたもと私は解釈しているが、この第一項の「男女が均等に政治的、
経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成
すること」が「男女共同参画社会の形成」であって、第二項の「前号に規定する機会に係る男
女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積
極的に提供すること」を「積極的改善措置」と呼ぶのであるならば、男性に対する自殺対策も、
癌対策も、この「積極的改善措置」として、現実と乖離することなく、男女共同参画基本計画
に組み込まれて当然の施策ではないかと思う。配慮が女性ばかりに傾斜する基本計画は男性差
別であり、男女局の自己批判によって是正されるべきである。男性は、今も、旧来の固定的性
別観・性別役割に呪縛される傾向が強く、女性のようには声を挙げられない状況にあるが、女
性限定配慮、女性優遇配慮ばかりが拡大する日本の社会状況にあって、男女の亀裂は、確実に
深くなっていると私は思う。

 (注2) 第二条(定義)・・・ この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各
  号に定めるところによる。
  一 ・・・ 男女共同参画社会の形成 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって
  社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、
  経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を
  形成することをいう。
  二 ・・・ 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲
  内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆ 2017年の状況 ◆ ・・・ 続いて、今年3月に公表された自殺データ(2017年の状況)をもとに、
            昨年と同様に整理した結果を掲載する。

【 2017年 自殺データ 】 ・・・ 項目は次の通り。
      T.自殺者数と男女比
      U.自殺の「原因・動機特定者数」と「原因・動機不特定者数」
      V.原因・動機特定者の「原因・動機別自殺者数(大分類:7項目)」と男女比
      W.原因・動機特定者の、「原因・動機別の自殺者数(52項目)」と男女比
      X.就職失敗による若者(20代)の自殺者数と男性の割合

T.自殺者数と男女比:(  )内は自殺死亡率(自殺率)を示す。
           自殺率は人口10万人あたりの自殺死亡者数を意味する・
     総 数      男         女     男女比【男/女】
    21,321(16.8)  14,826(24.0)  6,495(10.0)  2.28(2.40)

U.自殺の「原因・動機特定者」と「原因・動機不特定者」 
     総 数     原因・動機特定者      原因・動機不特定者
     21,321     15,930(74.7%)      5,391(25.3%)

V.原因・動機特定者の「原因・動機別自殺者数(大分類:7項目)」と男女比。
  ・・・ 遺書等の、自殺を裏付ける資料により、明らかに推定できる原因・動機を、自殺者
   一人につき3つまで計上可能としているため、原因・動機特定者の、原因・動機別自
   殺者数の和と、原因・動機特定者数(15,930)とは一致しない。

    (原因・動機)  (計)  (男性) (女性) 【男性 : 女性】
     家庭問題     3,179  2,030  1,149  【1.76 :1】
     健康問題    10,778  6,358  4,420  【1.43 :1】
     経済生活問題   3,464  3,078   386  【7.97 :1】
     勤務問題     1,991  1,768   223  【7.92 :1】
     男女問題     768   486    282  【1.72 :1】
     学校問題     329   249    80  【3.11 :1】
     その他      1,172   855    317  【2.69 :1】

W.原因・動機特定者の、「原因・動機別の自殺者数(52小項目)」と男女比。

   ・下記【表A】の男女比は、少ない方を1として示してある。
   ・各項目が属する大項目は、表中の語尾に次の略記号で示した。
       健康問題:A  経済生活問題:B  家庭問題:C  勤務問題:D
       男女問題:E  学校問題:F    その他:G
   ・下記【表@】は、平成25年以降5年間の性差を、項目数の差として示した。

  【表@】                H25   H26  H27  H28  H29
     男性の自殺が女性より多い項目   49    51   49   49   49
     女性の自殺が男性より多い項目    2    1    3    2    2
     男女同数の項目           1    0    0    1    1
        計             52   52   52   52   52

  【表A】
   (順位)(原因・動機)       (男 女 比)    (人 数)
                     【男性:女性】  男性  女性   計
    1 事業不振:B           【14.5:1】  350   24  374
    2 失業:B             【14.1:1】  227   16  243
    3 負債(多重債務):B       【13.2:1】  610   46  656
    4 仕事の失敗:D          【12.5:1】  327   26  353
    5 借金の取り立て苦:B       【10.6:1】   53   5   58
    6 仕事疲れ:D           【 9.6:1】  513   53  566
    7 職場環境の変化:D        【 9.2:1】  258   28  286
    8 その他:D            【 8.5:1】  273   32  305
    9 負債(その他):B        【 8.4:1】  552   65  617
   10 自殺による保険金支給:B     【 7.4:1】   37   5   42
   11 犯罪発覚等:G          【 7.3:1】  162  22  184
   12 倒産:B             【 7.3:1】   22   3   25
   13 就職失敗:B           【 5.4:1】  159  29  188
   14 入試に関する悩み:F       【 5.0:1】   20   4   24
   15 生活苦:B            【 4.9:1】  853  145  998
   16 学業不振:F           【 4.7:1】   85   18  103
   17 職場の人間関係:D        【 4.7:1】  397   84  481
   18 負債(連帯保証債務):B      【 4.5:1】   18   4   22
   18 教師との人間関係:A       【 4.5:1】   9   2   11
   20 その他:B            【 4.4:1】  197   44  241
   21 病気の悩み・影響(アルコ-ル依存症):A【 4.0:1】  145   30  175
   22 子育ての悩み:C         【1:3.9 】   24   95  119
   23 夫婦関係の不和:C        【 3.6:1】  640  176  816
   24 その他進路に関する悩み:F    【 3.4:1】   89   26  115
   25 その他:G            【 3.3:1】  330  98  428
   26 被虐待:C            【 3.0:1】   3   1    3
   27 近隣関係:G           【 2.4:1】   32   13   45
   28 家族からのしつけ・叱責:C    【 2.4:1】   81   33  114
   29 その他:F            【 2.3:1】   28   12   40
   30 失恋:E             【 2.1:1】  200  93  293
   31 病気の悩み(身体の病気):A    【 2.0:1】 2,293 1,115  3,408
   32 いじめ:F            【1:2.0 】   1   2   3
   33 孤独感:G            【 1.9:1】  297  153  450
   34 家族の将来悲観:C        【 1.9:1】  301  158  459
   35 身体障害の悩み:A        【 1.7:1】  171  96  267
   36 その他:C            【 1.7:1】  160  92  252
   37 その他:A            【 1.7:1】  157  91  248
   38 結婚をめぐる悩み:E       【 1.5:1】   35   22   57
   39 不倫の悩み:E          【 1.5:1】   81   51  132
   40 その他家族関係の不和:C     【 1.5:1】  205  130  335
   41その他:E             【 1.5:1】   35  23   58
   42 介護・看病疲れ:C        【 1.4:1】  123  83  206
   43 その他交際をめぐる悩み:E    【 1.4:1】  135  93  228
   44 病気の悩み・影響(薬物乱用):A  【 1.3:1】   18  13   31
   45 家族の死亡:C          【 1.3:1】  275  209  484
   46 病気の悩み・影響(統合失調症):A 【 1.3:1】  605  460 1,065
   47 親子関係の不和:C        【 1.2:1】  218  172  390
   48 病気の悩み・影響(他の精神疾患):A【 1.2:1】  728  578 1306
   49 後追い:G            【 1.1:1】   30   27   57
   50 病気の悩み・影響(うつ病):A   【 1.1:1】 2,241 2,037 4,278
   51 その他学友との不和:F      【 1.0:1】   17   16   33
   52 犯罪被害:G           【 1:1 】   4    4    8

X.就職失敗による若者(20代)の自殺者数と男性の割合

        年次別    総数   男性   女性   男性の割合
      2008(H 20)   86   69   17    80.2 %
      2009(H 21)  122   98   24   80.3 %
      2010(H 22)  153   138   15   90.1 %
      2011(H 23)  141   119   22   84.3 %
      2012(H 24)  149   130   19   87.2 %
      2013(H 25)  104   95    9    91.3 %
      2014(H 26)  110   95   15   86.3 %
      2015(H 27)   88   81    7    92.0 %
      2016(H 28)   80   64   16   80.0 %
      2017(H 29)   69   56   13   81.1 %


posted by 翠流 at 02:25| Comment(0) | 自殺関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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