2018年04月28日

女性専用車両問題:NHK 記事批判

   ・・・ NHKは、男性の痴漢冤罪被害と対峙しない。

◆ NHKは、3月26日に次のような記事を掲載した。

   「もし、あなたの大切な人が … 女性専用車両を考える」 (NHK NEWS WEB)
       https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180326/k10011378781000.html
              ・・・・・ 全文は、この記事の末尾に掲載。

◆ 私は、この記事について、翌日、「NHKふれあいセンター」に電話を入れ、コミニュケーターの女性と管理者(SV)の男性に、次のような内容の要望を伝えた。

   @ 記事は、女性の痴漢被害に対する配慮ばかりを強調し、男性の痴漢冤罪被害の
    深刻さや、その対策としての男性専用車両の必要性に言及していない。これは、
    余りにも一面的で、人権上の配慮として適切さを欠く。男性の危機に言及しない
    のは、男性に対する差別である。この記事を削除し、修正した記事を掲載しても
    らいたい。
   A 記事の修正ができないのであれば、今後、同様の記事を掲載する場合、@に配
    慮し、男性の痴漢冤罪被害の深刻さを、例えば原田信助さんの自殺のような具体
    的事実と共に必ず取り上げ、その対策として、男性専用車両の必要性に言及して
    もらいたい。
   B 今後、同様の問題について、テレビ・ラジオ等の番組を作成する場合は、必ず、
    上記@Aの配慮のもとに作成してもらいたい。

◆ 以下に掲載する散文は、上の要望の背景となった私の思いや、現状認識を記したものである。痴漢冤罪被害の深刻さは、実例と共に、かなり広く認識されるようになったはずと私は思うが、それにもかかわらず、鉄道会社は、男性専用車両を、まだ一両も導入していない。女性専用車両は「今や首都圏を中心に80を超える路線で導入されている」とNHKの記事にはあるが、この、人権上の配慮のアンバランスを、どのように理解すればよいのか? このような男性差別を作り出した最大の責任は、「初めに女性優遇の結論ありき」の鉄道会社幹部にあると思う。彼らは本来、社会によって糾弾されるべきなのである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

危機や困難への配慮は、女性に対して手厚く、
男性に対しては軽んじられる傾向にある。
社会が与える配慮の性差は、
既に何回か引用した山田昌弘氏の、次の言葉の通りであって、
社会には、初めに女性優遇の結論ありきの、男性差別が存在する。

   なぜ女性のつらさは問題にされるのに、
        男性の生きづらさは問題にされないのだろう。
                      (中央大学教授:山田昌弘)

このような「配慮の性差」が作り出される背景には、
男性が、いつの間にか背負わされる「男らしさの規範」、たとえば、
「男性は強くなければならない。困難に耐えなければならない。危機を表に出してはならない。孤独に耐えなければならない。」とか、
近年の社会的な男女関係であれば、
「男性は女性を守らなければならないが、女性は男性を支えなくてよい。」とか、
或いは、特に近年一層の顕著となった女性優遇に対しては、
「男性は不満を言ってはならない」というような、
「女性優遇の是認」や「犠牲になること」を強いる性別役割の強要がある。
時代に幾許かの変化があるとはいえ、
女性が、かつての性別役割から解放されたほどには、
男性は解放されてはいないし、
女性優遇拡大の時代にあって、男性は、既に、男の子の時代から、
新しいストレスに晒されるようになっている。
                ・・・・・ 記事「女子を嫌う小中高男子」参照。
このような、男性が背負わされる性別役割は、
女性から男性への要求としても存在するが、
それよりむしろ、男性同士の人間関係の中で、
女性限定配慮を好む男たちからの、同調圧力によって強固となり、
結果として、社会には、「女性だけを守る傘」ができる。
女性優遇を好む男は、男性には配慮しない。
そして、社会の上層部には、そういう男が多い。

今回取り上げたNHKの記事であれば、
後半に登場する、明治学院大学の澤野雅樹という教授が、そういう男である。
彼の発言には、痴漢被害対策としての女性専用車両の肯定だけがあって、
男性の痴漢冤罪被害に対する配慮は存在しない。
私は、彼を前にして問い質したい。
あなたは、痴漢冤罪被害で鉄道自殺をした原田信助さんの悲惨を、どう捉えるのかと。
もしも彼に、それを受け止める心がなければ、
彼自身が痴漢冤罪被害にあい、発狂するほどに苦しみ、
死の淵をさまよい歩くべきなのである。

ところで、勿論、すべての女性がそうだと言うわけではないが、
昨今の、女性優遇ばかりが拡大する社会状況にあって、
上に述べた「女性だけを守る傘」の下に安住して、
自分たちの安心、安全、利益ばかりを求める女性が、多くなった印象がある。
彼女たちは、男性の危機や困難、不利益には、
全くと言ってよいほど関心を示さず、
男性への配慮は存在しない。
仮に配慮するような言葉があっても、それは、表面的、形式的、自己弁護的で、
後述の例もあるが、真摯な対峙は存在しない。

要するに、今の日本で拡大する女性優遇、女性限定配慮は、
本来あるべき女性差別解消とは異質であって、
女性を、あたかも特権階級であるかの如く扱うことによって、
彼女たちに内在していた自己本位性を、
無分別に、したたかに、解放してしまったと、私は強く感じている。
例えば、男女共同参画運動などは、まさにその最たるものと思うが、
それは別の記事として書いてきたことであるし、今後も書くことになるだろう。

今回取り上げたNHKの記事に戻れば、
「ネットワーク報道部」は、女性専用車両を巡る17年間の動きを辿りつつ、
痴漢被害対策としての女性専用車両の意義を強調する。
それはそれで、それ自体については、私も同じスタンスであって、
「専用」という言葉が、司法の判断としての「任意性」と乖離する偽りの言葉であることは周知されるべき事実と考えるが、
現在の車両の過密状況にあっては、女性(専用)車両以上に有効な痴漢被害対策は、
まだ誰も提示できていないと判断される今にあっては、
私も、女性(専用)という名の車両を、必要と考えるのである。

しかし、たとえそうではあっても。
専用車両問題を論ずる時、
NHKの記事のように、痴漢被害ばかりに光をあて、
痴漢冤罪被害の悲惨を取り上げないのであれば、それは、
紛れもなく、男性に対する人権無視、男性差別なのであって、
その視野狭窄を放置するわけにはいかないである。

記事は、女性専用車両が設置された契機の一つとして、
大阪市地下鉄御堂筋線事件を取り上げている。
しかし、ならばなぜ、
原田信助さんを自殺に追いやった痴漢冤罪事件を、
そして、映画化された「それでもボクはやってない」のような、人権侵犯告発のメッセージを、
なぜ、この記事で取り上げないのか。
女性専用車両が、「今や首都圏を中心に80を超える路線で導入されている」にもかかわらず、
痴漢冤罪被害対策としての男性専用車両を一両も導入していない鉄道会社の姿勢に、
なぜ、疑義を呈さないのか ?

しかも呆れたことに、NHKの記事は、
「民間の鉄道会社で作る団体の担当者」の、
「女性専用車両は男性の冤罪を防ぐ意味もある」などという、
女性「限定」専用車両の正当化を企図するかのような、自己弁護の詭弁までもを、
無分別に引用しているのである。
自意識過剰の女性であろうが、被害者意識過剰の女性であろうが、
どのような女性が女性専用車両に乗ろうとも、
一般車両が男女混合であることに変わりはなく、
「偶然の接触」「犯人間違い」「示談金目当て等の冤罪企図」の可能性は常に存在する。
だから男性は、冤罪回避のために、
両手を挙げて乗車するのである。

NHKの記事には、男性の痴漢冤罪被害と真摯に対峙する姿勢は存在しない。
NHKは、冤罪が、男性とその家族の、人生を破壊する現実を書かないのである。
担当者は、記事の最後に、痴漢被害だけを取り上げて、次のように書く。
「今まさに痴漢の被害にあっているのは、あなたの大切な娘や妻、恋人、友人かもしれません。」
しかし、この記事には、次のような文章は存在しないのである。
「今まさに痴漢冤罪の被害にあっているのは、あなたの大切な息子や夫、恋人、友人かもしれないのです。」

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【NHK 記事全文】 「もし、あなたの大切な人が … 女性専用車両を考える」

 17年前の3月27日、電車の新しい車両に関するニュースが一斉に報じられました。「のぞみ」?「はやぶさ」? いえいえ違います。東京の京王電鉄で女性専用車両の定時運転が始まったのです。今や首都圏を中心に80を超える路線で導入されている女性専用車両ですが、ある出来事をきっかけに、その存在を改めて問い直す動きがあります。これは、あなたの大切な人のことを思い浮かべながら考えてほしい問題です。(ネットワーク報道部)

女性専用車両は男性差別?

 2月16日、東京メトロ千代田線の「女性専用車両」に乗り込んだ男性3人が乗り合わせた客と言い争いになり、結果として電車がおよそ15分遅延しました。
 男性たちは「女性専用車両は鉄道会社の任意のお願いであり、男性が乗っても法的に問題がないので乗車した。すべての男性を痴漢とみなして車両から排除しようとするのは、不当な差別だ」と、鉄道会社の対応をブログなどで批判しています。

当時から反対の意見も

 女性専用車両に対する否定的な意見は導入当初からありました。導入を前に京王電鉄が行ったアンケートでは、女性専用車両に「賛成」と回答したのは女性が82%、男性は56%と、男女で大きな開きがあります。アンケートには「女性だけを優遇する差別だ」という意見も寄せられたということです。
 民間の鉄道会社で作る団体の担当者は「今も昔も反対意見があることは承知しています」としたうえで、「女性専用車両は、あくまでも利用者の皆様にご協力をいただいて成り立っているもので、痴漢被害から一時的に女性が守られる場所であると同時に、男性のえん罪を防ぐ意味もあると考えています」と話していました。

導入された背景は

 そもそも、日本でなぜ女性専用車両ができたのでしょうか。1988年、大阪市の地下鉄御堂筋線で男2人組に痴漢を注意した女性がその後、2人から性的暴行を受けるという痛ましい事件が起きました。この事件をきっかけに痴漢を許してはいけないという機運が高まり、それまで見過ごされていた電車内での性被害の実態が広く認識されるようになりました。(御堂筋線では2002年11月から女性専用車両を導入)。2001年に警視庁が公表したアンケートの結果では、回答した女性の6割が「被害にあったことがある」というのです。「電車内での痴漢は増える傾向にあり、警察と鉄道会社が協力して対策にあたる必要がある」として、警視庁が女性専用車両の導入を進めるよう鉄道会社に申し入れました。増え続ける痴漢対策に有効な手が打てず、いわば窮余の策として、運行が始まったのです。その春、京王線で女性専用車両の定時運行が始まり、やがて各地でも導入されるようになったのです。

日本だけじゃない イギリスの議論は

 痴漢など電車内での性被害は世界の大都市に共通する問題です。女性専用車両をめぐる議論があるのは日本だけではありませんが、その結論は国によって異なります。イギリスでは、電車や地下鉄での性被害の報告が2016年度に1448件あり、4年前に比べて倍近くに増えています。痴漢被害の多くが通報されない状況はイギリスも同じで、巨大な地下鉄網を運営するロンドン交通局は車内での性的嫌がらせや性犯罪の9割は表面化していないとしています。

女性専用車両は英国でも議論に

 こうした事態を受けてイギリス議会の野党議員が去年、女性専用車両の導入について「検討する価値がある」と発言し、議論を呼びました。インターネットのアンケート調査では、賛成23%、反対58%。男女別で見ても、女性で賛成したのは28%、男性だと18%にとどまりました。「女性の居場所を制限する」とか「すべての男を性犯罪予備軍のように扱う」として男性だけでなく、女性からも強い反発が出たのです。イギリスの新聞は、提案した議員の事務所に「女性が職場でハラスメントを受けたら、男女別にフロアを分けるのか」という意見が寄せられたと報じています。これは「女性専用車両を作ることが果たして『性犯罪をなくす』という根本的な問題への解決方法なのか」という、社会全体への問いかけでもありました。

被害は記者の周りでも

 かたや女性専用車両が定着した日本。導入から17年たった今、状況は変わったのでしょうか。犯罪白書によりますと、電車内以外で行われたものを含む迷惑防止条例違反の痴漢の検挙件数と電車内における強制わいせつの認知件数は、平成18年はそれぞれ4181件、420件だったのが、平成27年には3206件、278件とやや減少傾向ですが、3000件を超えています。被害を申告できない人もいて実態はさらに多いと見られていて、単純に減ったとは言い切れません。
 今回の取材にあたって、まず職場の身近な人たちに痴漢被害を受けたことがあるか聞いてみました。すると、同僚の5人ほどに声をかけただけでも「満員電車の乗ってから降りるまで体を触られ続けた」「精液をかけられた」といった被害体験を聞きました。ある女性は「私は“2回しか”被害を受けたことがないから話はあまり参考にならないかも…」と前置きをしてから話し始めたのです。性被害を受けるのは人生に1度だって多すぎるはずです。周りにいる女性の多くが痴漢の被害経験があるという、「ありふれた犯罪」であることに記者は衝撃を受けると同時に悲しくなりました。

シェルターの役割がある

 女性専用車両の導入が、痴漢被害を大きく減らす効果があったのか、実のところ、よく分かっていません。ただ犯罪社会学が専門の明治学院大学の澤野雅樹教授は「女性専用車両は痴漢被害に遭わないためのシェルター・避難場所としての役割がある。ほぼ確実に被害に遭わなくて済む車両があることは、女性の安心感につながります」と話していて、専用車両の導入の意義を強調しています。

あなたの大切な人かもしれない

 女性専用車両が導入されたことを伝える当時の日本経済新聞の記事は「男女を分断することで女性を“守る”という不自然な姿は、ニッポン社会の病巣を映し出しているかもしれない」と伝えています。話を聞いたある同僚の女性は、中学・高校の6年間、電車通学をしていたときに「最低でも月に1回は被害に遭った」と言います。この女性は「体を触られるとパニックになり、静まり返った電車内で“やめてください”なんて声は出せない。でも、それ以上に怖かったのは数え切れないほど被害に遭っているのに、周りの人たちは見て見ぬふりをして、誰も助けてくれなかったこと」と話していました。
 今まさに痴漢の被害にあっているのは、あなたの大切な娘や妻、恋人、友人かもしれません。そして、被害者は女性に限りません。車内に、もし痴漢被害を受けているとみられる人がいたら、声をかける、席を譲る、怪しい者との間に入るなどして、どうか被害者を孤立させないでほしいと思います。


posted by 翠流 at 17:07| Comment(2) | 女性専用車両 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです。
「女に生まれたかった男」です。私もNHKのこの記事は見ました。
私がこの記事で一番問題だと感じたのは「もし、あなたの大切な人が」というタイトルです。
この種のコピーは人の理性ではなく、感情に訴えるものです。
(そして往々にして「大切な人」とされるのは女性です。)
感情は人の冷静な判断を失わせます。
「あなたの大切な女性が、黒人やジャップや在日の餌食となったら・・・」というようなプロバガンダは
差別を正当化してしまいます。
NHKという公正で理性的な報道が求められるマスメディアがこのような感情に訴えるような見出しを
使うことに愕然としました。
Posted by 女に生まれたかった男 at 2018年05月20日 04:58

女に生まれたかった男 様

コメントありがとうございました。
外出から戻りましたので、
改めて返信させていただきます。
女に生まれたかった男さん(以後、ONさん)の発言には、
コメントであるにしろブログ記事であるにしろ、
気付かされることが多く、学びになりますが、
私の知らない昔のONさんは何れにしても、
近年のONさんの発言に接していると、
椅子に座った評論家のような印象が強く、
行動が見えません。
やはり色々お立場があって、
今はブログの発言だけ、なのでしょうか?
私は人付き合いが狭く、視野狭窄ですが、
抑えきれない思いで行動しながら、
今の日本の、奔流のような女性優遇には、
とても抗しきれないと、
思うことがしばしばです。
ONさんは、今の日本の状況を、
どのように考えていらっしゃいますか?

ところで、ONさんのブログは、コメント不可なので、
しばらく訪問しておりませんでした。
コメント欄の復活を願います。
Posted by 翠流 at 2018年05月20日 23:26
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