2017年12月31日

男性の自殺【W】・・・ 原因・動機別自殺者数(大分類:7項目)と男女比

標題の内容に入る前に、
いくつか記しておきたいことがある。

男性に対する旧来の性別役割の強要は、
自殺に関わる様々の場面でも、頻回に現れる。
一方、そのような状況に疑義を呈し、
男性への支援の脆弱さを指摘する論評にも、
数少ないが出会うことはある。

初めに前者の例をいくつか挙げるが、
ある自殺対策ボランティア団体の、春の総会の折、
男性役員が、挨拶の中で自殺の状況に触れ、
最近明らかになった女性の事例を、強調した。
それはそれで、たいへん結構な話で、
そういう情報は共有されなければならない。
しかし彼は、男性の自殺の状況については、
一切触れることなく、まるで、
NHKラジオ第一放送のニュースの、剽窃のようであった。
私は、彼のスタンスに、疑義を抑えられなくなり、
質問の時間に挙手をして、発言をした。
彼は初め、私の疑義に対して言い訳のような説明をしていたが、
彼も基本的には誠実な人のようで、
最終的には謝罪をした。
その年の秋であったか、同じ団体の研修会の折に、
性別表示も含めた自殺者数の年次変化のグラフが、
資料として配布された。

また、やはり同じボランティア団体の、別の研修であったが、
私の居住県の自殺対策部局の責任者を務める某国立大学の精神科教授が、
講演をするにあたり、事前に質問を受け付けるとのことであったので、
私は、自殺の性差に関わるデータ6種類を整理し、
5項目の質問と共に提出しておいたが、
彼は、この私の質問に全く触れなかった。
私は、この時もまた、黙っているわけにはいかず、
挙手をして質問をしたが、
彼は、意識的に焦点をぼかすような不分明な返答をしただけで、
私の事前質問に対する具体的な回答は、全くなかったのである。
私は、踏み込んで質問を続けたかったが、上記と同じ団体の研修であったため、
孤立を恐れて発言をやめた。
しかし、この翌年であったか、私は、県の自殺対策のHPを見る中で、
県内のある地域の関連部署から、
私と同様の問題提起がなされていることを知った。
そして、その数年後であったか、
上に記した「性別表示も含めた自殺者数の年次変化のグラフ」と共に、
相談機関も明示した自殺対策リーフレットが作成され、
私は、県立図書館で、それを手にしたのであった。

もう一つ、酒の席でのことを書く。
私は、上のボランティア団体に所属する或る男性と酒席を共にしたことがあり、
話題は自殺対策にも及んだが、
彼は、相談者への対応について、こんなことを言ったのである。
「自分は、女性から相談を受けると、丁寧に話を聴き、優しく親切に対応するが、
男性から相談を受けると、『男なんだから一人でやってみろ』と思ってしまう」と・・・・・。
もっとも彼は、その後、このスタンスを変えただろうと私は思っているが、
要するに、その相談者の男性が、翌日、首を吊ったらどうするかと、
そういう問題なのである。

前者の例は、もう一つで終わりにするが、
私が、厚生労働省の自殺対策推進室に問合せの電話をした時の話しである。
私は、男性に自殺が多いことについて、
ややポストの高い人と話しをしたいと伝え、
この望みはかなえられたのであるが、
その、ポストの高い男性は、
私が「男性に自殺が多いことについて話しをしたい」と切り出すと、
彼は「いや、男性とか、女性とか、そういうことじゃあなくってね・・・・・」と、
非常に巧みな発言をして、
以後、一言も喋らなかったのである。
要するに彼は、自殺が男性に多いことを、話題にさせなかった。
私は、やむなく自分の思いを語り続け、
私から電話を切った。

次に、後者の例を一つ書く、
今までの4例はすべて男性であったが、
こちらは女性である。
私は、自殺の状況と乖離しない発言してくださったこの女性に、感謝している。
女性の名前は、よく知られた「河合薫」さんである。
記事の題名とURLは、下記の通り。
全文を読むにはログインが必要であるから、ここに掲載はできないが、
内容は、題名から察していただけることと思う。

【河合薫さんの記事】 
    『白書もスルー? 40、50代男性の自殺率の高さ』 
           幸福度は内乱国並み、男の幸せはどこにある。
                        日経ONLINE 2017年6月6日(火)
   http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/060200107/

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私のつぶやきが長くなった。
標題の内容に入る。

◆ 原因・動機別自殺者数(大分類:7項目)と男女比

      (2020年7月:加筆)・・・・・ 2008年(H20)〜 2016年(H28)のデーターに、以後
             2019年(R1)までのデータを加筆し、12年間のデータとした。

 ・厚生労働省の自殺対策推進室がアップしている自殺の統計は、警察庁の自殺データに
 基づくものであるが、警察庁は、自殺の「原因・動機」を、まず、7つの大項目に分類
 して数値を示し、更にそれを52項目に細分化して、デ−タの詳細を示している。今回は、
 その7つの「大項目」について、12年間のデータを記す。

 ・自殺の「原因・動機」は全てわかるものではなく、不明の自殺も少なくはない。今回
 は、その割合も含め、次の表を掲載する。

  【表1】 自殺の「原因・動機特定者数」と「原因・動機不特定者数」
  【表2】 原因・動機特定者の「原因・動機別自殺者数(大分類:7項目)」と男女比。
    【A】 12年間の概括的特徴・・・下表【B】のデータを用いて、7項目それぞれの、
                 12年間の最小値と最大値の幅を示した。
    【B】7項目それぞれの、年度別自殺者数と男女比。

 ・なお、遺書等の自殺を裏付ける資料により明らかに推定できる原因・動機を、自殺者
 一人につき3つまで計上可能としているため、原因・動機特定者の原因・動機別自殺者
 数の和と、原因・動機特定者数とは一致しない。

 ・【表2】-【A】【B】からわかるように、7項目全てで、自殺者数は、男性が女性を
 上回っている・

・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ◆ 【表T】 自殺の「原因・動機特定者」と「原因・動機不特定者」

      年次別     総 数   原因・動機特定者  原因・動機不特定者
     2008(H 20)   32,249   23,490(72.8%)  8,759(27.2%)
     2009(H 21)   32,845   24,434(74.4%)  8,411(25.6%)
     2010(H 22)   31,690   23,572(74.4%)  8,118(25.6%)
     2011(H 23)   30,651   22,581(73.7%)  8,070(26.3%)
     2012(H 24)   27,858   20,615(74.0%)  7,243(26.0%)
     2013(H 25)   27,283   20,256(74.2%)  7,027(25.8%)
     2014(H 26)   25,427   19,025(74.8%)  6,402(25.2%)
     2015(H 27)   24,025   17,981(74.8%)  6,044(25.2%)
     2016(H 28)   21,897   16,297(74.4%)  5,600(25.6%)
     2017(H 29)   21,321   15,930(74.7%)  5,391(25.3%)
     2018(H 30)   20,840   15,551(74.6%)  5,289(25.4%)
     2019(R 1)   20,169   14,922(73.9%)  5,247(26.0%)

 ◆ 【表2】 原因・動機特定者の「原因・動機別自殺者数(大分類:7項目)」と男女比。
                    
    【A】 12年間の概括的特徴 ・・・ 12年間の最小値と最大値の幅を示す。
                 年間自殺者数     男女比 【男/女】
      家庭問題      3,039 〜 4,547     1.55 〜 1.88
      健康問題      9,861 〜15,867     1.28 〜 1.47
      経済・生活問題   3,395 〜 8,377     6.90 〜 10.27
      勤務問題      1,949 〜 2,689     6.86 〜 8.79
      男女問題       715 〜 1,138     1.35 〜 2.15
      学校問題       319 〜  429     2.21 〜 4.16
      その他       1,056 〜 1,621     2.14 〜 2.69

    【B】7項目それぞれの、年度別自殺者数と男女比。

      家庭問題
         年次別    総 数   男   女   男女比【男/女】
        2008(H 20)   3,912  2,503  1,409   1.77
        2009(H 21)   4,117  2,668  1,429   1.88
        2010(H 22)   4,497  2,854  1,643   1.73
        2011(H 23)   4,547  2,860  1,687   1.69
        2012(H 24)   4,089  2,591  1,498   1.72
        2013(H 25)   3,930  2,477  1,453   1.70
        2014(H 26)   3,644  2,227  1,417   1.57
        2015(H 27)   3,641  2,327  1,314   1.77
        2016(H 28)   3,337  2,111  1,226   1.72
        2017(H 29)   3,179  2,030  1,149   1.76
        2018(H 30)   3,147  1,916  1,231   1.55
        2019(R 1)   3,039  1,870  1,169   1.59

      健康問題
         年次別    総 数   男   女   男女比【男/女】
        2008(H 20)  15,153  8,870  6,283   1.41
        2009(H 21)  15,867  9,460  6,407   1.47
        2010(H 22)  15,802  9,181  6,621   1.38
        2011(H 23)  14,621  8,214  6,407   1.28
        2012(H 24)  13,629  7,892  5,737   1.37
        2013(H 25)  13,680  7,909  5,771   1.37
        2014(H 26)  12,920  7,418  5,502   1.34
        2015(H 27)  12,145  7,122  5,023   1.41
        2016(H 28)  11,014  6,427  4,587   1.40
        2017(H 29)  10,778  6,358  4,420   1.43
        2018(H 30)  10,423  6,090  4,333   1.40
        2019(R 1)   9,861  5,853  4,008   1.46

      経済・生活問題
         年次別    総 数   男   女   男女比【男/女】
        2008(H 20)   7,404  6,686   718   9.31
        2009(H 21)   8,377  7,634   743   10.27
        2010(H 22)   7,438  6,711   727   9.23
        2011(H 23)   6,406  5,740   666   8.61
        2012(H 24)   5,219  4,660   559   8.33
        2013(H 25)   4,636  4,147   489   8.48
        2014(H 26)   4,144  3,688   456   8.08
        2015(H 27)   4,082  3,658   424   8.62
        2016(H 28)   3,522  3,113   409   7.61
        2017(H 29)   3,464  3,078   386   7.97
        2018(H 30)   3,432  2,998   434   6.90
        2019(R 1)   3,395  2,980   415   7.18

      勤務問題
         年次別    総 数   男   女   男女比【男/女】
        2008(H 20)   2,412  2,120   292   7.26
        2009(H 21)   2,528  2,270   258   8.79
        2010(H 22)   2,590  2,325   265   8.77
        2011(H 23)   2,689  2,347   342   6.86
        2012(H 24)   2,472  2,182   290   7.52
        2013(H 25)   2,323  2,069   254   8.14
        2014(H 26)   2,227  1,988   239   8.31
        2015(H 27)   2,159  1,906   253   7.53
        2016(H 28)   1,978  1,759   219   8.03
        2017(H 29)   1,991  1,768   223   7.92
        2018(H 30)   2,018  1,765   253   6.97
        2019(R 1)   1,949  1,711   238   7.18

      男女問題
         年次別    総 数   男   女   男女比【男/女】
        2008(H 20)   1,115   707   408   1.73
        2009(H 21)   1,121   712   409   1.74
        2010(H 22)   1,103   707   396   1.78
        2011(H 23)   1,138   645   484   1.35
        2012(H 24)   1,035   638   397   1.60
        2013(H 25)    912   552   360   1.53
        2014(H 26)    875   555   320   1.73
        2015(H 27)    801   514   287   1.79
        2016(H 28)    764   522   242   2.15
        2017(H 29)    768   486   282   1.72
        2018(H 30)    715   454   261   1.73
        2019(R 1)    726   454   272   1.66

      学校問題
         年次別    総 数   男   女   男女比【男/女】
        2008(H 20)    387   294    93   3.16
        2009(H 21)    364   270    94   2.87
        2010(H 22)    371   276    95   2.90
        2011(H 23)    429   320   109   2.93
        2012(H 24)    417   330    87   3.79
        2013(H 25)    375   271   104   2.60
        2014(H 26)    372   300    72   4.16
        2015(H 27)    384   293    91   3.21
        2016(H 28)    319   244    75   3.25
        2017(H 29)    329   249    80   3.11
        2018(H 30)    354   244   110   2.21
        2019(R 1)    355   269    86   3.12

      その他
         年次別    総 数   男   女   男女比【男/女】
        2008(H 20)   1,583  1.099   439   2.50
        2009(H 21)   1,613  1.131   482   2.34
        2010(H 22)   1,533  1.117   416   2.68
        2011(H 23)   1,621  1,106   515   2.14
        2012(H 24)   1,535  1,086   449   2.41
        2013(H 25)   1,462  1,052   410   2.56
        2014(H 26)   1,351   961   390   2.46
        2015(H 27)   1,342   978   364   2.68
        2016(H 28)   1,148   819   329   2.48
        2017(H 29)   1,172   855   317   2.69
        2018(H 30)   1,081   782   299   2.61
        2019(R 1)   1,056   763   293   2.60


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