2017年11月07日

表現を変えた某ガン対策協会

危機や困難は、女性の場合、強調して報道されることが多いが、
男性の場合は報道されないか、されたとしても抑制的である。
というようなことを、私は、特に近年の、日本の社会の様々の事象に感じ、
ブログの記事として採り上げてきた。
社会は特に、女性を選んで優しさを供給する。
それが当然であるかのような価値観が社会には存在し、
近年それは、一層の膨張を続けながら、女性たちの特権階級化に拍車をかけている。
災害対応然り、女性限定専用車両然り、ポジティブ・アクション然り、消費の世界の営業戦略然り、
そして、「いのちの支援」も、また然りである。

女性限定専用車両については、
上のような現実を示す典型的な会話が、
以前、ある人のブログに記されていた。
女性専用車両に疑問を抱いた男性が、
男の駅員(助役?)に発言をするのであるが、
受けた駅員は、男性の痴漢冤罪被害の深刻さを顧みることなく、
次のような発言をしたのである。
  「女性は社会が守らなくちゃ。男は自分で自分を守らなくちゃ・・・」
しかし周知のように、原田信助さんは、
痴漢冤罪被害から身を守り切れずに、
自らの命を、鉄道自殺で絶った。
信助さんの苦しみを、無念を、悲惨を思えば、
上の発言をした男駅員は、
自分も痴漢冤罪被害にあって、発狂するほど苦しめばよい。
そして、苦しんで、死ねばよい。

「いのちの支援」については、
既に、このブログの記事として、
明らかに男性に多い「自殺」や「悪性新生物による死亡」を取り上げ、
警察庁や厚労省のデータと、
マスコミ等を通じて流されるメッセージを含む社会的支援との関係、
要するに、危機は男性に顕著であるのに、
支援は、女性に対して手厚いという、
事実と支援の「乖離」について、
第三次・第四次男女共同参画基本計画の「生涯を通じた女性の健康支援」や、
自殺対策・ガン対策に関わるメッセージの拡散等を取り上げ、
その理不尽を指摘してきた。
私の発言は、客観的事実としての数値を踏まえており、
今の日本で拡大している自己中心的な女性優遇運動とは異質である。

ところで私は、昨年9月に掲載した記事、「健康支援の性差」の末尾に次のように書いた。

    ・・・・・・・・・ 今年の5月末のことであるが、
    私は、ガン検診関連のニュースが契機となって、
    あるガン対策協会が使っている「主要5大がん」という表現を
    気にするようになった。
    この表現にもまた、同様のメッセージが含まれているからである。
    この件については、後日、別の記事として詳述する。

この件について私は、昨年、協会や関係機関に問合せや要望の電話をしていたのであるが、
疲弊から遠ざかりたい弱さの故に、
その、ガン対策協会のホームページ(以下HP)を避けるようになってしまっていた。
ところが、つい最近、半ば気紛れにそのHPを開いたところ、
驚いたことに、私の要望が受け入れられる形で、表現が修正されていたのである。

実際には、私の働きかけとは無関係の修正であったのかもしれないが、
期待の裏切られることが殆んどのこの種の活動の中で、
幾許かの安らぎを与えられる出来事ではあった。
今回は、昨年私が、そのガン対策協会に伝えた要望と、
今年見た協会HPの修正点、等を報告する。

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【某ガン対策協会への要望】・・・・ 電話で伝えた。

@ HPを通して発せられるメッセージは、国民の意識を形づくり、ガン対策に影響を与える。メッセージが、死亡・罹患等の現実と乖離していれば、国民の意識も現実と乖離し、日常生活の中で、ガン対策に関わる配慮に、現実との乖離が現れる。貴ガン対策協会は、国が公費負担の検診対象(注1)としている5つのガン【肺がん・大腸がん・胃がん・乳がん・子宮がん】を「主要5大がん」と表現しているが、死亡の実態(後掲【表1】)を指標とすれば、【肺がん・大腸がん・胃がん・膵臓がん・肝臓がん】が「主要5大がん」であろうし、併せて、死亡・罹患の性差(後掲【表2・3】)、例えば、男性の肝臓がん・前立腺がん、女性の子宮がん等の実態を含め、協会の「主要5大がん」という表現は、男性のガンの軽視であり、メッセージとして適切さを欠く。表現を修正してもらいたい。

    (注1)厚労省は、検診の有効性が確立しているとして【肺がん・大腸がん・胃
      がん・乳がん・子宮がん】の5つを、国の公費負担の検診対象としている。
      死亡や罹患の状況は指標ではない。前立腺ガンのPSA検査は、研究者によ
      って評価が異なるため、国の公費負担の対象とはせず、検診対象とするか否
      かは、各自治体の判断に委ねている。因みに、私の居住地では、PSA検査
      を含め、6つのガンを検診対象としている。

A HPの欄外に「女性のガン」という項目があり、クリックすると「鋭意作成中」となっている。これは女性への支援のメッセージである。しかし一方で、ガンによる死亡・罹患が明らかに男性に多いにも関わらず、「男性のガン」という項目が存在しない。これは男性が置かれている現実の軽視である。実態に即したメッセージが必要である。

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【某ガン対策協会の、HPの修正点】

@ 「主要5大がん」という表現は、昨年、「がんの部位別統計」で使われていたが、この語句は削除され、代わりに「5つのがん」という表現が使われるようになった。

A 「女性のがん」だけが記されていた「欄外」は、今年のHPにはない。

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【追記】

◆ 昨年、私の電話を受けた人は男性で、上記@の要望については、初めから感触は悪くなかった。しかしAについては、彼は初め、こう言ったのである。「ガンが男性に多いことは周知の事実であり、ガン対策そのものが男性に対する対策であることから、あえて『男性のがん』と表記する必要はない」と。しかし、この彼の発言に対して、私が、「私の認識からすれば、『周知』は、されているとしても医療従事者の間であって、一般市民には『ガンが男性に多い』ことや、『性差の実態』は周知されてはいない。だからこそ、『男性のがん』というメッセージで、その実態知らせることが重要なのである。実際、私自身も、この活動に入るまでは、男性のガンがこれほど多いとは知らなかった」と発言したところ、彼は、多少、心が動いたようであった。
 
◆ また、「『女性のがん』という表現が、もしも、生殖系(乳がん・子宮がん・卵巣がん)を意味するのならば、「前立腺がん」の死亡率・罹患率が高いことから(後掲【表1・2・3】)、『男性のがん』という項目も、当然作るべきであろう」という発言も付け加えた。彼の返事は「検討する」であった。因みに、前立腺研究財団の昨年の言によれば、「2015.4/28 の統計白書で、前立腺がんの罹患は、男性の胃がんを抜いて、全がん中1位になった」とのことであった。

◆ 大腸がんについては、私のノートに質問の記録が欠落しているが、この件を発言しないはずはなく、書き忘れと思う。協会HPの修正点は死亡実数の加筆にあり、昨年9月のブログ記事「健康支援の性差」で取り上げた男女別の死亡実数が記載されるようになった。一方、死亡順位の表現方法は、『全ガン中、男性は3位、女性は4位』ではなく『男性では3位、女性では1位』のままになっており、違和感はあるが、死亡実数は明記された。

◆ 以上、とりあえず、今年の協会HPの、昨年の私の要望に関わる部分について、気付いたことを書いた。

◆ 今の日本の、ガン対策関連の報道に接していて感じるのであるが、特に、女性団体等による女性限定支援メッセージは、社会の前面に顕在化する機会が多いと感じる。しかし、それに比べ、男性の場合は、癌死が女性より顕著であるにも関わらず、支援のメッセージは、社会の前面になかなか顕在化しない。厚労省は、癌死・癌罹患の実態と乖離しない支援メッセージの社会的拡散に、情報提供の調整機関として留意すべきと思う。いのちの重さは、女性も男性も同じはずだろう。

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【資料:悪性新生物による死亡、及び罹患の状況】

◆ 協会の昨年(2016年)のHP、「がんの部位別統計」に年度を合わせ、死亡に関するデータは 2014年(H26)、罹患に関するデータは 2011年(H23)の数値を示す。男女を合わせた全人口の死亡率(2014年)は、厚労省の人口動態統計から引用した。

 @ 全人口の死亡率・死亡者数(2014年)を【表1】として記す(厚労省人口動態統計)。
  ・表の死亡率は、全人口10万人あたりの死亡者数を示す。ただし前立腺は男性10万人、
  子宮は女性10万人あたりの死亡者数を示す。
  ・乳癌は男性にも見られるが、下表は女性10万人あたりの死亡数を示し、男性の死亡
  率は( )内に参考として記した。
  ・表は死亡率の高い順に配列してある。「肺」は気管・気管支を含む。「大腸」の数値
  は、結腸と直腸の和を示す。「胆のう」は胆管を含む。

  【表1】 (部位)    (死亡率)  (死亡者数)
        肺       58.5     73,396
        大腸      38.6     48,485
        胃       38.2     47,903
        膵臓      25.3     31,716
        肝臓      23.6     29,543
        乳房(女性)  20.6     13,240 (男性:0.1 83)
        前立腺(男性) 18.9     11,507
        胆のう     14.4     18,117
        子宮(女性)  10.0      6,429
        食道       9.2     11,576
        悪性リンパ腫   9.2     11,480
        (以下:略)

 A 男女別死亡率・死亡者数(2014年)を【表2】として記す。
                ・・・ 厚労省人口動態統計 及び 協会2016年HP
  ・男性は早死傾向により女性より人口が少ないため、死亡者数が女性より少なくても、
  死亡率が女性を上回る場合がある。(表中の★)

  【表2】  (部位)     (死亡率)    (死亡数)
        男性:肺      86.0      52,505
        男性:胃      51.6      31,483
        男性:大腸     47.4      26,177
        女性:大腸     34.6      22,308
        女性:肺      32.4      20,891
        男性:肝臓     31.5      19,208
        男性:膵臓     26.9      16,411 ★
        女性:胃      25.5      16,420 ★
        女性:膵臓     23.8      15,305
        女性:乳房     20.6      13,240
        男性:前立腺    18.9      11,507
        女性:肝臓     16.1      10,335
        男性:食道     15.8       9,629
        男性:胆のう・胆管 14.8       9,052 ★
        女性:胆のう・胆管 14.1       9,065 ★
        男性:悪性リンパ腫 10.5       6,427 ★
        女性:子宮     10.0       6,429 ★
        (以下:略)           

 B 男女別罹患率、及び罹患者数(2011年)を、【表3】として記す。
                         ・・・ 協会2016年HP
  ・罹患率の定義は死亡率と同様、10万人あたりの罹患者数を示す。
  ・罹患率は全人口に対するデータがなく、男女別罹患率を上位から記した。
  ・死亡率と同様、男性は早死傾向により女性より人口が少ないため、罹患者数が女性
 より少なくても、罹患率が女性を上回る場合がある。(下表★)

  【表3】 (部位)    (罹患率)  (罹患者数)
       男性:胃     144.9     90,083
       男性:前立腺   126.6     78,728
       男性:肺     121.3     75,433
       男性:大腸    115.9     72,101 ★
       女性:乳房    110.5     72,472 ★
       女性:大腸     80.5     52,820
       女性:胃      63.9     41,950
       女性:肺      55.5     36,425
       男性:肝臓     46.9     29,192
       女性:子宮     40.8     26,741
       男性:食道     31.7     19,728
       男性:膵臓     27.6     17,173
       男性:膀胱     24.7     15,345 ★
       女性:膵臓     24.3     15,922 ★
       女性:肝臓     22.3     14,648
       男性:悪性リンパ腫 22.1     13,766
       男性:胆のう    19.7     12,250
       (以下:略)


posted by 翠流 at 01:05| Comment(0) | 人権擁護への思い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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