2016年12月04日

男性の羞恥心 (3)

 やはり学生時代のことであるが、私は、記事「男性の羞恥心(2)」の下宿に入る前に、都心からもう少し離れた、中央線沿線の住宅街に下宿していた。その家は、やはり大学の紹介で、家主もその妻も親切で、家族的に接してくれる人だったのであるが、初めてその家を訪ねたとき、私には一つの違和感があった。下宿部屋は二階に三つあり、すべて男子大学生。二階に通じる外階段の鍵は各個人に渡されていたが、各部屋の入口は鍵がかからない造りになっていたのである。私は、ためらいを覚えたが、「まさか他人の部屋に無断で入る者はいないだろう」と自分に言い聞かせ、契約をしたのであった。「いい時代」だったのである。

 私の部屋は、東側と南側に窓のある日当たりのよい部屋で、南側は狭い庭を隔てて道路に面していた。通勤・通学の歩行者がよく利用する道路で、車の往来は少なかったが、窓のところに洗濯物を干すと、道路からは丸見えだったので、私は、下着やパジャマは、いつも室内に干していた。ところがある日、私の部屋に無断で入り、私の洗濯物をいじった人間がいたのである。その日は確か休日であったと思う。私はパジャマを洗濯して部屋に干し、外出したのであるが、帰宅して部屋の入口を開けたとき、畳の上に、たたんだパジャマがあったのである。私は初め何が起こったのかわからなかった。そんなことがあるはずはなかったのである。

 部屋に入ったのは家主の妻であった。彼女にそのような行動をとらせた彼女自身の感情は、たぶん単一ではないと私は思う。しかし、彼女が、一般的に言えば「いい人」であったと単純に捉えて、それを、親切なおばさんの好意であると、評価する人はいるのだろう。しかし私は、申し訳ないが、それで済む人間ではなかった。私はその時から、ちょうど「むち打ち症」を患った時のように、後頭部から首の後にかけて、しつこく付きまとう重圧を感じるようになってしまった。彼女は、私の表情から私の感情に気付いて、「ごめんなさい」などと言ったが、状況は既に「覆水盆に返らず」で、私は、すぐに大学の学生課に赴いて新しい下宿を探し、軽トラックを手配した。そして移ったのが、記事「男性の羞恥心(2)」の下宿だったのである。

 似たようなことが別の場所でもあった。私は、長い間、趣味で現代舞踊を習ってきたが、ある日、レッスンの後、掃除のときに、フロアーや廊下を拭いた後で、やや年齢の高い一人の女性が、特に断りもなく男性更衣室の戸を開けて中の床を拭き始めたのであった。それは、私にとってみれば全くの想定外の出来事であったが、彼女に断りを言えるわけではなく、私は黙したまま、彼女に自分の下着を見られるのではないかと、強い不安を感じたのである。私は脱いだ衣服を丁寧にたたんで重ね、更衣室壁面の棚に置いたのであるが、もしかすると、下着の端が見えているかもしれないと思ったのである。掃除が終わってから、私は、不安なままに男性更衣室の戸を開け、左側の棚を見た。よかった・・・。下着は完全に内側に隠れていた。

 以前、災害対応の記事に書いたことがあるが、私は、20数年前に今の住宅街に転居してきた。そして、その時から今日に至るまでの間、私は、洗濯をして、スラックスの下に着けていた下着を、人に見える場所に干したことは唯の一度もない。すべて部屋干しなのである。この記事にはパジャマのことを書いたが、私は今、就寝時には、舞踊レッスン用のハーフパンツをはき、上にはTシャツを着ている。既成のパジャマは着ない。


posted by 翠流 at 22:48| Comment(0) | 男性の羞恥心 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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