2016年09月21日

健康支援の性差

既に指摘してきたように、
男女共同参画基本計画の「生涯を通じた女性の健康支援」は、
第三次計画であるにしろ第四次計画であるにしろ、
題名は勿論のこと、内容についても、
「男女の人権の尊重」を謳った「男女共同参画社会基本法第3条(注1)」と乖離して、
初めに女性優先・女性優遇の結論ありきの、男性差別の施策である。
男女局は本来、その名の通りの「男女共同参画」の部局であるべきはずなのに、
内実は、自己本位の女性優遇運動の発信基地となっている。
           (注1)記事「裏切りの男女共同参画」の(注1)を参照

男性に対する性別観、性別役割が、男性に課す戒め、
例えば、「男性は苦しみを表に出してはならない、配慮を求めてはならない、一人で困難に耐えなければならない」というような、
男性に対する人権軽視、或いは人権無視につながるような戒めを廃し、
数値として示された客観的事実に基づいて発言すれば、
「いのちの危機」に直面しやすいのは、女性より、むしろ男性であって、
それは例えば、既に数値として示してきたような、
明白な性差としての、男性に顕著な「悪性新生物や自殺による死亡」等に表れている。
このような事実をふまえて、
第四次男女共同参画基本計画の「生涯を通じた女性の健康支援」を読めば、
男女局の、男性軽視は明白である。
男女局は、男性の危機と、真摯に対峙しない。
項目として触れる場合であっても、女性に対する手厚い配慮に比べれば、
余りにも、形式的、表面的である。

ところで、男女局の施策だけではなく、
様々の媒体を通して国民に発せられる健康支援関連のメッセージには、
女性側への支援に傾斜した表現が、広く存在する。
例えば、医療情報として頻回に発せられてきたメッセージ、
「大腸癌による死亡は女性では1位、男性では3位である」という表現に、
私は初めから違和を感じてきた。
この、性別死亡順位だけのメッセージは、下記のような性差の実態と乖離して、
大腸癌死亡は「女性に多い」という印象を国民に与えるのである。

  大腸癌による死亡(2014年)
               死亡数   死亡率 ・・・・・ 死亡率は、性別人口10万人に
          男性   26,177    47.4 対する死亡数を示す。
          女性   22,308    34.6

実はこの件について、私は、今年の3月に、
全国でも有名な、某大腸内視鏡検査施設で、ある男性内視鏡医に、
「表現が死亡状況の性差を正しく反映しておらず、適切さを欠くのではないか」と、
問いかけたことがあった。
すると彼は、「女性の検診率を高めるためだ」と、
検診に伴う羞恥の問題を絡めて、私の予想通りの答えをしたのであった。
しかし、この彼の発言には二つの問題がある。

一つは、上記のデータの如く、
男性の大腸癌死亡が女性より多いという「現実」があるにもかかわらず、
彼の発言の中に、この現実に対する配慮が存在しないことにある、
男性の方が数多く死んでいるのに、
なぜ女性だけに配慮した発言をするのか、
なぜ、女性の危機を、男性の危機より強調するのか。
それは、いのちの現実との乖離ではないのか。

もう一つは、上記の問題とも関わるが、
女性に限らず男性にも、羞恥や屈辱を懸念して大腸内視鏡検査を拒む人がいるにもかかわらず、
彼は、そういう男性の存在を発言から捨象し、
女性の羞恥だけに配慮したのである。
男性の大腸癌死亡率が女性より高い現実に立脚するなら、
繊細な男性の羞恥や屈辱懸念にも配慮し、男性の検診率向上を図ることは、
医療者としの必務ではないのか、
もしも仮に、羞恥による検査拒否の割合が女性に高いと仮定しても、
それを根拠に発言をするならば、それは、
繊細な男性の個性を無視した統計的差別ではないのか。

支援のメッセージは、現実と乖離して女性側に傾斜する。
その背後には、現実の如何に関わらず、
「男性の危機は抑制的に表現し、女性の危機は強調的に表現すべきである」というような、
差別を内包した性別役割の同調圧力的強要があり、
男性に対する配慮は、男性であるが故に切り捨てても構わない、或いは、
男性には配慮すべきではないとまで言う人物が出現するような、
男性差別のジェンダーバイアスが存在する。

ところで、今年の5月末のことであるが、
私は、ガン検診関連のニュースが契機となって、
あるガン対策協会が使っている「主要5大がん」という表現を気にするようになった。
この表現にもまた、同様のメッセージが含まれているからである。
この件については、後日、別の記事として詳述する。


posted by 翠流 at 13:23| Comment(0) | 人権擁護への思い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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