2015年09月28日

第四次男女共同参画基本計画(3)・・・ 意見書関連 No.2

 「第四次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」に送付した4種類の意見書のうち、今回は「第2部 政策編ーU 安心・安全な暮らしの実現ー6 生涯を通じた女性の健康支援」に対する意見書を掲載する。

【意見書】  ◆ 日本国憲法第14条(法の下の平等)、及び、男女共同参画社会基本法第
       3条(男女の人権の尊重)に立脚して、「素案・第2部・U・6・生涯を
       通じた女性の健康支援」の問題点【A】を指摘し、続いて、要望【B】を
       記させていただきます。
【A】問題点

 (a) 健康問題(「いのち」の問題)に関わる「男女の性差」については、男性の「短
   命(健康寿命を含む)」、そして、その原因としての「疾病に対する弱さ」「女性よ
   り明らかに多い自殺」「不慮の事故による死亡」等の、男性が抱える問題点が存在
   し、その「性差」を示す数値は、この意見書の末尾に示した【資料T】から、次の
   ように要約されます。(自殺については、後半で、【資料U】を用いて、更に詳述し
   ます。)

   ◆ 平成25年 厚生労働省人口動態統計(確定数)、「性別にみた死因順位別(第10
    位まで)の死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」を用いて集約した「死因
    別の性差」。
     ★ 疾患による死亡 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 男性が 69,558 人 多い
           特に、国民の死亡原因の第1位(約3割)である「悪性新生物」
          による死亡は、男性が 69,078 人 多い。
     ★ 自殺による死亡 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 男性が 10,253 人 多い
     ★ 不慮の事故による死亡 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 男性が  6,512 人 多い
        (計) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 男性が 86,323 人 多い
     ★ 老衰(自然死)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 女性が 36,078 人 多い

     これらの数値は、男性の「いのち」に対する支援の不足を示す客観的事実です。
    しかし、このような事実が存在するにも関わらず、素案・第2部・U・6の題名
    は「生涯を通じた女性の健康支援」となっており、「生涯を通じた男女の健康支
    援」になっていません。これは、「いのち」に関わる現実と乖離した「男性に対
    する人権軽視」であり、自己中心的な、女性優先・女性優遇の思想の反映です。
    題名は、理念の根幹を示す表現として、非常に重要です。素案の題名「生涯を通
    じた女性の健康支援」は、憲法第14条、そして男女共同参画社会基本法第3条と
    乖離した表現であり、しかもそれが「いのち」の問題であるだけに、非常に重大
    な男性差別であると考えます。
     <施策の基本的方向と具体的な取組>には、「生涯にわたる男女の健康の包括
    的な支援」という表現はあります。しかし、順序が逆なのです。まず、第2部・
    U・6の題名として「生涯を通じた男女の健康支援」という表現を与え、次に、
    <施策の基本的方向と具体的な取組>として、「男女別の健康支援」を書くべき
    なのです。人は皆、等しい重さの「いのち」を持っています。女性の「いのち」
    のほうが男性の「いのち」より重いわけではない。男性の「いのち」にも、女性
    の「いのち」と等しい重さがあるのです。それなのに、なぜ、男性の「いのち」
    を軽視した素案を作るのでしょうか ?
     素案 p.43「ア:推進体制の構築」の @〜Fを見れば、AからEまでの6項目
    には、女性に対する手厚い支援が記されています。しかし残りの2項目のうちの
    @は、男女を合わせた概括的な支援の方向であって、男性に対する支援はF1項
    目しかなく、しかも「推進体制の構築」としての踏み込み方は、女性に対するそ
    れに比して、余りにも浅すぎるのです。どうしてそのように、男性の「いのち」
    の問題を軽視するのですか。強い憤りを覚えます。
     「国民の健康支援」の施策を担う主役は厚生労働省であると思います。そして、
    その厚労省の幾多の施策の中から、既に母子保健課が平成8年から行ってきた施
    策、「生涯を通じた女性の健康支援」を、この「男女共同参画」という名の基本
    計画の素案に上乗せする形で、「第2部・U・6」の題名として与え、その内容
    は、恐らくは「初めに結論ありき」と思われる「女性優先・女性優遇」の視点に
    彩られています。要するに、男性が置かれている困難を見つめる視座が、あまり
    にも脆弱すぎるのです。それでは、「男女の人権の尊重」に立脚するはずの内閣
    府「男女共同参画」局が、その「美名」と乖離した、自己本位の女性優遇運動の
    拠点になってしまうではありませんか。憲法14条の直下にあるはずの内閣府男女
    共同参画局が、それで良いのでしょうか ?

 (b) 自殺の状況と「性差」の再認識
    前述のように、全ての人は等しく尊重されるべき「いのち」を持ち、社会は、苦
   しみの中で自殺に向かう人に、救いの手を差し伸べなければならないと思います。
   勿論、この視点が日本の社会にないわけではなく、1998年に年間自殺数が3万人を
   越えて以降、国政レベルでは、「自殺対策基本法の制定、内閣府への自殺対策推進
   室の設置、そして自殺総合対策大綱の策定などが行われてきました。全国各地の取
   組みは、自治体により差があると聞きますが、私の居住県であれば、●●市の、自
   殺予防フォ−ラムに「結実した」と表現したくなるような取組みがありましたし、
   県としては、自殺対策アクションプランの策定に向けた取組みがありました。そう
   いう、全国に広がった自殺対策の成果であるのか、或いは、若干の好転とも言われ
   る経済状況の変化の帰結であるのか等、主因は、自殺対策の担当者に聞いても定か
   にはなりませんが、2012年から、年間自殺者数は3万人を割りました。しかし、こ
   のような変化の中にあっても、変わらない事実があります。それは、自殺者が、明
   らかに男性に多い、という、「明白な性差」なのです。
    ご存じのように、内閣府自殺対策推進室は、警察庁が集計した自殺データを整理
   し、「自殺の状況」としてホームページに掲載していますが、今回、この意見書を
   作成するにあたり、それを、特に性差に着目して、次のように整理し直し、【資料
   U】の【表1】〜【表4】として、末尾に掲載させていただきました。

   【表1】年間自殺者数の推移と男女比(1978〜2014年:37年間)
   【表2】原因・動機(大分類:7項目)別自殺者数と男女比(2008〜2014年:7年間)
   【表3】原因・動機(小分類:52項目)別自殺者数と男女比(2014年)
   【表4】就職失敗による若者(20代)の自殺と男性の割合(2008〜2014年:7年間)

    【資料U】の【表1】に示されたような自殺者数の性差は、既に周知のことと思
   われますが、1978年から2014年までの37年間、毎年例外なく、男性の自殺が女性を
   上回っています。それ以前も、恐らく同様ではないかと推測します。警察庁は、自
   殺の原因・動機を大きく7項目(表2)に分類し、更にそれを52の小項目(表3)
   に分類していますが、大分類では、【表2】の通り、7項目全てで男性の自殺が女性
   を上回り、特に「経済・生活問題」では、男性の自殺が女性の8〜10倍、また「勤
   務問題」では7〜9倍に達しています。小分類では、【表3】のように、52項目中
   51項目で男性の自殺が女性を上回り、女性が男性を上回るのは1項目となっていま
   す。また、就職活動失敗による若者の自殺の増加が報道されています。その状況を、
   この7年間について性別と共に示せば、【表4】のように、自殺者の8割から9割
   を男性が占めているのです。
    このように、日本の社会には、長期に渡って、自殺者数の明らかな性差が存在し
   ます。男性には、より多くの「生きにくさ」があるのです。ですから私たちは、こ
   の事実を見つめ直し、男性に対する、更なる「支援の方法」を探し求める必要があ
   ると思います。そして、前回の「第三次男女共同参画基本計画」の、「第1部:基本
   的な方針」に記されていたように、「男女共同参画社会の実現は、女性にとっても
   男性にとっても生きやすい社会を作ることであり、政府一体となって取り組むべき
   最重要課題である」はずでしょう。ならば、内閣府男女共同参画局は、「第四次男
   女共同参画基本計画・第2部・U・6」に、この課題を、具体的に取り上げる責任
   があるのではないでしょうか。

【B】要望・・・・・上記【A】の認識をふまえ、次の4点を要望します。

  @ 「素案・第2部・U・6」の題名、「生涯を通じた女性の健康支援」を、「生涯を
   通じた男女の健康支援」に修正し、<施策の基本的方向と具体的な取組>に、「男
   女別の健康支援」を記載すること。
  A 【A】問題点(a)に記したような、「男性が抱える困難」を直視し、【資料T】に
   記されたような事実に、具体的に踏み込んだ「第四次男女共同参画基本計画」を作
   成すること。
  B 特に、自殺の問題については、【A】問題点(b)に記したような「自殺の性差」
   について、【資料U】のような現実に踏み込み、男性に対する、更なる「支援の方
   法」を検討し、記載すること。その際、長い間社会に存在し続けてきた「男性に対
   する性別観、性別役割意識」が、男性を追い詰める要素を孕みながら、今も、私た
   ちの日常に深く根を張っている事実に注目すること。例えば、「男性は強くなけれ
   ばならない。困難に耐えなければなない。孤独に耐えなければならない。弱音を吐
   いてはならない。」「男性は家庭を支える経済力を持たなければならない。家庭を守
   らなければならない。」「男性は女性を守らなければならない。女性のために自分を
   犠牲にしなければならない。男性だからという理由で人権を軽んじられても、差別
   されても、不満を言ってはならない。それが男らしさの規範なのだ・・・」というよ
   うな、男性に対する呪縛が、男性を追いつめる現実を注視すること。
  C 全編に渡って、日本国憲法第14条(法の下の平等)、男女共同参画社会基本法第
   3条「男女の人権の尊重」に立脚し、その理念と乖離しない「第四次男女共同参画
   基本計画」を作成すること。

【資料T】 年間死亡者数:平成25年(2013年)

  ・厚生労働省人口動態統計(確定数)「性別にみた死因順位(第10位まで)別、死亡
  数・死亡率(人口10万対)・構成割合」 を使用。
  ・総数の死因順位が11位以下であっても、男女別の順位が10位以内に含まれる死因に
  ついては、平成25年「年次別にみた死因簡単分類・性別死亡数及び率(人口10万対)」
  から必要な数値を補足した。
  ・表中の死亡者数に続く( )内の数値は死亡率(少数第一位四捨五入)を示す。
  ・【 】内は死亡総数に占める割合(%)(少数第一位四捨五入)。1%未満は【ー】
  で示す。
  ・表中の@AB・・・は、男女それぞれの中での死亡数の順位を示す。順位が11位以下
  の場合は(ー)で示してある。
  ・「心疾患」は、「心疾患(高血圧を除く)」である。
  ・「自殺による死亡」は、厚労省のデータが「家庭からの申告」によるものであり、
  また、在日外国人を除いてあるため、警察庁発表のデータ【資料U】より数値が小さ
  くなっている。
  ・紙面の関係で、男女の合計は省略し、「性差」を中心に記す。

         男          女          性差
● 全死因   658,684(1077)  609,752( 945)  48,932(男性に多い)

● 性別にみた死因別死亡数(死因10位まで)と「性差」
 ★ 疾患による死亡 ・・・・・・・・・下表の「合計」が示すように、男性が 69,558 人 多い

   ◆ 死亡者が男性に多い疾患 (性差が大きい順に配列)
                 男          女         性差
    悪性新生物    216,975(355)【33】@ 147,897(229)【24】@   69,078
    肺炎       66,362(109)【10】B 56,607( 88)【 9】C   9,755
    慢性閉塞性肺疾患 13,057( 21)【 2】G  3,386( 5)【 1】ー   9,671
    肝疾患      10,360( 17)【 2】I  5,570( 9)【 1】ー   4,790
    大動脈瘤及び解離  8,400( 14)【 1】ー  7,705( 12)【 1】H    695
    (小計)    315,154(515)【48】  221,165(343)【36】   93,989

   ◆ 死亡者が女性に多い疾患 (性差が大きい順に配列)
                 男           女        性差
    心疾患      91,445(150)【14】A 105,278(163)【17】A  13,833
    脳血管疾患    56,718( 93)【 9】C  61,629( 96)【10】B   4,911
    血管性等の認知症  2,700( 4)【ー】ー  7,292( 11)【 1】I   4,592
    腎不全      12,003( 20)【 2】H  13,098( 20)【 2】F   1,095
    (小計)     162,866(266)【25】  187,297(290)【31】   24,431

   ◆ 合計      478,020(782)【73】  408,462(633)【67】   69,558
                                  (男性に多い)

 ★ 自殺による死亡
       男            女           性差
   18,158( 30)【 3】E   7,905( 12)【 1】G   10,253 ・・・・・ 男性に多い

 ★ 不慮の事故による死亡
       男            女           性差
   23,043( 38)【 4】D  16,531( 26)【 3】E    6,512 ・・・・・ 男性に多い

 ★ 老衰(自然死)
       男            女           性差
   16,821( 28)【 3】F  52,899( 82)【 9】D   36,078 ・・・・・ 女性に多い

【資料U】 自殺関連資料 ・・・ 警察庁、及び、内閣府自殺対策推進室の自殺データを使用。
         (下記4種類の表は、全て、記事カテゴリ「男性の自殺」から引用。)

  【表1】年間自殺者数の推移と男女比(1978〜2014年:37年間)
  【表2】原因・動機(大分類:7項目)別自殺者数と男女比(2008〜2014年:7年間)
  【表3】原因・動機(小分類:52小項目)別自殺者数と男女比(2014年)
  【表4】就職失敗による若者(20代)の自殺と男性の割合(2008〜2014年:7年間)


posted by 翠流 at 00:55| Comment(3) | 近況報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
中央大学が露骨な性差別

http://www.chuo-u.ac.jp/academics/pro_graduateschool/law/news/2015/10/35959/
●女性法曹枠
今般の女性活躍推進法の成立に象徴されるように、現在、女性が活躍できるようにする環境づくりが社会的に求められています。
女性が活躍する社会の実現に向け、女性法曹として社会に貢献する人材を養成するために、女性法曹枠を新設します。
@女性法曹枠を受験できるのは、女性の方のみです。
A女性法曹枠で合格した場合は、必ず中央大学大学院法務研究科特別給付奨学制度の第一種特別給付奨学金(入学金を除く学費相当額)
もしくは第二種特別給付奨学金(入学金を除く学費相当額の半額)を受給することができます。

お問い合わせはこちらへ
https://www.chuo-u.ac.jp/inquiry/form/?id=26
Posted by とくめ at 2015年10月07日 00:35
有意義なブログを書いて下さりありがとうございます。

>共産党系フェミニズムを狂信する“危険ラインを越えた「反日極左」宰相”安倍晋三
>フェミニズム批判

>──安倍晋三は、出生率の大低下と家族解体を進め日本衰落を不可避にする “女性活躍推進法の立役者=赤い国賊”

http://nakagawayatsuhiro.hatenablog.com/entry/2015/08/31/152119

学者の先生がこのように書いており、恐らくフェミニズム優先は確信犯です。
ちなみにこの人は東京裁判肯定派なので、右翼側の人ではありません。
Posted by ジョク at 2015年10月09日 20:04
安倍政権下でおかしな事が異常に増えています。
ついに安倍政権は本性を出して来ました。

>自民党が移民に関する議論開始、3月中旬に特命委=木村参院議員

http://jp.reuters.com/article/ldp-kimura-idJPKCN0W50BK

流石に男女共同参画も含めて疑った方がいいと思います。
Posted by at 2016年03月06日 13:00
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