2015年03月19日

男性の自殺 (5) 2014年の状況

3月12日付で、内閣府自殺対策推進室が、
2014年の「自殺の統計」を公開した。
その日であったか、NHKラジオを聞いていたら、
女性キャスターが、「自殺者数が 6.8%減った」と言った。

しかし彼女は、性差の問題には触れなかった。
下表Tに示すように、2014年の自殺にも「明白な性差」があるが、
彼女は、「今回もまた男性の自殺が多かった」、とは言わなかったのである。
以前、記事として取り上げたことのある、某市の自殺予防フォーラムもそうであった。
経済生活問題の相談機関の代表者は出席していたから、
配慮の内実はあったのだろうが、
「自殺は男性に多い」という意味の言葉は、
フォーラムの間中、一言も聞こえてこなかった。

どこかの国の首相も同じである。
「光り輝く女性」発言ばかりを繰り返して、
男性を、困難から、特にその局限としての自殺から、
救おうとする言葉を発してこなかった。
経済政策であるとか、地方再生であるとか、若者支援であるとか、
そういう言葉だけでは不足なのである。
「男性」という言葉を、明確に前面に押し出して、
男性の困難にも手を差し伸べるような、そういう土壌を、
社会の中に作り出すことが重要なのである。

男性の苦しさは、強く前面に出すべきではない。
男性の困難は、できるだけ控えて表現するべきである。
そういう「性別観」「性別役割意識」が、
今も、社会に根を張り、私たちの日常を支配している。
それを変えなければ、自殺の性差の問題は、解決しないと思う。

前述の自殺予防フォーラムを企画した某市が、
初めに作った自殺予防のポスターには、
中央に、悩む女性のイラストだけが描かれていた。
それは、私たちの社会に根を張る「性別観」の象徴であり過ぎるとして、
私は、担当の部局に抗議の電話を入れた。
勿論、ただの一市民の発言でしかないから、
偶然の所産であろうが、
フォーラムの会場に掲示された新しいポスターには、
青い背景の中に、多数の絡み合った臙脂色の歯車が、
心を模るように描かれていた。
苦しみながら自殺に向かう人は、
性別とは無関係に、等しく救われなければならない。

2014年の自殺データは、下記の通り。
昨年の記事「男性の自殺(4)」と同様に整理した。

【項目】T.自殺者数と男女比                         
    U.自殺の「原因・動機特定者数」と「原因・動機不特定者数」      
    V.原因・動機特定者の「原因・動機別自殺者数(大分類:7項目)」と男女比 
    W.原因・動機特定者の、「原因・動機別の自殺者数(52項目)」と男女比  
    X.就職失敗による若者(20代)の自殺者数と男性の割合         

◆ なお、近日中に、内閣府男女共同参画局に「自殺対策要望書」を送る。
また、追って、同様の趣旨の要望書を、内閣府自殺対策推進室に送る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 2014年 自殺データ 】

T.自殺者数と男女比 ・・・ 自殺死亡率(自殺率)は、人口10万人あたりの自殺者数を示す。
                           男女比【男/女】    
      総 数      男       女    自殺者数(自殺死亡率)   
      25,427    17,386    8,041    2.16(2.28)      
          
U.自殺の「原因・動機特定者」と「原因・動機不特定者」            

      総 数     原因・動機特定者     原因・動機不特定者    
      25,427    19,025(74.8%)     6,402(25.2%)    

V.原因・動機特定者の「原因・動機別の自殺者数(大分類:7項目)」と男女比。   

     (原因・動機)  (計)  (男性) (女性)  【 男性 : 女性】  
      家庭問題    3,644  2,227  1,417  【 1.57 : 1 】  
      健康問題    12,920  7,418  5,502  【 1.34 : 1 】  
      経済生活問題  4,144  3,688   456  【 8.08 : 1 】  
      勤務問題    2,227  1,988   239  【 8.31 : 1 】  
      男女問題      875   555    320  【 1.73 : 1 】  
      学校問題     372   300    72  【 4.16 : 1 】  
      その他     1,351   961   390  【 2.46 : 1 】  

   (注意) 遺書等の自殺を裏付ける資料により、明らかに推定できる原因・動機を、
     自殺者一人につき3つまで計上可能としているため、原因・動機特定者の原因
     ・動機別自殺者数の和と、原因・動機特定者数(19,025)とは一致しない。

W.原因・動機特定者の、「原因・動機別の自殺者数(52小項目)」と男女比。    

 ◆ 下表の男女比は、少ない方を1として示してある。              
  男性の自殺は、52項目中 51項目で女性を上回っている。
  各項目が属する大項目は、表中の語尾に、次の略記号で示した。        

      健康問題:A  経済生活問題:B  家庭問題:C  勤務問題:D 
      男女問題:E  学校問題:F  その他:G             

(順位)(原因・動機)         (男 女 比)     (人 数)    
                  【 男性 : 女性 】  男性  女性  計  
1 負債(連帯保証債務):B      【 25.0 : 1 】   25    1   26   
2 負債(多重債務):B        【 16,8 : 1 】  639   38  677 
3 仕事の失敗:            【 13.4 : 1 】  376   28  404 
4 借金の取り立て苦:B        【 13.3 : 1 】   53   4   57  
5 事業不振:B            【 12.8 : 1 】  486   38  524  
6 負債(その他):B         【 11.2 : 1 】  639   57  696  
7 職場環境の変化:D         【 10.9 : 1 】  251   23  274 
8 仕事疲れ:D            【 10.0 : 1 】  623   62  685 
9 倒産:B              【 9.7 : 1 】   29   3   32  
10 自殺による保険金支給:B     【 9.3 : 1 】   74   8   82  
11 失業:B             【 8.9 : 1 】  337   38  367  
12 就職失敗:B           【 8.3 : 1 】  232   28  260  
13 その他:D            【 8.2 : 1 】  320   39  359  
14 犯罪発覚:G           【 7.7 : 1 】  153   20  173  
15 子育ての悩み:C         【 1: 5.9 】   19  112  131  
16 学業不振:F           【 5.7 : 1 】  102   18  120  
17 生活苦:B            【 5.1 : 1 】  916  178 1,094  
18 入試に関する悩み:F       【 5.0 : 1 】   20   4   24  
19 病気の悩み・影響(アルコ-ル依存症):A【 4.9 : 1 】  156   32  188  
20 職場の人間関係:D        【 4.8 : 1 】  418   87  505  
21 そのほかの進路に関する悩み:F  【 4.2 : 1 】  106   25  131  
22 その他:B            【 3.6 : 1 】  258   71  329  
23 教師との人間関係:F       【 3.5 : 1 】   7   2    9  
24 その他:F            【 3.3 : 1 】   33   10   43  
25 いじめ:F            【 3.0 : ー 】   3   0    3  
26 その他:G            【 2.7 : 1 】  372  136  508  
27 夫婦関係の不和:C        【 2.6 : 1 】  637  247  884  
28 失恋:E             【 2.5 : 1 】  198   78  276  
29 犯罪被害:G           【 2.5 : 1 】   5   2   7  
30 家族からのしつけ・叱責:C    【 2.4 : 1 】  104   44  148  
31 そのほかの学友との不和:F    【 2.2 : 1 】   29   13   42  
32 その他:E            【 2.2 : 1 】   46   21   67  
33 近隣関係:G           【 2.1 : 1 】   47   22   69  
34 身体障害の悩み:A        【 2.1 : 1 】  211   99  310  
35 被虐待:C            【 2.0 : ー 】   2   0    2  
36 病気の悩み・影響(薬物乱用):A  【 2.0 : 1 】   42   21   63  
37 病気の悩み(身体の病気):A   【 2.0 : 1 】 2,724 1,395 4,119
38 孤独感:G            【 1.9 : 1 】  328  174  502  
39 家族の将来悲観:C        【 1.6 : 1 】  330  207  537  
40 後追い:G            【 1.6 : 1 】   56   36   92 
41 そのほかの家族関係の不和:C   【 1.5 : 1 】  228  150  378  
42 そのほかの交際をめぐる悩み:E  【 1.5 : 1 】  184  122  306  
43 家族の死亡:C          【 1.5 : 1 】  314  215  529  
44 その他:C            【 1.5 : 1 】  196  135  331  
45 親子関係の不和:C        【 1.3 : 1 】  261  197  458  
46 不倫の悩み:E          【 1.3 : 1 】   92   71  163  
47 その他:A            【 1.3 : 1 】  150  118  268  
48 結婚をめぐる悩み:E       【 1.3 : 1 】   35   28   63  
49 介護・看病疲れ:C        【 1.2 : 1 】  136  110  246  
50 病気の悩み・影響(他の精神疾患):A【 1.2 : 1 】  711  596 1,307  
51 病気の悩み・影響(統合失調症):A 【 1.1 : 1 】  635  591 1,226  
52 病気の悩み・影響(うつ病):A   【 1.1 : 1 】 2,789 2.650 5,439  


X.就職失敗による若者(20代)の自殺者数と男性の割合

        年次別    総数  男性  女性  男性の割合         
      2008(H 20)   86   69    17   80.2 %         
      2009(H 21)  122   98    24   80.3 %         
      2010(H 22)  153  138   15   90.1 %         
      2011(H 23)  141  119   22   84.3 %         
      2012(H 24)  149  130   19   87.2 %         
      2013(H 25)  104   95    9   91.3 %         
      2014(H 26)  110   95   15   86.3 %

        
posted by 翠流 at 21:49| Comment(2) | 自殺関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
翠流様はじめまして・・・ではないですね(^_^;)『社会の荒廃』から来ました流れ者です。

そちらの記事で翠流様のコメントを拝読しました。仰る通り、少子化対策に限らず、貧困や未婚率や天災など、性別に関係のない事柄であろうと、支援は全て女様優先で男性は蔑ろにされています。

「女性の非正規雇用ガー!貧困ガー!」

コレ、男性にも言える事ですよね。基本的に結婚→子作りなのですから、結婚の条件に『年収』を見られる男性の非正規・貧困の方が、ずっと深刻なのに。まぁそもそも、男女平等を当然としているこの平成の世で、未だに男性の価値を『収入』で計る事が大きな間違いなのですが。これこそ女様の大嫌いな『時代錯誤の古き悪しき価値観』の押し付けなのに、何故かこれは見過ごされるんですよね(呆)

「私の気が向いたら子供を産む。周りは私の意思を受け容れろ!子供の立場?知らんね」と、自らの役目を放棄し、好き勝手やっている癖に、男性には各種の『義務』を押し付け、満たせない者を『ダメ男』と罵倒するダブスタ・・・一体何様?

真の弱者は、「劣等種」と罵倒されロクな支援もされず、同じ生物としてすら扱われない『貧困男性』です。妊婦が10年間で60人ちょっと自殺しただけで「支援しろ!」保育所が足りないだけで「日本死ね!」と騒ぎ立てる癖に、年間万単位で自殺している男性をどうするかは論じられない。されても相談窓口の設置などで終わりです。

性犯罪に遭った女性には「多くの子が言えないで泣き寝入りしてる。非親告罪化・厳罰化を!」と気遣い心中を代弁し、フェミ男よろしく正義の味方を気取って、対策を講じるよう働きかけ、国の重い腰を上げさせようと躍起になるのに、一人で苦悩した末に命を絶つ男性達はほったらかしも同然。決して弱者として扱われません。

女様なら、たとえ嘘を吐いて犯罪をでっち上げても「女の子は繊細。ショックで事実と異なる証言をしてもしょうがない!」と無理にでも擁護する癖に、自殺者の殆どが男性という現状には冷やかで「男性は繊細だから保護すべき!」とは絶対にならない。寧ろ、こうした気の毒な男性を「男の癖に情けないw」と罵倒・嘲笑する輩まで居る始末。

女様は男性が弱者になる事を決して許しはしません。だって既得権益ですもの。お姫様扱いされたいんですもの。平等だと楽が出来ないじゃない!寄生出来ないじゃない!←そりゃあやめる訳が無いわな┐(´-`)┌

『馬車馬のように働き、私の盾になって死ね!』『従わない奴は人間失格!』『リソースが無い奴は失せろ!』要約するとこういう事でしょ?男性の扱いは家畜のそれと大差ない・・・お〜い酷連さ〜ん!日本には男性を人として扱わない、男性蔑視・人権軽視の思想がはびこってますよ!それを是とする団体が幅を利かせてますよぉ!
Posted by 流れ者 at 2016年05月15日 11:06
「流れ者」さん、来訪ありがとうございます。
共感的なコメント、鋭いコメントに感謝です。
ところで、流れ者さんは、ブログはしていないのですか?
立ち上げれば、きっと素晴らしいブログになると思うのですが・・・・・。
わたくし、また「蜻蛉の眼鏡」に遊びに行きます。
これからもよろしくお願い致します。
Posted by 翠流 at 2016年05月16日 00:48
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