2014年12月10日

名古屋市職員採用試験

先日、知人のHさんから、
名古屋市職員採用試験、第1類・事務系について、
男性差別の存在を示唆する資料をいただいた。
既にAさんのブログで採り上げられた件ではあるが、
安倍首相の「光り輝く女性」発言や、
内閣府男女共同参画局が行っているポジティブ・アクション、
つまりは、数値目標達成を最優先とした女性採用拡大の動きが強まる中で、
特に面接試験等、評価の操作が可能な領域を利用して、
女性にゲタをはかせる女性優遇採用が、
日本全国に広がるのではないかという懸念を、
私も強く抱いている。
教育の機会均等、受験の機会平等は、以前から保障されてきたから、
もしも女性にゲタをはかせる優遇採用があれば、
それは、不正入試と同質の、裁かれるべき施策であろうが、
併せて、内閣府が、【平成24年10月】に行った調査、
「学校教育の場における男女の地位の平等感調査(図4)」
    http://survey.gov-online.go.jp/h24/h24-danjo/zh/z04.html
の、下方にある図、『20〜29歳を対象とした調査結果』を見れば、
学校での平等感には、既に、男女間の有意差はないであろうと推察される。
従って、学校での性差別の事案は、恐らくは個々に対応すべき少数に近づいており、
男女平等は、制度だけでなく、生徒の感じ方から見ても、
確立したと言って、支障のない時代になったと思われる。
そういう状況の今にあって、
学校教育の到達点の1つとしての公務員採用試験の場で、
女性にゲタをはかせる優遇採用があれば、
それが明らかな男性差別であることは、一層明白であろう。
平等な選考ならば合格するはずの男性が不合格となり、
不合格となるはずの女性が合格するなどという理不尽が、
許されてよいはずはない。

私がHさんからいただいた資料には、
次のような、男女別合否状況が記されていた。

【平成26年度 名古屋市職員採用試験(第1類・事務系)】
          一次試験・・・・・行政一般・学校事務・・・・・・・教養試験
                 法律・経済・社会福祉・・・・・教養試験・専門試験
          二次試験・・・・・論文試験・口述試験
合否状況
(区分)  (申込者数) (一次試験受験者数)(二次試験対象者数)(合格者数)
      男性  女性   男性  女性   男性  女性   男性 女性
行政一般  1,111  601   756  408    185  78    60  44 
法  律   300  154   213  111    125  68    45  49 
経  済   202   65   150   50    101  37    42  29 
社会福祉   100   90    77   66     55  54    21  33 
(計)   1,713  910  1,196  635    466  237    168 155  

 この数値から、受験者の「一次試験合格率」、及び、一次合格者の「二次試験合格率」
を男女別に算出すると、次のようになる。

        (一次試験合格率)  (二次試験合格率)           
        男 性   女 性   男 性   女 性           
行政一般    24%    19%    32%   56%            
法  律    59%    61%    36%   72%            
経  済    67%    74%    42%   78%            
社会福祉    71%    82%    38%   61%            
(全体)    39%    37%    36%   65%            

この数値に示されているように、二次試験では合格率の男女差が非常に大きく、
女性に対する優遇措置が強く懸念される。
この問題について、12月1日の朝日新聞の「声」の欄には、
次のような、川上直也氏の投稿文が掲載された。

「採用試験 女性優遇ではないか」・・・川上直也 
                       朝日新聞「声」(12月1日)より引用
 私は市民団体で様々な差別について問題提起をする活動をしているが、今年度の名古屋市の職員採用試験の結果を見てあぜんとしてしまった。大学卒程度の第1類の事務系には男性1196人、女性635人が受験したのだが、合格者は男性168人、女性155人。受験者数は男性が女性の倍近くいるのに、合格者数は男女ほぼ同数に近い。
 同市人事委員会が出した「採用総合案内」には「年齢・性別・学歴・出身地・職歴などによる有利・不利は一切ありません。受験資格を満たしていれば、すべての人に平等です」と書かれている。
 だが、採用結果を細かく見ていくと、客観的で人為的な操作の難しい筆記試験である一次試験を通過した割合を計算すると、男性が39%で、女性の37%をわずかに上回るのに、主観的になりがちな面接と論文が課される2次試験の合格率は男性36%に対し、女性65%だった。これは憲法14条1項がうたう「法の下の平等」に反し、人為的な性差別が行われたと推認せざるを得ないのではないか。
 仮に男女に関係なく、同じ基準を適用した結果と言われても、その基準自体が一方の性に著しく有利にできている、いわゆる間接差別にあたるのではないか。
 ほかに能力の高い男性がいるのに、女性が優先的に採用・登録されたとすれば、これは男性差別にとどまらず、能力主義の否定でもあり、大問題であると思う。採用や登用における性差別を完全になくしたいのであれば、面接後、受験者の氏名や性別がわからない状態で評価を行い、選考するべきだ。

 私も、この採用試験の結果を見て、川上氏と基本的に同じ認識を持つ。私は市職に就いた経験はないが、10代後半の若者と常に関係を持ちながら生活してきた。それを振り返って思うのだが、仮に、論文と口述の平均的資質が女子の方に高いと仮定したとしてもても、この二次試験ほどの差はつかないのではないか。しかも、二次試験の対象者は、客観的な一次試験で選別されてきた人たちなのである。二次試験の合格率の、男性36%、女性65%という大きな差は、女性優遇がなければ生じないのではないかと思う。

 Hさんからいただいた資料の中には、川上氏の指摘に対する、名古屋市人事委員会の、次のような見解も含まれていた。
   ・・・・・ ネットニュ−ス http://www.j-cast.com/s/2014/12/01222160.html 
  ◆ 名古屋市は「性別への配慮はありません」(人事委員会)と言い切る。「合否の
   判定時には(担当者は)性別などのデータはもっていません」と説明。男女の差が
   なかったのは、あくまで「結果」という。
    市によると、「特別な取り組みをしているようなことはありませんが、ここ数年、
   女性の採用比率が上がっているのは事実です」と話す。ただ、採用試験では「そう
   いった(女性を優遇するような)判断はなく、採点で上から順番に採用していった
   結果です」と、恣意的なことはないと強調する。

 しかし、この名古屋市の見解は、川上氏への反論になっていない。人事委員会は「合否の判定時には(担当者は)性別などのデータはもっていません」と言っているが、判定会議以前に、たとえば面接結果を点数化するような作業があったとした場合、女性受験者にゲタをはかせて採点することも可能なのである。もしも、そのようなことが為されれば、「合否判定時に性別のデ−タがなく」「採点で上から順番に採用していった」としても、必然的に、女性優遇採用がおこる。

 内閣府男女共同参画局が提起したポジティブ・アクションは、安倍首相の「光り輝く女性」発言と共に、政治の表舞台に登場した。それが、例えば保育環境の整備であるとか、採用や昇進にあたっての、評価の平等の実現であれば正当であろうが、実際には、女性にゲタをはかせる男性差別の、女性優遇政策として行なわれるようになったと認識する。採用試験の担当者が、例えば面接試験の評価のような、恣意的操作が可能な部分で女性を優遇する施策が、日本全国で拡大を続けていると思う。


posted by 翠流 at 02:11| Comment(3) | ポジティブアクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これは明らかに女性優遇ですね

少なくとも面接官の主観が強い面接にて平等な評価ってのは無いんですよ
そしで面接が上手い=仕事ができる、優秀ってわけでもないので

それなのに女性は男性より優秀だ、なんて言ってる人はいろいろと浅はかで視野が狭いと思います
Posted by at 2015年09月10日 16:22
国家公務員採用者に占める女性の割合も、
昨年、安倍晋三の約束通り、30%を越えました。
最後の面接試験で、女性優遇採用が行われたのだと思います。
ひどい話です。国家が不正採用を行っている。
そして、それを「不正」と認めない詭弁の暴力が存在するのです。
Posted by 翠流 at 2015年09月11日 10:05
某企業で人事をやっております。

上の方がおっしゃられてるように、
面接では女性のほうが男性より受け答えがいいと思う時もあります。
だが、面接の受け答えがいい=有能、優秀かどうかはまた別です。

国家公務員、大阪市役所、名古屋市役所などの採用結果を見る限り、
性差別が少々過ぎているのではないかと考えてしまいます。
Posted by at 2016年05月21日 19:14
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