2014年10月27日

山田昌弘さん(中央大学教授)の言葉 【その1】

このブログの記事「ファミマ・レディ−スデ−(2)」のコメント欄で、ある人から、
ワレン・ファレルの「男性権力の神話」(久米泰介訳.作品社)を、紹介していただいた。
400ペ−ジに渡る本で、読書力のない私にしてみれば、
読み終わる日がいつになるか心許ないが、
冒頭の、山田昌弘さん(中央大学教授)の推薦文に、次のような一節があり、
私の問題意識を、的確に代弁してくださっているように思われた。

  「なぜ女性のつらさは問題にされるのに、
          男性の生きづらさは問題にされないのだろう。」
                        (中央大学教授:山田昌弘)

山田さんのこの一節と共通する思いは、
たとえばこのブログでは、次のように表現してきた。

  しかし自殺者に男性が多いことは、厳然たる事実であって、
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   ・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   自殺者の男女比が、もしも逆であったら、
   日本中が大騒ぎになっているような気もする。
   女性団体はたぶん、その現実を放置しないだろう。
   保護を求める女性たち、保護を受け入れられる女性たち、
   しかし保護を求めることができずに、
   「男性」であることを背負いながら、
   孤独のうちに死んでいく男たちがいる。      【記事「男性の自殺(1)】

内閣府の自殺対策推進室が、ホ−ムペ−ジに掲載した「自殺統計の分析」という「特集」を、
私は、昨年の10月に見た。
対象年度は、「自殺死亡率が急上昇前の平成9年から直近の24年までの間」、とある。
その大部分は、男性の自殺、特に経済・生活問題を原因とする自殺の急増が主因となって、
年間自殺者数が3万人を超えた時期(H10〜H23)である。
ところが自殺対策推進室は、この「特集」の中で、
男性の自殺の実態を表現しなかった。
男女差について述べたのは、差の小さい「家庭問題」だけなのである。
          (自殺の原因別男女比は、【記事「男性の自殺(3)(4)】を参照)
私はこの件に違和感を感じ、
昨年の10月31日に、内閣府自殺対策推進室に問い合わせの電話を入れた。
電話を受けた担当の男性は、その理由を二つあげた。
一つは「男性に注目した考察を入れると焦点がぼける」
もう一つは「時間がなかった」であった。

しかし私の違和感は消えない。
「特集」に、なぜ、男性の自殺の実態を書かなかったのか・・・・・。
それは「焦点」の一つとすべき、重要な現実だったのではないか・・・・・。
たとえば次のデ−タが示すように。

   (原因・動機)  年間自殺者数(H20〜H24)   男女比 【男性:女性】 
   「経済・生活問題」  5,219 〜 8,377    【 8.3 :1 】〜【 10.3:1 】
   「勤務問題」     2,412 〜 2,689    【 6.9 :1 】〜【 8.8:1 】

もっとも、平成22年の「自殺総合対策パンフレット」には、
自殺者総数の男女差を示すグラフは記されている。
しかしだからといって、それは、「特集」で略してよい現実ではなく、
むしろ逆に、その実態を詳しく顕在化させ、
更に深く、男性の自殺に対する対策に踏み込むべきだったのではないか。

「特集」を読んで私は思う。
もしかすると、内閣府自殺対策推進室の人たちの中には、
彼らが意識するしないに関わらず、
「男性の困難はなるべく強調しないように・・・・・」という、
不当な性別観に基づく、不当な配慮があったのではないか・・・・・?

似たような事例がほかにもあった。
たとえば「男女共同参画白書・平成24年全体版」に記された、下記のような「被災者の自殺デ−タ」は、
「白書・概要版」では削除された。
「心の健康状況」を示す4項目のうち、削除されたのは、この1項目だけであった。
昨年の11月に、その理由を問い合わせた私に対して、
内閣府男女共同参画局の担当者は、次の三つの理由をあげた。
    @ ペ−ジ数に制限がある。  A ほかに重要なことがある。
    B 全国の男女比と大差はない。
しかし私は、この理由を納得できない。

   〖東日本大震災に関連する自殺者数の男女別の割合〗
                       男女共同参画白書・平成24年全体版
         本編・第1部・特集・第2節(被災者の状況)・5(心の健康状況)
                          女性    男性    計   
   震災関連自殺者数(H23年6月〜24年2月)   24.6%  75.4%  100%  
   全国の自殺者数(平成23年)         31.6%  68.4%  100% 
                       【記事「岩手日報に対する要望書」】

私の知人に、ある相談活動に従事する男性がいる。
ボランティアではあるが、
彼は、活動を始めた頃、私に言った。
「俺は、女性から相談を受けると、丁寧に話しを聴き、親切に対応するが、男性から相談
を受けると、『おまえは男なんだから自分でやってみろ』と思ってしまう」と・・・・・。
私は、婉曲に彼を批判した。
彼は、根はいい男性であるから、今はそのような対応はしていないようだ。
しかし彼と話しをしていると、
類似の性別観が随所に現れる。
今、彼と私の交流は途絶えている。


posted by 翠流 at 01:00| Comment(1) | 人権擁護への思い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自殺者数の男女別の割合は全体的にみても男性の方が多く、それだけ男性は生死に関わる局面に立たされている事が多いことは間違いないのですが、社会はこれと言った対策を取ったことがないように思いますね。
もちろん政府としては、「何らかの対策はしている」と主張するでしょうが、現実的に改善されていないと言う事は「対策そのものが的外れ」であり、それは「何もしていない」のと同じ、或いは、それ以下と言えるでしょう。
と言うか、本気で対策をする気なんてないのは明らかで、本音はこうでしょう「女性は可哀相だからなんとかしてあげなきゃいけないが、男性を見殺しにしても世間が責めないので今のままの無対策でよい」という感じでしょうか。まったくふざけた話で、これで男女平等を謳うのですから呆れたものですね。
私からすれば、国連なんかの男女平等度指数なんか、基準に「自殺の比率」は絶対に含んで統計を取ってほしいくらいです。

※ 前回のブログの返信とわたしのブログに下さったコメントはきちんと読ませていただいております。
わたしのブログのコメントは「非公開扱い」と言うことですのでそれに従わせていただきました。
Posted by やぐるまの鏡 at 2014年10月31日 23:02
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