2014年08月17日

「高野悦子」のこと

若い人は 高野悦子のことを知らないのかもしれない
ふり返ればすでに 遠い日のことだ

私がまだ10代の頃 
1969年 6月24日の未明に
高野悦子は自殺をした
鉄道自殺だった

彼女は私より少し年上で
当時 立命館大学文学部史学科の学生だった

彼女の本が出版された時 私は東京にいて
今はもう会えなくなってしまったMという友人のアパ−トで
彼女の話をしたことがある

昨年の秋
私はなぜか 彼女に会いたくなって
新潮文庫に収められている彼女の本を買った

当時ベストセラ−となった「二十歳の原点」

彼女は今も 私たちの社会の中に生きている

きのうの夜 私は 彼女を思い出して
家の近くのレストランで
レモンサワ−を飲みながら 彼女の本を読んでいたら
なぜか胸が 熱くなりすぎてしまった

俺も年をとったのかな ?

彼女の本の 
最後に掲載されている詩を載せる

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旅に出よう
テントとシュラフの入ったザックをしょい
ポケットには一箱の煙草と笛をもち
旅に出よう

出発の日は雨がよい
霧のようにやわらかい春の雨の日がよい
萌え出た若芽がしっとりとぬれながら

そして富士の山にあるという
原始林の中にゆこう
ゆっくりとあせることなく

大きな杉の古木にきたら
一層暗いその根本に腰をおろして休もう
そして独占の機械工場で作られた一箱の煙草を取り出して
暗い古樹の下で一本の煙草を喫おう

近代社会の臭いのする その煙を
古木よ おまえは何と感じるか

原始林の中にあるという湖をさがそう
そしてその岸辺にたたずんで
一本の煙草を喫おう
煙をすべて吐き出して
ザックのかたわらで静かに休もう

原始林を暗やみが包みこむ頃になったら
湖に小舟をうかべよう

衣服を脱ぎすて
すべらかな肌をやみにつつみ
左手に笛をもって
湖の水面を暗やみの中に漂いながら
笛をふこう
   
小舟の幽(かす)かなうつろいのさざめきの中
中天より涼風を肌に流させながら
静かに眠ろう

そしてただ笛を深い湖底に沈ませよう


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