2014年08月12日

被災地における、女性の悩み・暴力相談事業 (4) 要望書

内閣府男女共同参画局は、
東日本大震災関連の災害対応として、
「被災地における、女性の悩み・暴力相談事業」を、
毎年継続して行っている。
その名称の通り、女性限定の相談事業である。
私は、この事業について、男性を対象に加えることを求め、
昨年の12月から、男女局に問合せ等の電話をしてきたが、
ようやく、現在の担当者Bさんと話しをすることができて、
要望書を送れる状態となった。
その文面は以下の通り。
文中の後半には、昨年12月からの取組みの経過の、
概要も記されている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                                平成26年8月12日
内閣府男女共同参画局 推進課 様
                                 ( 翠 流 )
                 要 望 書

   災害対応における男性差別、「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」の、
              男性無視の解消について。

 男性にも苦しみがあり、命があり、人権があるという立場から、今年度も同じ名称で継
続されることとなった「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」の「男性無視」につ
いて、男女共同参画社会基本法第三条(男女の人権の尊重)を擁するはずの、内閣府男女
共同参画局を批判させていただきます。

                   記

 もとより、女性だけが苦しみを抱えるのであるならば、この事業の名称に示された施策
の方向を厭うものではありませんが、心の危機の指標の一つとして、例えば自殺に注目を
した場合、周知の通り、自殺者数は、毎年、例外なく男性に多いという事実があります。
例えば、平成23年から25年末までの、「東日本大震災に関連する自殺者数の男女比【下表
T】」、及び、「各年度の全国自殺者数の男女比【下表U】」は、それぞれ、「男性:女性=
2.4:1」、「男性:女性=2.2:1」となっており、自殺者が男性に多いことは、明白な
事実なのです。

 【表T】 東日本大震災に関連する自殺者数(内閣府自殺対策推進室)
            合計   男性   女性
     平成23年    55    42    13
     平成24年    24    18     6    【男女比】
     平成25年    38    23    15   (男性:女性)
      (計)    117    83    34 ・・・・・ 2.4:1

 【表U】 全国自殺者数と男女比(同上)       【男女比】
            合計   男性   女性   (男性:女性)
     平成23年  30,651  20,955  9,696 ・・・・・ 2.16:1
     平成24年  27,858  19,273  8,585 ・・・・・ 2.24:1
     平成25年  27,283  18,787  8,496 ・・・・・ 2.21:1
                       (概数・・・2.2 :1)

 また、東日本大震災に伴う、被災者の精神的状況を示す自殺以外の資料として、男女共
同参画白書(平成24年全体版)に記された下記の3項目【表V】を取り上げれば、恐らく
はストレスの反映としての「飲酒量の増加」が男性に目立ち、「不眠」「こころの状態(精
神的問題)」は、女性ほどではないにしても、男性に、全くないわけではないのです。

 【表V】 男女共同参画白書(平成24年全体版)の、次の図から数値を引用。
    第1−特−27図・・・飲酒量が増加した人の割合
    第1−特−28図・・・睡眠に関する状態・・・「不眠症の疑い」を抜粋
    第1−特−29図・・・こころの状態・・・「精神的な問題の程度」を表す数値が、
                    10点以上の人の割合を合計して抜粋。

         【飲酒量増加】 【不眠症の疑い】 【精神的問題10点以上】
          女性  男性   女性  男性   女性  男性
   陸前高田市 3.2%  6.2%  44.4% 27.7%  15.2%  8.7%
   石巻市   3.5% 11.5%  50.2% 32.4%  20.0% 12.3%

 更に、「暴力相談事業」に関わるDV被害の問題につきましては、横浜市(市民活力推
進局・こども青少年局)による調査、「配偶者からの暴力(DV)に関するアンケ−ト調査及
び被害者実態調査(面接調査):平成21年7月」に掲載された数値【下表W】から、「配偶
者やパ−トナ−からの暴力被害」が男性にも存在することは、明らかな事実であり、男性
に対しても、DV被害の相談窓口を開く必要性が示唆されるのです。

    【表W】 配偶者やパ−トナ−から暴力にあたる行為を受けた経験
                     女性      男性
         A.何度もあった    16.9%    11.0%
         B.1、2度あった     25.7%    30.8%
         (小計:A+B)   (42.6%)  (41.8%)
         C.まったくない    56.6%    57.8%
         D.無回答        0.9%     0.3%

 また、男性のDV被害につきましては、インタ−ネット上に、「 Business Journal >
ジャーナリズム > DV妻に苦しむ男が急増中!? 」として、2012年11月7日に掲載された
記事、「離婚、うつ、死亡事件まで発生・・・DV妻に苦しむ男が急増中!?」に、男性のDV
被害の顕在化しにくい実態が、事例と共に記されておりますので、【別添え資料】として
同封させていただきました。今回の要望に関わる資料としてだけではなく、DV被害全般
の対策を考える場に於いて、男性の被害事例の一資料としていただきたく思います。

 以上、「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」の「男性無視」の不当性について、
いくつかのデ−タを根拠として発言させていただきました。しかし、本来、「悩み」や「暴
力」に関わる相談事業は、デ−タの提示なくしても、男女両方を対象として行われなけれ
ばならないものと考えます。それが、全ての人に対する人権尊重の視点であり、その精神
は、既に、男女共同参画社会基本法第三条に謳われています。内閣府男女共同参画局は、
その名の通りの「男女共同参画」局でなければならないはずです。男女共同参画局は、女
性だけに対する支援センタ−ではないのです。

 私は、昨年から、「男女共同参画」局という美名と乖離した施策について、要望書を含
め、様々の指摘をさせていただいておりますが、乖離した施策があまりにも多すぎて、失
望と疲弊を強く感じています。男性にも人権があります。男性にも、人権を尊重した、平
等な施策を受ける権利があるのです。男性差別はやめてください。

 今回取り上げた事業につきましては、既に昨年の12月に、前任のAさんに、電話で、同
様の思いをお伝えしてあります。Aさんは、私の主張に共感的な立場で電話を受けてくだ
さった印象がありましたが、結局、今年も、事業は同名のまま継続され、男女両方の人権
を尊重する視点は欠落したままとなっています。しかも、今年5月のCさんの確認によれ
ば、私の要望は、推進課内で共有されることなく、また、申し送りもなされていなかった
事実があり、非常に残念に思います。その後、私は、7月上旬に、Aさんから伺った被災
県の相談事業の状況確認のため、岩手・宮城・福島の男女共同参画部局に電話を入れ、そ
れぞれ、Dさん、Eさん、Fさんにお話を伺いました。岩手・福島につきましては、Aさ
んのお話と不整合がありますが、3県とも、県の男女共同参画部局の事業としては、震災
発災直後から、男女両方を対象とした相談事業を行ってきたとのことでした。従って、内
閣府男女共同参画局だけが、男女共同参画社会基本法第三条に抵触する施策を行っている
のです。これもまた、はなはだ遺憾な話で、本来、内閣府男女共同参画局は、全国の男女
共同参画部局の範となる施策を行うべき位置にあるのではないでしょうか。それとも、3
県が男女両方を対象とした相談事業を行っていることを言い訳に、既述のような、自殺者
数に見られる男性の深刻な状況や、横浜のDV調査が示した実態を無視し、女性だけを対
象とした「悩み・暴力相談事業」を正当化するのでしょうか。

 私が求めているものは、今回取り上げた事業につきましては、男女両方を相談の対象と
とすることであって、それ以上ではないのです。しかし、あえて踏み込んで発言をすれば、
男性には、今も日本の社会の中で、陰に陽に求められる「性別観」「性別役割」の呪縛が
あります。「男性は強くなければならない」「男性は一人で苦しみに耐えなければならな
い」「それが目指すべき男らしさである」というような、男性を孤立の道に導く呪縛が、
女性ならば求めやすい「共感的理解」を男性から奪い、孤独のうちに自殺の道をたどって
いった幾多の男性が、恐らくは日本の社会の中にいる。とすれば、それは、精神的支援に
関わる男性差別の存在の証、つまりは男性にとっての不利益の存在の証であって、ならば、
むしろ男性に対して、苦しみから救うための「積極的改善措置」が、取られてよいはずだ
と思うのです。しかし、内閣府男女共同参画局は、その逆を行っているではありませんか。
今回取り上げた事業を、なぜ、今年もまた、「被災地における女性の悩み・暴力相談事業」
としたのですか。なぜ男性を疎外したのですか。震災関連の自殺は明らかに男性に多いと
いうのに。そして、DV被害は、男性にも存在するというのに・・・・・。

 くり返します。私が今回の要望書で求めているものは、男女両方を対象とした相談事業
の開設であって、それ以上ではないのです。相談事業の対象を女性だけに限定するのでは
なく、男性も対象に加えてください。それくらいのことはできるはずでしょう。「被災地に
おける女性の悩み・暴力相談事業」を、早急に、「被災地における、被災者の悩み・暴力相
談事業」に修正してください。

 以上、強く要望します。 

【別添え資料】・・・・・ 記事名とURLを記す。内閣府男女局には全文を送付した。
    記事名 ・・・ 「離婚、うつ、死亡事件まで発生・・・DV妻に苦しむ男が急増中!?」
    URL ・・・ http://biz-journal.jp/2012/11/post_967.html


この記事へのコメント
 大変説得的な要望で、心から敬意を表します。私はファミリーマートの件にしばらくかかりきりになりますが、他の差別にも注意を払い続けたいと思います。
Posted by 後ろに立つ論客 at 2014年08月12日 20:33
よくまとめ上げた素晴らしい要望書ですね。
こんなにも熱心に調査した内容の要望書を送れば、男女共同参画の担当者もきっと応えてくれるでしょう。
自殺と言えば、理研の笹井教授が自殺によって亡くなりましたが、世間はもう忘れかけているのですよね。
そして、以前からも女性である小保方だけは完全サポート体制と言う。。。
とき既に遅しと言えど、完全サポートすべき対象は笹井教授だったのではないのか?と。
東日本大震災にしても、震災から逃れた後に何らかの理由で亡くなった男性の中には、社会の男性へのサポート体制さえ万全ならば、助かった命も多かったであろうと考えられますね。
人命といえば何かと女性が優先されてしまっている現実がありますが、人の命の重さに男女差はないと言う事を、社会はもっと見つめていって欲しいものです。
Posted by やぐるまの鏡 at 2014年08月13日 23:40
やぐるま様

励ましのコメント、ありがとうございます。感謝します。
STAP問題につきましては、おっしゃる通り、
小保方という人に対するサポ−トは、かなり前から報道されていたと記憶しますが、
笹井氏につきましては、全くなかったと思います。
彼を自殺に追い込んだ責任がどこにあるのかについては、
マスコミの報道から考えるしか、私には術がありませんが、
直接的には、サポ−ト体制の脆弱さの証だと思います。
ところで晴子という人は、これからどうするのかな?
Posted by 翠流 at 2014年08月14日 14:09
こんにちは。
こちらのブログは以前から拝見させていただいていますが、とても素晴らしく、感銘を受けています。

自殺もですが、過労死、事故死、殺人事件の被害者も男性が圧倒的に多いですよね。
それでも女性が死んだときほど大げさな報道が行われます。
本当に男性の命を軽んじている国だと思います。

この時期は川や海での水難事故が多いですが、亡くなるのは子供も含めてほとんど男性ですね。
以前は男の子だから川で元気に泳ぐのもいいと思っていましたし、私も子供の頃は川で泳いでいましたが、最近は疑問に思うことがあります。
「男性にとって何か良いことがあるのか」と。
男の子だからとか男性だからとかいうことは大抵がおかしいことだらけです。
大人たちはちゃんと男の子を守らなければなりませんね。
Posted by xavi at 2014年08月18日 21:40
xavi様

励ましのお便り、ありがとうございます。
「ひととき」の安らぎになってしまう現実がありますが、
癒やされて、感謝です。

男性の自殺の問題は、安倍晋三の女性優遇戦略、特に「差別ネットワ−ク」のブログに掲載された、次の二つの記事との関わりで、非常に気になっています、

  @ 「男性差別策」が続々  2014/8/16(土) 午前 0:52
              ・・・・・「女性だけに『学び直し』の機会を設ける」。
  A 安倍政権は「ダメ上司」の典型  2014/8/6(水) 午後 10:10
              ・・・・・「女性限定の創業補助金」を2015年度に創設。

安倍晋三は、男性差別、憲法破壊(14条)の卑劣な男です。
男性のいのち、男性の生活、男性の人権を、明らかに軽視、いや、無視している。

Posted by 翠流 at 2014年08月19日 12:13
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