2014年01月21日

岩手県 男女共同参画課ヘの要望書

前回の記事、「被災地における、女性の悩み・暴力相談事業」のコメント欄に、
被災地に住む「市民権」様から、お便りをいただいた。
岩手県では、今月の、23日・24日・30日に、
「防災・復興について考えよう 〜男女共同参画の視点から〜」と題した、 
「講演とワークショップ」を開催するのだそうだ。
「市民権」様のコメントから、
岩手県の災害対応に、男性軽視、或いは無視の危険性を感じ、
私は、岩手県の男女共同参画局に、以下のような要望書を発送した。
昨年の5月に、内閣府男女共同参画局が発表し、
全国の男女局に送られた「男女共同参画の視点からの防災復興の取組指針」と、
それに付属する「解説・事例集」に関わる要望である。
この要望が、もしも既に、岩手県で実現しているのであれば、
要望書の発送は私の杞憂の産物となり、それはかえって好ましいことではあるが、
このブログに今まで記してきたような現実があるために、
私は、被災地で、男性の人権が軽視、或いは無視される危惧を、
払拭することができない。
私の要望の立脚点は、以前から変わることなく、
性的偏見を排除した、全ての人間に対する人権尊重の視点である。
この視点に立った差別のない配慮を、岩手県男女局に、強く望む。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                               平成26年1月20日
岩手県 環境生活部                               
青少年・男女共同参画課 様
                               ( 翠 流 )
                要 望 書

      本年1月23日(木)・24日(金)・30日(木)開催予定の
   「防災・復興について考えよう〜男女共同参画の視点から〜」について

 小生、○○県在住のため、上記の「講演とワークショップ」には参加できませんが、昨
年3月28日に、東京の内閣府男女共同参画局で行われた、「男女共同参画の視点からの防
災・復興の取組指針(案)」の意見交換会と、その後の意見募集に、一国民として参加さ
せていただいた者として、上記の「講演とワークショップ」に関しまして、下記9点の要
望を送付させていただきます。
 幸いなことに、昨年5月に公開された「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指
針」は、3月発表の「指針(案)」に見られた、男性に対する人権無視・人権軽視が改善
される方向で完成しましたが、私が改めて言うまでもなく、「男女共同参画社会基本法第
三条」に則って考えれば、女性の人権だけではなく、男性の人権にも配慮する視点が、真
の「男女共同参画の視点」であることを鑑み、すべての人の人権を尊重する視点で、上記
の「講演とワークショップ」を運営していただきたく、強くお願い申し上げます。

                   記

【要望1】 内閣府が昨年5月に完成させた、「男女共同参画の視点からの防災・復興の
  取組指針」4ペ−ジの【4 男女の人権を尊重して安全・安心を確保する】に記され
  た、次の考え方を、災害対応の根幹に据え、「指針(案)」に見られたような、男性に
  対する人権軽視・人権無視の施策は、絶対に行わないこと。

   【指針 p.4】・・・ 避難生活において人権を尊重することは、女性にとっ
      ても、男性にとっても必要不可欠であり、どのような状況にあっ
      ても、一人ひとりの人間の尊厳、安全を守ることが重要である。

【要望2】 男性の中にも、プライバシ−に対する配慮を強く求める人たちがいる。プラ
  イバシ−に対する配慮は、人間の尊厳に関わる配慮であり、その主役は、配慮を強く
  求める人たちである。この観点に立って、「指針」4ペ−ジ、及び、12ペ−ジ【3-(1)
  避難所の開設】に記された次の文章のように、避難所等においては、女性用だけでは
  なく、男性に対しても、「更衣室・物干し場・休養スペ−ス」等を用意すること。
   物干し場については、私事ではあるが補足すれば、私は、現在の居住地に住んで21
  年になるが、この間、洗濯物を干す時、スラックスの下に身につけていた1枚の下着
  を、外から見える場所に干したことは唯の一度もない。全て部屋干しである。

   【指針 p.4】・・・・・ プライバシーを確保できる仕切りの工夫、異性の目線
      が気にならない男女別の更衣室や物干し場、入浴設備、安全な男女
      別トイレ、授乳室等の整備、安心して相談や診察等を受けることが
      できるスペースの整備等を行うことが重要である。

   【指針 p.12:3-(1) 避難所の開設】・・・ 避難所の開設当初から、授乳室
      や男女別のトイレ、物干し場、更衣室、休養スペースを設けること。

【要望3】 上記の要望2に関連して発言する。「指針」に付属した「解説・事例集」の、
  p.81、【避難所チェックシ−ト】には、「女性や子育て家庭に配慮した避難所の開設」
  という大項目があり、その中に、「異性の目線が気にならない物干し場、更衣室、休
  養スペ−ス等」というチェック項目があるため、男性に対しては、物干し場、更衣室、
  休養スペ−ス等の設置の配慮がない。この、男性に対する人権無視を解消するために、
  「女性や子育て家庭に配慮した避難所の開設」を、「男女の人権と子育て家庭に配慮
  した避難所の開設」のように、男女両方に配慮する表現に読み替えて運用していただ
  きたい。

【要望4】 仮説トイレの設置について、「指針」12ペ−ジ【3-(1) 避難所の開設】に、
  次のような文章がある。
        「男性に比べて女性の方が混みやすいことから、
        女性用トイレの数を多めにすることが望ましい。」
   この件について、女性の方が時間がかかるのはわかるが、男性のトイレが少なす
  ぎて、男性が、小用を外でしなければならないような状況は、絶対に作らないでいた
  だきたい。同じ男性であっても、羞恥心は人により異なる。羞恥心の強い男性もい
  るのである。排泄に対する配慮は、人間の尊厳に関わる配慮である。羞恥心の強い
  人を主役として行われなければならない。
   男性と女性のトイレの所用時間について、私は「3:5」という比を聞いている。
  「指針」の「解説・事例集」の p.29 には、「国際的な基準では、トイレの個室数の
  比率が男性:女性=1:3となるように計画し、可能であれば、男性用小便器も設
  置することが推奨されています。」という表現があるが、1:3 と言う数値が、個
  室の比であって、男性用小便器を含んでいないことに注意し、避難所には必ず男性
  用小便器もつくってほしい。「男性は小用を外でしろ」と強要するのは、羞恥心の
  強い男性にとっては、人権侵犯、ジェンダ−ハラスメントである。男性の人権を軽
  視・無視しないでいただきたい。

【要望5】 やはり「指針p.12」「解説事例集p.29」にあるように、性的マイノリティ
  −や障害者に配慮し、男女共用のユニバ−サルトイレを設置していただきたい。

【要望6】 「物資の備蓄・調達・輸送等」に関わって、女性に対しては、「指針p.9」
  及び「解説・事例集p.79 備蓄チェックシ−ト」に「下着(いろいろなサイズ)」が
  取り上げられているが、男性に対しては、「下着」の配慮はどこにも書いてない。
  女性には新しい下着が配られるが、男性は汚れた下着で生活しなければならないの
  か。どうしてこのような、男性の人権無視の指針や解説事例集が作られるのか、私
  には全く理解できない。男性に対しても、「下着(いろいろなサイズ)」を、必ず用
  意していただきたい。

【要望7】 私は、「解説・事例集」p.38 の「取組事例13」「女性のニ−ズに寄り添っ
  た物資の支援(宮城県登米市)」を読んで、非常に強いショックを受けた。「宮城登
  米えがおねっと」の取り組みは、男性を完全に疎外しており、男性に対する明白な
  人権無視、差別である。生理用品は別として、下着に気をつかう男性は確実に増えて
  いる。私も非常に気をつかう。男性の下着にも種類があり、好みは人によって違う。
  化粧品に関しても、使用する男性は確実に増えている。私は、ロ−ションとクリ−
  ムとエッセンスを使っているし、特に冬季は手が荒れるだけでなく、指先の皮膚が
  割れて痛いため、ハンドクリ−ムだけでなく、医師から処方された二種類の薬を使
  っている。被災地でガレキの処理等の仕事をしなければならない男性の手の荒れ方
  は、一層ひどいでうあろう。裁縫箱にしても然り、私は独身で、自分のことは全部
  自分で行っている。裁縫箱も欲しい。
   「宮城登米えがおねっと」、そして、その取り組みを「後方支援」した「市」は、
  どうして、男性に対しては、配慮の目を向けなかったのだろう。それで「男女共同
  参画の視点」と言えるのか。男女共同参画社会基本法第三条に則った取り組みをし
  ているといえるのか。全く、男性に対する人権無視がはなはだしすぎる。今後は、
  絶対にこのような、男性の人権を無視した取り組みは行わないでいただきたい。「パ
  ーソナルリクエスト票」を作成するのなら、男性用も必ず作成していただきたい。

【要望8】 被災者の自殺の問題について、「指針」は全く触れていないが、「男女共同
  参画白書平成24年全体版」の「第1−特−31図:東日本大震災に関連する自殺者数
  の男女別割合」には、次の数値が記されている。このような事実のあることを鑑み、
  被災者の心の状態、特に、軽視されがちな男性の心の状態に、十分に目を向けてい
  ただきたい。
                        女性   男性   計
    震災関連自殺者数(H23年6月〜24年2月) 24.6%  75.4%  100%
    全国の自殺者数(平成23年)       31.6%  68.4%  100%

【要望9】 開催予定の「講演とワークショップ」で、もしも、男女共同参画白書(平
  成24年全体版)本編・第1部・特集「男女共同参画の視点からの防災・復興」を使
  用するようであれば、同封いたしました「別添え資料」、つまり、私が、昨年の10
  月に、内閣府男女共同参画局調査課宛に送付いたしました「要望書:男女別統計の
  扱いについて」を、お読みいただきたく思っています。「要望書」に記された内容を
  要約すると、次の三点になります。三点の番号1・2・3は、要望書に記された番
  号に一致します。                             

  1. 白書の、「第1−特−17図 ・・・・・避難所での生活について困っていること」、
    及び、「第1−特−18図・・・・・備蓄や支援物資に対する要望」では、「避難所等
    でのプライバシ−に関わる要望は、男女間に顕著な差はなく、男性の場合もプ
    ライバシ−に配慮を求める気持ちは強い」ことが示唆されているが、この事実
    は、昨年3月に発表された「指針(案)」、つまり「男女共同参画の視点からの
    の防災・復興の取組指針(案)」には生かされず、男性への配慮が欠落した。
    女性だけではなく、男性にも配慮して欲しい。

  2. 白書の、「第1−特−17図 ・・・・・避難所での生活について困っていること」、
    及び、「第1−特−19図 ・・・・・仮設住宅での生活について困っていること」、に
    ついて、白書に記された説明文は、その表現が、女性限定配慮に結びつく危険
    性を孕んでいると感じられる。男性の人権が軽んじられることがないよう、配
    慮してほしい。

  3. 全ての人間は、「等しく尊重されるべき人権」を持っているが、「男女別統計
    の整備」によって、男女の統計的差異ばかりを強調し、施策に性差を導入すると、
    不当な人権軽視、人権無視、つまりは統計的差別が発生する。男女の数値を比
    較して、「男性は女性より数値が小さいから配慮しない」というような統計的
    差別が生じないよう、十分に配慮して欲しい。全ての人間は、「等しく尊重さ
    れるべき人権」を持っているのである。

 以上、9点の要望、よろしくお願い申し上げます。




この記事へのコメント
ちょっと事後報告になるんですが、先日「男女共同参画の視点から岩手の復興と未来を考えるin大船渡」
とかそんな講座が開催されたようです。
今回も男女共同参画センター主催ですが、これは地元紙にも昨日写真つきで掲載されていたんですが、
なんでも「被災時に女性の意思を反映させる」とかそんな記事が掲載されてました。
他にも女性は子育て、介護、同居問題、プライバシー問題があるとかそんなことも書いてありましたね。
しかし介護も子育ても男性だってやるんですよね。同居だってプライバシーだって同じです。

http://www.iwate-np.co.jp/hisaichi/y2014/m02/h1402121.html
地元紙の記事はここにあります。日にちが経つと記事がなくなりますので早めに確認してください。
Posted by 市民権 at 2014年02月13日 12:36
市民権様。
 コメントいただきました件、とりあえず、岩手の男女局には電話を入れ、長時間に渡りましたが、要望を伝えました。内容はお察しいただけるかと思いますが、基本的な視点は「差別のない人権尊重」「平等な人権尊重」です。仙台市のNPO法人イコールネット仙台にも電話をしましたが、不在ですので、まだ話ができておりません。岩手日報についても電話はするつもりです。
 ところで、形はいろいろあるかと思いますが、全国に「男性の人権を守る会」のような団体がつくられる必要性を強く感じています。もしも岩手にもそれがあれば、市民権様も、個人としてだけでなく、団体として要望できますよね。
Posted by 翠流 at 2014年02月14日 11:57
市民権様
 (続きです)大船渡の件、NPO法人イコ−ルネット仙台に電話をして、代表の宗片さんと話をしました。新聞記事の書き方からすれば、集会は女性側に偏り過ぎて、男性無視・軽視の感がありますが、宗片さん個人は、男性の人権にも配慮する視点を持っている人という印象を受けました。質問・要望を率直に伝えれば、成果を期待できる人だと思います。ですから「市民権」さんも、ぜひ電話(022-234-3066)をして、自分の思いを、直接、宗方さんに伝えてほしいと思います。男性の人権を守るために。
 なお、岩手日報の記事にある「女性に配慮した避難所運営マニュアル作り」のような男性無視・軽視の表現は、一種の流行語として日本中に流れていますが、それは、内閣府男女局としては、「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」が(案)の段階であった時期(昨年3月)の考え方で、その後の意見募集の過程を経て、少なくとも「指針」に関しては、男女両方の人権に配慮する視点で修正(5月)されましたので、新聞報道による社会的影響も鑑み、表現に注意してほしいと要望しておきました。できれば、記事そのものを書いた記者と直接話をして、集会の内容と記事の間に整合性があるか否かを確認してから発言したかったのですが、その要望はかないませんでした。とりあえず、報告まで。
Posted by 翠流 at 2014年02月14日 23:49
また事後報告になりますが、陸前高田では「女性が暮らしやすく、活躍できる陸前高田を目指して」とかそういう内容が掲載されてます。これは男女共同参画センター発行の「いわてdeともに通信」に記載されているんですが。
なら「男性にとって住みやすいのか?」と突っ込みたくもなるタイトルですが、まったく持って馬鹿げてます。
「女性にとって住みやすい」とかそういう表現が自己中なんですよね。
これについても担当課へ申出はしましたが、こんなレターは迷惑そのものです。誤解を招く情報発信がますます「誤った男女共同参画情報発信」となるからです。
先日も、県内外の男女共同参画機関に男女共同参画について意見を申しましたが、回答は予想通りでした。
Posted by 市民権 at 2014年02月27日 20:51
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