2013年09月26日

男女別統計の不当な扱い (その3)

          (6) マイノリティ−の人権                   
          (7) ショックだった、被災地での「女性だけへの物資配布」    
          (8) 取り上げられなかった要望 ・・・・・「男女別統計の整備」について 
              

(6) マイノリティ−の人権

 マイノリティ−という言葉には曖昧さがあるが、ここでは、不当な偏見、例えば「男性だから」とか「男のくせに」というような、男性であるが故に与えられる不当な性的偏見等によって、疎外され差別され、強いストレスを感じる人たち、或いは、統計調査によって少数であると把握される人たちのことを、漠然とマイノリィ−と呼ぶ。どの程度を「少数」と見るかは、統計結果を扱う人によって異なるだろう。特に、自己本位の結論を導こうとする人の場合は、「少数」の範囲を、状況に応じて、自分勝手に変えるかもしれない。要するに「はじめに、自己本位の結論ありき」なのである。

 私は、自分がマイノリティ−ではないことを願うが、私には、「もしかすると、私がマイノリティ−であるが故に与えられたのかもしれない」と思われるような被差別体験がいろいろあり、被差別感と疎外感による様々のストレスを抱えながら生活してきたと言ってよい。私が求める配慮、求める世界は、女性であれば無条件に、或いは過剰ともいえる程に与えられるのに、私は男性であるが故に、その配慮から疎外される。私は、そういう被差別者の位置から、「マイノリティ−を差別するな」、「マイノリティ−にも人権はあるのだ」と叫びたい。「男女別統計」については、そこに示された数値を、安易に施策の選択基準にするのではなくて、すべての人に、配慮されるべき人権があるのだという視点を持ち続けるということ、また、「不当な偏見」については、それに気づかぬふりをすることなく、或いはまた、人間の多様性の認識の上に立ち、気づく努力をすることによって、最大多数の人たちが、最大限に、人権尊重の配慮を受けられるような施策がなされること、また、そういう社会が来ることを、私は強く望んでいる。

 内閣府男女共同参画局に、マイノリティーに対する配慮が全くないとは、私は思っていない。例えば、くり返し取り上げてきた「防災・復興の取組指針」の中で、男女局は、性的マイノリティーの立場にも立って、ユニバーサルトイレ設置の必要性を述べている。また、被災地で、一ヶ月もの間入浴ができなかった性的マイノリティーの存在を取り上げて、警鐘の発言もしていたと記憶する。しかし一方では、既にくり返し述べてきたように、男性のプライバシ−に対する配慮、たとえば、更衣室・物干し場等に対する配慮は、「指針(案)」には皆無であったし、トイレに対する配慮も、ひどいものであった。それは、全く、私にしてみれば、生涯言い続けたくなるような驚愕の事実なのである。

 関連して、避難所での「物干し場」の件について、このブログではまだ書いたことのない私の特徴を、一つ付け加えておく。私は独身で、今の居住地に来て約20年になるが、この20年間、私は、洗濯物を干すとき、自分がスラックスの下に身につけている一枚の下着を、人に見える場所に干したことは、ただの一度もない。すべて部屋干しなのである。そういう男性もいるのである。はっきり言うが、女性の中には、道路から見える場所に下着を干す人もいるではないか。しかし、私は干さない。そういう感受性の男性がいることを忘れないでほしい。

(7) ショックだった、被災地での「女性だけへの物資配布」

 「防災・復興の取組指針」の「解説事例集」を読んで、ショックを受けたことはたくさんあるが、その中の一つに、「解説事例集」p.38 の「取組事例13」「女性のニ−ズに寄り添った物資の支援(宮城県登米市)」がある。この記事を読んで、私は非常に強いショックを受けた。私のような男性は、完全に無視され、疎外されているのである。今、この文章を書いていても、強いストレスが湧き上がる。私のニ−ズを微塵も理解しない、完全な男性差別。しかも、内閣府男女局は、その、男性に対する人権軽視・無視について、男性に配慮する文章を添え書きするわけでもなく、この事例を、あたかも被災地での取組の模範であるかの如く、「解説事例集」に載せているのである。無神経な、内閣府男女局による、男性に対する人権軽視、人権無視。

 その「取組事例13」を詳述する前に、私がこのような主張をする理由を伝えるために、私の特徴を一つ書かせていただくことにする。私は男性であるが、ふだん、ある大手エステサロンから購入したエッセンスとロ−ションとクリ−ムを、毎日、顔と首とデコルテに使っている。サロンが、男女の区別なく使っているケア用品である。また、眉を描くために、女性用化粧品売り場でアイブロ−を買い、毎日使っている。ハンドクリ−ムは、皮膚科医院で処方されるものを使うが、寒い時期はそれだけでは対応しきれず、指の先の皮膚が割れて痛むので、別の薬が2種類処方される。だからもしも私が被災して、手につける何もないままに、ガレキの処理や、仮にそれほどではなくても、復興のための作業をすれば、手は荒れ放題で指の亀裂に、私はすさんだ痛みを経験するだろう。ふだんは皮膚に問題のない男性でも、たぶん似たような状況になるだろう。
 また、もう一つ、「取組事例13」に関わる私の特徴を付け加えれば、私は、男性であるが下着に気をつかう。しかしこのような件について、「取組事例13」では、女性に対しては非常に手厚い配慮をしながら、男性に対しては、全く配慮をしていないのである。それが、宮城県登米市の、「男女共同参画」関係者の有志であった。しかも、男性に対する配慮が全くない状態で、市が、この取組を後方支援したのである。

 この件について詳述すれば、登米市では、男女共同参画条例策定委員会有志で結成された「宮城登米えがおねっと」が、避難所で暮らす女性(だけ)に対して、非常に配慮の行き届いた「ニ−ズ調査」を行い、全国から物資を募り、「回答者一人一人のニ−ズに合った、基礎化粧品・メイクアップ用品・サイズに合った下着や生理用品、ハンドクリ−ム、裁縫箱などを、合計2回にわたって配布した」のである。この団体は、もともと、「男女共同参画」関係者でありながら、「女性(だけ)を支援することを目的として」結成されたもので、出発点から、男性など眼中になかったのである。「男女共同参画社会基本法第三条」が、「男女の個人としての尊厳」「男女の人権」の尊重を謳っているというのに。

 もっとも、一方で、「白書24年全体版・本編・コラム6」「企業における支援物資にも工夫」には、男性に対する配慮も含んだ、次のような文章もある。

     「また、化粧品会社の支援により、避難所等で化粧品やクリ−ム等を使用したマッ
    サ−ジも行われた。さらに、化粧石鹸、化粧水、乳液、ハンドクリ−ム等を一つの袋
    に詰めて女性に配ったところ、男性からも要望が寄せられた。こうしたクリ−ム等は
    ぜいたく品ではないかとの思いが男女双方にあったが、実際は性別を問わず好評であ
    り、乾燥対策や被災者の心のケアの手法の一つとしても活用された」

 やや癒やされる文章である。しかし願わくは、はじめから、男性も対象にしてほしかった。ところで、文中に「化粧品やクリ−ム等を使用したマッサ−ジも行われた」とあるので、関連して、もう一つ書いておく。私は、先に書いたエステサロンで、フェイススリムのコ−スに入っているが、顔のマッサ−ジの前に、デコルテのマッサ−ジがある。それは非常に短い時間なのであるが、心あるエステティシャン(女性)の手になれば、本当に、乾いた心の癒やされる、涙のようなひとときなのである。

(8) 取り上げられなかった要望・・・・・「男女別統計の整備」について

 3月28日に公開された「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(案)」の最後にある、「8 男女別統計の整備」の文章と、それに対して、私が、内閣府男女共同参画局に送った意見書を、そのまま、次に引用する。意見書の趣旨は、上記「(6) マイノリティ−の人権」と同じである。しかし、私の要望は取り上げられなかった。「指針(案)」の文章は、私の意見書とは無関係であるが、文中に一カ所出てくる「個人単位など」という語句が削除されて、残りはそのまま、「指針」として、5月30日に公開された。

【引用文 1】・・・・・「防災・復興の取組指針(案)」 p.20〜21 「8 男女別統計の整備」

○ 防災・復興の施策を推進する際に男女共同参画の視点を反映するためには、男女が置かれている状況をデータ等により客観的に把握することが重要であることから、災害発生時は、被災者及び災害対応を行う者に関して、男女別統計の整備に努めること。
○ 被災者等に対して行われる意識調査において、一般に世帯主を対象とした世帯単位のアンケート調査では女性の意見を把握することは難しいことから、個人単位など世帯の構成員ごとの意識をきめ細かく把握できるような調査方法や集計方法を可能な限り工夫すること。
○ 災害が発生してから急に男女別統計を整備しようとしても、地方公共団体の業務負担能力等から実行は困難なことから、平常時より、男女の置かれた状況を客観的に把握できる統計の在り方について検討を行い、男女別データを可能な限り把握できるようにしておくこと。

【引用文 2】・・・・・ 私が、指針(案)の「8 男女別統計の整備」について、内閣府男女共同参画局に送
         った意見。

 男女別の統計をとり、分析をする場合に、男女の違いばかりに注目すると、男女それぞれの平均的な特徴とは異なる人たちに対して、人権の軽視、人権の無視が現れ、それが、継続的な差別として社会の中に定着してしまう。それは、すべての人の人権の尊重、人間としての尊厳を守る配慮からの逸脱である。問題は、人間の社会を男性と女性の二つに分け、その違いばかりを強調する二項対立的な見方が常に抱える、人権上の配慮に関わる欠陥、そこから生まれる人権軽視、人権無視、人権侵犯である。人間の感受性は、「男性」と「女性」というような、単純化されたカテゴライズで説明しきるものではない。感受性は多様性を備え、グラデ−ションのような状態で存在する。たとえば私について書かせていただければ、すでに、各項目で発言させていただいたように、私は、おそらくは、男性の中では、プライバシ−に対する配慮を、強く望むグル−プに属するだろう。そういう男性の割合がどのくらいなのか私にはわからない。しかし、仮に少数であったとしても、プライバシ−に対する配慮は、人間としての尊厳を守るための、非常に重要な事項である。私のような男性の人権を無視しないでほしい。人間としての尊厳を守ってほしい。男性用のトイレも決して不足がないように設置してほしい。備蓄についても、女性用下着を備蓄するなら、男性用下着も備蓄してほしい。私は、汚れた下着で生活するの非常に苦痛なのである。そういう気持ちを受け止めてほしい。以上のような観点から、p.21の文章の最後に、次の例文のような内容の文章をつけ加えていただきたい。

【 例文 】
 ただし、男女別の統計を分析をする場合、男女の違いばかりに注目すると、男女それぞれの平均的な特徴とは異なる人たちに対して、人権の軽視、人権の無視が現れ、それが継続的な差別として社会の中に定着してしまう。そのようなことがないように、すべての人の人権の尊重、人間としての尊厳を守る視点を常に持ち続け、平均的な特徴とは異なる人たちへの配慮の視点を失わないことが重要である。
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