2013年09月15日

男女別統計の不当な扱い (その2)

                 (3) はじめに結論(女性優先)ありき ?
                 (4) 思い出す、気になるニュ−ス
                 (5) 被災者の自殺統計

(3) はじめに結論(女性優先)ありき ?

   ・・・・・ 統計結果の説明文に見られる、男性に対する人権軽視、或いは無視。 
            ・・・・・ 男女共同参画白書(平成24年全体版)・本編・第1部・
                          特集・第2節(被災者の状況)の説明文。 

 改めて書いておくが、私は、私たちの社会に存在する多様な人たちが、差別されることなく、その人権を、最大限に尊重されることを願いながら発言している。私は、男性優遇を求めたことなど、ただの一度もなく、これから先も求めるつもりはない。しかし、もしも、不当な女性優遇があれば、その、男性差別の是正を求めて発言する。
 そして、この視点で内閣府男女共同参画局の施策を見ると、そこには、個々の事例すべてというわけではないが、「男女共同参画」という名称を使いながらも、女性優遇に強く傾斜する傾向、つまりは、男性差別、男性に対する人権軽視、人権無視が存在する。だから私は発言をするのである。

 今回の記事の発端は、既に述べてきた、3月28日公開の、「防災・復興の取組指針(案)」に存在した男性に対する人権無視である。その問題点は、意見募集の過程を経て改善されたが、指針に付属する「解説・事例集」の、例えば「避難所チェックシ−ト」の如きは、男性に対する人権無視が改善されないままに、全国の男女共同参画部局と防災危機管理部局に送付されてしまった。私は、この件について、内閣府男女局に意見書を送ったが、「今後の参考にさせていただきます」という回答をいただいただけで、現在に至っている。

 その後、私は、内閣府ホ−ムペ−ジの「男女共同参画白書」に、類似の問題点を持つ文章のあることに気づくようになった。今回の記事は、その指摘と批判である。これを読んでくださる方の中に、もしも、私の発言を「小さなこと」と考える人がいるとすれば、それは重大な勘違いである。例えば、避難所での、「入浴、シャワ−、プライバシ−、トイレ」等に関わる配慮は、「清潔、心身の健康、羞恥・排泄への配慮」等の、「人間の尊厳」に関わる事項であり、決して配慮から欠落してはならない重要な事項である。

 統計的な数値は、調査対象が、ある程度の数を越えれば、その集団の特徴、傾向を知るための信頼できる情報を与える。しかし、それをどのように捉え、表現し、どのような施策を講じるかは、統計資料を扱う人によって異なってくる。
 この視点で、内閣府男女共同参画白書(平成24年全体版)を見ると、本編・第1部・特集・第2節(被災者の状況)の、統計結果の説明文には、「はじめに結論(女性優先)ありき」の如く、配慮が女性側に偏る傾向の強い部分があり、災害対応に際して、男性が、配慮から不当に疎外される危険性を感じる。

 統計結果の説明文が、統計資料から離れて一人歩きする可能性は充分ある。その結果として、男性に対する人権無視、人権軽視の起こることを、私は強く危惧している。

 「男女共同参画局」は、「男女の個人としての尊厳」「男女の人権」を尊重すべき位置(男女共同参画社会基本法第三条)にある。「男女共同参画局」は「女性優遇センタ−」ではない。統計結果を文章で表現する場合も、その位置を踏まえる責任があるはずである。ましてや、「内閣府」の男女共同参画局は、全国の男女共同参画部局の頂点に位置しているのである。全国への波及効果の重大性を認識してもらいたい。

 問題があると思われる説明文を、2つ取り上げ、白書中の統計資料からの引用数値と共に、次に記す。

【引用文 (1)】・・・・・・・ 平成24年白書全体版、本編・第1部・特集・
              第2節(被災者の状況)・1(避難所の状況)の中から引用。

    ・・・・・ 前出の内閣府・消防庁・気象庁「津波避難等に関する調査」(平成23年)に
      よると、災害直後からの避難所での生活について困っていることとしては、女
      性は、「シャワ−や入浴があまり出来ない」(49.5%)、「プライバシ−が確
      保されていない」(39.0%)、「トイレの数が少ない」(27.8%)の割合が、
      男性に比べて高くなっており、女性の方が避難所での生活について不便と感じ
      ている人が多くなっている。

   引用文 (1) の特徴と、災害対応として危惧される問題点。

    ・・・・・ 白書に記された統計結果を下に示すが、その数値からわかるように、男性で
      も「不便を感じている」人は、決して少なくはない。しかし、その実態が文章
      で表現されておらず、女性にとっての不便さばかりが強調されている。従って、
      この文章が、統計数値から離れて一人歩きすれば、災害対応時に、シャワ−・
      プライバシ−・トイレ等に関わる配慮は、すべて女性を優先して行われ、男性
      は、不当な我慢のもとに、強いストレスを強いられる可能性がある。    

   統計資料:「第1−特−17図」からの引用数値
            ・・・・ 避難所で困っている人の割合(男女別・複数回答)(%)
                         (男性)(女性)
      「シャワ−や入浴があまり出来ない」・・・・・ 42.6  49.5
      「プライバシ−が確保されていない」・・・・・ 30.7  39.0
      「トイレの数が少ない」・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20.3  27.8

【引用文 (2)】・・・・・平成24年白書全体版、本編・第1部・特集・
           第2節(被災者の状況)・2(応急仮設住宅の状況)の中から引用。

    ・・・・・ 前出の内閣府・消防庁・気象庁「津波避難等に関する調査」(平成23年)に
      よると、仮設住宅での生活について困っていることとしては、「空調設備が整っ
      てなく、部屋の中が暑い」は、女性47.9%、男性40.0%と女性の割合が高くな
      っている。一方、「特にない」は、女性8.2%、男性13.9%と、男性の割合が高
      くなっている。

   引用文 (2) の特徴と、災害対応として危惧される問題点。

    ・・・・・ 下記の統計結果からわかるように、全体の傾向としては、男女共、9割前後
      の人が、仮設住宅で、何らかの「困っていること」を抱えている。女性だけで
      はなく、男性も、大部分の人が「困っている」のである。従って、本来ならば、
      その実態を、まず文章でおさえ、続いて、「困っている人の多い項目」を具体的
      に表現するのが、説明文としては妥当なのではないかと思う。しかし、作成者
      の説明文は、その視点が弱く、文章から与えられるのは、「困っているのは女性
      であり、男性はあまり困っていない」という印象である。それが統計数値から
      離れて一人歩きすれば、災害対応として、男性に対する不当な人権軽視、人権
      無視の現れることが、十分に危惧される。私の印象から言えば、そうでなくて
      も、災害対応や災害報道は、女性に対する配慮に傾く傾向があり、男性は不当
      なストレスを強いられることが多いのである。

       また、作成者は、文章の最後で、『一方、「特にない」は、女性8.2%、男性
      13.9%と、男性の割合が高くなっている。』と書いているが、このような小さ
      い数値を取り上げて、あえて『男性の割合が高くなっている』と表現するのは、
      作成者に、「はじめに結論(女性優先)ありき」の体質があるからではないか。
      それともこれは、作成者の単なる軽率さか?
       もしもこの部分を文章化するのならば、『一方、「特にない」は、男女とも
      1割前後であり、大部分の人が、仮設住宅での生活に、何らかの不満を抱えて
      いる』のように表現するのが、妥当なのではないか。

   統計資料:「第1−特−19図」からの引用数値)
        ・・・・ 仮設住宅での生活について困っていること(男女別・複数回答)(%)
                                 (男性)(女性)
      @ 「部屋が狭い」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50.3  55.3
      A 「空調設備が整ってなく、部屋の中が暑い」・・・・・・・・・・・ 40.0  47.9
      B 「部屋の中に虫が出る」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36.1  40.9
      C 「隣の部屋の物音が響く」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33.3  34.7
      D 「避難所生活に比べて、生活費がかかる」・・・・・・・・・・・・・ 20.9  25.7
      E 「病院など生活に欠かせない施設までの距離が遠い」・・・ 18.8  20.9
      F〜J・・・・・男女共、それぞれ11%未満・・・・・略
      K 「その他」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17.6  22.6
      L 特にない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8.2  13.9

(4) 思い出す、気になるニュ−ス

 ところで、一年ほど前であったか、私は、新聞で、ある女性ボランティア団体の、被災地での活動を知った。彼女たちは、被災地で暮らす女性のガン患者、ガンの治療で脱毛に苦しむ女性に、ウィッグ(かつら)を贈る活動をしていた。その、愛のボランティア活動を前にして、私がこのような発言をすると、私は、私が男性であるが故に、「男のくせに・・・・・」などと嘲笑されるのかもしれない。しかし、嘲笑されても書かなければと思う私がいる。私は、彼女たちが、女性のガン患者だけを対象にして、男性のガン患者をはずしていることが、どうしても気になったし、理解できなかった。被災という、心身共に疲弊する極限状況の中で、しかも、ガンという、それだけでも極限状況である病を抱えて苦しむ人たちの、「男性」に対しては、なぜウィッグを贈らないのだろう・・・・・? 

 もう一つ、ラジオ番組であったが、別の女性ボランティア団体の、被災地での活動が紹介されたことがあった。この話の方が、たぶん私は、よけいに嘲笑されるだろう。「まったく、男のくせに ・・・」というように。しかしやはり、書こうとする私がいる。彼女たちは、造花の髪飾り、「花の髪飾り」を作って、被災地の女性に配っていたのだった。実は私は、男性ではあるが「きれい」が好きなので、そういう話を聞くと、よけいに感動してしまう。しかし彼女たちは、「男性の胸にも一本の花を」などとは、全く考えていなかった。それは、なぜなのだろう・・・? 男性はそんなことを求めてはいないと思っている・・・?  それとも、求めてはいけないと思っている・・・?
 しかし、困難な状況の中で、心身共に疲弊する被災地での話だ。男性だって、胸に一本の花を贈られれば、心打たれ、癒やされる人はたくさんいるだろう。人前では照れ笑いをするだけであっても、例えば一人で仮設住宅に帰り、一人の部屋で涙する、というように・・・・・・。

 もう一つ、思い出すことがある。それは、被災者の自殺統計のこと。

(5) 被災者の自殺統計

 「男性の自殺」の記事でも、取り上げたいと思っているが、内閣府ホ−ムペ−ジの「自殺の統計」には、東日本大震災関連の自殺者数として、次のようなデ−タが掲載されている。(平成25年8月21日 内閣府自殺対策推進室)
                 計       男       女
   平成23年        55(人)   42(人)   13(人)
   平成24年        24      18       6
   平成25年(1〜7月)  22      15       7
    (計)        101      75      26

 男女共同参画白書(平成24年全体版)、本編・第1部・特集・第2節(被災者の状況)・5(心の健康状況)・第1−特−31図 によれば、被災者の自殺者数に占める男性の割合は、全国での割合より高い。しかし、なぜかその記事は、白書の概要版では削除されている。概要版であるとはいえ、「自殺」という、その、事実の重さを考えると、私は、削除されたことに違和感を覚える。なぜ削除されたのだろう・・・・・?
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