2013年07月31日

男性更衣室(3)・・・ やり場のない思い

  「男性更衣室(1)退会」に書いたように、Kスポ−ツクラブの男性更衣室に女性清掃員が入る問題について、地方法務局は、当初の判断を翻し、「人権侵犯事実不明確」という結論を下した。それは、私にとっては、了解できるはずのない結論であったが、その処理結果が「行政処分ではない」という理由によって、私は、「不服申し立て」をすることができなかった。その、やり場のない思いを、私は、機会あるごとに、関係書類の中に記すようになる。例えば、恐らくは個人情報保護法との関係であろうが、私の開示請求(審査請求)に応じてくれない情報公開・個人情報審査会に対する意見書の中に、私は次のような文章を書いている。

                                     平成○○年○月○日
情報公開・個人情報保護審査会 様
                     意 見 書
1.意見書提出者  (翠流)
2.諮問事件 
    諮問番号:平成○○年(行個)諮問第○○号。
    事件名:本人が申告した人権侵犯事件記録の一部開示決定に関する件。
3.開示請求をした保有個人情報の名称
    開示請求者が、平成○○年○月○○日に○○地方法務局に申告した人権侵犯事件(スポ−ツ施設
   における性的偏見に基づく男性利用者の不当な扱い)の記録一式。
4.意見
 私は、この意見書で、私が行った審査請求と、諮問庁から審査会に提出された理由説明書に関わる意見を述べる場を与えられていると考えるが、審査請求の背景には、上記3に記した人権侵犯事件被害申告「スポ−ツ施設における性的偏見に基づく男性利用者の不当な扱い」の処理結果(通知)に対する強い不服があり、それをここに記すことなくして、開示方法について意見を述べる気にはならない。この私の気持を、情報公開・個人情報保護審査会には受け入れてほしいと強く思う。「今回の処理結果は行政処分ではない。」という、人権擁護課の課長から示された理由によって、私は、処理結果について、不服申し立てをすることができなかった。
 着替えであるとか、入浴であるとか、あるいは排泄であるとか、それらの場はすべて、精神的な動揺の生じない状態で用を足せるよう、環境が整えられるべき重要な生活の場であって、それは、すべての国民に保障されなければならない重要な人権の一つであると考える。この件について、現在の社会状況の中では、女性に対しては、充分な、時には男性に比すれば、あまりにも過剰とも言える配慮、優遇措置がとられるようになっているにも関わらず、男性に対しては、その人権や、羞恥に関わる感受性の多様さに配慮することなく、「男だから」「男のくせに」というような差別的価値基準を持って、つまりは、日本国憲法第13条と第14条に抵触すると考えられる価値基準を持って、性的偏見に基づく不当な扱いがなされる場合が数多くある。そして、Kスポ−ツクラブの男性更衣室に女性清掃員が入る事実は、私にとっては、まさにその、「性的偏見に基づく不当な扱い」「ジェンダ−ハラスメント」であった。
 地方法務局人権擁護課は、当初、私の申し立てに対して、それを「ジェンダ−ハラスメントとして扱う」という方向性を提示してくださった。それは、私にとっては、私に対する理解の証であって、私は、法務局の人権啓発的発言に期待したのであった。ところが、法務局は、やがてこの認識を捨て、「人権侵犯事実不明確」の結論を出すのである。なぜ、そのような不当な結論を出したのか。私が着替えをする場所、上半身だけでも嫌なのに、スラックスを脱ぎ、下着を見られ、その下着までも脱がなければならない場所に、同性でも嫌なのに、なぜ女性が入ってくるのか。その重大な人権侵犯。それが確かにあったのに、「人権侵犯事実不明確」という結論を出した地方法務局。私は、その不当な結論の根拠、そして、調査・検討・審議の過程を、すべて知りたいと思うし、法務局には、その説明責任があるはずだと思う。諮問庁から審査会に送られた「理由説明書」の4-(1)には、「自主的な紛争の解決を図るためには、人権擁護機関の判断を説得的に説明し、当事者の理解を得る必要がある」と記されている。しかし、私に開示された「人権侵犯事件記録一式」の開示部分は、私の発言に限定されていると言ってもよく、私にできたのは、その正誤を点検し、「保有個人情報 訂正請求書」を作ることでしかなかった。これでは、「人権擁護機関の判断」に「説得力」など全くなく、私の「理解」など得られるはずはない。法務局は、その説明責任を全く果たしていない。また「理由説明書」の4-(2)には、「関係者が事件の調査に協力した事実やその内容等がその他の当該事件の関係者に開示されると、紛争が一層複雑化し、」とあるが、「人権擁護機関の判断を説得的に説明し、当事者の理解を得る」ためには、一つしかないはずの事実を明確にし、透明性の確保を前提として、「事件の調査に協力した事実やその内容等」を「当該事件の関係者に」すべて開示して、結論の妥当性を問うべきであると考える。以上のような観点に立って、私は、提出した「審査請求書」の「4.審査請求の趣旨及び理由」に沿った開示方法の修正、願わくは全部開示を、改めて、強く望む。
 ところで、改めて今回の事件を振り返れば、Kスポ−ツクラブが私に謝罪し、女性清掃員を男性に変える確かな見通しを提示していれば、それで事件は終わっていたのである。にもかかわらず、事態がこのように無駄に複雑化したことに、私は、何とも言えないやりきれなさを感じる。そこまで「男性」に属する私の人権は軽視されているのかと、耐え難い思いになる。セクシュアルハラスメント、ジェンダ−ハラスメント、パワ−ハラスメント、ドクタ−ハラスメント、人権に関わる様々な言葉が社会に浸透し、LGBTのような性的マイノリティ−の人たちについても、その人権擁護の視点が高まっている日本の社会の中にあって、「男性が着替えをする場所に女性清掃員を入れないでほしい。」という要望が、なぜかなえられないのか、私には理解できない。ところで、「人権侵犯事実不明確」という不当な結論を出した理由について、地方法務局人権擁護課の課長に質問をしていたとき、課長がつぶやくように言った。「先例になる・・・・・」と。それは一体どういうことなのか。被害者の私の立場からすれば、「今回の事件は明白な人権侵犯である。」という結論を出し、先例を作ることこそが、「不当な性的偏見に基づく、男性に対する人権侵犯」をなくすために必要な対応であって、それこそがまさに、法務局の仕事、責務だったのではないか。率直に言えば、私は自分が男性であるがゆえに、いろいろな嫌な思いを経験してきた。その一つが羞恥に関わることであって、その感受性を人権擁護課に理解してもらうために、私は、「人権侵犯事件記録一式」に記されなかったことも含めて、私の特徴について説明をさせていただいた。当初、それが理解されたからこそ、「ジェンダ−ハラスメントとして扱う」という方向性が提示されたのだと思う。しかし、法務局はやがてその認識を捨てる。法務局は、私の人権を擁護しなかったのである。私は、この不当な結論を承服しない。そして、この結論に至る過程のすべてを知り、今後、私がどのようにたたかうことができるのか、或いはたたかうべきなのかを考えたいと思っている。この私の思いを、情報公開・個人情報保護審査会には、理解してほしいと強く思う。
posted by 翠流 at 01:59| Comment(0) | 男性更衣室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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