2020年07月30日

男性の自殺(10): 過去42年間の推移、及び 2019年の状況

◆ 過去42年間の推移 ◆ ・・・・・ 年間自殺者数、自殺死亡率(自殺率)と男女比

    ・1978〜2011年のデータは、記事「男性の自殺(2)」に記されている。・・・・・【A】
    ・2012〜2019年のデータは、以下の通りである。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・【B】

      年次別     総 数    男    女    男女比【男/女】
                               自殺者数 (自殺率)
     2012(H 24)  27,858  19,273  8,585   2.24  (2.37)
     2013(H 25)  27,283  18,787  8,496   2.21  (2.33)
     2014(H 26)  25,427  17,386  8,041   2.16  (2.28)
     2015(H 27)  24,025  16,681  7,344   2.27  (2.38)
     2016(H 28)  21,897  15,121  6,776   2.23  (2.35)
     2017(H 29)  21,321  14,826  6,495   2.28  (2.40)
     2018(H 30)  20,840  14,290  6,550   2.18  (2.29)
     2019(H31.R1) 20,169  14,078  6,091   2.31  (2.43)

    資料【A】【B】から、過去42年間、自殺は、毎年変わることなく明らかに男性に多い。
    この42年間を、時系列に沿って、自殺率・自殺者数の特徴から6群に分け、
    それぞれの自殺率の、男女比の幅を記すと、次のようになる。

          年 次        自殺率の男女比【男/女】
     1978(S 53)〜1982(S 57)    1.66 〜 1.85
     1983(S 58)〜1985(S 60)    2.02 〜 2.18
     1986(S 61)〜1992(H 04)    1.64 〜 1.89
     1993(H 05)〜1997(H 09)    2.03 〜 2.14
     1998(H 10)〜2011(H 23)    2.27 〜 2.76 (年間自殺者3万人以上)
     2012(H 24)〜2019(H31・R1)   2.28 〜 2.43

    ・このような事実は、国および全国各自治体の自殺対策部局が、「自殺が男性に多い」
    という問題に対して、有効な施策を講じることができていないことを示している。
    ・内閣府男女共同参画局(以下、男女局)は、厚労省母子保健課が平成8年から行って
    きた「生涯を通じた女性の健康支援」と同名の施策を、厚労省に上乗せする形で男女共
    同参画基本計画の中に掲げ、女性に対する手厚い配慮を展開しているが、男性の自殺に
    ついては、剽窃的、形式的、表面的な文章や、男女同率の改善%を提示する程度で、女
    性に対するような手厚い配慮は存在しない。男女局は、男性が直面する危機には真摯に
    対峙しない。男女局は、女性への施策に比して、男性の命を軽んじている。

◆ 2019年の状況 ◆ ・・・・・ 今年3月に公表された自殺データ(2019年の状況)をもとに、
            昨年と同様に整理した結果を掲載する。

【 2019年 自殺データ 】 ・・・ 項目は次の通り。
      T.自殺者数と男女比
      U.自殺の「原因・動機特定者数」と「原因・動機不特定者数」
      V.原因・動機特定者の「原因・動機別自殺者数(大分類:7項目)」と男女比
      W.原因・動機特定者の、「原因・動機別の自殺者数(52項目)」と男女比
      X.就職失敗による若者(20代)の自殺者数と男性の割合

T.自殺者数と男女比 ・・・・・(  )内は自殺死亡率(自殺率)を示す。
              自殺率は人口10万人あたりの自殺死亡者数を意味する・

      総 数         男        女       男女比【男/女】
     20,169(16.0)   14,078(22.9)  6,091( 9.4)   2.31(2.43)

U.自殺の「原因・動機特定者」と「原因・動機不特定者」 

      総 数      原因・動機特定者      原因・動機不特定者
      20,169      14,922(73.9%)      5,247(26.0%)

V.原因・動機特定者の「原因・動機別自殺者数(大分類:7項目)」と男女比。
  ・・・ 遺書等の自殺を裏付ける資料により、明らかに推定できる原因・動機を、自殺者
   一人につき3つまで計上可能としているため、原因・動機特定者の原因・動機別自
   殺者数(下表)の和と、原因・動機特定者数(14,922)とは一致しない。

    (原因・動機)   (計)   (男性)  (女性)  【男性 : 女性】
     家庭問題     3,039   1,870   1,169   【1.59 :1】
     健康問題     9,861   5,853   4,008   【1.46 :1】
     経済生活問題   3,395   2,980    415   【7.18 :1】
     勤務問題     1,949   1,711    238   【7.18 :1】
     男女問題      726    454    272   【1.66 :1】
     学校問題      355    269     86   【3.12 :1】
     その他      1,056     763    293   【2.60 :1】

W.原因・動機特定者の、「原因・動機別の自殺者数(52小項目)」と男女比。

   ・下記【表A】の男女比は、少ない方を1として示してある。
   ・各項目が属する大項目は、表中の語尾に次の略記号で示した。
       健康問題:A  経済生活問題:B  家庭問題:C  勤務問題:D
       男女問題:E  学校問題:F    その他:G
   ・下記【表@】は、平成25年以降5年間の性差を、項目数の差として示した。

  【表@】              H25  H26  H27  H28  H29  H30 H31・R1
    男性の自殺が女性より多い項目  49  51  49  49  49  47  45
    女性の自殺が男性より多い項目   2   1   3   2   2   4   4
    男女同数の項目          1   0   0   1   1   1   3
       計            52  52  52  52  52  52  52

  【表A】
   (順位)(原因・動機)        (男 女 比)     (人 数)
                     【男性:女性】  男性  女性   計
    1 事業不振:B           【14.8:1】   341   23   364
    2 負債(多重債務):B        【12.8:1】   630   49   679
    3 犯罪発覚等:G          【12.0:1】   169   14   183
    4 仕事の失敗:D          【11.9:1】   286   24   310
    5 職場環境の変化:D        【10.4:1】   240   23   263
    6 倒産:B             【10.3:1】    31   3   34
    7 負債(その他):B         【 9.3:1】   551   59   610
    8 借金の取り立て苦:B       【 8.0:1】    48   6   54
    9 失業:B             【 7.7:1】   193   25   218
   10 仕事疲れ:D           【 7.6:1】   503   66   569
   11 その他:D            【 6.5:1】   275   42   317
   12 就職失敗:B           【 6.5:1】   156   24   180
   13 自殺による保険金支給:B     【 5.8:1】    29   5   34
   14 生活苦:B            【 5.1:1】   798  156   954
   15 入試に関する悩み:F       【 5.0:1】    30   6   36
   16 職場の人間関係:D        【 4.9:1】   407   83   490
   17 負債(連帯保証債務):B      【 4.7:1】    19   4   23
   18 その他進路に関する悩み:F    【 4.6:1】    88   19   107
   19 学業不振:F           【 4.2:1】    93   22   115
   20 子育ての悩み:C         【1:3.3 】    28   95   123
   21 その他:B            【 3.0:1】   184   61   245
   22 夫婦関係の不和:C        【 3.0:1】   567  188   755
   23 病気の悩み・影響(アルコ-ル依存症):A 【 2.7:1】   119   43   162
   24 その他:G            【 2.7:1】   309  113   422
   25 その他:F            【 2.5:1】    36   14   50
   26 家族からのしつけ・叱責:C    【 2.5:1】    90   36   126
   27 病気の悩み(身体の病気):A    【 2.2:1】  2,145  974  3,119
   28 後追い:G            【 2.0:1】    48   24   72
   28 その他:E            【 2.0:1】    40   20   60
   30 不倫の悩み:E          【 1.8:1】    93   49   142
   31 身体障害の悩み:A        【 1.8:1】   158   87   245
   32 孤独感:G            【 1.7:1】   209  121   330
   33 失恋:E             【 1.7:1】   151   88   239
   34 その他:C            【 1.6:1】   157   93   250
   35 その他家族関係の不和:C     【 1.6:1】   183  109   292
   36 結婚をめぐる悩み:E       【 1.6:1】    36   22   48
   37 介護・看病疲れ:C        【 1.5:1】   147   96   243
   38 その他:A            【 1.5:1】   164   95   259
   39 その他交際をめぐる悩み:E    【 1.4:1】   134   93   227
   40 家族の将来悲観:C        【 1.4:1】   246  172   418
   41 近隣関係:G           【 1.3:1】    25   18   43
   42 家族の死亡:C          【 1.3:1】   255  184   439
   43 教師との人間関係:F       【1:1.3 】    3   4    7
   44 病気の悩み・影響(薬物乱用):A  【1:1.2 】    15   19   34
   45 病気の悩み・影響(他の精神疾患):A【 1.2:1】   725  603  1,328
   46 病気の悩み・影響(うつ病):A   【 1.1:1】  2,085 1,773  3,858
   47 その他学友との不和:F      【1:1.1 】    16   18   34
   48 病気の悩み・影響(統合失調症):A 【 1.0:1】   442  414   856
   49 親子関係の不和:C        【 1.0:1】   195  194   389
   50 いじめ:F            【 1:1 】    3   3    6
   50 犯罪被害:G           【 1:1 】    3   3    6
   50 被虐待:C            【 1:1 】    2   2    4

X.就職失敗による若者(20代)の自殺者数と男性の割合

             年次別総数 男性  女性  男性の割合
      2008(H 20)   86   69   17   80.2 %
      2009(H 21)  122   98   24   80.3 %
      2010(H 22)  153   138   15   90.1 %
      2011(H 23)  141   119   22   84.3 %
      2012(H 24)  149   130   19   87.2 %
      2013(H 25)  104   95    9   91.3 %
      2014(H 26)  110   95   15   86.3 %
      2015(H 27)   88   81    7   92.0 %
      2016(H 28)   80   64   16   80.0 %
      2017(H 29)   69   56   13   81.1 %
      2018(H 30)   51   38   13   74.5 %
      2019(H31・R1)  67   55   12   82.0 %


posted by 翠流 at 13:40| Comment(0) | 自殺関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月03日

壊れていく男たち (2)・・・ ある知人への手紙

3週間遅れで、たまたま、次の記事を読みましたが、
とうとうここまできてしまったか、という感じですね。

  ◆ 政府が方針を決定 性犯罪者に「GPS」義務化を検討 ◆
                  2020/06/12 06:21 ・・・・・ テレ朝 news
    https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000186036.html
         記事全文は、末尾に記す。

以前、一度書いた記憶がありますが、
もうずいぶん前に、米国で、
ミーガン法の適用によって過去の性犯罪を公開された転入男性が、
自殺をしました。
彼は、本気で、立ち直りたいと思っていたのではないか?
と思ったりして、
ミーガン法の理不尽を、強く感じましたね。
しかし、性犯罪に再犯が多いのは事実のようで、
抑止のための、説得力ある対案を提示できなければ、
GPS装着を、
容認せざるを得ないような気もしますね。

ところで、
男性の性犯罪増加の、要因分析が、
ネットニュースに乗らないので、
私は、違和感を感じ続けていますが、
もしかすると、要因分析の中に、
体制批判や女性批判が登場するので、
出せないのかもしれない、
などと、思ったりもするのですよ。

戦後の、日本人の集団を考えると、
移出や移入はあるにしても、
総人口に対しては、近似的に無視できるでしょうから、
日本人の遺伝子構成は、
近似的には変化していないと、
考えて良いと思うのです。
とすれば、日本人男性の性犯罪増加の原因は、
外部環境の変化にあるわけで、
そういう視点を含め、
複数の、性犯罪心理学の専門家と、
腰を据えて、
話しをしてみたいと、
思うことがあるのですよ。
もしかするとそこには、
男性の「弱者性」が、
潜んでいるような気がするのです。

ところで、Aさんの発言の、
他の高再犯率犯罪との、量刑の平等性の問題は、
説得力があると思いますが、
平凡な市民は、そういうことは、
殆んど意識していないでしょうね。
Aさんが、ネットか何かで、
拡散させれば、別なのでしょうが ・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【記事全文】 政府が方針を決定 性犯罪者に「GPS」義務化を検討

政府は性犯罪や性暴力の対策を強化するため、初めての方針を決定しました。性犯罪者にGPS(全地球測位システム)機器の装着の義務付けを検討することなどが柱です。

橋本男女共同参画担当大臣:「性暴力被害者や関係者の思いと声を正面から受け止めて性暴力をなくしていくという政府の決意と具体的な取り組みの方針を示すものであります」
 方針には仮釈放中の性犯罪者らにGPS機器装着の義務付けを検討することが明記されたほか、児童らにわいせつ行為をした教員は原則、懲戒免職とすることなどが盛り込まれました。「#MeToo」運動や「フラワーデモ」など性被害の根絶を求める声が高まっていることを背景に策定されました。

posted by 翠流 at 01:35| Comment(9) | 人権擁護への思い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする