2019年10月31日

神戸市立東須磨小学校事件 : 胸を打つ 被害男性教諭の言葉

このブログの差別問題と直接の関係はないが、
神戸市立東須磨小学校事件の、
被害男性教諭(25歳)のメッセージを掲載する。
既に読まれた方が多いのだろうが、
胸を打つ文章なのである。

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【記事名】 「職員室が怖かった分、子供といる時間幸せで…」
            いじめ被害教諭メッセージ全文
                  毎日新聞2019年10月10日 20時57分
                        (最終更新 10月11日 09時59分)
      https://mainichi.jp/articles/20191010/k00/00m/040/370000c


 神戸市立小でいじめ被害に遭った男性教諭が代理人弁護士を通じて公表したメッセージは以下の通り。(原文のまま掲載)

【メッセージ全文】

子供達へ

急に先生が変わってびっくりしたね。ごめんね。

私は3年連続して同じ子供達を担任してきた。初めは2年生から上がってきた小さい小さい子供達。それが最後は6年生に向かう大きくなった子供達。とても素直な児童で、行事にはまっすぐ一生懸命、学年の仲が良くみんな前向きな児童であった。「そんな子達が大好きですよ」学級通信を通じて子供のいいところを発信していたが、ほんとに毎日が成長であった。初めは小さな事で喧嘩もありながら、ちゃんと自分で反省し、仲間に優しくできる子達である。職員室が怖かった分、毎日子供といる時間が幸せでたまらなかった。「ずっとこの子達と一緒にいたい」そう思える子達だった。クラス全員で誕生日に手紙を本にしたプレゼントを用意してくれる温かい心も持っている。失敗しても「ドンマイ」と声をかけられる思いやりもある。どんな先生やお友達でも同じ目で、平等な目で見られる正義感のある子達である。運動場で「めんどくさい」とも言わず、クラス全員で遊ぶ無邪気な一面もある。これからもずっとずっと君たちの笑顔は先生の宝物であり、生きがいです。ありがとう。

そして、一つ、、、

先生はよく「いじめられたら誰かに相談しなさい」と言っていましたね。しかし、その先生が助けを求められずに、最後は体調まで崩してしまいました。「ごめんなさい」今の先生だからこそ、お願いです。辛い時、悲しい時自分一人で抱え込まずに、誰かに相談してください。必ず、誰かが手を差し伸べてくれます、助けてくれます。いつか、みんなの前でまた元気になった姿を必ず見せに行きます。その日を夢見て先生も頑張ります。

保護者様へ

いつも温かく迎えてくださって感謝でいっぱいです。「3年目も先生で嬉しいよ」こんな声をかけてくださった方もいて僕の支えとなる言葉です。「先生痩せられたんじゃないですか?」と気にかけてくださる優しい保護者の方達に僕もたくさん支えてもらいました。僕が作った学級通信や子供への手紙を宝物だと言ってくださった経験が今の僕の宝物です。最後に、たくさんご心配やご迷惑をお掛けしてすみません。


2019年10月28日

引きこもり問題

引きこもり問題について、YAHOO! ニュース に掲載された記事(下記)に、
ある人が、以下のようなコメントを投稿している。
日本の社会の中で、男性が置かれている状況を、非常に良く表現していると思うので、
ここに紹介する。
危機への配慮、報道に関わって、男性は、差別された存在なのである。

(追記) なお、この記事をアップした翌日、shi*****さんという人が、「ある人」への返信コメントを投稿していた。shi*****さんは、サービス残業の理不尽を含めて、男性が置かれている理不尽な状況について、具体的に指摘してくださっている。そのコメントに心動かされ、併せてここに、掲載させていただくことにした。

【記事名】 ひきこもり、40代が最多 支援先は若年層が中心
                   朝日新聞 DIGITAL  10/27(日) 19:53配信
   https://headlines.yahoo.co.jp/cm/main?d=20191027-00000026-asahi-soci
                            (記事全文掲載は、略す)

【ある人のコメント】

引きこもりは、圧倒的に男性の方が多いでしょう。ところが、今回の記事を見ると、本文にも、グラフにも、性差のことが書いてない。このような傾向は、自殺問題も、癌死の問題も、孤独死の問題も同じです。要するに、社会には、男性の危機を抑制的に表現する傾向があるのです。もしもこれが女性に多ければ、「女性に多いから女性を救え」という表現が、日本中に拡散するでしょう。しかし、男性に多い危機の場合は、「男性を救え」とはならないのです。そこには、危機に耐えるべき存在としての男性の性別役割が、社会の中の同調圧力として存在します。それが、この種の危機を改善するための、大きな障壁の一つに、なっているのではないでしょうか。

【「ある人」への 返信コメント:shi*****さん 】

ごもっともです。ブラック企業で、深夜までサービス残業させられさせられたり、パワハラを受けるのも男性。でも、そこには触れないで、一概に問題とされている現状が有る。例えば、勤務時間8:30〜17:30とされていても、女性は、18:00頃には退勤できるのに、男性は、深夜までサービス残業だから、時給に換算すると、高卒女性の方が大卒男性よりずっと上、という会社も多いが、「女性の管理職の割合が低い」「女性は男性より低賃金」といった現象ばかりが取りざたされる。性被害についても同じ。被害を訴える女性側の言い分ばかりが過度に守られ続けた末に、男性は、ちょっとした事でも、セクハラ加害者とされたり、すぐに不審者とされている。日本では、男性は、「ガタガタ言わない」のが美学とされているのに対し、男に食ってかかる女性が「かっこいい女性」という、変な社会風潮が蔓延している。
                                      (以上)


posted by 翠流 at 08:30| Comment(0) | 人権擁護への思い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月16日

某所への書籍紹介文

たまたま機会を得て、ある団体の広報誌に、
「脱男性の時代(渡辺恒夫著)」の紹介文を書くことになった。
私は、その団体に所属していながら、
アウトサイダーのような行動と発言をして、
末席をけがしている存在なのであるが、
だからこそ書けるような紹介文ではあって、
それが、それ故に団体の活動には寄与しないかというと、
必ずしもそうではないようなのである。

紹介文には字数制限があったが、
それ以前に、私の狭い問題意識からの紹介文であるから、
本の内容全体に対する客観性という点でみれば、
脆弱さが、多々指摘されるのだろう。
しかし私の、大きくは二つの問題意識と、この本との共鳴部分については、
表現したような気もするし、
それは、はなはだ今日的な問題でもあるのだろう、とは思う。

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【紹介文】
  「性的マイノリティーへの理解と、ジェンダーハラスメントからの解放のために」
       書名:脱男性の時代 ・・・ アンドロジナスをめざす文明学
       著者:渡辺恒夫。 勁草書房。

 この本の著者、渡辺恒夫は、ボーボワールが示した定式に対抗して、「人は男として生まれるのではない。男につくられるのだ。」という新たな定式を強調してきた。歴史を振り返れば、戦前戦中の男性教育は、まさにその典型であっただろう。それは戦争の道具としての男たちをつくりあげる教育であって、多様性を内包するはずの男性集団への画一化教育であった。勝つことから乖離する要素は男たちから剥奪されていった。それは例えば「涙の剥奪」であり、「美しさを身に纏う権利の剥奪」でもあっただろう。そういう、いわばジェンダーハラスメントとしての抑圧と、その結果としてつくられた男たちの暗部を照明しながら、渡辺恒夫は「アンドロジナス(両性具有)」への道を模索する。

 「美しさを纏う権利の剥奪」であるならば、引用された横溝正史の「蔵の中」で、作中の「私」は、姉の形見の振袖を身に着けながら、男に生まれた理不尽を嘆く。「私は何だって男などに生まれてきたのであろう。女に生まれていたら、毎日こうしてお化粧も出来、色美しく肌触りのいい着物を着てくらせるのに・・・」と。

 この「蔵の中」が映画化されたのが1981年。そして「脱男性の時代」が刊行されたのが1986年。以後、ある人の言葉を借りれば、日本の性同一性障害解放運動の「胎動期」を経て、2002年に「人権教育、啓発に関する基本計画」が閣議決定される。法務省はこの決定を受けて、「主な人権課題」に性的マイノリティーの人権擁護を入れた。国がLGBTの味方になったのである。

 このような変化を含め、多様性という言葉が社会に拡散する時代となった今、しかし、冒頭に記したような男性教育が仮に不存在であっても、社会には、その影響下でつくられた「男らしさの規範」が、今も根深い同調圧力として存在する。解放された若い女性に比するなら、男たちは今もその圧力に呪縛され、不器用に生きているように見える。渡辺恒夫はこの本の中で、21世紀は男性問題の世紀になると予見していた。見えやすい強さとしての体躯や筋力を自然から与えられ、前述の如き性別役割を背負わされてきた男たちの、しかしその内部の、未だ暗部として存在する脆弱さに光を当て、渡辺恒夫は、男性解放へ向かう選択肢の一つとして、アンドロジナスへの道を提起する。


posted by 翠流 at 23:56| Comment(0) | ジェンダー・アイデンティティ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月04日

記事紹介(男の子への支援)

前回の記事として書いた「壊れてゆく男たち」の問題と、
いつの日か、何らかの形で結びつくかもしれないという期待も抱きながら、
今回は、男の子に対する支援の記事を紹介する。
ハフィントンポストからの引用記事で、
Alyson Schafer という人の視点であるが、
この記事は既に、「女に生まれたかった男」さんが、彼のブログの中で、
今年の1月8日に紹介していたものであるから、
ご存知の方も、多いかもしれない。

前回の記事にも書いたように、
概括的な傾向として言えば、男性は、
女性に比して強靭な体躯と筋力という、見えやすい強さを自然から与えられ、
危機に耐えながら、守る役割を果たすべき責任を背負わされてきたし、今もそうであるが、
実はその内部には、配慮を必要とする脆弱さを併せ持つと、私は捉えている。
しかし男性はその性別役割のゆえに、女性のように配慮を得るこができない。
そういう、いわば被差別状況の中にありながら、
しかしそれを、被差別とは捉えさせない社会的価値規準の中で、
男性は、自殺・孤独死・引きこもり・癌死、ホームレスというような、
客観的データーとして女性より顕著な危機を、
背負いながら生きている。
そしてそういう、男性への配慮の脆弱さが、
率直に言えば、男性犯罪抑止力の脆弱さとも、なっているのではないかと、
そういう思いが、私の心の中に巣食っている。

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紹介記事

【記事名】 男の子が、女の子よりサポートを必要としている理由
              「男の子だから泣いちゃだめ」って言わないで。  
                              Alyson Schafer
 https://www.huffingtonpost.jp/2017/12/05/boys-need-emotional-support_a_23297167/
                              2017年12月5日
【記事本文】

「男の子と女の子の脳は、発達のスピードが違う」ということが、最近の研究からわかっている。

この違いが明らかになるにつれ「男の子は女の子より、精神的なサポートを必要としている」ということも、わかってきた。

精神科医のセバスチャン・クレーマーは2000年、「男の子の赤ちゃんの脳は、女の子の赤ちゃんより敏感でもろい」という研究結果を発表した。

研究によると、男の子の脳は胎内にいる時から、母親のうつ状態やストレスの影響を受けやすい。そして誕生時には、女の子より発達が満6週間遅れているという。

また別の研究から、出産後に母親から引き離された、保護者が反応しない、といった心の傷となるような経験をした男の子の赤ちゃんのコルチゾール(ストレスホルモン)レベルが高くなることもわかっている。

男女の脳の発達の違いは子ども時代を通して続くという。

男の子の脳は女の子の脳に比べて発達が遅い。そして精神的なサポートが足りないと将来大きな問題を抱えて苦しむようになる可能性がある、とクレーマーは言う。

具体的な例をみてみよう。研究者の意見はわかれるが、男の子の方がディスレクシア(読み書き障害)の子どもが多く、文字を読んだり、学校にいったり、学んだりするのが難しいといわれている。また、幼児期の行為障害やADHDも、男の子の方が女の子の2〜3倍多いといわれている。

男女間の違いは、成人にもある。カナダの場合、成人男性の自死数は成人女性の3倍多い。またうつ病のなりやすさは男女変わらないものの、男性の方がうつ病であることを伝えにくく、周りから見逃されやすい。

一方で脳は、環境や経験にも大きな影響を受ける。

クレーマーの研究では、男の子は女の子より親から精神的なケアを受けられていないことも明らかになっている。

なぜだろう?理由の一つとしてクレーマーは、男の子の方がわがままであるケースが多く、それが親との間に距離をつくってしまう結果になっていると考えている。

「男の子は興奮しやすいので、お母さんは彼らを落ち着かせようとすることに精一杯で精神的なサポートにまで手がまわりにくいのです。

一般的に男の子の方が手がかかり、子育てが難しい。だから親は、十分なケアをする余裕がないのです。

また、脳の大半は生まれた後に成長しますが、幼少時にストレスを感じると成長の妨げとなります。

親がいない、親が子どもに関心をもたない、もしくは親がうつ状態にあるなど、愛着形成に妨げとなる環境に、男の子には女の子より影響を受けやすいのです」

社会が男の子たちに厳しさを強いていることも問題だ。

一般的に「男の子は女の子より強い」と考えられている。だから親は、男の子には細やかな精神的なケアは必要ないだろうと思ってしまいがちだ。

しかし、「男の子は強くなければいけない」という固定観念は、若い男性を危険な状況に追いやる。

「『男は感情を表現するものではない』と言われがちですが、これは男性同士の関係にも、女性との関係も長期的に悪影響を及ぼします」とハラスメント問題に取り組むNPO団体「コレクティブ・アクション・フォー・セーフ・スペース」の最高責任者ジェシカ・レイブンはハフポストカナダ版に話す。

つまり男の子たちは、繊細で影響を受けやすい脳を持って生まれ、さらに親からの精神的なケアを受けにくいという二重の苦しみを負わされていることになる。

クレーマーは、この負担が男性が心の病を抱えやすいことに関係している、と考えている。実際、社会が求める男性像の従いやすい男性は、心の病を抱えやすく、助けを求めにくいという研究結果もある。

クレーマーの考えを支持する研究者のひとりが、UCLAのアラン・ショーラー博士だ。同氏は2017年の研究で、親と子どもの関係は、子どもたちの情緒的な能力に影響すると示唆している。

ショーラーの考えは次の通りだ。

親が子どもと親しい関係を築いて愛情を注ぎ、信頼し、子どもの変化に敏感に反応すると、子どもはより自分の感情を理解したり、表現したり、もつれた気持ちを解きほどきやすくなったりする。

それは、他人を理解し、愛し、協調するといったソーシャルスキルを育む上で助けとなる。男の子は女の子に比べてその助けを必要としていることが多く、特に幼い時ほどそうだといえる。

だからショーラーは、赤ちゃんが保護者と長い時間を過ごせるよう、男性も女性も十分な産休・育休をとれるようにすべきだと考えている。

親のみなさん、ぜひ赤ちゃんを抱きしめ、優しく語りかけ、笑いかけ、遊んで、いないいないばあをしてください。特に男の子の赤ちゃんを。

最後に、男の子にできる精神的なサポートを、まとめてみた。

・男の子は感情を表に出さないと考えないでください(それは間違いです)。男の子は感情を出すのが得意ではありません。だから感情を表現するのを助けてあげてください。『感情を表現してもいいんだよ』と伝え、話に耳を傾けましょう。

・男の子たちに、自分の気持ちと向き合うことの大切さを伝えましょう。そして、男の子たちが、安心して感情を表現できる相手になりましょう。

・感情は恥ずかしいことではない、と感じさせるのも大切です。「男の子なんだから泣いちゃだめでしょ」「大げさに振る舞わないで」「女の子みたいなこと言わないで」「男の子らしくしなさい」という言葉は使わないでください。

・何かあっても、親はできる限り冷静でいてください。親が冷静でいなければ、子どもも冷静でいられません。子どもが泣いたり怒ったりしても、個人攻撃だと受け取らないようにしましょう。子どものちょっとした興奮を間違って捉えてしまうと、その場から逃げ出したり、冷たい反応をしたりしてしまうことがあります。

・「男の子は女の子より多くを必要としている」ということを、いつも忘れないでください。

男の子が、幸せで健康な生き方をするためには、幼少期における情緒面の発達が欠かせません。ギュッとだきしめて、たくさん話を聞いてあげてください。

ハフポストカナダ版の記事を翻訳しました。
                                      (以上)